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氷の魔女
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「王妃様有難うございます。」
落ち着いた千春は王妃にお礼を言った。
「・・・・・。」
マルグリッド王妃は何も言わずニッコリと微笑み千春の頭を撫でる。
「陛下申し訳ありません、母の事を思い出してしまい感傷的になってしまいました。」
「うむ構わんよ、異世界の美味い食事を有難う、思い出の料理だったのだろう美味しいはずだ。」
「ええとても美味しい料理でしたわ、また良かったら異世界の料理を食べさせて頂けるかしら?」
陛下と王妃は共に笑顔で千春に話しかけた、千春の母は幼い頃に亡くなり父親は国外で働き離ればなれと言う事も、事前に魔導士団長のローレルから聞いていた、王妃はそれを思い出しすぐに千春を抱きしめたのだった。
「はい、今日はこの世界の調味料等が分からなかったのであちらから持参しましたが厨房を見させてもらえば他の料理も作れると思いますので。」
王家の食卓で泣き、王妃の服を濡らしてしまった恥ずかしさもあり、お詫びが出来ればとすぐに了承した、もちろん次は肉料理なんか作って食べてもらいたいなと思っていた。
「チハル様僕もまた食べたいです!」
「ぼくも!」
次男殿下と3男殿下も揃って声を上げた、すごくニコニコしながらお願いしてくるので思わず千春も笑顔になった。
「はい!ライリー様フィンレー様、また作らせて頂きますね。」
笑顔でそう返しエンハルトを見る。
「ではチハル、部屋まで送ろうか、素晴らしい食事を有難う。」
そう言って席を立ち千春の方へ向かう。
「あら?もう遅いわよ?こちらで泊まって行けば良いんじゃないかしら?」
「いえ、部屋にはすぐ戻れますので大丈夫です!」
「そうなの?もう少しお話をしたかったのだけれど・・・。」
王妃は悲しそうに千春に問いかける、美女の愁いを帯びた瞳は反則だった。
「あ・・・うぅ・・・。」
「明日もこちらに来るのでしょう?ローレルと打ち合わせすると聞いていましたけれど。」
「あ、その件は先ほど終わらせましたので大丈夫なんですけれども、明日は魔法の練習をするので来ます。」
「そうなの?私も魔法は得意よ、ローレルよりも教えるのは上手だと思うわよ?」
「え?魔導士団長ですよね?ローレルさん。」
「ええ、その魔法師団長の先生が私だもの。」
「えええええ!」
「決まりね!それじゃ今日はお泊りで明日私と魔法の練習をしましょう!セバス、私の部屋にチハルが泊まれる準備を、エリーナはお茶の準備をお願い。」
王妃は強引に千春が泊まる準備をし、執事長と王妃の侍女か付き人の様なエリーナに指示を行う。
「お、おい、お前の部屋で寝させるのか?」
陛下は急に自分の部屋に泊めると言い出した王妃に問う。
「何か問題が?」
「いや・・・問題は・・・いや、無い。」
陛下は蛇に睨まれた蛙の様に尻込む。
「さぁチハル行きましょうか。」
そう言いながら千春に微笑む、千春はオロオロしながらエンハルトに目を向けたがエンハルトは諦め顔で苦笑いしていた、止める気は無いようだ。
「はい・・・。」
もう返事するしか無いと諦め王妃に付いていく事にした。
---------------------------------------------------
お茶も王妃の部屋で飲むようで、入った部屋はとても広く幾つかに区切られているようだった、奥の部屋が寝室の様だが数人が厳かに準備をしていた。
エリーナと呼ばれた侍女がお茶を入れている、薄い色だが香りが良いハーブティのようだった。
「私ね、娘が欲しかったのよ。」
唐突に王妃が言った。
「ほら、うちは男ばかりじゃない?可愛いんだけど、たまにはぎゅーって抱きしめたいのに嫌がるのよね。」
先ほどの王妃と違い話し方がすごく気さくに・・いやお友達に話すような喋り方で千春に話しかけてきた。
「男の子ってそんな感じじゃないんですか?何処でも、あっちの世界でも男の子は母親に抱き着かれると嫌がるって友達も言ってましたし。」
「何処の世界でもそういう物なのね、そう言う所は可愛げが無いわよね~、息子達が婚約者かお嫁さん連れて来たらと思うけど、連れて来るとしても貴族のお嬢さんでしょう?抱き付いたり出来ないわよね~・・・・・チハル私の娘にならない?」
「えええええ!!!ダメでしょう!国王陛下もダメって言いますよそんな事!」
そう言うと王妃は飄々と。
「大丈夫、ダメとは言わせないから。」
(ダメと言わないじゃなく言わせないなんだ・・・)
ふふん!と言わんばかりの顔で王妃は言い放つ。
「でもチハルが王宮内で自由に出来る事を考えたら都合が良いのよ?異世界の扉は一応秘密にしてあるしチハルはまだ魔導士団の管轄内でしか知られてないから今の内に色々手を打っておいた方が良いと思うの。」
「でも食堂で色々作りましたよ?料理長とか会ってますけど・・・」
「異世界から来た女の子って紹介してないでしょう?大丈夫よ、でも一応念の為に口止めしておきましょうか、エリーナ、セバスに伝えてくれるかしら?」
「はい分かりました。」
そう言って部屋を出るエリーナ、代わりに別の侍女が入って来た。
「あ!サフィー置いてきちゃった!」
「付き人のサフィーナ?」
「はい、料理が終わったら一度厨房に戻る予定だったので多分厨房で待ちぼうけに・・・」
「ふふっそれは可哀そうな事をしちゃったわね。」
エリーナが戻って来た、別にもう一人侍女が入ってきて湯浴みの準備が出来たと報告しに来た。
「あら、もうそんな時間なのね、チハル一緒に行きましょうか。」
「湯浴みって・・・お風呂ですか?」
「ええそうよ。」
嬉しそうに王妃は答える。
「お風呂の準備とか着替えとか・・・ないんですけども?」
「あら、着替えなんかはこっちで準備するから心配しなくても良いわよ?」
「えっと・・・・一度着替えを取りに戻ってもいいですか?」
「そのまま向こうに帰っちゃわないなら良いわよ?」
王妃の圧が半端ないと思いながらもう今日はこっちで泊まる事で諦めた千春は「はい・・」と答え一度向こうに荷物を取りに行く事にした、ついで?にサフィーナも拾って今日はお仕事終わりと伝えなきゃと急いで厨房へ戻る。
「サフィー!」
「あ、チハル!遅かったですね。」
「うん・・・王妃様に捕まった・・・今日王妃様の部屋でお泊り決定してる。」
「えぇぇぇぇ・・・・夕食をお持ちして何でそう言う事になってるんですか?王妃殿下に何をしたんですか・・・。」
呆れたようにサフィーナは千春に問いかける。
「うん、まぁなんか色々ありまして・・・アハハ、取りあえずお泊りセットを部屋まで取りに行ってまた王妃様の所に行くから今日はサフィーお仕事終わりって事で、今日も一日有難うございました。」
「こちらこそ。」
サフィーナはにっこり微笑み千春を部屋まで送る、その後ろには王妃の侍女も一緒に付いてきている。
そして部屋に着いたらすぐに向こうの部屋に戻りスマホの着信や通知の確認、そして着替えとパジャマ、お風呂のセットをリュックにぶち込み急いで戻った。
「ではチハルおやすみなさい。」
「うん、明日は王妃様に魔法を教えてもらう予定だからローレルさんが何か聞きに来たら教えてね。」
「わかりました、私は一応この部屋で待機しておきますね。」
そう言い手を振るサフィーナと別れ王妃の部屋へ戻る千春。
(はぁ・・・なんでこんな事になったのかって・・・私が聞きたいよ!)
---------------------------------------------
その頃国王陛下の部屋には第一王子エンハルトと国王陛下が二人で話をしていた。
「父上、良かったのですか?」
もちろん千春が母親の部屋に泊まる事であった。
「良くは無い・・・が、別に問題が有る訳でもない、チハルがメグに何か出来るとは思えんしな。」
メグとはマルグリット王妃の愛称である、そして王妃に危害を加える事は無いと断言する。
「しかし、あそこは止めるべきだったのでは?」
「止めれるわけないだろう、止めたら氷漬けにされておったわ」
「氷の棺ですか?」
「あぁ、冒険者時代に喧嘩するたびにヤラれたわ、久しぶりにあの目を見たわい、お前も知っておるだろ、母親の冒険者時代に言われていた二つ名は。」
「・・・・はい、『氷の魔女』でしたね。」
「王妃になってから我儘なんぞ言わんから、丸くなったなと思っておったが・・・甘かったわ、まぁ今それを言うても仕方なかろう、メグの事だ何かしらの考えも有っての事だろうから今日は好きなようにさせるわ。」
「そうですね、今さらですから・・・」
「「はぁ・・・・。」」
2人は大きなため息を吐き自分の妻、母親の恐ろしさを再確認したのであった。
落ち着いた千春は王妃にお礼を言った。
「・・・・・。」
マルグリッド王妃は何も言わずニッコリと微笑み千春の頭を撫でる。
「陛下申し訳ありません、母の事を思い出してしまい感傷的になってしまいました。」
「うむ構わんよ、異世界の美味い食事を有難う、思い出の料理だったのだろう美味しいはずだ。」
「ええとても美味しい料理でしたわ、また良かったら異世界の料理を食べさせて頂けるかしら?」
陛下と王妃は共に笑顔で千春に話しかけた、千春の母は幼い頃に亡くなり父親は国外で働き離ればなれと言う事も、事前に魔導士団長のローレルから聞いていた、王妃はそれを思い出しすぐに千春を抱きしめたのだった。
「はい、今日はこの世界の調味料等が分からなかったのであちらから持参しましたが厨房を見させてもらえば他の料理も作れると思いますので。」
王家の食卓で泣き、王妃の服を濡らしてしまった恥ずかしさもあり、お詫びが出来ればとすぐに了承した、もちろん次は肉料理なんか作って食べてもらいたいなと思っていた。
「チハル様僕もまた食べたいです!」
「ぼくも!」
次男殿下と3男殿下も揃って声を上げた、すごくニコニコしながらお願いしてくるので思わず千春も笑顔になった。
「はい!ライリー様フィンレー様、また作らせて頂きますね。」
笑顔でそう返しエンハルトを見る。
「ではチハル、部屋まで送ろうか、素晴らしい食事を有難う。」
そう言って席を立ち千春の方へ向かう。
「あら?もう遅いわよ?こちらで泊まって行けば良いんじゃないかしら?」
「いえ、部屋にはすぐ戻れますので大丈夫です!」
「そうなの?もう少しお話をしたかったのだけれど・・・。」
王妃は悲しそうに千春に問いかける、美女の愁いを帯びた瞳は反則だった。
「あ・・・うぅ・・・。」
「明日もこちらに来るのでしょう?ローレルと打ち合わせすると聞いていましたけれど。」
「あ、その件は先ほど終わらせましたので大丈夫なんですけれども、明日は魔法の練習をするので来ます。」
「そうなの?私も魔法は得意よ、ローレルよりも教えるのは上手だと思うわよ?」
「え?魔導士団長ですよね?ローレルさん。」
「ええ、その魔法師団長の先生が私だもの。」
「えええええ!」
「決まりね!それじゃ今日はお泊りで明日私と魔法の練習をしましょう!セバス、私の部屋にチハルが泊まれる準備を、エリーナはお茶の準備をお願い。」
王妃は強引に千春が泊まる準備をし、執事長と王妃の侍女か付き人の様なエリーナに指示を行う。
「お、おい、お前の部屋で寝させるのか?」
陛下は急に自分の部屋に泊めると言い出した王妃に問う。
「何か問題が?」
「いや・・・問題は・・・いや、無い。」
陛下は蛇に睨まれた蛙の様に尻込む。
「さぁチハル行きましょうか。」
そう言いながら千春に微笑む、千春はオロオロしながらエンハルトに目を向けたがエンハルトは諦め顔で苦笑いしていた、止める気は無いようだ。
「はい・・・。」
もう返事するしか無いと諦め王妃に付いていく事にした。
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お茶も王妃の部屋で飲むようで、入った部屋はとても広く幾つかに区切られているようだった、奥の部屋が寝室の様だが数人が厳かに準備をしていた。
エリーナと呼ばれた侍女がお茶を入れている、薄い色だが香りが良いハーブティのようだった。
「私ね、娘が欲しかったのよ。」
唐突に王妃が言った。
「ほら、うちは男ばかりじゃない?可愛いんだけど、たまにはぎゅーって抱きしめたいのに嫌がるのよね。」
先ほどの王妃と違い話し方がすごく気さくに・・いやお友達に話すような喋り方で千春に話しかけてきた。
「男の子ってそんな感じじゃないんですか?何処でも、あっちの世界でも男の子は母親に抱き着かれると嫌がるって友達も言ってましたし。」
「何処の世界でもそういう物なのね、そう言う所は可愛げが無いわよね~、息子達が婚約者かお嫁さん連れて来たらと思うけど、連れて来るとしても貴族のお嬢さんでしょう?抱き付いたり出来ないわよね~・・・・・チハル私の娘にならない?」
「えええええ!!!ダメでしょう!国王陛下もダメって言いますよそんな事!」
そう言うと王妃は飄々と。
「大丈夫、ダメとは言わせないから。」
(ダメと言わないじゃなく言わせないなんだ・・・)
ふふん!と言わんばかりの顔で王妃は言い放つ。
「でもチハルが王宮内で自由に出来る事を考えたら都合が良いのよ?異世界の扉は一応秘密にしてあるしチハルはまだ魔導士団の管轄内でしか知られてないから今の内に色々手を打っておいた方が良いと思うの。」
「でも食堂で色々作りましたよ?料理長とか会ってますけど・・・」
「異世界から来た女の子って紹介してないでしょう?大丈夫よ、でも一応念の為に口止めしておきましょうか、エリーナ、セバスに伝えてくれるかしら?」
「はい分かりました。」
そう言って部屋を出るエリーナ、代わりに別の侍女が入って来た。
「あ!サフィー置いてきちゃった!」
「付き人のサフィーナ?」
「はい、料理が終わったら一度厨房に戻る予定だったので多分厨房で待ちぼうけに・・・」
「ふふっそれは可哀そうな事をしちゃったわね。」
エリーナが戻って来た、別にもう一人侍女が入ってきて湯浴みの準備が出来たと報告しに来た。
「あら、もうそんな時間なのね、チハル一緒に行きましょうか。」
「湯浴みって・・・お風呂ですか?」
「ええそうよ。」
嬉しそうに王妃は答える。
「お風呂の準備とか着替えとか・・・ないんですけども?」
「あら、着替えなんかはこっちで準備するから心配しなくても良いわよ?」
「えっと・・・・一度着替えを取りに戻ってもいいですか?」
「そのまま向こうに帰っちゃわないなら良いわよ?」
王妃の圧が半端ないと思いながらもう今日はこっちで泊まる事で諦めた千春は「はい・・」と答え一度向こうに荷物を取りに行く事にした、ついで?にサフィーナも拾って今日はお仕事終わりと伝えなきゃと急いで厨房へ戻る。
「サフィー!」
「あ、チハル!遅かったですね。」
「うん・・・王妃様に捕まった・・・今日王妃様の部屋でお泊り決定してる。」
「えぇぇぇぇ・・・・夕食をお持ちして何でそう言う事になってるんですか?王妃殿下に何をしたんですか・・・。」
呆れたようにサフィーナは千春に問いかける。
「うん、まぁなんか色々ありまして・・・アハハ、取りあえずお泊りセットを部屋まで取りに行ってまた王妃様の所に行くから今日はサフィーお仕事終わりって事で、今日も一日有難うございました。」
「こちらこそ。」
サフィーナはにっこり微笑み千春を部屋まで送る、その後ろには王妃の侍女も一緒に付いてきている。
そして部屋に着いたらすぐに向こうの部屋に戻りスマホの着信や通知の確認、そして着替えとパジャマ、お風呂のセットをリュックにぶち込み急いで戻った。
「ではチハルおやすみなさい。」
「うん、明日は王妃様に魔法を教えてもらう予定だからローレルさんが何か聞きに来たら教えてね。」
「わかりました、私は一応この部屋で待機しておきますね。」
そう言い手を振るサフィーナと別れ王妃の部屋へ戻る千春。
(はぁ・・・なんでこんな事になったのかって・・・私が聞きたいよ!)
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その頃国王陛下の部屋には第一王子エンハルトと国王陛下が二人で話をしていた。
「父上、良かったのですか?」
もちろん千春が母親の部屋に泊まる事であった。
「良くは無い・・・が、別に問題が有る訳でもない、チハルがメグに何か出来るとは思えんしな。」
メグとはマルグリット王妃の愛称である、そして王妃に危害を加える事は無いと断言する。
「しかし、あそこは止めるべきだったのでは?」
「止めれるわけないだろう、止めたら氷漬けにされておったわ」
「氷の棺ですか?」
「あぁ、冒険者時代に喧嘩するたびにヤラれたわ、久しぶりにあの目を見たわい、お前も知っておるだろ、母親の冒険者時代に言われていた二つ名は。」
「・・・・はい、『氷の魔女』でしたね。」
「王妃になってから我儘なんぞ言わんから、丸くなったなと思っておったが・・・甘かったわ、まぁ今それを言うても仕方なかろう、メグの事だ何かしらの考えも有っての事だろうから今日は好きなようにさせるわ。」
「そうですね、今さらですから・・・」
「「はぁ・・・・。」」
2人は大きなため息を吐き自分の妻、母親の恐ろしさを再確認したのであった。
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