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G.F. - 夢追娘編 -
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【岡本詩織】
…午後4時41分。
私は帰宅したあと、暖房を付けてLINEを《ピプレ》メンバーのみんなへ【{今日もお疲れさま♡)】って送って…お風呂を準備して、入って…。
アンナさんや春華さんともLINEのやり取りをして…お風呂を出て…そのあとに夜のご飯の準備をしながら…。
『あっ!金魚に帰りに美味しいケーキ奢ってあげるの…忘れちゃったぁ!』
…ごめーん金魚。また今度ね…。
夜ご飯のあとはインターネットに繋いだテレビの前に座り…映画視聴コンテンツで《女妖華》という、ちょっと古いホラー系パニック邦画をレンタルして観ました。
私、本当は…ホラー系は映画も、漫画も、ゲームも…ほんとに苦手なんですけど。
公貴くんが9歳の頃に出演した映画。
この映画作品の監督を務めていたのも…今日聞いた《赤橋敏夫》監督です…。
忌み嫌われ…様々な怪異が現れると言われて、入山することを厳しく禁じられた…森深きとある山。
そんなとある初夏の日の浅き夕暮れ…近くの公園で数人で遊び、バイバイって彼らと別れた、公貴くんが演じる男の子は…女性らしき不思議な声に誘われて、独りであの山へ入ってしまい…目の前にぶら下がった小さな果物のような…怪しい木の実を食べてしまいます。
そのあとは…何もなく無事に家に帰れて…。
3日後…天気のいい家の庭で、お母さんの洗濯物干しのお手伝いをしていた公貴くん男児。
家の中で電話が鳴り、お母さんが家の中へ…。
お母さんが公貴くん男児から目を離してしまい、そしてしばらくして…。
空は荒れ…公貴くんのお腹がゆっくりと裂け、大きな芽が出て…口や耳やお尻から触手のような木の根が出てきて…公貴くん男児は亡くなってしまいます…。
そしてそれは家の庭で、あっという間に大樹へと成長し…大きな花が7つ咲き…実がなり、それはそれぞれが怪しく美しい女性となり、庭に堕ちて…家の中に居た公貴くん男児のお母さんとお婆ちゃん、それに飼ってた可愛いワンちゃんが襲われ…そして次第に街を襲いはじめます…。
それからは…日本中各所から集まった怪異封印師と呼ばれる人たちと、女妖華らとの荒々しい戦いへと発展…。
公貴くんが演じたのは、映画の最初のたった10分ほどでした。
けれども、公貴くんはその映画の冒頭を、子役とは思えないような演技でしっかりとやり切っていました。
彼のこの演技がなければ、この映画は始まらなかったんですから…凄いです。この映画が無事に完成できたのも、ある意味…彼のおかげですよね。
体が裂けるときの苦しそうな表情と涙…全身の震え…可哀想で見ていられないぐらいの、もがき苦しむ姿…。
本当に子役の演技?と思ってしまうぐらい…本当に凄いんです。
当時も映画のCGはあったと思います。
けれど、今日の映画ほどのCG技術は無かったはずです。
それなのに、この演技力…本当に公貴くんは、当時の天才子役だったんだよね。ごめんね…。
私は…公貴くんの演技するシーンが終わって、そのあとも映画を30分ほど観てたんですけど…視聴をやめました。
もう十分です。私は映画を観たかったんじゃなくて…公貴くんのこの演技を観たかったんですから。
公貴くんはこの作品で《助演子役賞》を与えられています。
公貴くん…本当に凄い男の子なんだ…。
いつしか私は…映画のこの公貴くんの演技に…感動…?
涙が止まらなくなってて…泣いちゃっていました…。
もし私が今このまま9歳になったとしても…できないよ。こんな凄い演技…。
私も…公貴くんみたいな、こんな凄い女優になりたい…なりたい…!
あっ!でも私が演技する役柄は、もっと…こう…えっと…お姫様みたいな可愛いのがいいなー!…なんて思うけど…。
それなのに…こんな凄い演技ができるのに…なんで?
なぜ今、彼は…公貴くんは、映画やドラマの俳優をしないの?
冴嶋芸能事務所ビルの中で引き篭もるように…もう十分なのに…演技練習しかしてないの?
…俳優できないの?できないって…。
なんで…?
…ねぇ……なんで……??
…午後4時41分。
私は帰宅したあと、暖房を付けてLINEを《ピプレ》メンバーのみんなへ【{今日もお疲れさま♡)】って送って…お風呂を準備して、入って…。
アンナさんや春華さんともLINEのやり取りをして…お風呂を出て…そのあとに夜のご飯の準備をしながら…。
『あっ!金魚に帰りに美味しいケーキ奢ってあげるの…忘れちゃったぁ!』
…ごめーん金魚。また今度ね…。
夜ご飯のあとはインターネットに繋いだテレビの前に座り…映画視聴コンテンツで《女妖華》という、ちょっと古いホラー系パニック邦画をレンタルして観ました。
私、本当は…ホラー系は映画も、漫画も、ゲームも…ほんとに苦手なんですけど。
公貴くんが9歳の頃に出演した映画。
この映画作品の監督を務めていたのも…今日聞いた《赤橋敏夫》監督です…。
忌み嫌われ…様々な怪異が現れると言われて、入山することを厳しく禁じられた…森深きとある山。
そんなとある初夏の日の浅き夕暮れ…近くの公園で数人で遊び、バイバイって彼らと別れた、公貴くんが演じる男の子は…女性らしき不思議な声に誘われて、独りであの山へ入ってしまい…目の前にぶら下がった小さな果物のような…怪しい木の実を食べてしまいます。
そのあとは…何もなく無事に家に帰れて…。
3日後…天気のいい家の庭で、お母さんの洗濯物干しのお手伝いをしていた公貴くん男児。
家の中で電話が鳴り、お母さんが家の中へ…。
お母さんが公貴くん男児から目を離してしまい、そしてしばらくして…。
空は荒れ…公貴くんのお腹がゆっくりと裂け、大きな芽が出て…口や耳やお尻から触手のような木の根が出てきて…公貴くん男児は亡くなってしまいます…。
そしてそれは家の庭で、あっという間に大樹へと成長し…大きな花が7つ咲き…実がなり、それはそれぞれが怪しく美しい女性となり、庭に堕ちて…家の中に居た公貴くん男児のお母さんとお婆ちゃん、それに飼ってた可愛いワンちゃんが襲われ…そして次第に街を襲いはじめます…。
それからは…日本中各所から集まった怪異封印師と呼ばれる人たちと、女妖華らとの荒々しい戦いへと発展…。
公貴くんが演じたのは、映画の最初のたった10分ほどでした。
けれども、公貴くんはその映画の冒頭を、子役とは思えないような演技でしっかりとやり切っていました。
彼のこの演技がなければ、この映画は始まらなかったんですから…凄いです。この映画が無事に完成できたのも、ある意味…彼のおかげですよね。
体が裂けるときの苦しそうな表情と涙…全身の震え…可哀想で見ていられないぐらいの、もがき苦しむ姿…。
本当に子役の演技?と思ってしまうぐらい…本当に凄いんです。
当時も映画のCGはあったと思います。
けれど、今日の映画ほどのCG技術は無かったはずです。
それなのに、この演技力…本当に公貴くんは、当時の天才子役だったんだよね。ごめんね…。
私は…公貴くんの演技するシーンが終わって、そのあとも映画を30分ほど観てたんですけど…視聴をやめました。
もう十分です。私は映画を観たかったんじゃなくて…公貴くんのこの演技を観たかったんですから。
公貴くんはこの作品で《助演子役賞》を与えられています。
公貴くん…本当に凄い男の子なんだ…。
いつしか私は…映画のこの公貴くんの演技に…感動…?
涙が止まらなくなってて…泣いちゃっていました…。
もし私が今このまま9歳になったとしても…できないよ。こんな凄い演技…。
私も…公貴くんみたいな、こんな凄い女優になりたい…なりたい…!
あっ!でも私が演技する役柄は、もっと…こう…えっと…お姫様みたいな可愛いのがいいなー!…なんて思うけど…。
それなのに…こんな凄い演技ができるのに…なんで?
なぜ今、彼は…公貴くんは、映画やドラマの俳優をしないの?
冴嶋芸能事務所ビルの中で引き篭もるように…もう十分なのに…演技練習しかしてないの?
…俳優できないの?できないって…。
なんで…?
…ねぇ……なんで……??
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