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サフィー日本のスーパーへ行く!

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「お父さん疲れてるでしょ、ちょっと休んでてね。」
「うん、千春はどうするんだい?」
「お母様の所に行って今日の都合聞いてくるよ、挨拶行くんだよね?」
「そうだね、急に行っても迷惑だろうしお願いするよ。」
 千春はサフィーナ、モリアン、ユラを連れて異世界に戻る。

「おかあさまのところにいくの?」
「うん、ユラちゃんも行く?」
「いくー。」
「それでは王妃殿下の所に向かいましょうか、モリアン王妃殿下は何方に?」
「自室にいらっしゃいましたけど準備されてましたから移動されてるかもです。」
「そう、取りあえず行ってみましょうか。」
 4人はマルグリットの所に向かっていると向こうからエンハルトが歩いてきた。

「チハル、御父上が来たそうだな、挨拶は出来るのか?」
「ハルト兄様が行かなくてもこっちから行くから大丈夫だよ。」
「そうか?御父上はいつ来られるんだ。」
「それを確認にお母様の所に向かってるんだけど、お母様はお部屋?」
「いや、どうだろう、俺も聞きたいから付いて行っていいか?」
「いいよー、それじゃ一緒に行こー。」
 5人でマルグリットの自室に着くが不在だった、侍女曰く国王陛下の所に行ったらしい。

「お父様の所へいくぞー!」
「おー!」
 ユラだけが声をだす。

「ノリが悪いなぁ。」
「チハル様、流石に王妃殿下の部屋の前で侍女が『おー』って言えるわけ無いでしょう。」
「言えますけどサフィーナにチョップされるんで。」
「・・・・」
 エンハルトは無言で笑っていた。
 国王陛下の執務室に着くと護衛の兵士に声を掛ける。

「お母様はいらっしゃいますか?」
「王妃殿下は先ほど出られましたが?」
「入れ違いかぁ、お父様は?」
「はっ、少々お待ちください。」
 兵士はエイダン陛下にお伺いをし、中へ案内してくれる。

「お父様お忙しい所申し訳ありません、お母様は何方に行かれましたでしょうか。」
「おーチハル、アレか?チハルの父上が来た件かな?」
「はい、父が挨拶に伺いたいと言う事でご都合の確認をしようと思いまして。」
「メグにも同じ事を言われた、出来れば夕食を一緒にと思ってな、夕食前に顔を合わせたいと思っておるんだが、大丈夫か?」
「はい、場所はどちらで?」
「儂の応接室で顔合わせしてから夕食にと思っておる。」
「分りました、それではその様に伝えておきます、有難う御座います。」
 5人は陛下の執務室を出て考える。

「入れ違いって事は私の部屋?」
「少なくとも母上の部屋には戻ってないだろう、俺達が通って来たからな。」
「チハルの部屋に戻りましょうか、一応予定はお聞き出来ましたから。」
「そだね、ユラちゃん私の部屋で遊ぶ?」
「とらんぷ?」
「リバーシでもいいよ。」
「あそぶー!」
「それじゃぁ俺は騎士団の方へ行く、挨拶の時は俺も行くから宜しくな。」
「了解、それじゃ戻ろっか。」
 エンハルトと別れ門の部屋へ戻ると兵士が立っていた。

「戻りましたー。」
「お帰りなさいませ、王妃殿下が中でお待ちしております。」
「ありがとー。」
 兵士が開けたドアを通ると中で寛ぐマルグリットが居た、そして異世界の門を通し父が椅子に座って話をしていた。

「・・・お母様とお父さんなにしてんの?」
「おかえりチハル、タイキさんとチハルの事を話してたのよ?」
「おー千春おかえりー、王妃様と世間話をな。」
「タイキさん、私の事はメグでよろしくてよ?」
「いやいや、流石にそれは憚(はばか)れますよ。」
「・・・それで、顔合わせは夕食前なんですよね?」
「えぇそうよ?」
「なんで今顔合わせしてるんですかお母様。」
「来たら声掛けられたから。」
「チハルが居ないとそっちに行けないからクローゼットを挟んで話してたんだよ。」
「・・・別に良いですけど。」
 横ではマルグリットの付き人エリーナとアルベルが立っていた。

「はぁ、お父さん休憩してたんでしょ、疲れてない?」
「ゴロゴロしてたら余計疲れるからね、少し動いてるくらいの方が良いんだよ。」
「まったく、休み方を知らない人はコレだから。」
 そう言って扉を通り大樹を異世界に連れて来る。

「あ、お母様この扉の通り方が解ったんですけど知られない方が良いってお父さんがいってたんですよ。」
「えぇ、タイキさんから聞いたわ、エリーナとアルベルは大丈夫よ、他には言わない方が良いでしょうね。」
「はい、よろしくお願いします。」
「それで、私の部屋に行ってたの?」
「はい、すれ違いになったみたいで、お父様の所にも行きましたがまた入れ違いになりました、でも予定は聞けましたから。」
「そう言う事だから夕食前くらいに呼びに来るわ、それまでゆっくりしててね、あーそうそう、タイキさんもし良かったら温泉に入りません?」
「温泉ですか?!」
「そうそう!お父さん王宮のお風呂って温泉なんだよ!」
 興奮気味に千春が大樹に言う。

「温泉か、良いなぁ。」
「疲れも取れるかもしれないね、行ってみる?」
「今から入れるのかい?」
「・・・入れるんですか?」
 大樹が聞いてくるが、千春も分からないのでマルグリットに聞く。

「えぇ、王族の浴室は何時でも入れるわよ。」
「王族の浴室!?」
「びっくりするよねー、王族の浴室とか。」
 笑いながら千春も答える。

「それじゃお風呂の準備してくるからお父さんそこでゆっくりしてて。」
「あぁありがとう。」
 千春は父の着替えや普段着を揃えお風呂セットと一緒に手提げに入れる。

「それじゃご案内しまーす!」
 そう言うと千春は皆を連れ部屋を出る。

「チハル道覚えたの?」
 先導して歩く千春にサフィーナは声をかける。

「流石に毎日通れば覚えるよ!」
「でも男湯は知らないでしょう?」
「・・・・あ。」
「私が案内しますね。」
 サフィーナはそう言って先頭を歩く、マルグリットや侍女達も後ろから付いてきている。

「ユラ、何持ってるの?」
 マルグリットがユラの持っている物が気になり聞く。

「とらんぷー。」
「前言ってたカードね、遊ぶの?」
「おかあさまといっしょにあそびたいな。」
「良いわよ~。」
 2人はニコニコと遊ぶ相談をしていた。

「千春、こっち暑くないか?」
「うん、コッチね日本と季節が逆っぽいよ。」
「へー、南半球なのかな?」
「私も思った、多分そうだと思う。」
「でも暑苦しくないな、湿度が低い?」
「うん、あと魔法で王宮内は調節してるらしいよ。」
「便利だな魔法!千春は魔法使えたのか?チートは?」
「チートは無いけど魔法使えたよ。」
 そう言うと父の着替えを入れている手提げ袋をアイテムボックスに入れる。

「凄いな!お父さんも使えるかな!?」
「どうだろうね、ローレルさんが帰って来たら鑑定してもらえば分かるよ。」
「ローレルさん?あー最初に説明のあった魔導士団の人か。」
「うん、魔導士団の団長さん、鑑定石で得意属性がわかるよ。」
「へぇ、いつ帰って来るんだい?」
「さぁ?3週間くらい前から別の領地に出張中だからね。」
「ダメじゃないか。」
「今度来た時聞けば?」
「次帰って来れるのいつだろうなぁ・・・・。」
 大樹はそう言いながら目の前に聳(そび)え立つ白亜の城を見ながら呟いていた。

「タイキ様此方になります。」
 サフィーナが大樹に浴室の入口を教える。

「中に近侍がおりますので何でもお聞きして下さい。」
「はい、お父さんこれ。」
 サフィーナの説明の後千春はアイテムボックスからお着換えセットを出して渡す。

「それじゃぁチハル、ユラ、私達も湯浴みしましょうか。」
「え?今からですか?」
「別にいつでも良いじゃない、気持ちいいわよ?」
「ユラもはいるー。」
「んー、お付き合いしますか。」
 3人も女風呂の方へ向かう、大樹の方にはサフィーナが出口で待つ事になった。


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 のんびり温泉に浸かり浴室から出ると大樹は既に風呂から上がり何か飲んでいた。
「お父さん何飲んでるの?」
「コーラだよ。」
「持ってきたの?」
「いや、サフィーナさんが出してくれた。」
「チハル様から預かっていた飲み物です。」
「そういやぁ色々預けてたね、ありがとう。」
 サフィーナは黙って頭を下げる。

「それじゃぁ私とユラは部屋に戻りましょうか、チハルはタイキさんとまた向こうへ戻るでしょ?」
「はい、まだ時間も有りますし何か有れば呼んでください。」
「分ったわ、久しぶりの家族団欒なんだからゆっくりしてきてね。」
「はーい、それじゃお父さん行こうか。」
「お風呂有難う御座いました。」
 大樹はマルグリットに頭を下げる。

「チハルを娘と言わせて頂いてるのよ、そんなお礼なんて言わないで下さいな、私の方が感謝してるんですから。」
 マルグリットはそう言うと大樹に微笑む、そしてサフィーナに連れられ門の部屋まで帰った。

「千春はマルグリットさんに気に入られてるなぁ。」
「うん、おかぁさんと全然違うのに何かね、すごいおかぁさんと同じ雰囲気があるの。」
「そうだな、見た目も声も、性格も違うのにな。」
「でもお母様のおかげでね、おかぁさんの声を思い出したの、あと夢にもおかぁさん出てくるようになったんだよ。」
「そうかぁ、最初に千春がマルグリットさんを『メグ様』って言った時ビックリしたよ。」
「なんで?」
「お母さんもね『メグ』って愛称だったんだよ。」
「えー!?知らなかった!」
「そりゃ千春の前じゃお母さんって言ってたもんな。」
「・・・だからメグ様って言わないの?」
「んー、違うって分かってるんだけどやっぱり抵抗あるかなぁ。」
「そっかぁ、でもお母さんって春恵(はるえ)だよね?」
「そうだよ、でも読み方が古いって文句言って友達が付けたんだってさ『恵』でメグなんだと。」
「・・・・そっかぁ二人とも『メグ』なんだぁ。」
 テーブルに向き合い2人で昔を思い出しながら呟く。

「そうだな、千春を娘と可愛がってくれてるんだしメグ様って呼ぶか。」
「良いの?」
「良いだろ?それに千春もお母様って言ってるじゃないか。」
「そうだけどね。」
「よし、それじゃお土産の選別しようか、千春手伝ってくれ。」
「はーい、あ、日本じゃ魔法発動出来ないから、アイテムボックス入れるなら一度こっちに持ってくるからね。」
「へぇ、何かしらの制限でも有るのかな?」
「あと買い出しに行きたいんだけど・・・そうだ!サフィーちょっと買い物行くから一緒に行こう。」
「え?チハルの世界でですか!?」
「うん、ちょいと砂糖とか多めに買いに行きたいから荷物持ちだけどね。」
「分かりました、服はどうしますか?」
「私のじゃ小さいよね。」
「お父さんのジーンズにジャケットで良いじゃないか、クリーニング出してるの有ったろ?」
「お父さんナイス!それじゃ向こう行って着替えよ!」
 3人は扉を通り日本へ戻る、モリアンは安定のお留守番である。

「それじゃお父さんは持って行く物をクローゼットの前に置いといて。」
「分った、気を付けてな。」
「はーい。」
「分かりました。」
 2人は玄関を出る、千春のスニーカーをサフィーが履き外に出る。

「寒いですね!」
「うん、冬真っ盛りって感じ、今年末だから買い物も人多いから迷子にならないでね。」
 千春はサフィーの手を繋ぎ一緒にスーパーへ向かう。

「どう?翻訳指輪で他の人の言葉分かる?」
「はい、分かりますね、ただ文字が分からないので看板を見ても何が何やら。」
「そりゃそうだ。」
 ケラケラ笑いながらサフィーナの感想を聞く、途中車やバイク、自転車に信号機と色々説明しながらスーパーへ到着、そしてスーパーへ突入する。

「す・・すごい!中が広いし明るいですね!野菜がこんなに新鮮で綺麗な物が!」
 スーパーに入り最初に目に着く野菜売り場で興奮するサフィーナ。

「今日は調味料の買い出しだからね~♪」
 カートに買い物かごを乗せ調味料売り場へ行く。

「あった、砂糖、おおーいつもより安い。」
「これはお幾らなんですか?」
「この1袋で1㎏入って税込み198円、あっちで大銅貨2枚だね。」
「・・・嘘でしょう?」
「ホントだよ、あっちで1㎏だといくらすんの?」
「この品質でしたら小金貨1枚くらいは・・・茶色い普通のでしたら銀貨2~3枚で買えます。」
「え~っと・・・茶色で2000円で白いのが1万!?マジか。」
「マジですねぇ。」
「あと気になるのある?お父さんの財布だから何でも買っていいよ。」
「ダメでしょうそれは、でもちょっと気になるのは有りますね。」
 そう言ってサフィーナはお茶のコーナーを見る。

「紅茶の種類が多いですね、あと緑のお茶も気になります。」
「緑茶ね、あと烏龍茶と紅茶を、ダージリンとアッサムとアールグレイも買おう、飲み比べしてみよ!」
「はい!楽しみです!」
 同じ年とは思えないようないつものサフィーナと違い、今日は凄くテンションの高いサフィーナを見て、同じ年なんだなーと思いながら買い物を続けた。

「いっぱい買いましたね。」
「砂糖10㎏は買いすぎたかもしんない。」
「アイテムボックスを思わず出そうとしてしまいました、やっぱり発動しないんですね。」
「そうなんだよねー、なんか凄く出しにくいと言うか魔力が詰まる感じで出ないんだよね。」
「何かしら魔力に対する圧力が掛る感じでした、まぁ無理する事はないですよ、半分ずつ持って帰れますし。」
「うん、1人だとキツいんだコレ。」
「今度から一緒に行けますね。」
 2人は笑いながら家路についた。

「ただいまー!」
「ただいま帰りました。」
「おかえりー、荷物の整理は終わったよー。」
「はーい、それじゃサフィーそのまま向こうに行こう。」
「はーい。」
 調味料や大樹のお土産を千春とサフィーナはアイテムボックスに入れる。

「チハルはいコレ。」
 サフィーナは翻訳指輪のネックレスを千春に着ける。

「ありがと、お父さん今日何か食べたいのあるー?」
「食事は王様達と食べるんだろう?」
「うん、だから何か作ってこようかと思ってね。」
「千春が作るの?」
「正確に言うと私がレシピを教えて王宮の料理人が作るんだけどね。」
「へぇ、そうだなーお昼はお寿司だったから肉が良いかな。」
「肉ね・・・ンフフフ、お父さん、魔物食べてみたい?」
「なっ!?魔物いるの?こっち!」
「居るんだなぁコレがしかも食材でもあるんだなぁ。」
「で!?何があるの!?」
「今毎日仕入れてるのがミノタウロスとオーク、たまにレイクリザードとかコカトリス入るね。」
「すごいね!食べてみたいな!」
「おっけー!それじゃちょっと厨房行って来るよ、サフィー付いてきて、モリーはお留守番お願いね。」
「はーい!私の分とっといてくださいね!」
「はいはい。」
 そして千春とサフィーナは王宮の厨房へ向かう。

「チハル何を作るの?」
「ふっふっふー、まだ時間有るからね、ちょ~っと手の込んだ物作るよ!」
 千春の頭の中であれやこれやと料理が思いつく、どうせ食事の後は父の酒が振舞われ飲み明かすだろうと、酒のつまみにもなる料理も考えながら厨房へ向かった。






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