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デコレーション苺ケーキ!
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「んー!」
千春は目を覚まし伸びをする、横を見るとスヤスヤと寝ているユラがいる、その横にはユラを見ているマルグリット王妃が居た。
「おはようチハル。」
「おはようございますお母様。」
「2人の寝顔は可愛いわねぇ、いつまででも見ていられるわ。」
「恥ずかしいからやめてください。」
千春は布団に潜り込んだ。
「んぁぅー。」
ユラも起きた、そしてキョロキョロと見回し千春とマルグリットが居るのを確認するとニパッと笑う
「おはようございますおかあさま、ちはるおねえちゃん。」
「「んーーー!」」
マルグリットと千春はユラに抱き付く。
「チハル今日は向こうお休みなのよね?」
「はい、土曜日なのでお休みです、ただちょっとお買い物と洗濯物をするので一度戻りますけどね。」
「あら、そうなの?用事はすぐ終わりそう?」
「はい、今から行って終わらせてきますので昼前にはもどりますよ。」
「そう、ユラ、それまで私と一緒に居ましょうか。」
「はい!おかあさま。」
もう2人は本当の親子の様に仲が良い、ユラは毎日王妃とお風呂に入り一緒に寝ていた、チハルもお風呂はこっちで一緒に入る事も多い。
「それじゃユラちゃんまた後でね。」
「いってらっしゃい!」
「気を付けてね。」
「はーい。」
千春はそう言ってベッドから出て直ぐに向こうの服に着替える、そしてドアを開く。
「おはようございます王女殿下。」
お辞儀をしドアの前に居たのは千春の付き人サフィーナとモリアンだ。
「はやっ!待機してたの?!」
「えぇ、私達の仕事はチハル王女殿下のお世話ですから。」
王城内なので王族対応中のサフィーナと黙って首を垂れるモリアン。
「おとなしいモリアンとかモリアンじゃないよね。」
そう言いながら3人は廊下を歩く。
「そんな事は有りませんよー (ぼそっ)」
「こう見えてモリアンは弁えてますからね。」
「そうなんだよねぇ、器用に生きてるなーって思うわー。」
「そこは褒めてくださいよ。」
「褒めてるよ?大絶賛だよ?」
ケラケラと笑いながら千春はモリアンに答えていた。
「さて、それじゃ私は用事終わらせて来るよ、昼前くらいに戻るから好きにしててね。」
「はい、分かりましたお気をつけて。」
2人は扉の前にいる千春に丁寧にお辞儀をする、そして千春は扉を抜け日本に戻る。
「さっむ!!!!!!!!!!!」
そう、すでに日本は12月半ばも越え来週はクリスマスだった。
「ちょっとまって、外雪ふってんじゃん!」
日本と真逆の異世界ジブラロール王国はもう真夏だった、しかし湿度も低く魔法の効果もあり少し暑いかな?程度の快適な気温で王城は保たれていた。
「・・・もう冬休み向こうに住むか、あ、お父さん帰ってくるのかな?」
そしてふと思う、父はあのクローゼットを開けるのではないかと。
「・・・ヤバくない?どうしよう、あれ見たら倒れるかな、クローゼット1人で動かせないし動かしたらどうなるんだろう。」
漠然とした不安が千春を襲う。
「ちょっとまって、え?どうしたら良いのかな?お正月流石にお父さんかえってくるよね!?」
閉めたクローゼットの前でウロウロと歩き回る千春はクローゼットを横から押してみる。
「んぬぅぅぅぅ。」
ズッ・・・ズルッ
「動いた!」
そしてクローゼットを開ける。
「どうしました?忘れものですか?」
サフィーナが開いた扉を見ながら千春に問いかける。
「いや、ちょっと扉動かしたらどうなるのかなと試してた。」
「ええっ!そんなあぶない事してたんですか!?」
「危ないの?」
「扉消えたらもう会えなくなるじゃないですか!」
サフィーナがパニックになっている、珍しいなと思いながら千春は逆に冷静になっていた。
「大丈夫っぽいからちょっと元に戻すね、扉開けとくから見てて。」
そう言って逆側から押して元に戻す。
「んぁぁぁぁ。」
ズズッ・・・
「はぁはぁどう?」
ぴょこっと横から顔を出してサフィーナに聞く。
「はい、扉の向こうが動いてました。」
「そう言う事ね、って事はクローゼットを動かしても扉は維持されると言う事か、それじゃクローゼットを自分の部屋に置いて開かない様にしておけばお父さんにバレないと。」
「そう言う・・・事になるんですか?」
「多分ね!」
サフィーナと千春が話していると横からモリアンが改心の一撃をかます。
「でも運べるんですか?」
「「・・・・・」」
少しずらしただけで息切れしている千春を見てサフィーナも無理だろうなと思った。
「くっ、そっちから人を呼べれば解決するのに!」
「それは出来ないですからしょうがないでしょう、チハルの御父上が扉を開かないよう祈るしかありませんね。」
「んー、取りあえず用事は済ませて後で考えるかぁ。」
そして千春は取りあえず扉の事は置いといて用事を済ませる為にせかせかと動いた。
「用事おわったよー」
買い物や洗濯を終わらせ部屋干しして戻って来た。
「いっぱい買ってきましたね。」
サフィーナは呆れた声で千春の持ってきた袋を見つめる。
「それはお菓子ですか?」
「そだよー、この前のストック全部無くなったからね、買い溜めしてきたんだよ。」
テーブルの上に置いたお菓子を買い物袋から出しアイテムボックスに放り込む。
「あちらの用事は終わりですか?」
「うん・・・問題無いよー。」
千春はスマホを触り通知が無いかチェックしていた。
「お昼までは時間が有りますね、どうされます?」
「そだねーお昼ちょっと凝った料理でも作りますかー。」
「料理ですか!やったー!!!!痛っぁぁぁあ!」
「モリアン落ち着きなさい、料理って聞くとすぐ叫ぶ。」
サフィーナが後ろから脳天チョップを入れる。
「それじゃぁちょっと道具取ってくるから待っててー。」
そう言うとそそくさと扉を抜け箱を取り出し開けていた、サフィーナとモリアンも見える所でやっていたのでそれを不思議そうに見ていた。
「おっけー!行こうか。」
持ってきた道具をアイテムボックスに入れ厨房へ向かう3人、そして厨房につくなりいつもの言葉を言う。
「ルノアーさんきったよー!」
「いらっしゃいチハルさん、今日は早いな、何か作るのかい?」
「ぴんぽーん!ちょっと凝ったの作るから場所借りていい?」
「あぁいつもの場所使ってくれ。」
ルノアーはそう言っていつもの左側の空いている場所を指さす、最近千春が何か作る時の定位置になっていた。
「チハル何をつくるんです?」
サフィーナは材料を揃える手伝いの為必要な物を聞く。
「ふっふっふ、今週末クリスマスぱーちーをするのでちょっと凝ったクリスマスケーキを作りたいと思いまーす!」
「ケーキですか!?」
即座に反応するモリアン。
「そだよー、と言う訳で今日はスポンジケーキと生クリームを作ります、今日作ってアイテムボックスにいれてたら来週そのまま持っていけるからね。」
そう言って卵、グラニュー糖、薄力粉、バター、牛乳を準備する、グラニュー糖だけは持参だ。
「まずは卵を黄身と白身で分けまーす。」
ぱかぱかと分けていく。
「今日食べる分と、あっちで使う分と、王族に出す分と・・・」
「チハルさん、手伝うからもっと作ろう。」
そう言ってくるのはルノアーだ、また手伝ってくれるらしい。
「そう?それじゃまずは小麦粉を振ってもらえるかな?」
そう言って量を説明する、そして黄身と白身を分けた白身の方を持ちテーブルに置く。
「はいモリアンこれ持って。」
「はい。」
すっと出された泡立て器を思わず掴むモリアン。
「・・・・うぁぁぁぁ!またこれですかああ!!!」
「はい、この卵白を角が立つまで泡立ててね。」
「どれくらいです?」
「良いって言うまで。」
「・・・・はい。」
そう言ってガシャガシャと回し出す。
「サフィーちょっと生クリーム欲しいからこの前言ってた水魔法使ってくれる?」
「はい、いいですよ。」
出された牛乳に魔法を掛けていくと牛乳にトロミが付いてきた。
「すごいな、どういう原理なんだろう、魔法に原理も何も無いか。」
そう言いながら千春はアイテムボックスを開いてあるものを出す。
「チハルなんです?それ。」
見た事のない物を見てサフィーナが不思議そうに聞いてくる。
「ふっふっふ、Mamazonで特売割引とクーポン使って1980円!コードレスハンドミキサー!」
ハンドミキサーを掲げながらドヤ顔で言う。
「どうするんです?」
「こうするの。」
ボールに氷と水を入れその上から生クリームが入ったボールを浸す、そしてグラニュー糖を加えスイッチを入れる。
ヴィィィィィィィン!
「きゃぁ!」
音にビックリしたサフィーナが可愛い声を上げる。
「大丈夫だよ~ん。」
千春はそのまま生クリームを泡立てる、そして音でビックリしたモリアンは声を上げる。
「なんですかそれえぇぇぇ!!!」
「モリアン君、頑張って混ぜてなさい。」
「それ使ったらこっちもすぐ終わるんじゃないですか!?」
「1個しかないもん、取りあえずやってて、こっち終わったら手伝うから。」
「うぅぅぅはぁぁい。」
モリアンも作業に戻りガシャガシャと泡立て器を動かす、そして少しの時間で千春の作業が終わる。
「おっけ、いい感じで角立ったね、モリアンそっちはどう?」
「・・・・サフィーナ代わって。」
「モリアンこっち終わったからこれ使っていいよ。」
そう言ってハンドミキサーを渡す。
「これ音凄かったですけど大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、私使ってるの見てたでしょ?ただ回してる時に上にあげると大惨事になるから気を付けてね。」
「そんな事しません、お借りします。」
そしてスイッチの入れ方を聞いてぽちっと動かす。
ヴィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
「うわぁ凄い!」
一気に掻き回される卵白をモリアンは見つめる。
「ちょっと前後ろと動かすといい感じに泡たつよ。」
「はーい。」
そしてものの数分でメレンゲが出来た。
「チハルさんさっきの私の作業いらなかったですよね?」
「いや、凄く大事だったよ、もうあれがないとこんなに綺麗なメレンゲは出来なかったね!」
「うーそーでーすー!」
「あはははwそれじゃこのメレンゲつかってスポンジケーキつくるよー。」
そして材料を混ぜ合わせスポンジケーキの形に入れる、型は平鍋で作る事にした。
「それじゃ焼いてる間に果物切って行こうか。」
日本で買って来た苺をスライスしバットに並べていく。
「チハル生クリームはどうするの?」
「あ、冷蔵庫に入れておいて。」
「分かりました、入れておきますね。」
サフィーナが冷蔵庫に持って行く。
「よし、あとはスポンジ焼けたら続きしよう。」
「チハルさん、俺達もそれ作って良いか?」
「良いけどハンドミキサーのバッテリーもう切れそうだよ?」
「大丈夫だ!人力で行ける!」
そう言って後ろに3人力こぶを出しながらポーズを決める料理人が居た。
「お、おう、がんばっておくれ、グラニュー糖・・・砂糖はこれ使って。」
1㎏で買って来たグラニュー糖を渡し後は自分達でやるそうだ、そして30分ほど経ちオーブンを見る。
「いいね、それじゃスポンジを出そうか。」
オーブンから出したスポンジケーキを台の上に持って行く。
「そして~この鍋をひっくり返して~。」
ゴトン!
「はい出来たー、いい感じに焼けたねー。」
「出来上がりですか?」
「いや、コレを冷やしたらスポンジケーキの出来上がり。」
「それじゃ冷やしましょうか。」
「え?あぁ冷蔵庫に持って行くのね。」
「いえ?魔法で。」
「マジか!魔法有能だな!」
「それじゃぁかけますね。」
そう言ってサフィーナは軽い感じで詠唱をしひんやりとした空気が流れる。
「はい、どうですか?」
そっと千春が触るといい感じに冷えていた。
「サフィー、好き、結婚して。」
「何故そうなるんですか?」
「もうサフィーが有能過ぎて・・・・」
千春はボケながらも糸を取り出しスポンジケーキを切り分ける。
「これが乗るくらいの平皿あるかな?」
「はーい!もってきまーす!」
モリアンがそそくさと食器が有る棚へ走って行く、そしてすぐに帰って来た。
「はい、どうですか?」
「いいね、それじゃコレを1枚置く、そしてさっきのホイップクリームを塗って行きます。」
ヘラを使って器用にクリームを塗り、苺を挟み、またスポンジを置く、そして塗るを繰り返す。
「はい、最後に上にイチゴを並べてクリームでデコレーション!」
「うわー綺麗です!」
「おいしそう、前食べたケーキと同じようになりましたね。」
「でしょー、あとは切り分けて食べるだけだよ。」
「あと何個作るんでしたっけ?」
「3つだけど今日つくらなくてもー・・・」
ふと横を見ると既に料理人達が次のスポンジケーキを焼き終わり始終見ていたルノアーに指示され切り分けられていた、ホイップクリームも出来上がり準備万端だ。
「サフィー生クリーム作ってあげたの?」
「いえ?前も言いましたけどあの魔法、結構簡単なので水魔法使える料理人が居たらすぐ作れますよ。」
「すごいな料理人。」
材料の配分を教えて横で見てただけなのにこの完成度は凄いなと3人は料理人を見ていた。
「それじゃコレ今から食べるんですか?」
「いや?コレは王族の食事に出そうかなと、その後作った分を食べる分と私が持って帰る分と思ったけど、なんか作ってくれてるっぽいし出来るまで待とうか。」
「食べれるなら大丈夫です!待ちましょう!」
「それではゆっくり待ちますか。」
3人はお茶しつつ、いつものテーブルで料理人達を見ながらくつろぐ。
「魔法もそうだけど有能な人多いなぁ流石王宮エリートだらけだ。」
ぼそりと呟きつつ、何故この子はココにいるんだと言う目でモリアンを見る千春だった。
千春は目を覚まし伸びをする、横を見るとスヤスヤと寝ているユラがいる、その横にはユラを見ているマルグリット王妃が居た。
「おはようチハル。」
「おはようございますお母様。」
「2人の寝顔は可愛いわねぇ、いつまででも見ていられるわ。」
「恥ずかしいからやめてください。」
千春は布団に潜り込んだ。
「んぁぅー。」
ユラも起きた、そしてキョロキョロと見回し千春とマルグリットが居るのを確認するとニパッと笑う
「おはようございますおかあさま、ちはるおねえちゃん。」
「「んーーー!」」
マルグリットと千春はユラに抱き付く。
「チハル今日は向こうお休みなのよね?」
「はい、土曜日なのでお休みです、ただちょっとお買い物と洗濯物をするので一度戻りますけどね。」
「あら、そうなの?用事はすぐ終わりそう?」
「はい、今から行って終わらせてきますので昼前にはもどりますよ。」
「そう、ユラ、それまで私と一緒に居ましょうか。」
「はい!おかあさま。」
もう2人は本当の親子の様に仲が良い、ユラは毎日王妃とお風呂に入り一緒に寝ていた、チハルもお風呂はこっちで一緒に入る事も多い。
「それじゃユラちゃんまた後でね。」
「いってらっしゃい!」
「気を付けてね。」
「はーい。」
千春はそう言ってベッドから出て直ぐに向こうの服に着替える、そしてドアを開く。
「おはようございます王女殿下。」
お辞儀をしドアの前に居たのは千春の付き人サフィーナとモリアンだ。
「はやっ!待機してたの?!」
「えぇ、私達の仕事はチハル王女殿下のお世話ですから。」
王城内なので王族対応中のサフィーナと黙って首を垂れるモリアン。
「おとなしいモリアンとかモリアンじゃないよね。」
そう言いながら3人は廊下を歩く。
「そんな事は有りませんよー (ぼそっ)」
「こう見えてモリアンは弁えてますからね。」
「そうなんだよねぇ、器用に生きてるなーって思うわー。」
「そこは褒めてくださいよ。」
「褒めてるよ?大絶賛だよ?」
ケラケラと笑いながら千春はモリアンに答えていた。
「さて、それじゃ私は用事終わらせて来るよ、昼前くらいに戻るから好きにしててね。」
「はい、分かりましたお気をつけて。」
2人は扉の前にいる千春に丁寧にお辞儀をする、そして千春は扉を抜け日本に戻る。
「さっむ!!!!!!!!!!!」
そう、すでに日本は12月半ばも越え来週はクリスマスだった。
「ちょっとまって、外雪ふってんじゃん!」
日本と真逆の異世界ジブラロール王国はもう真夏だった、しかし湿度も低く魔法の効果もあり少し暑いかな?程度の快適な気温で王城は保たれていた。
「・・・もう冬休み向こうに住むか、あ、お父さん帰ってくるのかな?」
そしてふと思う、父はあのクローゼットを開けるのではないかと。
「・・・ヤバくない?どうしよう、あれ見たら倒れるかな、クローゼット1人で動かせないし動かしたらどうなるんだろう。」
漠然とした不安が千春を襲う。
「ちょっとまって、え?どうしたら良いのかな?お正月流石にお父さんかえってくるよね!?」
閉めたクローゼットの前でウロウロと歩き回る千春はクローゼットを横から押してみる。
「んぬぅぅぅぅ。」
ズッ・・・ズルッ
「動いた!」
そしてクローゼットを開ける。
「どうしました?忘れものですか?」
サフィーナが開いた扉を見ながら千春に問いかける。
「いや、ちょっと扉動かしたらどうなるのかなと試してた。」
「ええっ!そんなあぶない事してたんですか!?」
「危ないの?」
「扉消えたらもう会えなくなるじゃないですか!」
サフィーナがパニックになっている、珍しいなと思いながら千春は逆に冷静になっていた。
「大丈夫っぽいからちょっと元に戻すね、扉開けとくから見てて。」
そう言って逆側から押して元に戻す。
「んぁぁぁぁ。」
ズズッ・・・
「はぁはぁどう?」
ぴょこっと横から顔を出してサフィーナに聞く。
「はい、扉の向こうが動いてました。」
「そう言う事ね、って事はクローゼットを動かしても扉は維持されると言う事か、それじゃクローゼットを自分の部屋に置いて開かない様にしておけばお父さんにバレないと。」
「そう言う・・・事になるんですか?」
「多分ね!」
サフィーナと千春が話していると横からモリアンが改心の一撃をかます。
「でも運べるんですか?」
「「・・・・・」」
少しずらしただけで息切れしている千春を見てサフィーナも無理だろうなと思った。
「くっ、そっちから人を呼べれば解決するのに!」
「それは出来ないですからしょうがないでしょう、チハルの御父上が扉を開かないよう祈るしかありませんね。」
「んー、取りあえず用事は済ませて後で考えるかぁ。」
そして千春は取りあえず扉の事は置いといて用事を済ませる為にせかせかと動いた。
「用事おわったよー」
買い物や洗濯を終わらせ部屋干しして戻って来た。
「いっぱい買ってきましたね。」
サフィーナは呆れた声で千春の持ってきた袋を見つめる。
「それはお菓子ですか?」
「そだよー、この前のストック全部無くなったからね、買い溜めしてきたんだよ。」
テーブルの上に置いたお菓子を買い物袋から出しアイテムボックスに放り込む。
「あちらの用事は終わりですか?」
「うん・・・問題無いよー。」
千春はスマホを触り通知が無いかチェックしていた。
「お昼までは時間が有りますね、どうされます?」
「そだねーお昼ちょっと凝った料理でも作りますかー。」
「料理ですか!やったー!!!!痛っぁぁぁあ!」
「モリアン落ち着きなさい、料理って聞くとすぐ叫ぶ。」
サフィーナが後ろから脳天チョップを入れる。
「それじゃぁちょっと道具取ってくるから待っててー。」
そう言うとそそくさと扉を抜け箱を取り出し開けていた、サフィーナとモリアンも見える所でやっていたのでそれを不思議そうに見ていた。
「おっけー!行こうか。」
持ってきた道具をアイテムボックスに入れ厨房へ向かう3人、そして厨房につくなりいつもの言葉を言う。
「ルノアーさんきったよー!」
「いらっしゃいチハルさん、今日は早いな、何か作るのかい?」
「ぴんぽーん!ちょっと凝ったの作るから場所借りていい?」
「あぁいつもの場所使ってくれ。」
ルノアーはそう言っていつもの左側の空いている場所を指さす、最近千春が何か作る時の定位置になっていた。
「チハル何をつくるんです?」
サフィーナは材料を揃える手伝いの為必要な物を聞く。
「ふっふっふ、今週末クリスマスぱーちーをするのでちょっと凝ったクリスマスケーキを作りたいと思いまーす!」
「ケーキですか!?」
即座に反応するモリアン。
「そだよー、と言う訳で今日はスポンジケーキと生クリームを作ります、今日作ってアイテムボックスにいれてたら来週そのまま持っていけるからね。」
そう言って卵、グラニュー糖、薄力粉、バター、牛乳を準備する、グラニュー糖だけは持参だ。
「まずは卵を黄身と白身で分けまーす。」
ぱかぱかと分けていく。
「今日食べる分と、あっちで使う分と、王族に出す分と・・・」
「チハルさん、手伝うからもっと作ろう。」
そう言ってくるのはルノアーだ、また手伝ってくれるらしい。
「そう?それじゃまずは小麦粉を振ってもらえるかな?」
そう言って量を説明する、そして黄身と白身を分けた白身の方を持ちテーブルに置く。
「はいモリアンこれ持って。」
「はい。」
すっと出された泡立て器を思わず掴むモリアン。
「・・・・うぁぁぁぁ!またこれですかああ!!!」
「はい、この卵白を角が立つまで泡立ててね。」
「どれくらいです?」
「良いって言うまで。」
「・・・・はい。」
そう言ってガシャガシャと回し出す。
「サフィーちょっと生クリーム欲しいからこの前言ってた水魔法使ってくれる?」
「はい、いいですよ。」
出された牛乳に魔法を掛けていくと牛乳にトロミが付いてきた。
「すごいな、どういう原理なんだろう、魔法に原理も何も無いか。」
そう言いながら千春はアイテムボックスを開いてあるものを出す。
「チハルなんです?それ。」
見た事のない物を見てサフィーナが不思議そうに聞いてくる。
「ふっふっふ、Mamazonで特売割引とクーポン使って1980円!コードレスハンドミキサー!」
ハンドミキサーを掲げながらドヤ顔で言う。
「どうするんです?」
「こうするの。」
ボールに氷と水を入れその上から生クリームが入ったボールを浸す、そしてグラニュー糖を加えスイッチを入れる。
ヴィィィィィィィン!
「きゃぁ!」
音にビックリしたサフィーナが可愛い声を上げる。
「大丈夫だよ~ん。」
千春はそのまま生クリームを泡立てる、そして音でビックリしたモリアンは声を上げる。
「なんですかそれえぇぇぇ!!!」
「モリアン君、頑張って混ぜてなさい。」
「それ使ったらこっちもすぐ終わるんじゃないですか!?」
「1個しかないもん、取りあえずやってて、こっち終わったら手伝うから。」
「うぅぅぅはぁぁい。」
モリアンも作業に戻りガシャガシャと泡立て器を動かす、そして少しの時間で千春の作業が終わる。
「おっけ、いい感じで角立ったね、モリアンそっちはどう?」
「・・・・サフィーナ代わって。」
「モリアンこっち終わったからこれ使っていいよ。」
そう言ってハンドミキサーを渡す。
「これ音凄かったですけど大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、私使ってるの見てたでしょ?ただ回してる時に上にあげると大惨事になるから気を付けてね。」
「そんな事しません、お借りします。」
そしてスイッチの入れ方を聞いてぽちっと動かす。
ヴィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
「うわぁ凄い!」
一気に掻き回される卵白をモリアンは見つめる。
「ちょっと前後ろと動かすといい感じに泡たつよ。」
「はーい。」
そしてものの数分でメレンゲが出来た。
「チハルさんさっきの私の作業いらなかったですよね?」
「いや、凄く大事だったよ、もうあれがないとこんなに綺麗なメレンゲは出来なかったね!」
「うーそーでーすー!」
「あはははwそれじゃこのメレンゲつかってスポンジケーキつくるよー。」
そして材料を混ぜ合わせスポンジケーキの形に入れる、型は平鍋で作る事にした。
「それじゃ焼いてる間に果物切って行こうか。」
日本で買って来た苺をスライスしバットに並べていく。
「チハル生クリームはどうするの?」
「あ、冷蔵庫に入れておいて。」
「分かりました、入れておきますね。」
サフィーナが冷蔵庫に持って行く。
「よし、あとはスポンジ焼けたら続きしよう。」
「チハルさん、俺達もそれ作って良いか?」
「良いけどハンドミキサーのバッテリーもう切れそうだよ?」
「大丈夫だ!人力で行ける!」
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1㎏で買って来たグラニュー糖を渡し後は自分達でやるそうだ、そして30分ほど経ちオーブンを見る。
「いいね、それじゃスポンジを出そうか。」
オーブンから出したスポンジケーキを台の上に持って行く。
「そして~この鍋をひっくり返して~。」
ゴトン!
「はい出来たー、いい感じに焼けたねー。」
「出来上がりですか?」
「いや、コレを冷やしたらスポンジケーキの出来上がり。」
「それじゃ冷やしましょうか。」
「え?あぁ冷蔵庫に持って行くのね。」
「いえ?魔法で。」
「マジか!魔法有能だな!」
「それじゃぁかけますね。」
そう言ってサフィーナは軽い感じで詠唱をしひんやりとした空気が流れる。
「はい、どうですか?」
そっと千春が触るといい感じに冷えていた。
「サフィー、好き、結婚して。」
「何故そうなるんですか?」
「もうサフィーが有能過ぎて・・・・」
千春はボケながらも糸を取り出しスポンジケーキを切り分ける。
「これが乗るくらいの平皿あるかな?」
「はーい!もってきまーす!」
モリアンがそそくさと食器が有る棚へ走って行く、そしてすぐに帰って来た。
「はい、どうですか?」
「いいね、それじゃコレを1枚置く、そしてさっきのホイップクリームを塗って行きます。」
ヘラを使って器用にクリームを塗り、苺を挟み、またスポンジを置く、そして塗るを繰り返す。
「はい、最後に上にイチゴを並べてクリームでデコレーション!」
「うわー綺麗です!」
「おいしそう、前食べたケーキと同じようになりましたね。」
「でしょー、あとは切り分けて食べるだけだよ。」
「あと何個作るんでしたっけ?」
「3つだけど今日つくらなくてもー・・・」
ふと横を見ると既に料理人達が次のスポンジケーキを焼き終わり始終見ていたルノアーに指示され切り分けられていた、ホイップクリームも出来上がり準備万端だ。
「サフィー生クリーム作ってあげたの?」
「いえ?前も言いましたけどあの魔法、結構簡単なので水魔法使える料理人が居たらすぐ作れますよ。」
「すごいな料理人。」
材料の配分を教えて横で見てただけなのにこの完成度は凄いなと3人は料理人を見ていた。
「それじゃコレ今から食べるんですか?」
「いや?コレは王族の食事に出そうかなと、その後作った分を食べる分と私が持って帰る分と思ったけど、なんか作ってくれてるっぽいし出来るまで待とうか。」
「食べれるなら大丈夫です!待ちましょう!」
「それではゆっくり待ちますか。」
3人はお茶しつつ、いつものテーブルで料理人達を見ながらくつろぐ。
「魔法もそうだけど有能な人多いなぁ流石王宮エリートだらけだ。」
ぼそりと呟きつつ、何故この子はココにいるんだと言う目でモリアンを見る千春だった。
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※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
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頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。
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ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。
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「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
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だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
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※7万字程度の中編です。
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