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娯楽がない!

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「ただいまー。」
「おかえりなさいませ、ちはるおねえさま。」
「!?」
「あら、ユラ様お上手ですね。」
「どうしたの!?ユラちゃん?」
 部屋に戻るとユラが丁寧に千春を迎えた。

「モリアンさんにおしえてもらいました。」
 ニコニコしながらユラは答える。

「うん、えらいねぇ、でも今はいつものユラちゃんがいい!」
 千春はそう言うとユラを抱きしめる。

「何があったんです?」
「モリアンには解らないような難しい話を沢山してきたので心の洗濯ですよ。」
「なんで私だと解らないんですかぁ!」
「特許技術の販売でライセンス収入が何%あったら幾ら利益が出てとかそう言う話。」
「ごめんなさい。」
 サフィーナは軽く溜息を吐きお茶の準備を始める。

「チハルおねえちゃん?」
「なーにーかーなー(くんくん)」
「チハルさん、すごい怪しい人みたいになってますよ?」
「モリーうるさーい、ユラ成分を補充中なのだーーーー。」
 千春はそう言ってユラに抱き着いたままモリアンに文句を言う

「ぷはぁ!生き返った!」
「チハルさん死んでたんですか?」
「幼女からしか得られない養分があるのだ。」
「意味わかんないです。」
「ユラちゃんモリアンに抱き着いてみて。」
 千春がそう言うとユラはテコテコと歩いてモリアンに抱き着く。

「ぎゅー!!!」
「!!!!」
「・・・・ね?」
「生き返ります。」
「二人とも何やってるんですか、お茶がはいりましたよ。」
 サフィーナは呆れ顔で2人を見つつお茶を勧める。

「それで、コレからどうします?」
「そうだね、急な用事は終わったけど暇なのは変わんないんだよね。」
「チハルさんさっき言ってたトランプってのは?」
「あ、ちょっと待ってて。」
 千春は扉を通り自室の引き出しからトランプを取り出す、そして丁度目に入ったリバーシも持って行く。

「ただいまー。」
「「「おかえりなさい。」」」
「はい、コレがトランプっていうカードゲームね。」
「こっちの大きいのはなんです?」
 モリアンはリバーシの方が気になるようだ。

「これはボードゲーム、文字とか関係ないからすぐ覚えれるし出来るかなって持ってきた。」
「へー、どうやって遊ぶんです?」
 千春は箱に入れたままにしていたリバーシを取り出し白黒の駒を窪みに並べる。

「この真ん中の4つ交互に白と黒で置く、黒の人が先で交代で駒を置いて違う色を挟んでひっくり返すとっ。」
 駒を適当に置いて白を黒にする。

「次の人が白で黒をこんな感じで挟んで、挟んだ色はひっくり返ると。」
「へぇ、簡単ですね。」
「そ、そんで自分の色が多い方が勝ちって言う単純なゲームだよ。」
「へー、チハルさん私とやってみましょう!」
「ほう?モリーが私に勝てるとでも思うのかね?」
「こんな簡単なゲームなら勝ち負けなんて運でしょう!」
「ほー!かかってきなさい!先手の黒はモリーに譲ってあげよう!」
 そして2人はリバーシを始める、ユラも椅子に座りジーっと見ている、サフィーナは興味なさげにしているが2人の駒をじっと見ていた。

「・・・・・真っ白。」
「まぁ初心者相手に大人げなかったわ、初心者同士でやってみたら?」
「わかりました!」
 モリアンはチラッとサフィーナを見る、何故かフッと笑われた気がした。

「ユラちゃん勝負!」
「うっわ大人げない。」
「しょうぶですー!」
「それじゃユラちゃん黒ねー。」
 千春に大人げないと言われてもサフィーナに負けそうな気がしたモリアンはユラに勝負を申し込む。

「・・・・・何でですか?置く所ないんですけど。」
「あ、そう言うときはパスって言ってそのままユラちゃんのターンね。」
「はい!ここ!。」

 パチ、パチ、パチ。

「ココです!一杯ひっくり返りますよ!」

 パチ、パチ、パチ、パチ、パチ

「ここー。」
「・・・・・・・」
 拮抗するかと思われた勝負の行方は。

「真っ黒ですー!!!!」
「モリー弱っ。」
「ちはるおねーちゃんかちました!(フンス!)」
「サフィーもやる?」
「そうですね、やり方は覚えましたのでお相手させて頂きますね。」
 サフィーナと千春が勝負する。

「サフィーは黒ねー。」
「はい、それでは・・・・」



「・・・・・・まっくろです。」
「・・・・・・真っ黒ですねー。」
「・・・・・・くっ、端っこ全部取るとかプロか。」
「面白いですね、コレ今から商業ギルドに持って行ったら大金持ちになれますよ。」
「チハルさんこれ下さい!」
「サフィーに勝てたらあげるよ。」
「無理に決まってるじゃないですかあぁぁぁ!くれる気ないでしょー!」
「儲ける気もないからねー、ココで遊ぶ分で十分だよ。」
 一回りした所でリバーシを横に退ける。

「こっちのカードの方はどうやって遊ぶんですか?」
「トランプねコレはカードを組み合わせて遊ぶやつで遊び方は沢山あるんだよ。」
 箱から出し数字面を見せ広げる。

「何か書いてますね。」
「あ!そうかこっちの数字は読めないからわかんないなー。」
「それじゃぁこのカードゲームの方をこちらの文字で作ってもらいましょう!商業ギルドに!」
「モリーは儲ける気まんまんだねぇ、でもこれくらいなら良いかなぁ、数字の勉強とか頭の体操、記憶力を鍛えたり出来るからなー。」
「はーい!私が特許ってやつを取ってきます!」
「バカ言わないの、そう言うのはチハルが持ってきたんだからチハルのでしょうに。」
「モリアンの家貧乏なん?」
「そんなわけ有りませんよ、爵位こそ子爵ですけどエルドール子爵家はそこらの伯爵家よりも持ってますよ。」
「んじゃなんで?」
「有っても損しませんもん、この先どうなるか分かりませんし。」
 ショボーンとしながら呟くモリアン。

「あ、それならユラで特許取ってたらこの先安心じゃん、まだ商業ギルドの人いるかな。」
「今じゃなくても大丈夫ですよ、それにこのカードを持って行ったら色々疑われるのでお手製のカードを作ってからでも遅くありませんよ。」
「さすがサフィー頭回るねーリバーシ強いだけあるわー、それじゃぁ数字関係ない遊び方でやろうか。」
 そう言ってやり方を教える、教えたのは神経衰弱だ。

「はーいテーブルに並べたトランプの★の数が同じカードねー、それじゃ時計・・右周りで順番だよ!」
「「「はーい。」」」
 そして始まった神経衰弱、結果は。

「はい、私が一番ですね。」
 サフィーナが26枚のカードを持っていた。

「私が2位かー。」
 千春は14枚だった。

「はーい、8まいでした。」
 ユラは3位でもニコニコしている

「4・・・これサフィーナの後って負け確定じゃないですか?」
 4枚のカードを見つめながら悲しげにモリアンは呟く。

「まぁ運も有るからしょうがない、こんな感じで記憶力の訓練しながら遊べるんだよ。」
「これは良いですね、人数もそんなに選ばないようですし何より面白いです。」
「うん、おもしろかったー。」
「面白いのは勝った人だけですよねー・・」
 そしてその後はババ抜きやリベンジで神経衰弱をやったりと4人で遊びつくした。

「チハル今日の夕食はどうするの?」
「あーそんな時間?遊んでると早いなぁ、ハンバーガーにカツサンド、お米食べたいな。」
「え、お米って家畜の餌の?」
「出たよ!家畜の餌っていうなー!私の所じゃ主食なの!」
「ユラの所もお米たべるよー?」
 意外な所でお米を食べる種族が居た。

「ユラちゃんとこは主食がお米?」
「うん、パンもたべるけどお米のほうがおおいよ?」
「そっか、それじゃご飯を炊いておかずだけ食堂で食べるかな。」
 そういってお米を炊きに扉を通って台所へ向かう。

「醤油あるしマヨネーズもあるから玉子焼き作るかな、あとは味噌汁?まだ味噌は見てないなぁ醤油あるなら味噌も有りそうだけどな。」
 米を洗いながらおかずの段取りを考える。

「ユラちゃーん何か食べたいのあるー?」
「にくー?」
「肉好きだねぇ。」
 ユラは扉からこっちに来れないのを不思議そうにしながら肉のリクエストをする、千春もそれを聞いて笑いながら答える。

「んー味噌と顆粒だし、乾燥ワカメ、あとは野菜貰って味噌汁つくろう、あーとーはーっと。」
 冷蔵庫を見ながら何が必要か選別しテーブルに置いていく、そして扉を通り置きなおす。

「・・・「鑑定」、サフィー、やっぱりMPキツイからサフィー持って行ってくれる?」
「はい分かりました。」
 サフィーナはテーブルにある材料や調味料をアイテムボックスへ入れる。

「よし!お米炊けるまでもう一回トランプ大会だ!」
「次は負けない!」
「はいフラグたちましたー。」
「何ですか!フラグって!」
「それ言うと負けるって事だよ。」
「負けません!」
「ユラもまけないもん!」
 モリアンもユラも負けないと気合を入れていた。

「(3人とも顔に出るんですもの、勝てる訳無いじゃないですか)・・・・クスクス」
 サフィーナはほぼ一人勝ちだった。

 



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