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G.F. - 夢追娘編 -
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芸能事務所《Kira♠︎m》に所属する、10人ものアイドルメンバーたちが、東京上野某所の…全階がキャバクラで埋まった7階建てのビルから出てきた…?
…んん?
僕は、詩織と互いを見合って首を傾げた…。
『はっ、まっ待って!!』
えっ、なに何!?詩織…??
詩織は脳裏に何か思いついたのか…急に閃いて驚いたかような表情を僕に見せた…?
『まさか…あの子たち、事務所や芸能界には内緒で、コソコソとキャバクラで働い…』
『…と思うでしょ?』
『えっ?』
せっかく閃いた詩織の考察を、海音さんは最も簡単に否定した。
『だって考えてみて。私たちがあの子たちと出会った時間は"20時頃"だったんだよ』
うん。20時…?
『今からがっつり稼ぐ!営業開始の時間よ!ってときに…全員でお店を出ていくって…おかしくない?』
あー、うん。確かに。
それに、あの夜の《Kira♠︎m》アイドルのメンバーの中には、未成年もいたらしいし。
となると…未成年を働かせると、店側が罰せられるんだから…やっぱり《働いてる説》はないのかな…?
じゃあ、だったら何で?そんなビルから彼女たちが出てきた…?
『でも私、しっかりと覚えてるんだ。そのビルを見上げた最上階…7階に』
…見上げた7階に…?
『《Luxury-Night CabaretClub Kira⭐︎m》って看板があったこと。変だよね!怪しいというか…』
えっ?キャバレークラブ…キラム!?
キラムっていうキャバクラ店…ど、どどういうこと!?
『なんでそんな名前のキャバクラ店があるのかは…私もわからないんだけど』
『そ、そうだよね。なんでそんな名前のお店が…』
海音さんの話から、何か謎が解けるのかと思ったけど…謎が余計に深まってしまっただけだった…。
そして、そんな《腑に落ちない謎》をそこに残したまま…僕らは堀内芸能事務所から出て、冴嶋芸能事務所への帰路に着いた…。
『もうお昼、とっくに過ぎちゃってたね。お腹空いたーぁ…』
…可愛らしい苦笑いを僕に見せた詩織。
堀内芸能事務所を出て…一旦は地下鉄の中目黒駅を目指して歩いていた僕ら。
『うん。僕もお腹空いたから、とりあえず…冴嶋芸能事務所に戻る前に、何かお昼食べてく?』
僕はそう詩織に言って返した。
『うんっ!食べたーぁい!』
じゃあ遅めのお昼はお寿司!…は止めて…適当に近くのファミレスを探して入ることにした。
『色々あったけど…金魚。メンバーのみんなに「可愛い!」って言ってもらえて、良かったね!』
『あっ、詩織。駅のこんな近いところにサイゼ…あるじゃん』
『ちょっと…ねぇ金魚!私の話ちゃんと聞こえてる?』
『…えっ?』
僕はスマホのナビ地図を見ながら…もちろん歩く歩道の目の前も、人とぶつからないようにちゃんとチラリチラリと見て確認しながら…ファミレスを探して歩いていたんだけど、詩織のその一言に今…一旦ピタリとその場に立ち止まった。
…で…ごめん。
詩織…ちょっと聞こえてなかった…かも。
『けど…千景ちゃんだけは《金魚》を見て、「怖い怖い…」って言ってたよね…』
そう僕が言うと、詩織は…。
『えっ?きゃはははー♪』
…??
『何言ってんのー。あれは金魚にとって最高の褒め言葉でしょ?』
えっ?金魚にとって…最高の褒め言葉?
「怖い怖い…」が…??
『あなた…ほんとに解ってないのね。なんで千景ちゃんの「怖い」が褒め言葉なのか』
ん…うん。
考えても考えても…全然解らない…。
『あの時の千景ちゃんの顔、見た?』
…見てない。
『あんなに頬っぺを赤くして、恥ずかしそうに金魚を見ながら「怖い」って言ってたんだから…って、まだ解らない?』
うん…ごめん。
『んもぅ、鈍感なんだからぁ。じゃあ…私と一緒に答え合わせしましょ』
…!!
そういうこと…だったんだ…!
僕は詩織の説明を聞いて、やっと理解した…納得!
『…つまりはね、「怖い…」は金魚に向かって言ってたんじゃないの』
そう…だったらしい!
『「金魚がこんなに可愛いから私…本気で好きになっちゃうかもしれない…!」って…それが千景ちゃんが自分自身に「金魚に一目惚れしちゃう…怖い!」って言ってたってことなの!』
「怖い…」が「好き…」の言葉の裏返し?…って…。
…なんて、男だったら誰も気付かないよ!そんな言葉の裏返しなんて!
僕は本当に解らなかったよ!!
なんだよ!難しいなぁ!女の子の気持ちって!!
『今の私の説明で理解できた?千景ちゃんの《怖い》が《最高の褒め言葉》っていう…』
うん。今ようやく。
そして…詩織から、それを聞いた僕の頭の中では《!》が浮かび上がっていた。
ずっと悩んでた…どう金魚で戦えば、《Kira♠︎m》で一番可愛いといわれる女の子たち…伊方つぐみさんと西尾美優貴さんに勝てるのか。
金魚のメイク技術だけでは勝てない気がしてた…もっとメイクを研究し、ただ闇雲に変えようとする度に、余計に変なメイクになりかけてた…。
それだけ、金魚のメイクは完成されたカタチだったから。
可愛い女の子が、金魚に一目惚れする…。
彼女らを金魚が一目惚れさせる!
もし、それができたらたなら…可愛さで負けても《勝つ!》ことはできるかもしれない…!
相手に《参りました…》《負けを認めます…》と、言わせることができるかもしれない!!
…そうだ!
今ようやく気付けた…!
やっぱり、もっとメイクを研究しよう!
金魚はまだまだ‥メイクで可愛く、誰よりも魅力的になれる!!
『…んだからね。私は「怖い」なんてならないし、私だって金魚のことは大好きよ。けど…そこが千景ちゃんとの《精神的な成長の違い》だったりするのかなぁ…』
『ねぇ、詩織…』
『えっ?う、うん…急に、なぁに?』
不思議な表情で僕を見る詩織に、僕はニコリと微笑んだ。
『ありがとう。僕、大丈夫な気がする…絶対!』
『えっ?…と…な、何が…?』
こんなに、心から嬉しい…心地よい気持ちは…久しぶり。
『ねぇ…ってか急に、今なんで可愛いさが増したの?ねぇ』
少し慌てたように、不思議そうにそう僕に訊いてきた詩織。
『可愛さ…増した?そうかなぁ』
…ん?
なんか…僕が今見た詩織は、いつもより少し恥ずかしそうに…頬が赤くなってる?ような気がした…。
『うん。急にね…金魚の笑顔が…凄く。今までよりもずっと可愛く見えた…ってか私、今急に何故か…凄くドキドキしちゃってて…』
何だか今、僕は気持ちも体も軽い。
あんなに凄く可愛いアイドルたちに、金魚は勝てる…そんな気がするんだ。
まだ金魚は、もっともっと可愛くなれる…成長できる!
僕の女装…池川金魚は!!
…んん?
僕は、詩織と互いを見合って首を傾げた…。
『はっ、まっ待って!!』
えっ、なに何!?詩織…??
詩織は脳裏に何か思いついたのか…急に閃いて驚いたかような表情を僕に見せた…?
『まさか…あの子たち、事務所や芸能界には内緒で、コソコソとキャバクラで働い…』
『…と思うでしょ?』
『えっ?』
せっかく閃いた詩織の考察を、海音さんは最も簡単に否定した。
『だって考えてみて。私たちがあの子たちと出会った時間は"20時頃"だったんだよ』
うん。20時…?
『今からがっつり稼ぐ!営業開始の時間よ!ってときに…全員でお店を出ていくって…おかしくない?』
あー、うん。確かに。
それに、あの夜の《Kira♠︎m》アイドルのメンバーの中には、未成年もいたらしいし。
となると…未成年を働かせると、店側が罰せられるんだから…やっぱり《働いてる説》はないのかな…?
じゃあ、だったら何で?そんなビルから彼女たちが出てきた…?
『でも私、しっかりと覚えてるんだ。そのビルを見上げた最上階…7階に』
…見上げた7階に…?
『《Luxury-Night CabaretClub Kira⭐︎m》って看板があったこと。変だよね!怪しいというか…』
えっ?キャバレークラブ…キラム!?
キラムっていうキャバクラ店…ど、どどういうこと!?
『なんでそんな名前のキャバクラ店があるのかは…私もわからないんだけど』
『そ、そうだよね。なんでそんな名前のお店が…』
海音さんの話から、何か謎が解けるのかと思ったけど…謎が余計に深まってしまっただけだった…。
そして、そんな《腑に落ちない謎》をそこに残したまま…僕らは堀内芸能事務所から出て、冴嶋芸能事務所への帰路に着いた…。
『もうお昼、とっくに過ぎちゃってたね。お腹空いたーぁ…』
…可愛らしい苦笑いを僕に見せた詩織。
堀内芸能事務所を出て…一旦は地下鉄の中目黒駅を目指して歩いていた僕ら。
『うん。僕もお腹空いたから、とりあえず…冴嶋芸能事務所に戻る前に、何かお昼食べてく?』
僕はそう詩織に言って返した。
『うんっ!食べたーぁい!』
じゃあ遅めのお昼はお寿司!…は止めて…適当に近くのファミレスを探して入ることにした。
『色々あったけど…金魚。メンバーのみんなに「可愛い!」って言ってもらえて、良かったね!』
『あっ、詩織。駅のこんな近いところにサイゼ…あるじゃん』
『ちょっと…ねぇ金魚!私の話ちゃんと聞こえてる?』
『…えっ?』
僕はスマホのナビ地図を見ながら…もちろん歩く歩道の目の前も、人とぶつからないようにちゃんとチラリチラリと見て確認しながら…ファミレスを探して歩いていたんだけど、詩織のその一言に今…一旦ピタリとその場に立ち止まった。
…で…ごめん。
詩織…ちょっと聞こえてなかった…かも。
『けど…千景ちゃんだけは《金魚》を見て、「怖い怖い…」って言ってたよね…』
そう僕が言うと、詩織は…。
『えっ?きゃはははー♪』
…??
『何言ってんのー。あれは金魚にとって最高の褒め言葉でしょ?』
えっ?金魚にとって…最高の褒め言葉?
「怖い怖い…」が…??
『あなた…ほんとに解ってないのね。なんで千景ちゃんの「怖い」が褒め言葉なのか』
ん…うん。
考えても考えても…全然解らない…。
『あの時の千景ちゃんの顔、見た?』
…見てない。
『あんなに頬っぺを赤くして、恥ずかしそうに金魚を見ながら「怖い」って言ってたんだから…って、まだ解らない?』
うん…ごめん。
『んもぅ、鈍感なんだからぁ。じゃあ…私と一緒に答え合わせしましょ』
…!!
そういうこと…だったんだ…!
僕は詩織の説明を聞いて、やっと理解した…納得!
『…つまりはね、「怖い…」は金魚に向かって言ってたんじゃないの』
そう…だったらしい!
『「金魚がこんなに可愛いから私…本気で好きになっちゃうかもしれない…!」って…それが千景ちゃんが自分自身に「金魚に一目惚れしちゃう…怖い!」って言ってたってことなの!』
「怖い…」が「好き…」の言葉の裏返し?…って…。
…なんて、男だったら誰も気付かないよ!そんな言葉の裏返しなんて!
僕は本当に解らなかったよ!!
なんだよ!難しいなぁ!女の子の気持ちって!!
『今の私の説明で理解できた?千景ちゃんの《怖い》が《最高の褒め言葉》っていう…』
うん。今ようやく。
そして…詩織から、それを聞いた僕の頭の中では《!》が浮かび上がっていた。
ずっと悩んでた…どう金魚で戦えば、《Kira♠︎m》で一番可愛いといわれる女の子たち…伊方つぐみさんと西尾美優貴さんに勝てるのか。
金魚のメイク技術だけでは勝てない気がしてた…もっとメイクを研究し、ただ闇雲に変えようとする度に、余計に変なメイクになりかけてた…。
それだけ、金魚のメイクは完成されたカタチだったから。
可愛い女の子が、金魚に一目惚れする…。
彼女らを金魚が一目惚れさせる!
もし、それができたらたなら…可愛さで負けても《勝つ!》ことはできるかもしれない…!
相手に《参りました…》《負けを認めます…》と、言わせることができるかもしれない!!
…そうだ!
今ようやく気付けた…!
やっぱり、もっとメイクを研究しよう!
金魚はまだまだ‥メイクで可愛く、誰よりも魅力的になれる!!
『…んだからね。私は「怖い」なんてならないし、私だって金魚のことは大好きよ。けど…そこが千景ちゃんとの《精神的な成長の違い》だったりするのかなぁ…』
『ねぇ、詩織…』
『えっ?う、うん…急に、なぁに?』
不思議な表情で僕を見る詩織に、僕はニコリと微笑んだ。
『ありがとう。僕、大丈夫な気がする…絶対!』
『えっ?…と…な、何が…?』
こんなに、心から嬉しい…心地よい気持ちは…久しぶり。
『ねぇ…ってか急に、今なんで可愛いさが増したの?ねぇ』
少し慌てたように、不思議そうにそう僕に訊いてきた詩織。
『可愛さ…増した?そうかなぁ』
…ん?
なんか…僕が今見た詩織は、いつもより少し恥ずかしそうに…頬が赤くなってる?ような気がした…。
『うん。急にね…金魚の笑顔が…凄く。今までよりもずっと可愛く見えた…ってか私、今急に何故か…凄くドキドキしちゃってて…』
何だか今、僕は気持ちも体も軽い。
あんなに凄く可愛いアイドルたちに、金魚は勝てる…そんな気がするんだ。
まだ金魚は、もっともっと可愛くなれる…成長できる!
僕の女装…池川金魚は!!
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