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カラアゲ!
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「はい、それじゃ今日はココまでね。」
「有難う御座いました。」
「それを続けていれば保有魔力も威力も上がるわ、頑張りなさいね。」
「はい。」
マルグリットは訓練を終わらせた。
「それで?今日はこれからどうするの?」
「明日の準備とか宿題とか色々あるので帰ります。」
「あら残念だわ、今日も居たらよかったのに。」
残念そうにマルグリットは言うが無理強いはしないようだ。
「では今日は帰ります、有難う御座いました。」
「何かあったらすぐ仰いなさい、遠慮しないで良いのですからね?」
「はい。」
そう言って王妃の部屋から退出する千春と侍女2人。
「はぁぁぁ本当に特訓だったよー。」
「でも基礎は大事ですから、それじゃ今日はあちらに帰りますか?」
「うん、宿題とかあるし今日は流石に帰らないとねー。」
そう言いながら3人は門の有る部屋に戻りお別れの挨拶をする。
「明日夕方にまた顔出すよ、ルノアーさんにも渡すものあるし。」
「分りました、一応私たちはチハルの居ない時も待機するように指示が来ていますのでいつでも声かけて下さいね。」
「うん、わかったー、また明日ねー。」
そう言って千春はクローゼットの扉を閉める。
「はぁぁぁぁぁ!疲れたぁぁぁ!・・・・・宿題しよっと。」
宿題を終わらせ軽く食事を作り早めのお風呂を終わらせ早々に布団に潜り込んだ。
「明日は学校終わったら・・・買い物して・・・・いーすとかってぇ・・・・」
--------------------------------------------
「おはよう!ヨリ!」
学校に向かう所で向井頼子こと、ヨリに会った。
「おっはよー、はい千春のマフラーだよ。」
そう言って紙袋を渡す。
「ありがとー!」
そう言って袋からマフラーを取り出し首に巻く。
「んー肌触りもいいねー、タグも取ってくれてるありがとう、ヨリ。」
「うん、多分すぐ巻くだろうなと思ってね。」
2人はそのまま学校に向かった。
「あー来週期末じゃん、千春は勉強出来るから良いけど私やばいわー。」
「平均超える程度で出来る言われてもなぁ・・・・」
昼休み売店で買ったパンを食べながら2人は話をしていた。
「ヨリさー異世界物結構読んでるじゃない?行ったり来たり出来るやつでさ、向こうの金貨を換金ってどうやってしてる?」
「んー海外に行けるとか怪しい古物商とか・・・普通には出来ないね、何かしらの伝手が無ければ宝の持ち腐れパターン。」
「そりゃそうだよねー。」
そう、千春は異世界に胡椒や砂糖を持ち込もうと思っていたが、向こうのお金を貰ってもこちらで買い物が出来なければ意味がないと言う事に気付いたのだ。
「ヨリならさー、異世界に行ったり来たり出来るなら何する?」
「こっちの物売って向こうで金持ちになる。」
「お金持ちになれるほどこっちにお金ないじゃん。」
千春は苦笑いしながら突っ込む。
「まぁぶっちゃけて言うと女子高生どころか大人が異世界往復出来ても換金なんて無理だよね。」
「現実は世知辛いですにゃぁ・・・・」
千春は頼子ならワンチャン何かいいアイデアが有るかと思ったがやっぱり無いらしい。
そして学校が終わり帰り道の量販店と業務用のスーパーで買い出しをする千春は。
「えーっとドライイーストとー、塩、胡椒、砂糖っと、あとはー、あ!紅茶買って行こ~♪」
買い出しを済ませた千春は財布の中身を見てちょっとうなだれていた。
「くっ・・・塩と砂糖はキロ単位でも大丈夫だけどイーストと胡椒はたっかいなぁ。」
そう言いながら帰り道をトボトボと歩く、歩いている間昨日教えてもらった魔力循環をしながら帰っていた。
「こっちに来るとすっごいやり難いなぁ、なんでだろう魔法も全然発動しないし体内魔力もちょびっとしか分かんないんだよなー。」
そう言いながら少しだけ感じる魔力を手先やら足先に感じながら家路を歩いて帰った。
「はー!ただいまっと!」
荷物を台所に置き、ドライイーストを小さな袋に入れクローゼットを開ける。
「おかえりなさいチハル、可愛い服ねそれが学校の制服なの?」
「うん、そうだよ、ただいまー。」
千春は中に入りテーブルにドライイーストを置く。
「これをルノアーさんに持って行くんだけどついでに晩御飯食べて帰りたいんだよねー。」
買い出しのお金を浮かせる為に食事を異世界で済ませ節約する事を選んだ千春。
「夕食?王様達と?」
「違うよ?食堂で食べるよ、材料貰えるなら何か作るけど。」
「チハルが作る夕食かぁいいなぁ。」
サフィーナはてっきり王族と食べるものだと思っていた、モリアンは千春の料理が食べたいらしいが。
「よし!サフィーとモリアンの食材も貰えるなら作ってあげよう!」
「やったー!」
「それは嬉しいけど付き人が作ってもらうってちょっと問題が・・・。」
「いいじゃん、作るのは別に苦じゃないし食べてもらえるの嬉しいし問題なーい。」
それじゃぁ早速行こうかと袋を持って厨房へ向かう3人。
「こんばんわー!ルノアーさんいますかー?」
「おー、いらっしゃいチハルさん。」
「はい、頼まれてたドライイーストだよー、そして報酬として夕食を頂きに参りました。」
「おう!なんぼでも食って行ってくれ!こんなもんじゃ代わりにすらならんだろうけどな。」
「えっと、良かったら材料貰って作っても良いですか?3人分なんですけど。」
「ん?何か作るのか?だったら左の所使っていいよ、3人分くらいなら好きなように使ってくれ。」
そう言いながら空いているコンロを指さす。
「よーし、それじゃ材料はっと・・・・鶏肉と豚肉?ルノアーさんこの肉は豚?」
「それはオークだな、そっちの鳥は鶏だ。」
「オーク!え?魔物?」
「あぁ魔物だが食べれるぞ、流石に王族の食卓には出さんが食堂では普通に使ってるぞ。」
「へぇ、味はやっぱり豚なのかな?」
「質の良い猪の肉だな、ブタってのは猪か?」
「あー豚は居ないのか、代わりにオークねー、今日は鶏肉を使わせてもらおうかな。」
そして鶏肉を受け取りに行く。
「もも肉を4枚くらい貰いますね・・・この骨は捨てるんですか?」
「骨は捨てるぞ、使い道なんて無いだろう。」
「イヤイヤイヤイヤ勿体ないよ!だからスープも味気ないんだよ!ちょっと教えるから人員貸して!」
「お、おうちょっと待ってろ。」
そう言うとルノアーは野菜の皮を剝いていた若い女の子を連れて来る。
「ほい、シャリーお前ちょっとチハルさんの手伝いしてくれ。」
「はい、分りました。」
「シャリーさんよろしくねー、んじゃ早速その鶏ガラを綺麗に洗って下さい、血と内臓も綺麗に取ってね。」
「はい・・・。」
ゴミを?と言わんばかりの感じで返事をするシャリー、千春は鶏ガラスープのレシピを思い出しながら材料をかき集める。
「よし、ネギに生姜っと、お酒は料理酒とかないよねぇ、白ワインでいっか。」
大鍋に水を入れ火を入れる、その間に自分達の晩御飯準備も進める。
「よーし!唐揚げ作るぞー!」
「「カラアゲ?」」
サフィーナとモリアンは何それ?と言う顔で千春を見ている。
「そ、カラアゲ、簡単だし美味しい、少なくとも私の知っている限りではカラアゲ嫌いな人は居ない!」
そう言いながらもも肉を5等分ほどのサイズに切り分けボウルに入れる。
「ほんでニンニクと生姜をすりおろして塩コショウとワインを少々、ダシ持って来ればよかったなぁ、ルノアーさん鍋に油いっぱい下さいなー。」
「そこの瓶が油だ、使ってくれ。」
「はーい。」
そしてドボドボとちょっと大きめの鍋に油を入れ火を入れる。
「小麦粉はあったけど片栗粉あったっけ?」
「片栗粉か?有るぞそこの袋がそうだ。」
そういって片栗粉の袋を持って来てくれた。
「ルノアーさん暇なん?」
「暇な訳が無いだろう、もう少ししたら昼勤の兵士達が夕食を食べに来るからな。」
「んじゃ何でずっとココにいるの?助かるけど。」
「そりゃチハルさんが何作ってるか気になるからな、美味い物だろうし覚えて損は無いだろう?」
「・・・いいけどね。」
そして片栗粉と小麦粉を混ぜ合わせ玉子と水を入れバッタ液を作る。
「よーし準備は出来たね、油は温まったかなー?」
菜箸を入れぷくぷくと泡が出るのを確認する。
「それは何してるんだ?」
「ん?油の温度見てるの、一回濡らした菜箸を拭いて油に入れると泡がでるでしょ、それで温度がだいたい分かるんだよ。」
「ほお、油煮なんて作らんから勉強になるな。」
「油煮・・・揚げ物って無いの?」
「無いな、油でギトギトになって食べれたもんじゃないだろう。」
「もったいない・・・揚げ物は大量生産出来て美味しいのに。」
「チハルさん、鶏骨洗い終わりましたー。」
シャリーちゃんが鶏ガラを掲ながら伝えてきた。
「はーい、それじゃお湯も沸いてきたしそっちの小さいほうに数十秒入れてから水を切ってね。」
「分りましたー。」
「お湯に入れてすぐ捨てるのか。」
「そそ、アクが出るからね、軽くアク抜きしてあとは鶏の骨をバキバキに折ってさっきの野菜と煮込むの。」
「出来るのはスープか?」
「そ、鶏ガラスープ、色々な物のベースにもなるから大量に有っても大丈夫だよ。」
「ほう、鶏の骨は捨てないほうが良さそうだな。」
「うん余ったら冷凍しといてくれたら色々教えるよ。」
「わかった。」
「それじゃ油もいい感じなので、こっちは唐揚げ作りまーす。」
鶏肉にバッタ液を入れ混ぜ合わせる、そして油に丸めながら泳がせるように入れて行く、ジュワァといい音を立てながら鶏肉を揚げる。
「油が跳ねてくるわよ?チハル大丈夫?」
「大丈夫~油跳ねが怖くて揚げ物出来るかーい。」
次々と鶏肉を投入していく。
「こんなもんかな?」
千春は少し色が付いてきた唐揚げを油切りに置いていく。
「出来上がり?」
「まだだよー、二度揚げするからねー。」
涎をたらしそうなモリアンはもう出来たのかと聞いてくる。
「一度上げて中に少し余熱で温めてからもう一度揚げるんだよ、これで中がジューシー外はカリっと揚がるんだよ。」
「「「へぇ~」」」
サフィーナとモリアンに続き横でまだ見ているルノアーが一緒にへぇ~と感心していた。
もう一度油に唐揚げを入れコロコロと泳がせる、そして気泡が大きくなり唐揚げが浮いてきた所でまた油切りに置いていく。
「出来たの?!」
「出来たよー。」
モリアンがまた聞いてくる、千春は油を切っている唐揚げを一つ取りまな板に置いてナイフで4分割し一つをモリアンの口に入れる。
「はっふはふはう!」
「あ、熱いから気を付けてね。」
「チハル、そう言うのは入れる前に言う物よ?」
サフィーナが呆れたように言う、千春も分かってまーすと言わんばかりにぺろっと舌を出す。
「うまああああああい!」
食べ終わったモリアンは思わず叫ぶ。
「「モリアンうるさい」」
千春とサフィーナはそう言いながら切った味見用の唐揚げをつまみ食べる。
「・・・・、うん、いい感じ」
「チハル、めちゃくちゃ美味しいわカラアゲ。」
「俺もいいか?」
「どうぞー。」
ルノアーもつまんで口に入れる、目を瞑り咀嚼しながら何か考えているようだ。
「うまい!全然ギトギトしてないな、油が美味さを引き立ててる、作るコツは油の温度と二度揚げか。」
「あとは切る大きさかな、小さいと固くなりやすいし大きいと中に火が通る前に周りが焦げちゃうから気を付けてね。」
「分った、これは何人か覚えさせて作らせるようにしよう。」
そう言うと忘れない様にかメモを取り色々確認していた。
「それじゃ鶏ガラスープの方の最後の指示してから私たちも晩御飯にしよっか。」
「では私はパンを貰ってきますね。」
「私は?」
サフィーナはパンを取りに行くと、モリアンは何するの?と聞いてきた。
「モリアンはマヨネーズもらってきて、カラアゲにマヨネーズは超合うよ。」
モリアンは何も言わずすぐにマヨネーズを取りに行った、そして千春はシャリーにあと1時間は弱火で煮詰めてアクを取るように言うとシャリーは目を見開いたあと諦めたように一言「はい」と言い鍋を見つめていた。
「さぁ食べましょう!」
3人はテーブルを陣取り出来立ての唐揚げと出来立てのパンで夕食を取った。
「んっまあああああい!!!!!」
「「モリアンうるさい!!」」
マヨネーズを付けたカラアゲを頬張りながら叫ぶモリアンを2人が食べ終わるまで数回叱る姿があった。
「有難う御座いました。」
「それを続けていれば保有魔力も威力も上がるわ、頑張りなさいね。」
「はい。」
マルグリットは訓練を終わらせた。
「それで?今日はこれからどうするの?」
「明日の準備とか宿題とか色々あるので帰ります。」
「あら残念だわ、今日も居たらよかったのに。」
残念そうにマルグリットは言うが無理強いはしないようだ。
「では今日は帰ります、有難う御座いました。」
「何かあったらすぐ仰いなさい、遠慮しないで良いのですからね?」
「はい。」
そう言って王妃の部屋から退出する千春と侍女2人。
「はぁぁぁ本当に特訓だったよー。」
「でも基礎は大事ですから、それじゃ今日はあちらに帰りますか?」
「うん、宿題とかあるし今日は流石に帰らないとねー。」
そう言いながら3人は門の有る部屋に戻りお別れの挨拶をする。
「明日夕方にまた顔出すよ、ルノアーさんにも渡すものあるし。」
「分りました、一応私たちはチハルの居ない時も待機するように指示が来ていますのでいつでも声かけて下さいね。」
「うん、わかったー、また明日ねー。」
そう言って千春はクローゼットの扉を閉める。
「はぁぁぁぁぁ!疲れたぁぁぁ!・・・・・宿題しよっと。」
宿題を終わらせ軽く食事を作り早めのお風呂を終わらせ早々に布団に潜り込んだ。
「明日は学校終わったら・・・買い物して・・・・いーすとかってぇ・・・・」
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「おはよう!ヨリ!」
学校に向かう所で向井頼子こと、ヨリに会った。
「おっはよー、はい千春のマフラーだよ。」
そう言って紙袋を渡す。
「ありがとー!」
そう言って袋からマフラーを取り出し首に巻く。
「んー肌触りもいいねー、タグも取ってくれてるありがとう、ヨリ。」
「うん、多分すぐ巻くだろうなと思ってね。」
2人はそのまま学校に向かった。
「あー来週期末じゃん、千春は勉強出来るから良いけど私やばいわー。」
「平均超える程度で出来る言われてもなぁ・・・・」
昼休み売店で買ったパンを食べながら2人は話をしていた。
「ヨリさー異世界物結構読んでるじゃない?行ったり来たり出来るやつでさ、向こうの金貨を換金ってどうやってしてる?」
「んー海外に行けるとか怪しい古物商とか・・・普通には出来ないね、何かしらの伝手が無ければ宝の持ち腐れパターン。」
「そりゃそうだよねー。」
そう、千春は異世界に胡椒や砂糖を持ち込もうと思っていたが、向こうのお金を貰ってもこちらで買い物が出来なければ意味がないと言う事に気付いたのだ。
「ヨリならさー、異世界に行ったり来たり出来るなら何する?」
「こっちの物売って向こうで金持ちになる。」
「お金持ちになれるほどこっちにお金ないじゃん。」
千春は苦笑いしながら突っ込む。
「まぁぶっちゃけて言うと女子高生どころか大人が異世界往復出来ても換金なんて無理だよね。」
「現実は世知辛いですにゃぁ・・・・」
千春は頼子ならワンチャン何かいいアイデアが有るかと思ったがやっぱり無いらしい。
そして学校が終わり帰り道の量販店と業務用のスーパーで買い出しをする千春は。
「えーっとドライイーストとー、塩、胡椒、砂糖っと、あとはー、あ!紅茶買って行こ~♪」
買い出しを済ませた千春は財布の中身を見てちょっとうなだれていた。
「くっ・・・塩と砂糖はキロ単位でも大丈夫だけどイーストと胡椒はたっかいなぁ。」
そう言いながら帰り道をトボトボと歩く、歩いている間昨日教えてもらった魔力循環をしながら帰っていた。
「こっちに来るとすっごいやり難いなぁ、なんでだろう魔法も全然発動しないし体内魔力もちょびっとしか分かんないんだよなー。」
そう言いながら少しだけ感じる魔力を手先やら足先に感じながら家路を歩いて帰った。
「はー!ただいまっと!」
荷物を台所に置き、ドライイーストを小さな袋に入れクローゼットを開ける。
「おかえりなさいチハル、可愛い服ねそれが学校の制服なの?」
「うん、そうだよ、ただいまー。」
千春は中に入りテーブルにドライイーストを置く。
「これをルノアーさんに持って行くんだけどついでに晩御飯食べて帰りたいんだよねー。」
買い出しのお金を浮かせる為に食事を異世界で済ませ節約する事を選んだ千春。
「夕食?王様達と?」
「違うよ?食堂で食べるよ、材料貰えるなら何か作るけど。」
「チハルが作る夕食かぁいいなぁ。」
サフィーナはてっきり王族と食べるものだと思っていた、モリアンは千春の料理が食べたいらしいが。
「よし!サフィーとモリアンの食材も貰えるなら作ってあげよう!」
「やったー!」
「それは嬉しいけど付き人が作ってもらうってちょっと問題が・・・。」
「いいじゃん、作るのは別に苦じゃないし食べてもらえるの嬉しいし問題なーい。」
それじゃぁ早速行こうかと袋を持って厨房へ向かう3人。
「こんばんわー!ルノアーさんいますかー?」
「おー、いらっしゃいチハルさん。」
「はい、頼まれてたドライイーストだよー、そして報酬として夕食を頂きに参りました。」
「おう!なんぼでも食って行ってくれ!こんなもんじゃ代わりにすらならんだろうけどな。」
「えっと、良かったら材料貰って作っても良いですか?3人分なんですけど。」
「ん?何か作るのか?だったら左の所使っていいよ、3人分くらいなら好きなように使ってくれ。」
そう言いながら空いているコンロを指さす。
「よーし、それじゃ材料はっと・・・・鶏肉と豚肉?ルノアーさんこの肉は豚?」
「それはオークだな、そっちの鳥は鶏だ。」
「オーク!え?魔物?」
「あぁ魔物だが食べれるぞ、流石に王族の食卓には出さんが食堂では普通に使ってるぞ。」
「へぇ、味はやっぱり豚なのかな?」
「質の良い猪の肉だな、ブタってのは猪か?」
「あー豚は居ないのか、代わりにオークねー、今日は鶏肉を使わせてもらおうかな。」
そして鶏肉を受け取りに行く。
「もも肉を4枚くらい貰いますね・・・この骨は捨てるんですか?」
「骨は捨てるぞ、使い道なんて無いだろう。」
「イヤイヤイヤイヤ勿体ないよ!だからスープも味気ないんだよ!ちょっと教えるから人員貸して!」
「お、おうちょっと待ってろ。」
そう言うとルノアーは野菜の皮を剝いていた若い女の子を連れて来る。
「ほい、シャリーお前ちょっとチハルさんの手伝いしてくれ。」
「はい、分りました。」
「シャリーさんよろしくねー、んじゃ早速その鶏ガラを綺麗に洗って下さい、血と内臓も綺麗に取ってね。」
「はい・・・。」
ゴミを?と言わんばかりの感じで返事をするシャリー、千春は鶏ガラスープのレシピを思い出しながら材料をかき集める。
「よし、ネギに生姜っと、お酒は料理酒とかないよねぇ、白ワインでいっか。」
大鍋に水を入れ火を入れる、その間に自分達の晩御飯準備も進める。
「よーし!唐揚げ作るぞー!」
「「カラアゲ?」」
サフィーナとモリアンは何それ?と言う顔で千春を見ている。
「そ、カラアゲ、簡単だし美味しい、少なくとも私の知っている限りではカラアゲ嫌いな人は居ない!」
そう言いながらもも肉を5等分ほどのサイズに切り分けボウルに入れる。
「ほんでニンニクと生姜をすりおろして塩コショウとワインを少々、ダシ持って来ればよかったなぁ、ルノアーさん鍋に油いっぱい下さいなー。」
「そこの瓶が油だ、使ってくれ。」
「はーい。」
そしてドボドボとちょっと大きめの鍋に油を入れ火を入れる。
「小麦粉はあったけど片栗粉あったっけ?」
「片栗粉か?有るぞそこの袋がそうだ。」
そういって片栗粉の袋を持って来てくれた。
「ルノアーさん暇なん?」
「暇な訳が無いだろう、もう少ししたら昼勤の兵士達が夕食を食べに来るからな。」
「んじゃ何でずっとココにいるの?助かるけど。」
「そりゃチハルさんが何作ってるか気になるからな、美味い物だろうし覚えて損は無いだろう?」
「・・・いいけどね。」
そして片栗粉と小麦粉を混ぜ合わせ玉子と水を入れバッタ液を作る。
「よーし準備は出来たね、油は温まったかなー?」
菜箸を入れぷくぷくと泡が出るのを確認する。
「それは何してるんだ?」
「ん?油の温度見てるの、一回濡らした菜箸を拭いて油に入れると泡がでるでしょ、それで温度がだいたい分かるんだよ。」
「ほお、油煮なんて作らんから勉強になるな。」
「油煮・・・揚げ物って無いの?」
「無いな、油でギトギトになって食べれたもんじゃないだろう。」
「もったいない・・・揚げ物は大量生産出来て美味しいのに。」
「チハルさん、鶏骨洗い終わりましたー。」
シャリーちゃんが鶏ガラを掲ながら伝えてきた。
「はーい、それじゃお湯も沸いてきたしそっちの小さいほうに数十秒入れてから水を切ってね。」
「分りましたー。」
「お湯に入れてすぐ捨てるのか。」
「そそ、アクが出るからね、軽くアク抜きしてあとは鶏の骨をバキバキに折ってさっきの野菜と煮込むの。」
「出来るのはスープか?」
「そ、鶏ガラスープ、色々な物のベースにもなるから大量に有っても大丈夫だよ。」
「ほう、鶏の骨は捨てないほうが良さそうだな。」
「うん余ったら冷凍しといてくれたら色々教えるよ。」
「わかった。」
「それじゃ油もいい感じなので、こっちは唐揚げ作りまーす。」
鶏肉にバッタ液を入れ混ぜ合わせる、そして油に丸めながら泳がせるように入れて行く、ジュワァといい音を立てながら鶏肉を揚げる。
「油が跳ねてくるわよ?チハル大丈夫?」
「大丈夫~油跳ねが怖くて揚げ物出来るかーい。」
次々と鶏肉を投入していく。
「こんなもんかな?」
千春は少し色が付いてきた唐揚げを油切りに置いていく。
「出来上がり?」
「まだだよー、二度揚げするからねー。」
涎をたらしそうなモリアンはもう出来たのかと聞いてくる。
「一度上げて中に少し余熱で温めてからもう一度揚げるんだよ、これで中がジューシー外はカリっと揚がるんだよ。」
「「「へぇ~」」」
サフィーナとモリアンに続き横でまだ見ているルノアーが一緒にへぇ~と感心していた。
もう一度油に唐揚げを入れコロコロと泳がせる、そして気泡が大きくなり唐揚げが浮いてきた所でまた油切りに置いていく。
「出来たの?!」
「出来たよー。」
モリアンがまた聞いてくる、千春は油を切っている唐揚げを一つ取りまな板に置いてナイフで4分割し一つをモリアンの口に入れる。
「はっふはふはう!」
「あ、熱いから気を付けてね。」
「チハル、そう言うのは入れる前に言う物よ?」
サフィーナが呆れたように言う、千春も分かってまーすと言わんばかりにぺろっと舌を出す。
「うまああああああい!」
食べ終わったモリアンは思わず叫ぶ。
「「モリアンうるさい」」
千春とサフィーナはそう言いながら切った味見用の唐揚げをつまみ食べる。
「・・・・、うん、いい感じ」
「チハル、めちゃくちゃ美味しいわカラアゲ。」
「俺もいいか?」
「どうぞー。」
ルノアーもつまんで口に入れる、目を瞑り咀嚼しながら何か考えているようだ。
「うまい!全然ギトギトしてないな、油が美味さを引き立ててる、作るコツは油の温度と二度揚げか。」
「あとは切る大きさかな、小さいと固くなりやすいし大きいと中に火が通る前に周りが焦げちゃうから気を付けてね。」
「分った、これは何人か覚えさせて作らせるようにしよう。」
そう言うと忘れない様にかメモを取り色々確認していた。
「それじゃ鶏ガラスープの方の最後の指示してから私たちも晩御飯にしよっか。」
「では私はパンを貰ってきますね。」
「私は?」
サフィーナはパンを取りに行くと、モリアンは何するの?と聞いてきた。
「モリアンはマヨネーズもらってきて、カラアゲにマヨネーズは超合うよ。」
モリアンは何も言わずすぐにマヨネーズを取りに行った、そして千春はシャリーにあと1時間は弱火で煮詰めてアクを取るように言うとシャリーは目を見開いたあと諦めたように一言「はい」と言い鍋を見つめていた。
「さぁ食べましょう!」
3人はテーブルを陣取り出来立ての唐揚げと出来立てのパンで夕食を取った。
「んっまあああああい!!!!!」
「「モリアンうるさい!!」」
マヨネーズを付けたカラアゲを頬張りながら叫ぶモリアンを2人が食べ終わるまで数回叱る姿があった。
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