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G.F. - 夢追娘編 -

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…次の出来事は…1月30日。火曜日。
この日は僕の運転免許試験、本試験の日。

千葉県船橋市内某所のアパートに住んでいる僕は、同県千葉市某所の運転免許センターで試験…そして無事に合格できました。

…で、この日の出来事は…この運転免許証取得の報告以外は特には無いので…はい次。



あ、そうそう。
アンナさんとの電話の際、遠くで《五十峯さん》という女性の声が聞こえていたけど…その女性40代半ばの人で、藤浦市浅見区内で小さな美容室を個人経営している女性なんだとか。

そして同業者であることを通じて、アンナさんとも頻繁に情報交換などもし合うほどの親密な友人関係。

あの日もアンナさんと東京まで一緒に行って、アイデアを出し合いながら店内の内装や飾り付けを手伝ってくれていたらしい。
それで、娘さんの名前が《五十峯雫》ちゃん…だったよね?確か。



では改めて…次。


1月31日。水曜日。
この日も朝から《可愛い女の子さえも一目惚れさせる、そんな可愛い女装の研究》を兼ねて、メイクをして金魚に変身して準備。
そして午前9時30分に、冴嶋芸能事務所ビル前で詩織と待ち合わせ…。


『おーはよっ。金魚』

『おはよう。詩織』

『金魚っ今日も可愛いねッ♪』

『うん、ありがとう…』


それから冴嶋芸能事務所のビルの中へ。
そして事務所に入り…事務所の男性社員さん達にガン見され、驚かれ…女性社員さん達にはジロジロと見られ…それが女装と解ると、きゃあきゃあと騒がれ…。

そんな様子を見てた詩織が『きゃはは♪』『うふふっ♪』と笑って見せて…。

まぁ…この話はこれぐらいにしといて。




運転免許証を無事に取得できたことを、人事部長である高須賀あずささんに報告し終えると…。


『ねぇねぇ、はい待って。信吾くん』


…えっ?

声を掛けてきたのは…人気若手女優の寺本陽凪さん。


『運転免許証、無事に貰えたんでしょ?』

『あ…はい』

『じゃあ今から行こう。中古車屋さんに』

『いっ、今から!?』


陽凪さんは僕の左肩を、自身の右掌でポンと叩いて…ニッコリ。


『《善は急げ》よ?じゃあ詩織ちゃんも呼んできて』

『えっ!?ちょっ…待っ…』


陽凪さんは、高須賀人事部長に向かって手を振った。


『あずささーん、可愛い方の信吾くん、ちょっと借りてってもいいですかー?』

「はーい。気をつけていってらっしゃい」


高須賀人事部長…。
そんな簡単に許可を出されても…。


『聞いちゃったよ?金魚。じゃあ三人でお出掛け行きましょっ♪』

『…。』







冴嶋芸能事務所ビルを出て…少し歩いて…左へ曲がって…もう少し歩いて…着いた冴嶋芸能事務所専用駐車場。
そこに停まっていた陽凪さんの大きなクルマ…トヨタ車でピカピカ白色のミニバンに乗り込んだ。

陽凪さんは、もちろん運転席。
僕と詩織は後ろの座席。



…着いたところは、三鷹市。
ジブリ美術館のほど近く。


中古車屋さんの小さな事務所から出てきた、60代だろう白髪混じりの、筋肉張りの迫力あるおじさん。


『陽凪、この子らか?』


…陽凪さんを呼び捨て…誰?


『うん、そうよ。お父さん』


…は?
えぇぇーっ!?


『おおっ?姉ちゃん、また可愛い子を連れてきたなぁ!』


事務所横の整備工場から出てきたお兄さん…って!?姉ちゃん!?

じゃあ陽凪さんの…弟さん!?


『あの…陽凪さん?ここって…』

『そうよ。私のお父さんと弟が経営してるお店。他にも整備士のおじさんが2人と、事務所に女の子が1人いるけど』


…そういうこと…だったらしい。
陽凪さんのご家族経営の中古車販売店でした…。

別にいいんだけど…。


…一旦、事務所へと誘われて中へ。


『うわーぁ…』


事務所の中は、陽凪さんの出演したドラマや映画のポスター、陽凪さんのサイン色紙、陽凪さんの高校生学生時代の写真…そんなのが壁にびっしり。


『お父さん…恥ずかしいからやめてって言ったでしょ…私の高校ん時の写真、壁に貼るの…』

『でも可愛いー♪陽凪さんの学生時代の写真ー♪』


…詩織の一言で、陽凪さんのお父さんはガハハハハと大笑い。


『ほら見ろ陽凪。この子だってそう言ってるじゃねぇか!』

『す、すみません…詩織が…』


僕が詩織の代わりに陽凪さんに謝ると…陽凪さんもニコッと笑ってくれた。


『じゃあ…お父さん。写真剥がすの、あと1年だけ延長してあげる』

『おぉ。そりゃ助かるぜ娘』






そして…ようやく展示してある中古車を見せてもらいに、案内してもらえた。

案内してくれたのは、陽凪さんの弟さん。


『軽(自動車)だったよな?欲しい車』

『あ…はい』
『そうでーす♪』


目の前には、並んでいる10台余りの軽自動車。
弟さんが1台1台紹介してくれたあとに…なんか変なことを言った。


『えっ?このクルマのどれかを、私たちに売って譲ってくれるんじゃなくて??』


そう言って詩織も驚きの顔。


『あぁ。ここに置いてある"軽"は《軽の参考イメージ》と思ってくれるといい』


今目の前にある軽自動車は、陽凪さんからの紹介客…特別な顧客さま相手には販売をお勧め軽自動車らしい…?


『イメージができたら、あとはオークションでそれの《最良車》《優良車》を探して買い付けてくる。ってこと』


結局…また事務所に戻って、パソコンで《欲しい軽自動車のイメージ》をお伺い。

そこからさらに絞って、車種の選出…それと予算の聞き出し。


『じゃあ…この車種の、ボディは茶色でルーフが白…予算は120万円から150万円ぐらいまで…でいいかい?』


陽凪さんのお父さんから、可否を求められる。

クルマは…全部、詩織の意見で決められた。
色も、車種も、それと予算までも…。


『ねー♪このクルマ可愛いねー金魚♪見た目はレトロチックだし、色も茶色と白でガトーショコラみたいだし。ねー♪』

『…。』


…そ、そうかなぁ。
僕は別にそうは思わ…。


『早く乗りたいねッ♪…ね?』

『うっ、うん。じゃあ…お、お願いします…』

『よしきた!あとはウチの店に任せとけ!』

『…はい』


そのあと…詩織から『初めて金魚が買うクルマなんだから、二人でクルマの名前考えようよ♪』って…。

要る?クルマに名前なんて…?
普通…付けなくない?

でも…そんなことは詩織に面と向かってなんて、い…言えない…。


『う…うん…名前ね…』

『ねー♪やっぱり可愛い名前がいいよねー♪』

『…。』






…こうして、僕が購入する予定の中古の軽自動車は、オークションにて探されることになった…。

はい、次…。























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