31 / 748
王女特権発動!
しおりを挟む
「あら、お腹いっぱいになって眠たくなったのかしら?」
ユラがこっくりこっくりと船をこぎ出した。
「サフィー隣の寝室ってもう使えるんだよね?」
「はい、もういつでも泊まれるようにセッティングしていますよ。」
「それじゃぁ今日はココに寝させてあげて、あと夜もしかしたら怖がるかもしれないから一緒に寝てあげたり出来る?」
「はい、モリアンと一緒に付いておりますので大丈夫ですよ。」
「そう言えばココってお風呂はどうしてるの?」
「浴室は侍女用の浴室がありますから何時でも入れます、湯浴みさせてから休ませた方が良いかと思いますけどどうしましょうか、もう寝ちゃいそうですね。」
千春もサフィーナもユラを見ながら考える。
「そう言うときは王女特権発動ですよ?メイドと執事に言えばココに浴槽を持ってくることも可能です!」
「そんな無茶な・・・」
「いえ、いい考えですね、浴槽さえあればお湯は私が沸かせます、子供が入る程度のお湯でしたらそう大変ではありませんし。」
「それじゃチハルさん、チハルさんが浴槽持って来てって私に言ってください。」
「・・・浴槽もってきて。」
「はい!了解しました!」
モリアンはそのまま直ぐに部屋をでて何処かへ走って行った。
「それでは私はタオル等の準備をしますね。」
「ちょっとまって、タオルは私が部屋から取ってくるよ、あと子供用の下着とか無いよね?」
「そうですね、支給品は制服くらいなので。」
「おっけー、ちょっと買ってくるからユラちゃん見ててもらっていい?」
「はい分かりました。」
千春はそう言うとすぐに扉を抜け近所の洋服屋さんシアムラへダッシュした。
「お待たせ!」
千春は下着とシャツ、服とパジャマを買って帰って来た、すでにサフィーナとモリアンがユラを浴槽に入れていた。
「はい、これ着替えとタオルね、どう?まだオネムかな?」
「半分以上寝てますね。」
「いえ、これは完全に寝てますよ。」
ユラはされるがままに洗われ軽く腰が浸かる程度の湯舟に支えられながら入っていた。
「よし、このまま拭いて着替えさせよう。」
3人にされるがままのユラを着替えさせベッドへ連れて行く。
「もう夕方かぁ。」
「そうですねそろそろ午後2鐘が鳴る頃です。」
「18時ね、夕食はどうする?」
「先ほどケーキを食べましたしお腹の方は大丈夫です、今日は夕食要らない気がしますね。」
「私も全然、食べ過ぎました。」
「うん、ごめん、私も買いすぎたなと思ってる。」
「それじゃぁ夕食終わる頃にメグ様の所行って私はあっちで寝るよ、どうせココに居てもエリーナさんに連れて行かれるだろうからね。」
「「そうですね。」」
サフィーナとモリアンも同意した。
「それじゃそれまでユラちゃんの寝顔でも見ながらノンビリしましょうか。」
「そうですね、あ、この部屋は寝室になってますが何か必要な物とか有れば揃えますよ。」
「んー、扉入ったらすぐ自分の寝室もあるからなぁ、しっかし広い寝室だなぁ。」
「そうですね、門の部屋と同じく研究室の一つだったと聞いていますから。」
「ここでお昼寝したら気持ちよさそうですよねー。」
「モリアンは入室禁止ね。」
「えぇぇ!」
「王女殿下の寝室で昼寝する侍女が何処に居るんですか。」
「・・・・ココに、痛ぁぁ!!!」
サフィーナのチョップがモリアンの脳天にヒットした、これといってやる事無く3人は門の部屋に戻り寝室のドアは開けたままユラの様子を見て過ごした。
コンコンコン
ノックされる。
「はーいどうぞー。」
「チハル様夕食の方は如何なされますか?」
マルグリット王妃の侍女がお伺いに来た。
「今日の夕食は済ませてますので大丈夫です、お母様が食べ終わる頃に行きますのでお伝えください。」
「了解致しました、そうお伝えしておきます。」
侍女はお辞儀をし部屋を出ていく。
「本当に王女殿下なんですよねー。」
「モリアンは何を今さらな事をいってんのよ。」
「モリアンの言ってる事はなんとなく私も感じています。」
「えー!サフィーまで!?」
「えぇ、こんなに気さくに侍女と対話する王族なんて見た事も聞いた事もありませんから。」
「だってつい最近と言うかあっちでは平民だもん、急に変れって言われても無理でしょ。」
「でもチハルさんの付き人で良かったー、他の王族の付き人してたら多分私もう首飛んでると思う、比喩ではなく。」
「大丈夫です、私が全力で止めます。」
「何を?」
「王族の付き人にするのをです。」
「だよねー。」
「ひどおおい!」
ケラケラと笑いながら3人はお茶を飲みつつ談話して時間を潰した。
「それじゃそろそろ行ってくるよ、モリアンはユラちゃんを見ててね。」
「了解でーす。」
「それではお送り致しますね。」
「よろしくー。」
モリアンを置いて2人は王妃殿下の自室に向かう。
「ただいま戻りました。」
マルグリットの部屋に付き千春はいつもの挨拶をしながら部屋に入る。
「お帰りなさいチハル、話は聞いたわ、この国の貴族が迷惑を掛けました、でも危ない事はしないでね、話を聞いてビックリしたわよ?」
「ごめんなさい。」
「でも有難う、これで子供たちを悲しませない様に出来るわ。」
「はい。」
「それで獣人の子を預かってるって聞いたけど、どう?目が見えないのは治せそう?」
「色々と調べたんですが明確に治療出来るイメージは湧かないんです、でもモリアンがヒントをくれまして明日それを試してみたいと思っています。」
「そう、それで今日はどうするの?その子の面倒を見にあちらで寝るのかしら?」
「いえ、今日はモリアンとサフィーが面倒を見てくれるので私はこちらで休みます、明日からまた向こうになりますから。」
「よかったわ、私もチハルと一緒に居たいもの、それじゃ湯浴みに行きましょうか。」
「はい。」
2人は微笑みながら浴室に向かう、話し方は二人とも他人行儀な所は有るが、どちらも一緒に居るのが当たり前になっていた、そして温泉で疲れを取り、マルグリットにしっかり寝て魔力を回復するようにと早く床に就いた。
「おはようございます。」
「おはようチハル、すぐに行く?」
「はい、魔力も回復しましたし、色々試してみたいので。」
「分ったわ、無理をしないようにね?」
マルグリットはそういうとすぐに支度を整えさせ侍女に部屋まで送らせた。
「おはようー。」
「おはようございます。」
「チハルさんおはようございます!」
千春の部屋に戻るとサフィーナとモリアンはユラの髪の毛を梳いていた。
「ユラちゃんよく寝れた?」
「はい、ありがとうございます。」
「いいえーどういたしまして、朝ごはんは?」
「まだですね、私もモリアンもココに泊まりましたので食堂には行ってませんから。」
「そうなんだ、2人ともありがとう、それじゃぁ早速なんだけど回復魔法使っても良いかな?」
「そうですね、昨日モリアンが言ったように抽象的なイメージで掛けてみるんですよね?」
「うん、・・・・「鑑定」、うん70/72だね。」
「チハルさん、いつも思うんですが魔力全回復しませんよね?」
「それはそうです、チハルは翻訳指輪を使ってるので微量ながらも魔力が減ってますから。」
「そうだった、違和感ないから忘れてたです。」
モリアンは翻訳指輪が魔力を吸う事を忘れていたが、千春も実は忘れていた。
「う、うん、そうなんだよ?覚えといてね?」
「・・・・チハルさんも忘れてましたよね?」
「そんなことあるわけないじゃないですか。」
「デスヨネー、ソウイウコトニシトキマスネー。」
「チッ、モリアンのくせに!」
「・・・・チハル、回復しないんですか?」
「しまーす。」
千春は気を取り直しユラの前に屈む、ユラは椅子に座りじっとしている。
「ユラちゃん、今から目が治りますようにーって魔法を掛けるからね?」
「はい、おねがいします。」
「それじゃいくよー。」
千春は両手を軽くユラのこめかみあたりを触る。
「・・・・ヒール」
ふわっと目の周りが光る。
「・・・・・・・うん、大丈夫だと思うどうかな?」
ユラはゆっくりと目を開ける。
「みえます、おねえちゃんがちはるおねえちゃんですか?」
「うん、そうだよ、初めまして・・になるのかな?」
ぽろぽろとユラの目から涙がこぼれる、横に居たサフィーナがハンカチで涙を拭いてあげる。
「・・・・「鑑定」・・・うわぁ!」
「チハルどうしたの?」
「残りMPが20。」
「ええ!」
珍しくサフィーナが声を上げる。
「いや、すっごいMP持ってかれる気がしたんだよ。」
「昨日無理して回復させなくて良かったわね、やってたらチハル数日起きれなかったわよ。」
「あぶなぁ・・・・でもなんで50も減ってんのかな、そんなに難しい回復だったって事?」
2人が不思議に思い考え込む。
「あれじゃないですか?その回復する魔力が多いんじゃなくていつもが少なすぎなんじゃないかと。」
「え?モリアンそれどういう事?」
「えっとですね、イガクチシキ?で効率良く回復するから普通よりも消費魔力は少ないけれどー、神官たちみたいに抽象的に回復させると消費魔力は多い、的な?」
「何故そう思うのかしら?」
理に適う事を言い出したモリアンにサフィーナが疑問に思う。
「それはですねー、前ケガした人に教会の人が回復してたんですけどチハルさんみたいに沢山回復出来なかったんですよ、チハルさん昨日少なくても7~8回は回復魔法使ってましたよね?」
そう、地下牢で男の子、さらに女の子3人の痣を何か所か分けて回復していた、ヒールを使った回数は8回使っていた。
「教会の人は魔力100超えても3~4回も使えば終わりらしいんです、だからそう考えると普段のヒールが効率良すぎなんですよ。」
「モリアンどうしたの?何か変な物食べた?」
「たまにこの子凄く頭回るんです、昔から。」
「何ですかぁ!変な物食べてないですし!たまにじゃないですもん!いつも回りますもん!」
辛辣すぎる2人の反応にオコなモリアンだった。
「まぁそれは多分正解として置いておきましょ、ユラちゃんこっちの清楚美人がサフィーナでこっちの残念な可愛い子がモリアンで私の付き人、侍女って分かるかな?」
「うん、わかる・・わかります。」
「普通にお話して大丈夫だよ、誰も怒らないからね。」
そういってニッコリと微笑む、後ろで「残念ってなんですかー!」と言ってる人が居るがスルーする。
「ちはるおねえちゃんはおうじょさまなの??」
「え?なんで?まぁ一応そうだけど。」
「きのうでんかって言われてたひとと、ふつうにおはなししてたし、ねむたくなってたときに、おうじょとっけんはつどうって、もりあんさん?が言ってたようなきがします。」
「よく覚えてるね!半分寝てたのに!」
「目が見えない分聞こえる事に敏感だったんでしょうね。」
千春とサフィーナは物覚えの良さに感心していた。
「よし!MP減ったせいかすっごいお腹すいた!朝ごはんにしよう!」
「そうですね、食堂に行きますか?持ってきましょうか?」
「いや、今日の朝ごはんは私が厨房で作るよ、ユラちゃん何か食べたいものある?」
「たべれるものならなんでも・・・」
「好きな食べ物は何かな?」
「・・・・お肉?」
「おっけー!朝から肉ね!重いけどなんか作ろう!」
「やったー!!!!」
なぜかモリアンが喜ぶ。
「モリアンは固いパンでよくない?」
「そうですね、固いパンにマヨネーズを塗れば喜ぶんじゃないでしょうか?」
「いやぁぁ!マヨは好きだけどそれはいやー!」
きょとんとしながらユラは3人の会話を聞いていた。
「それじゃ行こうか、朝肉を食べに。」
そう言って4人は厨房へ向かった。
ユラがこっくりこっくりと船をこぎ出した。
「サフィー隣の寝室ってもう使えるんだよね?」
「はい、もういつでも泊まれるようにセッティングしていますよ。」
「それじゃぁ今日はココに寝させてあげて、あと夜もしかしたら怖がるかもしれないから一緒に寝てあげたり出来る?」
「はい、モリアンと一緒に付いておりますので大丈夫ですよ。」
「そう言えばココってお風呂はどうしてるの?」
「浴室は侍女用の浴室がありますから何時でも入れます、湯浴みさせてから休ませた方が良いかと思いますけどどうしましょうか、もう寝ちゃいそうですね。」
千春もサフィーナもユラを見ながら考える。
「そう言うときは王女特権発動ですよ?メイドと執事に言えばココに浴槽を持ってくることも可能です!」
「そんな無茶な・・・」
「いえ、いい考えですね、浴槽さえあればお湯は私が沸かせます、子供が入る程度のお湯でしたらそう大変ではありませんし。」
「それじゃチハルさん、チハルさんが浴槽持って来てって私に言ってください。」
「・・・浴槽もってきて。」
「はい!了解しました!」
モリアンはそのまま直ぐに部屋をでて何処かへ走って行った。
「それでは私はタオル等の準備をしますね。」
「ちょっとまって、タオルは私が部屋から取ってくるよ、あと子供用の下着とか無いよね?」
「そうですね、支給品は制服くらいなので。」
「おっけー、ちょっと買ってくるからユラちゃん見ててもらっていい?」
「はい分かりました。」
千春はそう言うとすぐに扉を抜け近所の洋服屋さんシアムラへダッシュした。
「お待たせ!」
千春は下着とシャツ、服とパジャマを買って帰って来た、すでにサフィーナとモリアンがユラを浴槽に入れていた。
「はい、これ着替えとタオルね、どう?まだオネムかな?」
「半分以上寝てますね。」
「いえ、これは完全に寝てますよ。」
ユラはされるがままに洗われ軽く腰が浸かる程度の湯舟に支えられながら入っていた。
「よし、このまま拭いて着替えさせよう。」
3人にされるがままのユラを着替えさせベッドへ連れて行く。
「もう夕方かぁ。」
「そうですねそろそろ午後2鐘が鳴る頃です。」
「18時ね、夕食はどうする?」
「先ほどケーキを食べましたしお腹の方は大丈夫です、今日は夕食要らない気がしますね。」
「私も全然、食べ過ぎました。」
「うん、ごめん、私も買いすぎたなと思ってる。」
「それじゃぁ夕食終わる頃にメグ様の所行って私はあっちで寝るよ、どうせココに居てもエリーナさんに連れて行かれるだろうからね。」
「「そうですね。」」
サフィーナとモリアンも同意した。
「それじゃそれまでユラちゃんの寝顔でも見ながらノンビリしましょうか。」
「そうですね、あ、この部屋は寝室になってますが何か必要な物とか有れば揃えますよ。」
「んー、扉入ったらすぐ自分の寝室もあるからなぁ、しっかし広い寝室だなぁ。」
「そうですね、門の部屋と同じく研究室の一つだったと聞いていますから。」
「ここでお昼寝したら気持ちよさそうですよねー。」
「モリアンは入室禁止ね。」
「えぇぇ!」
「王女殿下の寝室で昼寝する侍女が何処に居るんですか。」
「・・・・ココに、痛ぁぁ!!!」
サフィーナのチョップがモリアンの脳天にヒットした、これといってやる事無く3人は門の部屋に戻り寝室のドアは開けたままユラの様子を見て過ごした。
コンコンコン
ノックされる。
「はーいどうぞー。」
「チハル様夕食の方は如何なされますか?」
マルグリット王妃の侍女がお伺いに来た。
「今日の夕食は済ませてますので大丈夫です、お母様が食べ終わる頃に行きますのでお伝えください。」
「了解致しました、そうお伝えしておきます。」
侍女はお辞儀をし部屋を出ていく。
「本当に王女殿下なんですよねー。」
「モリアンは何を今さらな事をいってんのよ。」
「モリアンの言ってる事はなんとなく私も感じています。」
「えー!サフィーまで!?」
「えぇ、こんなに気さくに侍女と対話する王族なんて見た事も聞いた事もありませんから。」
「だってつい最近と言うかあっちでは平民だもん、急に変れって言われても無理でしょ。」
「でもチハルさんの付き人で良かったー、他の王族の付き人してたら多分私もう首飛んでると思う、比喩ではなく。」
「大丈夫です、私が全力で止めます。」
「何を?」
「王族の付き人にするのをです。」
「だよねー。」
「ひどおおい!」
ケラケラと笑いながら3人はお茶を飲みつつ談話して時間を潰した。
「それじゃそろそろ行ってくるよ、モリアンはユラちゃんを見ててね。」
「了解でーす。」
「それではお送り致しますね。」
「よろしくー。」
モリアンを置いて2人は王妃殿下の自室に向かう。
「ただいま戻りました。」
マルグリットの部屋に付き千春はいつもの挨拶をしながら部屋に入る。
「お帰りなさいチハル、話は聞いたわ、この国の貴族が迷惑を掛けました、でも危ない事はしないでね、話を聞いてビックリしたわよ?」
「ごめんなさい。」
「でも有難う、これで子供たちを悲しませない様に出来るわ。」
「はい。」
「それで獣人の子を預かってるって聞いたけど、どう?目が見えないのは治せそう?」
「色々と調べたんですが明確に治療出来るイメージは湧かないんです、でもモリアンがヒントをくれまして明日それを試してみたいと思っています。」
「そう、それで今日はどうするの?その子の面倒を見にあちらで寝るのかしら?」
「いえ、今日はモリアンとサフィーが面倒を見てくれるので私はこちらで休みます、明日からまた向こうになりますから。」
「よかったわ、私もチハルと一緒に居たいもの、それじゃ湯浴みに行きましょうか。」
「はい。」
2人は微笑みながら浴室に向かう、話し方は二人とも他人行儀な所は有るが、どちらも一緒に居るのが当たり前になっていた、そして温泉で疲れを取り、マルグリットにしっかり寝て魔力を回復するようにと早く床に就いた。
「おはようございます。」
「おはようチハル、すぐに行く?」
「はい、魔力も回復しましたし、色々試してみたいので。」
「分ったわ、無理をしないようにね?」
マルグリットはそういうとすぐに支度を整えさせ侍女に部屋まで送らせた。
「おはようー。」
「おはようございます。」
「チハルさんおはようございます!」
千春の部屋に戻るとサフィーナとモリアンはユラの髪の毛を梳いていた。
「ユラちゃんよく寝れた?」
「はい、ありがとうございます。」
「いいえーどういたしまして、朝ごはんは?」
「まだですね、私もモリアンもココに泊まりましたので食堂には行ってませんから。」
「そうなんだ、2人ともありがとう、それじゃぁ早速なんだけど回復魔法使っても良いかな?」
「そうですね、昨日モリアンが言ったように抽象的なイメージで掛けてみるんですよね?」
「うん、・・・・「鑑定」、うん70/72だね。」
「チハルさん、いつも思うんですが魔力全回復しませんよね?」
「それはそうです、チハルは翻訳指輪を使ってるので微量ながらも魔力が減ってますから。」
「そうだった、違和感ないから忘れてたです。」
モリアンは翻訳指輪が魔力を吸う事を忘れていたが、千春も実は忘れていた。
「う、うん、そうなんだよ?覚えといてね?」
「・・・・チハルさんも忘れてましたよね?」
「そんなことあるわけないじゃないですか。」
「デスヨネー、ソウイウコトニシトキマスネー。」
「チッ、モリアンのくせに!」
「・・・・チハル、回復しないんですか?」
「しまーす。」
千春は気を取り直しユラの前に屈む、ユラは椅子に座りじっとしている。
「ユラちゃん、今から目が治りますようにーって魔法を掛けるからね?」
「はい、おねがいします。」
「それじゃいくよー。」
千春は両手を軽くユラのこめかみあたりを触る。
「・・・・ヒール」
ふわっと目の周りが光る。
「・・・・・・・うん、大丈夫だと思うどうかな?」
ユラはゆっくりと目を開ける。
「みえます、おねえちゃんがちはるおねえちゃんですか?」
「うん、そうだよ、初めまして・・になるのかな?」
ぽろぽろとユラの目から涙がこぼれる、横に居たサフィーナがハンカチで涙を拭いてあげる。
「・・・・「鑑定」・・・うわぁ!」
「チハルどうしたの?」
「残りMPが20。」
「ええ!」
珍しくサフィーナが声を上げる。
「いや、すっごいMP持ってかれる気がしたんだよ。」
「昨日無理して回復させなくて良かったわね、やってたらチハル数日起きれなかったわよ。」
「あぶなぁ・・・・でもなんで50も減ってんのかな、そんなに難しい回復だったって事?」
2人が不思議に思い考え込む。
「あれじゃないですか?その回復する魔力が多いんじゃなくていつもが少なすぎなんじゃないかと。」
「え?モリアンそれどういう事?」
「えっとですね、イガクチシキ?で効率良く回復するから普通よりも消費魔力は少ないけれどー、神官たちみたいに抽象的に回復させると消費魔力は多い、的な?」
「何故そう思うのかしら?」
理に適う事を言い出したモリアンにサフィーナが疑問に思う。
「それはですねー、前ケガした人に教会の人が回復してたんですけどチハルさんみたいに沢山回復出来なかったんですよ、チハルさん昨日少なくても7~8回は回復魔法使ってましたよね?」
そう、地下牢で男の子、さらに女の子3人の痣を何か所か分けて回復していた、ヒールを使った回数は8回使っていた。
「教会の人は魔力100超えても3~4回も使えば終わりらしいんです、だからそう考えると普段のヒールが効率良すぎなんですよ。」
「モリアンどうしたの?何か変な物食べた?」
「たまにこの子凄く頭回るんです、昔から。」
「何ですかぁ!変な物食べてないですし!たまにじゃないですもん!いつも回りますもん!」
辛辣すぎる2人の反応にオコなモリアンだった。
「まぁそれは多分正解として置いておきましょ、ユラちゃんこっちの清楚美人がサフィーナでこっちの残念な可愛い子がモリアンで私の付き人、侍女って分かるかな?」
「うん、わかる・・わかります。」
「普通にお話して大丈夫だよ、誰も怒らないからね。」
そういってニッコリと微笑む、後ろで「残念ってなんですかー!」と言ってる人が居るがスルーする。
「ちはるおねえちゃんはおうじょさまなの??」
「え?なんで?まぁ一応そうだけど。」
「きのうでんかって言われてたひとと、ふつうにおはなししてたし、ねむたくなってたときに、おうじょとっけんはつどうって、もりあんさん?が言ってたようなきがします。」
「よく覚えてるね!半分寝てたのに!」
「目が見えない分聞こえる事に敏感だったんでしょうね。」
千春とサフィーナは物覚えの良さに感心していた。
「よし!MP減ったせいかすっごいお腹すいた!朝ごはんにしよう!」
「そうですね、食堂に行きますか?持ってきましょうか?」
「いや、今日の朝ごはんは私が厨房で作るよ、ユラちゃん何か食べたいものある?」
「たべれるものならなんでも・・・」
「好きな食べ物は何かな?」
「・・・・お肉?」
「おっけー!朝から肉ね!重いけどなんか作ろう!」
「やったー!!!!」
なぜかモリアンが喜ぶ。
「モリアンは固いパンでよくない?」
「そうですね、固いパンにマヨネーズを塗れば喜ぶんじゃないでしょうか?」
「いやぁぁ!マヨは好きだけどそれはいやー!」
きょとんとしながらユラは3人の会話を聞いていた。
「それじゃ行こうか、朝肉を食べに。」
そう言って4人は厨房へ向かった。
472
お気に入りに追加
2,593
あなたにおすすめの小説
幸子ばあさんの異世界ご飯
雨夜りょう
ファンタジー
「幸子さん、異世界に行ってはくれませんか」
伏見幸子、享年88歳。家族に見守られ天寿を全うしたはずだったのに、目の前の男は突然異世界に行けというではないか。
食文化を発展させてほしいと懇願され、幸子は異世界に行くことを決意する。
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。
転生王女は現代知識で無双する
紫苑
ファンタジー
普通に働き、生活していた28歳。
突然異世界に転生してしまった。
定番になった異世界転生のお話。
仲良し家族に愛されながら転生を隠しもせず前世で培ったアニメチート魔法や知識で色んな事に首を突っ込んでいく王女レイチェル。
見た目は子供、頭脳は大人。
現代日本ってあらゆる事が自由で、教育水準は高いし平和だったんだと実感しながら頑張って生きていくそんなお話です。
魔法、亜人、奴隷、農業、畜産業など色んな話が出てきます。
伏線回収は後の方になるので最初はわからない事が多いと思いますが、ぜひ最後まで読んでくださると嬉しいです。
読んでくれる皆さまに心から感謝です。
ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜
望月かれん
ファンタジー
中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。
戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。
暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。
疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。
なんと、ぬいぐるみが喋っていた。
しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。
天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。
※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
大聖女の姉と大聖者の兄の元に生まれた良くも悪くも普通の姫君、二人の絞りカスだと影で嘲笑されていたが実は一番神に祝福された存在だと発覚する。
下菊みこと
ファンタジー
絞りカスと言われて傷付き続けた姫君、それでも姉と兄が好きらしい。
ティモールとマルタは父王に詰め寄られる。結界と祝福が弱まっていると。しかしそれは当然だった。本当に神から愛されているのは、大聖女のマルタでも大聖者のティモールでもなく、平凡な妹リリィなのだから。
小説家になろう様でも投稿しています。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。
リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。
そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。
そして予告なしに転生。
ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。
そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、
赤い鳥を仲間にし、、、
冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!?
スキルが何でも料理に没頭します!
超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。
合成語多いかも
話の単位は「食」
3月18日 投稿(一食目、二食目)
3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる