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G.F. - 夢追娘編 -
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『…おい、栗原先輩!解ってんのか!?そいつの正体…悪魔だぞ!!』
公貴くんが陽凪さんに向かって叫んだ。
陽凪さんは雅季さんに寄り添っていた。
『うん、解ってる。だけど私…やっぱり…彼のことを、もう…』
『お前の負けだよ。山岸裕也。僕の魔法に掛かった彼女は、もう僕の虜さ…ハハハハ』
雅季さんが陽凪さんの肩を抱き、公貴を指差して嘲笑いだした。
『なぁ…頼むよ!覚ましてくれよ!栗原先輩!俺、俺…先輩のことが!前から好きだったんだよ!!』
『…えっ?ちょっ…急に何を…山岸くん!?』
公貴くんが陽凪さんに向かって腕を伸ばす。
『だから!そいつから離れて、戻って来てくれ!!先輩!早く!』
『えっ、そんな…私、ど…どうすれば…』
『まさか…?魔法が解けだしただと…!?』
…次の《演技勝負》の最中。
ジャンルは【バラエティ寄りのファンタジー系学園恋愛ドラマ】らしい…って言われても、僕はよく解らないけど。
でも、詩織とみかなちゃんは、その演技風景に釘付けだった。
『ぐあぁぁーっ!!お…お前…その聖なる弓矢を…どこで手に…』
…んー。
やっぱり僕はよく解らない。
けど、3人の演技の迫力と臨場感は、何となく凄く感じられた。
僕にはあんな迫真の演技とか、『じゃあお前がやってみろ』と言われても…できないけど。
『…やっぱり俺ももう31だから、学生役とかもうキツいな…』
『うん。私も。私たちはどちらかというと、生徒役よりも教員役寄りだもんね。年齢的に』
『ってか、バラエティ系とかパロディ系のドラマとか俺らには、たぶん合わないんだよ』
『まぁ…だな。公貴。確かに』
雅季さんと陽凪さんは、お互いを見合って苦笑いしてた。
公貴くんは、少し疲れた表情を見せていた。
『でも凄かったです!やっぱりプロの演技!って感じで感動しました!パチパチパチー♪』
スッと立ち上がった詩織は拍手とともに、称賛する言葉を3人に送っていた。
『よーし。じゃあここで…』
浅見さんが立ち上がって、僕らを順に見て…最後に詩織を見た。
『…詩織ちゃん。君もどれくらい演技ができるのか、僕らに見せてくれないかい?』
『えっ!?わっ…私…ですか?』
浅見さんは優しく微笑みながら、詩織に頷いて見せた。
そして詩織は突然のことに、少し落ち着きを失って戸惑いの様子であたふたしてた。
『君は去年の12月、皐月理事長が校長を務める《タレント養成スクール》に5日間行ってきたそうじゃないか』
『はい…でもあの時は私、アイドルのレッスン体験として…』
『けど役者のレッスンも受けてきたんだろう…?』
浅見さんのその一言に、詩織は何か諦めがついたように…ふと落ち着きを取り戻した。
『浅見さん…演技のレッスン体験を受けたって言っても…2日だけですよ』
浅見さんは、戸惑う詩織にまたニコリと笑顔を見せながら、ウンと一度大きく頷いた。
『僕はね…高須賀人事部長から、ちらっと聞いたんだよ。皐月理事長が冴嶋社長に《詩織ちゃんは絶対に、アイドルじゃなく女優の道を進ませるべき》って、言ったんだって話をね』
『あっ、あ…でも!』
『うん。解ってるよ。大槻専務取締役だろう?』
詩織は『…はい』と答える代わりに、悩み苦しむような表情で、小さく頷いた。
…大槻専務取締役は、子役経験も演劇部の所属もなかった詩織に『君が女優になるのは難しい』って、ハッキリと言った。
『まずはアイドルから…』なんて言い方をしてたけど…たぶんそれを許してはくれないんだろう。
大槻専務取締役に詩織が『女優への道を進ませてください!』って願い出ても…。
冴嶋社長も、大槻専務取締役のその考えというか判断に、渋々ながらも賛同したふうだったし。
『…僕はね、今まで会社の方針に何一つ逆らわず、所属するタレントたちを指導し育ててきた。そりゃあ何十人もね』
けど、確か前に…浅見さんは『役者を指導するのは僕はできるけど、アイドルはちょっと…なぁ』って言ってた。
『けどね、会社には申し訳ないが…今回ばかりは一言物申したい気分なんだ』
詩織の肩を、浅見さんがポンと叩いた。
『子役経験が無いからって何だい?演劇部じゃなかったからって…だからどうした?』
浅見さんが派手にワハハと笑った。
『あの皐月理事長が見抜いたんだ。詩織ちゃんの演技力とその可能性を。絶対女優にさせるべき!ってね』
『…で、でも…』
『自信を持って。君の成りたい本心は何処にあるんだい?アイドルかい?違うだろう?』
なかなか『はい!』と言わない詩織。
それを見兼ねてか…公貴くんが詩織を睨むように見た。
『おい詩織。いいから難しいことなんか何も考えずやってみろよ…演技』
『…えっ』
『見せてみろよ。皐月理事長とやらが見抜いたとかいう、お前の演技力ってのを。俺らに』
詩織が怯えるような目で、公貴くんをじっと見返す…。
『やってみたら?詩織ちゃん。間違えたって失敗したって、私たちは詩織ちゃんを絶対に笑ったりしないから』
陽凪さんも優しく、詩織に笑顔でそう言った。
『軽い気持ちでいいよ。遊びと思えばいい。ゆっくり落ち着いてやってみよう』
雅季さんも詩織を応援の言葉を詩織に送ったあと…詩織は。
『…信吾ぉ、どぉしよぉ…』
僕は、詩織に『頑張ろう』の代わりの笑顔を送ることしかできなかった。
けど、僕も信じてる。詩織ならできる。
きっと詩織の演技を見て、浅見さんも陽凪さんも…公貴くんも絶対に驚くはずだよ!
詩織の凄い演技力で、ビックリさせてやろうよ!
このプロの俳優のみんなを!
だから詩織!頑張ろう!
『やろうよ!詩織ちゃん!私だって応援してるよ!』
最後に…木橋みかなちゃんも瞳をキラキラと輝かせながら、大きな声で詩織にそう言ってくれた。
みかなちゃんの満面の笑顔に釣られたのか、緊張した詩織の表情も少し緩んで…ほんの一瞬だけ笑って見せた。
『えっと…じゃあ…私…』
公貴くんが陽凪さんに向かって叫んだ。
陽凪さんは雅季さんに寄り添っていた。
『うん、解ってる。だけど私…やっぱり…彼のことを、もう…』
『お前の負けだよ。山岸裕也。僕の魔法に掛かった彼女は、もう僕の虜さ…ハハハハ』
雅季さんが陽凪さんの肩を抱き、公貴を指差して嘲笑いだした。
『なぁ…頼むよ!覚ましてくれよ!栗原先輩!俺、俺…先輩のことが!前から好きだったんだよ!!』
『…えっ?ちょっ…急に何を…山岸くん!?』
公貴くんが陽凪さんに向かって腕を伸ばす。
『だから!そいつから離れて、戻って来てくれ!!先輩!早く!』
『えっ、そんな…私、ど…どうすれば…』
『まさか…?魔法が解けだしただと…!?』
…次の《演技勝負》の最中。
ジャンルは【バラエティ寄りのファンタジー系学園恋愛ドラマ】らしい…って言われても、僕はよく解らないけど。
でも、詩織とみかなちゃんは、その演技風景に釘付けだった。
『ぐあぁぁーっ!!お…お前…その聖なる弓矢を…どこで手に…』
…んー。
やっぱり僕はよく解らない。
けど、3人の演技の迫力と臨場感は、何となく凄く感じられた。
僕にはあんな迫真の演技とか、『じゃあお前がやってみろ』と言われても…できないけど。
『…やっぱり俺ももう31だから、学生役とかもうキツいな…』
『うん。私も。私たちはどちらかというと、生徒役よりも教員役寄りだもんね。年齢的に』
『ってか、バラエティ系とかパロディ系のドラマとか俺らには、たぶん合わないんだよ』
『まぁ…だな。公貴。確かに』
雅季さんと陽凪さんは、お互いを見合って苦笑いしてた。
公貴くんは、少し疲れた表情を見せていた。
『でも凄かったです!やっぱりプロの演技!って感じで感動しました!パチパチパチー♪』
スッと立ち上がった詩織は拍手とともに、称賛する言葉を3人に送っていた。
『よーし。じゃあここで…』
浅見さんが立ち上がって、僕らを順に見て…最後に詩織を見た。
『…詩織ちゃん。君もどれくらい演技ができるのか、僕らに見せてくれないかい?』
『えっ!?わっ…私…ですか?』
浅見さんは優しく微笑みながら、詩織に頷いて見せた。
そして詩織は突然のことに、少し落ち着きを失って戸惑いの様子であたふたしてた。
『君は去年の12月、皐月理事長が校長を務める《タレント養成スクール》に5日間行ってきたそうじゃないか』
『はい…でもあの時は私、アイドルのレッスン体験として…』
『けど役者のレッスンも受けてきたんだろう…?』
浅見さんのその一言に、詩織は何か諦めがついたように…ふと落ち着きを取り戻した。
『浅見さん…演技のレッスン体験を受けたって言っても…2日だけですよ』
浅見さんは、戸惑う詩織にまたニコリと笑顔を見せながら、ウンと一度大きく頷いた。
『僕はね…高須賀人事部長から、ちらっと聞いたんだよ。皐月理事長が冴嶋社長に《詩織ちゃんは絶対に、アイドルじゃなく女優の道を進ませるべき》って、言ったんだって話をね』
『あっ、あ…でも!』
『うん。解ってるよ。大槻専務取締役だろう?』
詩織は『…はい』と答える代わりに、悩み苦しむような表情で、小さく頷いた。
…大槻専務取締役は、子役経験も演劇部の所属もなかった詩織に『君が女優になるのは難しい』って、ハッキリと言った。
『まずはアイドルから…』なんて言い方をしてたけど…たぶんそれを許してはくれないんだろう。
大槻専務取締役に詩織が『女優への道を進ませてください!』って願い出ても…。
冴嶋社長も、大槻専務取締役のその考えというか判断に、渋々ながらも賛同したふうだったし。
『…僕はね、今まで会社の方針に何一つ逆らわず、所属するタレントたちを指導し育ててきた。そりゃあ何十人もね』
けど、確か前に…浅見さんは『役者を指導するのは僕はできるけど、アイドルはちょっと…なぁ』って言ってた。
『けどね、会社には申し訳ないが…今回ばかりは一言物申したい気分なんだ』
詩織の肩を、浅見さんがポンと叩いた。
『子役経験が無いからって何だい?演劇部じゃなかったからって…だからどうした?』
浅見さんが派手にワハハと笑った。
『あの皐月理事長が見抜いたんだ。詩織ちゃんの演技力とその可能性を。絶対女優にさせるべき!ってね』
『…で、でも…』
『自信を持って。君の成りたい本心は何処にあるんだい?アイドルかい?違うだろう?』
なかなか『はい!』と言わない詩織。
それを見兼ねてか…公貴くんが詩織を睨むように見た。
『おい詩織。いいから難しいことなんか何も考えずやってみろよ…演技』
『…えっ』
『見せてみろよ。皐月理事長とやらが見抜いたとかいう、お前の演技力ってのを。俺らに』
詩織が怯えるような目で、公貴くんをじっと見返す…。
『やってみたら?詩織ちゃん。間違えたって失敗したって、私たちは詩織ちゃんを絶対に笑ったりしないから』
陽凪さんも優しく、詩織に笑顔でそう言った。
『軽い気持ちでいいよ。遊びと思えばいい。ゆっくり落ち着いてやってみよう』
雅季さんも詩織を応援の言葉を詩織に送ったあと…詩織は。
『…信吾ぉ、どぉしよぉ…』
僕は、詩織に『頑張ろう』の代わりの笑顔を送ることしかできなかった。
けど、僕も信じてる。詩織ならできる。
きっと詩織の演技を見て、浅見さんも陽凪さんも…公貴くんも絶対に驚くはずだよ!
詩織の凄い演技力で、ビックリさせてやろうよ!
このプロの俳優のみんなを!
だから詩織!頑張ろう!
『やろうよ!詩織ちゃん!私だって応援してるよ!』
最後に…木橋みかなちゃんも瞳をキラキラと輝かせながら、大きな声で詩織にそう言ってくれた。
みかなちゃんの満面の笑顔に釣られたのか、緊張した詩織の表情も少し緩んで…ほんの一瞬だけ笑って見せた。
『えっと…じゃあ…私…』
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