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王女様!

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「そろそろ移動した方が良いのではないのですか?」
 サフィーナは千春に王族と昼食の時間だと伝える。

「もうそんな時間?んじゃぁ移動しますかぁ。」
「行ってらっしゃい~。」
 モリアンは送り出そうとしている。

「モリアン、何言ってるの?貴女も行くのよ?」
「え?なんでですか?」
「・・・あなたチハル様の付き人なのよ?行くに決まってるでしょうに。」
 サフィーナは「まったく・・・」とため息を吐く。

「一緒に行ってくれないと場所わかんないしね、私。」
「そう言う問題では無いんですけどね、さぁモリアン行きますよ、チハル様行きましょう。」
「なんで様付けなの?」
 千春はサフィーナの態度が急に固くなったから何だろうと思った。

「王族の前で呼び捨ては出来ません、付き人なんですから気を引き締めてるのです。」
 そう言ってサフィーナはモリアンを見る。

「はーい!チハル様行きましょう!」
「はーい行きましょうねー。」
 千春も苦笑いしながら同意するそして3人は仲良く王族の食卓へ向かうのであった、部屋の前に着いた3人は警備兵に声を掛ける。

「チハル様を御連れ致しました。」
 サフィーナがそう言うと兵士は扉を開け中へ促す。

「さぁチハル様。」
「あ、ありがとう。」
 サフィーナは千春を中に入れ後ろから付き、チハルを座らせると壁際に立つ。
 すぐにまたドアが開き次男のライリー殿下と三男フィンレー殿下が入って来た。

「チハル様だ!お昼はごいっしょですか!?」
 三男のフィンレー殿下が嬉しそうに問いかける。

「はい、今日の昼食は少しお手伝いさせてもらって、新しい食べ物が出ますよ。」
 フィンレーにそう言うとフィンレーは嬉しそうに笑った。

「待たせたか?」
 そう言って入って来たのはエイダン国王陛下、その後ろからマルグリット王妃が入ってくる、そして第一王子エンハルトもすぐに入って来た。
 全員席に座ったのを見計らったように執事長が料理を運ばせ並べていく、そして玉子サンドとコーンスープ、他には白身魚のムニエルやサラダが並んだ、玉子サンドとコーンスープは王族に気に入られとても美味しいと称賛を受けた。

「チハル、今から魔法の特訓だったと思うけど、ちょっとだけお話してからでも良いかしら?」
 食事が終わりマルグリットが千春に問いかける。

「はい『練習』は後からでも大丈夫です。」
 苦笑いしながら訂正するがマルグリットはニコニコしながら千春を呼ぶ。

「では別の部屋でお話しましょう、エンハルト、貴方も付いてきなさい。」
「はい、母上。」
 そして応接室の様な部屋へ通される、部屋の中には王妃の付き人エリーナが入って来た。

「チハルはそこに座って待っててね。」
 そう言うとエリーナに何かを伝えマルグリットもソファーに座った、そのタイミングで国王陛下も入って来た、何事なんだろうかと千春は少し緊張していたが、目の前のマルグリットはニコニコして千春を見ていたのでちょっとだけ安心していた。

「それでは少しお話をさせて頂きますわね。」
 そう言うとマルグリットは千春を見つめながらこう言った。

「チハル、昨日も言いましたけど、私たちの娘にならない?」
「「えぇ!!」」
 千春とエンハルトの声が被る、エンハルトは聞いてなかったらしい。

「勿論こちらの世界に来た時は、と言う事です、王族になったからと国の仕事をさせたり貴族の作法を無理強いする事は無いわ、この国でチハルの居場所を作る目的が1つ、そしてチハルの事を知った輩が要らぬ事を考え無い様に保護する為なの。」
「母上!しかしそれは無茶が過ぎませんか?」
「心配しなくても大丈夫よ、ちゃんと考えてありますから問題ありません、後はチハルの了承がもらえればすぐに動き出します、早ければ1か月くらいで手配が終わるでしょう。」
 エンハルトの言葉は既に国王陛下からも聞いている、その問題も解決出来るとマルグリットは言う。

「チハル、どうかしら?」
「・・・・・・・。」
「チハルよ儂からも良いか?」
「・・・・はい。」
「儂はチハルにこの国で不自由の無い暮らしをして貰おうと思っておる、もちろん異世界の知識や技術でこの国が発展出来ればと打算もあるからな、爵位を与え、国の相談役の様な立場でお願いしようと思っておったのだが、マルグリットの案を聞いてしまうとその方がチハルにも良いのではと考えておるのだ。
 なにしろ異世界との行き来は王宮であるし、場所は魔導士団の棟と言う安全を考えても差し支えない場所だ、今後の詳しい話はマルグリットに任せておる、考えてもらえないだろうか?」
 そう言ってチハルの言葉を待つ国王陛下とマルグリットはチハルを見つめる。

「あの・・・とても有難い話なんですけれど、ご迷惑をお掛けしませんでしょうか?」
「する訳無いでしょう、私たちがお願いをしているのですから、私たちが迷惑を掛けてしまっているのよ?貴女は好きな時にこの国に遊びに来てくれたらいいの・・・どうかしら?」
 マルグリットは千春の横に来ると隣に座り手を添え言葉を待つ。

「・・・はい、よろしくお願いいたします。」
 千春はマルグリットの手を握り返しながら見つめる。

「ふむ、儂にも娘が出来たか!チハルよ儂にも遠慮する事は無いぞ、何でも言ってくるがいい!」
 ガハガハと笑いながら国王陛下は千春に言う、場を和ませる様にそして優しさを伝える様に。

「では、そう言う事で私はすぐに手配をします、陛下は貴族の者には私の縁者に手出しは不要と念押しでお願いしますわよ、エンハルトあなたも兄として動いてもらいます、良いわね?」
「はい、分りました。」
 エンハルトは直ぐに返事を返しマルグリットを見る。

「エリーナ。」
「はい。」
「チハルを私の部屋に、お茶でもしてて頂戴サフィーナとモリアンも連れて行きなさい。」
「はい、チハル様どうぞこちらへ。」
 マルグリットはテキパキと指示をしエリーナは千春を連れて部屋を出る、扉を出るとサフィーナとモリアンが直立不動で待機していた、千春を見て2人は微笑む。

「サフィーナ、モリアン、貴女達も一緒に王妃殿下の部屋へ、チハル様こちらです。」
 エリーナが言い3人が動き出すとマルグリットの部屋へ移動した。

「・・・・・」
「チハル様?どうしましたか?」
 様子がおかしいなと心配したサフィーナは千春にそっと声を掛ける。

「サフィィィ~~モリアァァァン・・・・私ねぇぇぇ・・・・・。」
「はい。」
「王女様になっちゃったぁぁ・・・・。」
「「・・・・((えぇぇ!!!!!!!!))・・・・」」






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