異世界日帰りごはん 料理で王国の胃袋を掴みます!

ちっき

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枢機卿!

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「チハル、チハル。」
「サフィーおはよう。」
「そろそろ準備しましょうか。」
「何の?」
「教会の人と会うのでしょう?その服で行くのですか?」
 トレーナーにジーンズのラフな格好を見ながら千春は一言。

「いんじゃない?」
「だーめーでーすー、着替えますよ。」
 サフィーナは千春をベッドから下ろして着替えさせる、モリアンがクローゼットからドレスを選んでいる。

「コレなんかどうです?」
「そうですね、少し威厳のある感じですし。」
「何でもいいよぉ。」
 千春はなされるがまま着替えさせられた。

「おー、千春可愛いじゃ無いか。」
「ルプも人の服みて可愛いとか分かるんだ。」
「何百年と人を見て来たからな、それくらいは分かるわ。」
「儂はドラゴンに戻るんじゃよな?人型でも良かろうに。」
「ロイロの人型可愛いからねぇ、喋りは年寄りっぽいから威厳有るけど。」
「失礼な奴じゃのぅ。」
 そう言いながらも笑顔で応えるロイロ。

「昼食はどうされます?」
「話してからで良いでしょ、長く話すつもりないし。」
 着替えも終わり待っていると教会の人が来たと連絡が有る。

「さーて、ひと仕事して来ますかねー。」
 寝室から出ると大樹が国王陛下とリバーシをしていた。

「お父様なんでココに居るんですか。」
「おお、このリバーシの商談が終わっての、数日後には見本が来るそうだ、見てたらやりたくなってな。」
 相変わらずガハガハと笑いながら話す。

「それじゃお父さんよろしくね。」
「あぁ、無茶したらダメだからね。」
「チハル穏便にじゃぞ?」
「はーい。」
 すでにドラゴン形態のロイロとルプを連れて外に出るとエーデルが待っていた。

「チハル王女殿下ご案内します。」
「はーい、よろしくー。」
 ルプを見てギョっとするものの直ぐに平常に戻り歩き出す、そして以前話をした部屋に連れてこられた。

「どうぞこちらです。」
「エーデルさんも来るの?」
「はい、王妃殿下から側に居るように仰せつかっております。」
 はぁ、とため息を吐き、過保護だなと思いつつも嬉しく思い中に入る。

「お待たせしましたかしら?」
 以前と同じ口調で挨拶をすると大司教が居た、千春は名前も忘れている。

「ご機嫌麗しく、改めてご挨拶にお伺いしました、此方が枢機卿のメルサード様で御座います。」
「メルサードだ、王女殿下よ。」
「あら、ご丁寧に、エーデル、ロイロ、ルプ、入りなさい。」
 そう言うとゾロゾロと入ってくる。

「なっ?!」
「なんじゃ?!魔物なぞ引き連れおって!」
「あら?魔物じゃないですよ?聖獣です。」
「ドラゴンは1種族として認識しておろうに。」
「魔物とは心外だな。」
「喋った?!」
「ほぉ?会話が出来るとは、中々面白いですな王女よ。」
 上からの喋り方をする枢機卿に面倒臭いなーと思いつつ千春は腰を掛ける。

「それで?どう言ったご用件で?」
「うむ、先日大司教が話をした時に聖女では無いと突っぱねたそうだが?」
「ええ、聖女ではありませんでしたからねぇ。」
「その件で足を運べば巷では聖女の噂が持ちきりでは無いか、尾鰭も付いて女神の恩恵まで受けたとデマまで広まっておる。」
 嫌味な笑みで千春を見る、ルプはグルルルルと小さく唸っている。

「なぜデマだと?」
「教会の本国でも顕現されたと有るのは3千年前の記述のみ、創造神である、女神では無い。」
「へぇ、それで?違うならほっとけば良いじゃないですか。」
「そうは行かん、聖女は教会が引き取り、民に恩恵を与える手伝いをするのが風儀なのだ、王女にはその素質が有る様だ、教会で修行をすれば本物の聖女にも成れようぞ。」
「・・・・で?」
 呆れて物が言えない千春は続きを促す。

「聞いておらんかったのか?教会に来れば良いのだ、一国の王女とは言え教国と敵対したくはあるまい?」
 ドヤ顔で見下す枢機卿は勝ち誇っている。

「千春、こいつ噛み砕いて良いか?」
「ルプ儂も手伝うぞ。」
「はぁ、教会に行くつもりも無いですしもう聖女の称号は頂いてます、それに創造神なんて居ませんし、この世界の神はアイトネと言う女神様だけです。」
「な!何という事を!その言葉は教国に反意するのと同じ事で有るぞ!」
 枢機卿は立ち上がり唾を飛ばしながら怒り出す。

「はぁ、ダメだこの人、アイトネー、どうせ見てるんでしょー。」
『見てるわよー、まさか経典まで変わってると思わなかったわ。』
 そう言いながらアイトネが現れる、枢機卿と大司教は口を開けたままアイトネを見つめていた。

「だ、誰だ!?」
『あなたの国で信仰している……していた、かしら?女神様ですわよ?』
 アイトネはじーっと枢機卿を見て千春に声をかける。

『ダメねこの子、枢機卿と言う身分を使って好き勝手してるわ、千春も手籠にするつもりだったのねぇ。』
 記憶を読んだアイトネは言葉尻に怒りを露わにしながら千春に伝える。

『モート!』
アイトネが不意に誰かをよんだ、そして何も無い空間に1人の男が立つ。

『お呼びですかな?アイトネ。』
『この子連れて行って良いわよ。』
 目で枢機卿を指す

『肉体も?』
『ええ。』
『慈悲深い事で。』
 モートと呼ばれた仮面の男はパチンと指を鳴らすと消えた、枢機卿と共に。

「なに?どうなったの?」
『あの子の記憶を見たのよ、チハルには耐えれないわ。』
「今の人は?」
『そうね、分かりやすく言えば死神で閻魔大王って言えば分かりやすいかしら?』
「うぁぁ、理解出来た、肉体もって言ってたけど・・・・・」
『そうね、魂を綺麗にするのに魂だけだと時間がかかるの、肉体が有れば数百倍早く綺麗になるわ、だから私からの慈悲よ。』
「それって苦痛が数百倍って意味に聞こえるけど?」
『その通りよ。』
 それを聞いていた大司教は椅子に崩れ落ちるように座る。

「あ、大司教さんはどうするの?」
『この子は真面目にやってるみたいねぇ、あなた本国に戻って1か月以内に経典を戻しなさい、さっきの様な子が他にも居るみたいだし、あなたの国の法で裁いて良いわ、出来なければ神罰を落とします、分かった?』
 無言で何度も頭を縦に振る大司教、顔は真っ青だ。

『それじゃ私は枢機卿の犠牲になった魂を回収してくるわ、良い輪廻に回してあげましょう。』
 あっという間にアイトネも消え、静寂が訪れる。

「えーっと大司教さん?」
「はいぃぃぃ!」
「そう言う事なので、頑張ってね。」
「王女殿下様!いえ!聖女様!今後は女神様を崇拝し祈りを捧げる所存でございます!」
「はぁ、まぁ今の見たらそうですよねぇ。」
 その後聞き分けの良くなった大司教と今後教会の勧誘が無い事、孤児院のバックアップ等を取り付け、無事に話は終わった。

「俺たち居なくても良くなかったか?」
「お主はまだ良いわ、アイトネの眷属と思われて崇拝されておったでは無いか。」
「まだ違うけどな。」
「彼奴からすれば同じ事じゃ。」
「まぁまぁ、面倒事が1つ解決したと思えば可愛いもんじゃ無い?」
「自分は空気でしたな。」
 寂しげにエーデルは呟く。

「よーし、アイトネも動いてくれてるしオヤツでも作るかー。」
「その前に昼飯が食いたいな。」
「儂もお腹が空いたぞー。」
「王女殿下、食堂へ行きましょうか。」
「うん、一回部屋に行って皆で行こうか。」
 部屋に戻るとエイダンと大樹はまだリバーシをしていた。

「ただいまー。」
「お帰り千春、大丈夫だったかい?」
「チハルよ!穏便に済ませたか!?」
「あ・・・あー・・・・んっと・・・・枢機卿のなんとかさんがアイトネの怒り買ってちょっと地獄に落ちたけど大司教さんと話して今後教会には何も言われない様になりました。」
「そうか・・・ちょっと待て、枢機卿がどうしたじゃと!?」
「・・・地獄に落ちました。」
「はぁ・・・穏便に済んでないでは無いか。」
「大丈夫です、大司教とアイトネが動いていますので王国に面倒は掛かりません、多分  (ボソッ)」
 エイダンは上を向き手で目を覆いながらブツブツと呟いている。

「まぁ取りあえず無事に終わったのでお昼食べてきますね、ユラは起きてる?」
「はい、起きてますよ。」
 寝室からサフィーナがユラと一緒に出てきた。

「ユラちゃんお昼ご飯食べに行こう。」
「いくー!」
 千春に抱き付き、ギュッと抱き付いたあとルプの顔に抱き付くとルプはポイっと背中に乗せる。

「お父さんお昼は?」
「セバスさんが持って来てくれるからエイダンさんと一緒に食べるよ、行ってらっしゃい。」
「おっけー、食堂へ行こー!」
「おー!」
 いつものメンバーにエーデルとルプが増え大人数で食堂へ向かった。
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