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エイダン国王陛下の苦難!
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自分のケーキを受け取った千春はマルグリット王妃の自室に戻って来た。
「ただいま戻りました。」
「おかえりなさいチハル。」
「チハルおねーちゃんおかえりなさい!」
ユラがタックル気味に千春に抱き付いてきた。
「おっとぉ、ユラちゃんお姫様がそんなに抱き付いてきたらあぶないよー。」
受け止めたユラを優しく撫でながら注意をする。
「はーいごめんなさい。」
謝っているがすこぶる笑顔のユラをもう怒る事は出来なかった。
「用事は終わったのかしら?」
「はい、ちょっと時間が有ったので厨房で美味しいお菓子を作ってきました、そう言えばお父様やハルト兄様は甘い物とか大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、甘い物が嫌いな人は居ないわ。」
「それは良かったです。」
「それにチハルが作るお菓子って、こちら側の貴族が食べるお菓子より全然甘く無いもの。」
王国の高級なお菓子はイコール砂糖がたっぷり使っているお菓子が多い為、歯が浮くと言う表現がぴったりな激甘お菓子が多かった。
「ユラちゃんは一度食べた事あるお菓子だよ。」
「んー、ケーキ!?」
「あたりー!」
ユラは満面の笑みで喜ぶ。
「あら、ケーキの話はユラから聞いたわ、それを作ったの?」
「はい、作れる算段が付きましたので試しに作ってみました、ちゃんと作れましたから昼食で出させてもらいますね。」
「それは楽しみだわ、でもまだ時間有るわねぇ、待ち遠しいわ。」
3人はワクワクしながらケーキの話で盛り上がる、そこに執事長のセバスが声を掛けに来た。
「王妃殿下失礼いたします。」
「あら、何用かしら?」
「はい、国王陛下よりご相談が有るそうでございます。」
「エイダンが?今から伺うわ、チハルとユラはお留守番しててもらえるかしら?」
「王妃殿下、チハル王女殿下が居らっしゃいましたら一緒にと言伝を頂いております。」
「私もですか?」
「はい。」
ユラを一人で置いて行くのも気が引けると思い3人で国王陛下の元へ向かう事にした、扉の前に来ると兵士が中へお伺いをする、すると入れと声が掛かる。
「急にすまんな、ちと問題が有ったから呼んだのだが。」
「何がありましたの?」
「教会の者がまた来てな、大司教を出して来おった、まったく面倒な事をしてくる。」
「突っぱねたら良いじゃないですか、王族に喧嘩を売るようでしたら私が買いますわよ?」
「それをすると教国がまた面倒な事を言い出すだろうが。」
「そうね、それで?いつ会わせろと?」
「先触れが来た、明日にでもと言っておる。」
「分かりました、私が対応します、優しくお帰り頂きますわよ?」
「はぁ、相談しておいてなんだが穏便に頼むぞ、儂が出ると喧嘩になるのが目に見えとるから人の事は言えんがな。」
「だからですわ、教国の威を借りる者など知れてます、私が話を付けておきましょう。」
国王陛下とマルグリットは物騒な話をしながら笑っているのか怒っているのか怖い顔をしていた。
「お父様、お母様、もしかしてそれって私の件ですか?」
「ええそうよ、変に尾鰭が付いてチハルが聖女だから会わせろって煩いのよ。」
「それって単純に私が聖女じゃないって分かれば良いんですよね?」
「えぇ、でもチハルは今そう言われてるのよ。」
「ケガを治しただけで?」
「それだけなら良かったのだけど、今孤児院を数件建ててるでしょう?」
「はい、パンの権利で得るお金で建てて貰う話の事ですよね。」
「そう、それもチハルが出資と言う事を隠してなかったのよ。」
「あーーーー、聖女の行い的な事になってるんですか?」
「そ、それに食事の改善。」
「えー!それもですか?!」
「そ、パンのレシピを出したでしょう?あれもチハルが作ったって商業ギルドでレシピを買えばわかっちゃうのよ、そして今王国であのパンが出回るようになって皆喜んでるわ、そこまでは良かったのだけれど、それぞれの噂が重なるとどうなると思う?」
千春は眉間に皺を寄せ天井を見上げる。
「聖女がやりそうな事してますねぇ。」
「他にも揚げ物とかの料理も出回りだしたわ、しかも特権無しのレシピが、美味しいから尚更噂を呼ぶのよね。」
「仕方ないですねぇ、所で会ってどうするつもりなんですか?教会の人たちは。」
「教会に取り込もうと色々手を打ってくるでしょうね。」
「仮にも王族を?」
「仮も何もしっかりあなたは王族よ、手続きがまだ終わってないけどね。」
「だから教会は急いで会おうとしてる・・・と?」
「良く分かるわね、絶対にチハルは渡さないから安心していいわよ。」
「いえ、直接私が断るので大丈夫です、そもそも私王宮から出たら家に帰れませんもん。」
「そうだったわね、最近ずっと一緒にいるから忘れそうだわ。」
マルグリットもやっと笑顔で千春を見つめた。
「それじゃぁ私が明日会います、お母様は隣で圧を掛けてて下さい、あと第一騎士団のエーデルさんを付けて貰えますか?フル装備で帯剣してもらってください。」
「おいおいチハルお前も喧嘩を売るつもりか?」
物騒な事を言い出した千春に焦る国王陛下は声を荒げた。
「そんなー、穏便に済ませますよー?ほら、王妃殿下と王女が対面するわけでしょう?安全第一ですよ、それにお母様とエーデルさんが横に居てくれると私も気合入るので。」
ニッコリと笑いながら国王陛下に進言する。
「そ、そうか、チハルもメグに似ておるな、もうすこーし穏やかな娘だと思っておったが。」
「あら?お父様私は穏やかですよぉ?」
ニヤリと笑い国王陛下を見る。
「分った、チハルの言う事も分かる、向こうに帰れないと言うのはチハルにとって大問題だからな、それでは明日の日程を返すとしよう、都合が良い時間はあるか?」
「はい、昼食20分前くらいでお願いします。」
「なぜ20分前なのだ?」
「簡単な話ですよ、最長20分で終わらせる為です、明日のお昼は食堂のご飯豪華にしておきますからエーデルさん食べ損ねたら機嫌悪くなるでしょうねぇ、それにそれ以上話をするとお母様がキレるかもしれませんからね。」
「そ、そうか、わかった、チハルよ。」
「はい。」
「穏便に頼むぞ!」
「はーい。」
満面の笑みで国王陛下に千春は返事をする。
「それではそろそろ昼食に向かいましょうか?」
マルグリットは何もなかったように食卓に向かう。
「お父様も行きましょう、今日は私が美味しいデザートを作ってきましたので。」
「うむ、そうだな、それでは行こうか。」
国王陛下はもう考えてもしょうがないと笑いながら相槌を打って立ち上がる。
「・・・一緒に居ると性格も似て来るのかのぉ。」
そう言って付いてきたユラを見る、きょとんとした顔で国王陛下を見ていたが目が合うとニパッと笑顔を見せる。
「おとうさまきょうはケーキがでるんです!おいしいです!」
「そうか、それは楽しみだな、ユラはお淑やかに育てよ。」
そう国王陛下が言った途端背筋が凍る、ふと前を見ると笑顔のマルグリットと千春が見ていた、とても冷やかな笑みで。
「さぁ!食卓へ向かおうか!」
そういってヒョイっとユラを腕に座らせ持ち上げ歩き出した、2人と視線を合わせないようにスタスタと。
「ただいま戻りました。」
「おかえりなさいチハル。」
「チハルおねーちゃんおかえりなさい!」
ユラがタックル気味に千春に抱き付いてきた。
「おっとぉ、ユラちゃんお姫様がそんなに抱き付いてきたらあぶないよー。」
受け止めたユラを優しく撫でながら注意をする。
「はーいごめんなさい。」
謝っているがすこぶる笑顔のユラをもう怒る事は出来なかった。
「用事は終わったのかしら?」
「はい、ちょっと時間が有ったので厨房で美味しいお菓子を作ってきました、そう言えばお父様やハルト兄様は甘い物とか大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、甘い物が嫌いな人は居ないわ。」
「それは良かったです。」
「それにチハルが作るお菓子って、こちら側の貴族が食べるお菓子より全然甘く無いもの。」
王国の高級なお菓子はイコール砂糖がたっぷり使っているお菓子が多い為、歯が浮くと言う表現がぴったりな激甘お菓子が多かった。
「ユラちゃんは一度食べた事あるお菓子だよ。」
「んー、ケーキ!?」
「あたりー!」
ユラは満面の笑みで喜ぶ。
「あら、ケーキの話はユラから聞いたわ、それを作ったの?」
「はい、作れる算段が付きましたので試しに作ってみました、ちゃんと作れましたから昼食で出させてもらいますね。」
「それは楽しみだわ、でもまだ時間有るわねぇ、待ち遠しいわ。」
3人はワクワクしながらケーキの話で盛り上がる、そこに執事長のセバスが声を掛けに来た。
「王妃殿下失礼いたします。」
「あら、何用かしら?」
「はい、国王陛下よりご相談が有るそうでございます。」
「エイダンが?今から伺うわ、チハルとユラはお留守番しててもらえるかしら?」
「王妃殿下、チハル王女殿下が居らっしゃいましたら一緒にと言伝を頂いております。」
「私もですか?」
「はい。」
ユラを一人で置いて行くのも気が引けると思い3人で国王陛下の元へ向かう事にした、扉の前に来ると兵士が中へお伺いをする、すると入れと声が掛かる。
「急にすまんな、ちと問題が有ったから呼んだのだが。」
「何がありましたの?」
「教会の者がまた来てな、大司教を出して来おった、まったく面倒な事をしてくる。」
「突っぱねたら良いじゃないですか、王族に喧嘩を売るようでしたら私が買いますわよ?」
「それをすると教国がまた面倒な事を言い出すだろうが。」
「そうね、それで?いつ会わせろと?」
「先触れが来た、明日にでもと言っておる。」
「分かりました、私が対応します、優しくお帰り頂きますわよ?」
「はぁ、相談しておいてなんだが穏便に頼むぞ、儂が出ると喧嘩になるのが目に見えとるから人の事は言えんがな。」
「だからですわ、教国の威を借りる者など知れてます、私が話を付けておきましょう。」
国王陛下とマルグリットは物騒な話をしながら笑っているのか怒っているのか怖い顔をしていた。
「お父様、お母様、もしかしてそれって私の件ですか?」
「ええそうよ、変に尾鰭が付いてチハルが聖女だから会わせろって煩いのよ。」
「それって単純に私が聖女じゃないって分かれば良いんですよね?」
「えぇ、でもチハルは今そう言われてるのよ。」
「ケガを治しただけで?」
「それだけなら良かったのだけど、今孤児院を数件建ててるでしょう?」
「はい、パンの権利で得るお金で建てて貰う話の事ですよね。」
「そう、それもチハルが出資と言う事を隠してなかったのよ。」
「あーーーー、聖女の行い的な事になってるんですか?」
「そ、それに食事の改善。」
「えー!それもですか?!」
「そ、パンのレシピを出したでしょう?あれもチハルが作ったって商業ギルドでレシピを買えばわかっちゃうのよ、そして今王国であのパンが出回るようになって皆喜んでるわ、そこまでは良かったのだけれど、それぞれの噂が重なるとどうなると思う?」
千春は眉間に皺を寄せ天井を見上げる。
「聖女がやりそうな事してますねぇ。」
「他にも揚げ物とかの料理も出回りだしたわ、しかも特権無しのレシピが、美味しいから尚更噂を呼ぶのよね。」
「仕方ないですねぇ、所で会ってどうするつもりなんですか?教会の人たちは。」
「教会に取り込もうと色々手を打ってくるでしょうね。」
「仮にも王族を?」
「仮も何もしっかりあなたは王族よ、手続きがまだ終わってないけどね。」
「だから教会は急いで会おうとしてる・・・と?」
「良く分かるわね、絶対にチハルは渡さないから安心していいわよ。」
「いえ、直接私が断るので大丈夫です、そもそも私王宮から出たら家に帰れませんもん。」
「そうだったわね、最近ずっと一緒にいるから忘れそうだわ。」
マルグリットもやっと笑顔で千春を見つめた。
「それじゃぁ私が明日会います、お母様は隣で圧を掛けてて下さい、あと第一騎士団のエーデルさんを付けて貰えますか?フル装備で帯剣してもらってください。」
「おいおいチハルお前も喧嘩を売るつもりか?」
物騒な事を言い出した千春に焦る国王陛下は声を荒げた。
「そんなー、穏便に済ませますよー?ほら、王妃殿下と王女が対面するわけでしょう?安全第一ですよ、それにお母様とエーデルさんが横に居てくれると私も気合入るので。」
ニッコリと笑いながら国王陛下に進言する。
「そ、そうか、チハルもメグに似ておるな、もうすこーし穏やかな娘だと思っておったが。」
「あら?お父様私は穏やかですよぉ?」
ニヤリと笑い国王陛下を見る。
「分った、チハルの言う事も分かる、向こうに帰れないと言うのはチハルにとって大問題だからな、それでは明日の日程を返すとしよう、都合が良い時間はあるか?」
「はい、昼食20分前くらいでお願いします。」
「なぜ20分前なのだ?」
「簡単な話ですよ、最長20分で終わらせる為です、明日のお昼は食堂のご飯豪華にしておきますからエーデルさん食べ損ねたら機嫌悪くなるでしょうねぇ、それにそれ以上話をするとお母様がキレるかもしれませんからね。」
「そ、そうか、わかった、チハルよ。」
「はい。」
「穏便に頼むぞ!」
「はーい。」
満面の笑みで国王陛下に千春は返事をする。
「それではそろそろ昼食に向かいましょうか?」
マルグリットは何もなかったように食卓に向かう。
「お父様も行きましょう、今日は私が美味しいデザートを作ってきましたので。」
「うむ、そうだな、それでは行こうか。」
国王陛下はもう考えてもしょうがないと笑いながら相槌を打って立ち上がる。
「・・・一緒に居ると性格も似て来るのかのぉ。」
そう言って付いてきたユラを見る、きょとんとした顔で国王陛下を見ていたが目が合うとニパッと笑顔を見せる。
「おとうさまきょうはケーキがでるんです!おいしいです!」
「そうか、それは楽しみだな、ユラはお淑やかに育てよ。」
そう国王陛下が言った途端背筋が凍る、ふと前を見ると笑顔のマルグリットと千春が見ていた、とても冷やかな笑みで。
「さぁ!食卓へ向かおうか!」
そういってヒョイっとユラを腕に座らせ持ち上げ歩き出した、2人と視線を合わせないようにスタスタと。
応援ありがとうございます!
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