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スコッチエッグ!

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 いつもの様に毎日朝は王宮の食堂で朝ごはんを食べ学校へ行き、夕食を王族と食べ、マルグリットとユラの3人で温泉に入る、そして日本に戻り寝る1週間を過ごした。

「ヤバい、惰性で生きてる・・・・・。」
「どうしたの?千春。」
 後ろから声をかけてきたのは同級生の向井頼子だ。

「んーちょっと生活が怠けてるなぁと思ってた所。」
「千春は全部自分でやってんだから怠けれる時は怠けないと、誰も文句言わないっしょ、それより明日なんだけどケーキ頼んじゃって大丈夫なの?」
「大丈夫だよー、ちゃんと予約してるから。」
「そう?それじゃそれ以外は全部私達が準備するからケーキだけお願いね。」
「了解しましたヨリ隊長!」
 2人は笑いながら学校へ向かい、教室でミオ達とクリパ準備の話で盛り上がった。


「ただいま~。」
「おかえりなさいませチハル様。」
 家に帰り着替えて扉を開けるとサフィーナが丁寧に出迎える、こういう時は誰か居るって事だ。

「んー?誰か来てる?」
 そう言ってキョロキョロと部屋を見ても誰も居ない。

「はい、応接間の方に生産ギルドのダーサン様がいらっしゃっております。」
「トランプ出来たのかな?」
 千春はそのままドアを開け応接間に入る。

「やぁ王女殿下お久しぶり、例の物が形になったから持ってきたよ。」
 ダーサンはテーブルに小さな箱を出す。

「ありがとう、開けても良い?」
「どうぞ。」
 ソファーに座り箱をパカっと開けると綺麗に切りそろえたトランプが入っていた。

「あれから簡単に遊び方を聞いてね、表面の絵柄は全く同じ柄で簡単なのにしてあるよ。」
「うん、可愛い絵柄だね。」
 数字面を見るとちゃんとハートやスペードのマークが書かれていた、数字はこの世界の文字だ。

「うん、手触りも良いし丈夫そう、今から量産するのかな?」
「あぁそれなんだが、100セットと言う話だがもっと作ってもいいかな?」
「ん?もしかして売るの?」
「そうなんだ、王女殿下の侍女から遊び方を聞いて作業場でやってみたんだけど面白くて皆がハマってしまったんだよ、これは売れるってね。」
「でも結構いい値段になるよね?」
「そうだね、銀貨2枚で販売して25%を王女殿下に、原価は45%まで落とす、販売利益は30%有ればいいだろう。」
「え?紙だけで銀貨2枚だったよね?」
「それは小売りだ、うちの様に大量に仕入れすれば安くなるし製紙工場は身内がやってるからね。」
「流石だねー、いいよ、ただこの利益は私じゃなくユラに渡したいんだけど。」
「それは別に構わないと思うよ、メイソンに伝えておくから。」
 そしてダーサンにはポーカーやブラックジャックの様な賭けが出来る遊び、他にも色々と遊び方を教える、勉強にもなるから紙質を落とした安い品も作ってもらうよう指示をした。

「チハルさんありがとう、製紙工場の方も最近厳しかったから助かるよ。」
「ダーサンも頑張ってくださいね、また新しい物有ったら声かけますから。」
 王女殿下呼びは止めて欲しいと千春が言い、さん付けで呼ぶ様になったダーサン。
 2人は笑顔で握手をし、ダーサンは部屋を出て行った。

「凄く盛り上がってましたね。」
 話を聞いていたサフィーナはティーセットを片付けながら千春に言う。

「まぁね、これでユラちゃんに何があっても大丈夫!」
「第二王女に何があるって言うんですか。」
「保険は必要でしょ?」
「そうですね、有っても損はしませんねぇ。」
 2人は門の部屋へ戻りのんびりと時間を過ごしているとノックが鳴り誰か来た。

「モリアンでしょう。」
 サフィーナはドアに向かい開けて確認する。

「おかえりなさい!チハルおねえちゃん!」
「ただいまー。」
 トコトコと小走りで抱き付いてくるユラを受け止める。

「ユラちゃんを迎えに行ってくれてたの?」
「はい!そろそろ帰ってくる時間だと思ったので。」
「むかえにきてもらったのー。」
 モリアンとユラはニコニコしながら千春に答える。

「それじゃ今日は何か作ろうかな。」
「何作るんです!?」
「んー、材料見てから考えるかなー。」
「にくー?」
「ユラちゃんは肉好きだよねぇ。」
 4人は厨房に向かう、ユラがリクエストした肉料理を考えながら。

「ルノアーさん来たよーん。」
「いらっしゃい、この時間に来るって事は何か作るのかい?」
「うん、材料見てから考えようと思ってるんだけどね。」
「そうか、今日はミノタウロスとオークが入ってるぞ?」
「魔物肉美味しいよね、そうだ!両方ミンチにしてもらっていい?」
「お?ハンバーグか?」
「うん、ちょっと違うけど材料は一緒だからいつものハンバーグと同じミンチをお願い。」
「他には?」
「えっと半熟茹で卵をいっぱい作る。」
「具体的には?」
「1人2個くらいかな。」
「食堂で出すと争いが起きそうだな、今日は王族だけにするか。」
「そこはお任せで、半熟茹で卵の作り方教えるね。」
 1人料理人を捕まえ半熟茹で卵の作り方を教える。

「沸騰したお湯にザルに入れた卵をゆっくりいれて7分丁度で取り出して水につけて下さい。」
「はい!分かりました。」
 千春は分刻みで料理を教える事が増え、アナログなキッチンタイマーを100均で買って揃えていた。

「チハル、今日はハンバーグ作るの?」
「今日はねースコッチエッグって言うハンバーグの中に半熟卵が入った料理だよ。」
 そしてしばらく待っていると半熟卵とミンチが出来上がった。

「はーい!材料揃ったので作ります。」
 茹で卵に小麦粉を付けミンチで包む、そのまままた小麦粉を付け玉子液につけ、パン粉をまぶす。

「ほい!コレをコロッケみたいに揚げてください、それで終わりです。」
「簡単だな。」
「でしょー、でもハンバーグと違う美味しさで楽しめるよ。」
 数個作って油で揚げる、そして揚がった物をお皿に乗せる。

「これが出来上がりです、ちょっと試食しようか。」
 千春はスコッチエッグを一つ取り皿に取りナイフで半分に切る。

「うわぁ!美味しそうです!」
「とろっとしてるよおねえちゃん!」
「これは見た目にインパクトあるな。」
 モリアン、ユラ、ルノアーが歓声を上げる。

「後は味だねー。」
 ケチャップを付け、半分に切ったスコッチエッグを一口サイズに切り分け口に入れる。

「うっま!ミノビーフシチューもそうだったけどミノタウロス美味しすぎでしょう。」
 また1つフォークに刺しユラの口に入れる、ユラはほっぺに両手を添えモグモグとしながら満面の笑みだ。

「はい、食べてみて。」
 残りも切り分け皆に渡す。

「美味しすぎます!黄身が!黄身がおいしいです!」
「本当、黄身を付けるとまろやかになりますね、とても美味しいです。」
 気付いたら他の料理人も並んでいる。

「ちょっとそんなに試食無いよ!?」
「大丈夫だ、今他の厨房に玉子を取りに行かせた。」
 千春がそう言うとルノアーが答える、そして数人の料理人が試食を回す。

「よし!今ある玉子は全部半熟卵に!それに合わせてミンチを作れ!王族の夕食には出来立てを持って行くからな!準備しろ!」
「「「「「「「「「「 了解! 」」」」」」」」」」
 一斉に答える料理人達。

「チハルさん後は作っておくから任せてくれ。」
「うん・・・任せた。」
「ではチハル、王妃殿下の所に行きますか?」
「そだね、ユラちゃんあとは夕食のお楽しみにしとこうか。」
「はーい!」
「私達も食べれるんですね、よかったですー!」
 いつもの様にモリアンを食堂に置いて行き3人はマルグリットの部屋へ向かう、マルグリットの部屋に着いたが、珍しく不在だった。

「お母様は何方に行ってるのかな?」
「国王陛下の所へ行かれております、すぐ戻られると言付けされておりますので中でお寛ぎ下さい。」
 侍女のアナベルが中へ促してくれる。

「まぁお母様もずっとココに居る訳じゃないもんねー。」
「そうですね、何か飲みますか?」
「そだね、あーそうだ!面白い飲み物持ってきたんだー。」
 千春はニヤニヤしながらアイテムボックスから炭酸ジュースを出す。

「グラスある?」
「はい。」
 サフィーナもアイテムボックスからグラスを4個出しテーブルに並べる。

「お注ぎしますね。」
「これは私が注ぐよ。」
 軽くグラスを斜めに向け泡が立たない様に注いでいく。

「まっくろだー。」
「本当、真っ黒ですね、飲み物なんですよね?」
「飲み物だよー、ほら。」
 2人の前でコーラを飲む。

「んはー!おいしー、はい、ユラちゃんちょっと刺激あるからチビっと飲んでみて。」
「うん。」
 両手にグラスを持ち、チビチビと口を付ける。

「くちのなかがビチビチする!でもあまい!」
「サフィーも飲んでみてよ。」
「それでは頂きますね。」
 サフィーナは口を付け少し目を見開いたがクピクピと飲んでいた。

「あれ?あんまり驚かないね。」
「驚かせたかったんですね、エールも飲みますので大丈夫ですよ。」
「そっか!そう言えばルノアーさんもエール出してるって言ってたなー、でもユラちゃんがビックリしたからいっか。」
 2人はユラを見るともう慣れてしまったのか普通に飲んでいた。

「ケポッ」
「あ、ゲップ出るよね。」
「発泡酒を飲むと出ますね。」
「ケポッ」
「ユラちゃんのゲップ可愛いな。」
「あまり行儀は良くないですけどね。」
「チハルおねえちゃんなんかでるケポッッ、とまんない。」
「はははは、すぐ出なくなるから大丈夫だよ。」
 炭酸の入っていないジュースも出して飲み比べをしながら3人はマルグリットを待つのであった。


 
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