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異世界特製クリスマスケーキ!

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「それじゃ行ってくるねー。」
「チハルおねえちゃんいってらっしゃい!」
「「いってらっしゃいませ。」」
 ユラとサフィーナ、モリアンが送り出してくれた。

「さて、ケーキも出したし、あとはプレゼントも持ってっと。」
 千春はクリスマスパーティーへ向かう、行先は向井頼子の家に決まった。

ピンポーン

『はーい。』
「藤井です、頼子さんいらっしゃいますか?」
『千春いらっしゃーい、ちょっとまってねー』
 インターフォンから頼子の返事が来た。

「いらっしゃい!荷物持つね、どうぞ上がってー。」
「おじゃましまーす。」
「ミオとレナはもう少しかかるってさ。」
「おっけー、ケーキは台所?」
「うん、結構デカいな、高かったんじゃ無いの?」
「これね、料理人さんの知り合いが居て作ってもらったから高くないよ。」
「いやいや、逆に高いでしょソレ。」
「まぁ本職じゃないから良いんだよ、それより何処置く?冷蔵庫入る?」
 台所は寒いから冷蔵庫じゃなくて良いと言う事でテーブルに置き頼子の部屋に行く。

「最近忙しそうだったけど大丈夫なの?」
「あー、そうだねぇ、色々やる事あってさ、落ち着いたから大丈夫だよ。」
 ほぼ休みは異世界で過ごし、遊びのお誘いも断っていた為忙しいと思われていた、それから少しして美桜と麗奈も合流しクリスマスパーティーが始まった。

「「「「メリークリスマース!」」」」

パンパンパンパン!!

4人でクラッカーを鳴らしケーキを出す。

「うっは!凄いんだけどこのケーキ!」
「ほんとだ、この果物なに?オレンジ?モモ?」
「凄いね、4人で食べれないでしょこれ。」
 頼子、美桜、麗奈はケーキを見て驚く。

「うん、ちょっと気合入ってるよね、適当に作ってって言ったんだけどね・・・」
 千春が作ったケーキは王族で食べたが、千春のクリスマスケーキはルノアーに丸投げしていた、しかしルノアーは幾つかケーキを作り、その度侍女達に振る舞い出来を聞く、そして腕の上がった料理人はケーキに合う果物を選別し、千春のクリスマスケーキは腕に縒り(より)を掛け特製と言える程のケーキを作り上げた。

「それじゃ切るよー。」
 頼子がナイフを入れ4等分にする。

「ヨリ、その半分で良いから、それでもデカいから。」
 麗奈が流石に1ホールの4等分はデカすぎると8等分にする。。

「はーいミオとってー。」
「ほいほい。」
「よし!それじゃ食べよう!」
「「「「いただきまーす。」」」」
 4人は一斉にフォークを入れ口に入れる。

「うっま!!」
「めっちゃうまい!」
「このフルーツ何?初めて食べたんだけど!」
「クリームヤバ!めっちゃ濃厚!」
 千春、頼子、美桜、麗奈それぞれがケーキを絶賛する、美桜の食べたフルーツはこの世界には無い異世界の果物だった、生クリームも魔法でクリームにした特製で王国料理人達の全力で作ったケーキだ、そしてケーキを食べ、チキンに齧り付き、アニメ鑑賞をしながら朝まで遊びつくした。


--------------------


「・・・・朝だね。」
「・・・・ほんとだ、流石に朝まで遊ぶと眠いな。」
「・・・・太陽がまぶしいねぇ。」
「みんなおつかれぇ、気を付けて帰ってね。」
「「「またねー。」」」
 3人は完徹で遊んだ為フラフラしながら家路についた。

「ただいまぁ。」
 玄関を開け取りあえず声をかける、そしてクローゼットを開けもう一度言う。

「ただいまぁ。」
「おかえりなさいませ、チハル・・・どうしたの?」
「朝まで遊んで寝てないの。」
「あれからずっと遊んでたの?」
「うん、若気の至りです、眠い。」
「寝た方が良いわよ、そちらで寝ます?こちらで寝ます?」
「んーあっち寒いからこっちでねるよー。」
 日本は真冬だが、異世界は夏、しかし千春の寝室は魔道具と魔石を使い快適な温度に保たれていた。

「寝室は準備してありますから、湯浴みはどうします?」
「あぁ~お風呂入った方が良いよねぇ、この時間にメグ様の浴室使うのも問題だよねー。」
「いえ、大丈夫ですよ、何時でも入れる様にしてありますから、ちょっと歩きますけどね。」
「んー、いいや、家でシャワー浴びて来るよ。」
 そう言って扉を通ろうとした時スマホの通知が鳴る。

ピロン♪

「ん?」
「どうしました?」
「・・・・えぇぁぁあぁ!!!!」
 いきなり千春が叫ぶ。

「どうしたんですか?!」
 千春の叫び声で隣の部屋からモリアンが飛び出てきた。

「お・・・お父さんが帰ってくる。」
「はぁ、チハル驚かさないでください。」
「ほんとですよ!あ、チハルさんおかえりなさい。」
「あ、ただいまモリー、いや、待って、お父さん年末帰ってくる、どうしようこの扉。」
「どうもこうも、動かせないんですから諦めるんじゃなかったんですか?」
 何事かと思ったが、父親が帰ってくると言う知らせと知り2人は安堵する、しかし千春はそれどころでは無かった。

「いやいや、こんな扉あったらヤバいっしょ、お父さんぶっ倒れるよ。」
「そうなんですか?チハルの御父上でしたら動揺しなさそうなイメージが有りますけど。」
「それは私も思いました、チハルさんも度胸ありますからねー。」
 侍女2人の勝手なイメージで話をされてもと、千春も苦笑いになる。

「取りあえず三日後に帰ってくるからその後暫くこっちに来れないかもしんない、メグ様に伝えに行こう。」
「チハル、シャワー浴びて寝るんじゃ無かったの?」
「・・・目覚めたわ。」
「それじゃぁ取りあえず王妃殿下の所に行きますか?」
「うん、そうする、部屋に居るのかな?」
「そうですね、もう朝食は終わっていると思いますし行ってみましょうか?」
「そだね、行こう。」
 3人はマルグリットの部屋に向かった。

「ただいま帰りました。」
「おかえりなさいチハルおねえちゃん!」
「おかえりチハル、どうしたの?疲れた顔しちゃって、昨日は遊び過ぎたのかしら?」
「いえ、単純に寝てないのと、あと私のお父さんが帰って来るのでその間こちらに来れないかもしれないかなーと報告に来ました。」
「寝て無いの!?」
「はい、朝までワイワイやってました。」
 流石にマルグリットも苦笑する。

「それで、お父様が帰って来られたら来れないの?」
「あの扉を隠す予定なので。」
「何故?」
「何故って、異世界に繋がる扉とか見たらビックリしますよね。」
「えぇ、びっくりするでしょうね、でも隠す必要有るのかしら?」
「え?」
「そもそも何で隠す必要が有るのかしら、別に悪い事をしているわけでも無いでしょう?」
「・・・そうですね、なんで隠さないとって思ったんだろう。」
「びっくりするから隠すのも分かるけど、別に見つかっても良いじゃない、その時は紹介してくれるかしら?」
「はい、その時は紹介させてもらいます。」
 なんとなく肩の荷が下りたような気がした千春はまた眠気が襲ってきた。

「チハル様、湯浴みしてから寝室に行きましょうか。」
 眠そうにしている千春をサフィーナは気遣って声をかける。

「あら、湯浴みもしてなかったのね、エリーナ、チハルを湯浴みに連れて行って、終わったら私のベッドで寝させてあげて。」
「はい、それではチハル様。」
「はーい・・・・。」
 そのまま千春は浴室に連れて行かれ途中から寝てしまった、侍女はそのまま千春の面倒を見てベッドまで運び寝させた。

「さてと、サフィーナは詳しい話は聞いてるのかしら?」
「はい王妃殿下、チハル様の御父上は3日後にお帰りになると言う事までは聞いております。」
「そう、チハルの事だからすぐ門の事は知られるでしょうね、チハルのお父様がこちらに来るかもしれません、急いで客室の準備をさせましょう、あ、そうだわ言葉もわからないのよね?翻訳の魔道具はまだ有るのかしら?」
「魔導士団の方に聞けば分かるかと思われますが、師団長のローレル様が不在で御座います。」
 サフィーナはそう答え少し考える。

「王妃殿下、私が魔導士団の方へ確認してまいります、もし無ければ外交庁の方でしたら有るかも知れません。」
「そうね、それでは魔道具の方はサフィーナお願いするわね、アルベル、セバスを呼んでくれる?」
「はい。」
 マルグリットの付き人アルベルは執事長のセバスを呼びに行く。

「王妃殿下お呼びでしょうか。」
 直ぐにセバスはマルグリットの自室へ来る。

「3日後にチハルのお父様がこの国へ来るかもしれません、客室の方を準備しておいて。」
「はっ。」
「あと準備しないといけない事は~。」
「チハルおねえちゃんのお父さん?」
「そうよー、ユラの事も紹介しないといけないわねぇ。」
「うん!」
 そして千春が知らない所で千春の父のジブラロール王国へ来る準備が着々と整っていった。


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