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G.F. - 夢追娘編 -

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思い出せ…岩塚信吾。

今年の岸鉾神社での初詣のアンナファミリー集合写真。
詩織の隣…って僕?じゃなかったか…?



っていうか…ヤバい。
海音さんたち6人のピプレのメンバーは、をもう知ってるんだった。
詩織がメンバー入りしたその初日に、初日だというのに…ペロリと簡単に話してしまったもんだから…。

僕のことを紹介するついでに『信吾は…ほんとはすっごい可愛い女の子に変身できるメイクの天才だったり…ねッ♪』とかって。
僕に可愛くウィンクまでして見せて…。

このことは絶対話しちゃダメ。このことは社外秘でねって、冴嶋社長からも言われてるのに…!
それを詩織も知ってるはずなのに!


しかも海音さんからは『今度その女装姿見せてね…ふふっ。私たちにも…♪』って、期待されてるし…あぁ。


と、とにかく今はまだ僕の女装姿をピプレのメンバーに晒す…池川金魚の存在を知られるわけにはいかないんだ。
だからどうやっても、それを阻止しな…。


『あっ、この子?樋口絵里佳ちゃんって言うの。信吾とお友達の。私は絵里佳ちゃんとは、あんまり親しくないけど』


…えっ?あ!
あー。そうだった。

樋口が『私は真ん中がいい』って、金魚ぼくと詩織の間に入って集合写真を撮ったんだった。
…はーぁ。助かった…。







…なんて、僕が沈思黙考にふけっていた頃…。

優羽ちゃんは四つん這いで自分のバッグに手を伸ばし…千景ちゃんは部屋の隅に置いていたiPhoneを取りに立ち上がり…心夏ちゃんはもう明日佳ちゃんのiPhoneを2人で覗き込んでいた…早っ。

…って、まさか…詩織がこの写真送ったの…メンバー全員!?


『ほんとですね!この真ん中の子も可愛い~』
『うん。この子もアイドルやってる子?ってくらい…可愛い』

『…。』


千景ちゃんと優羽ちゃんが、揃って詩織のほうを向いて笑顔を見せた。
それに対しニコリと、少し戸惑いを隠せない笑顔で返す詩織。

…いやいや。樋口がアイドル?
確かに顔は…可愛いほうだとは思う。だけど、あの変わった性格で?アイドル?
うーん。僕は想像できないんだけど…。

ってか、このまま何の問題もなく、早くこの話題が終わってほしいと思…。


『…信じられないです…というか怪しいです。こんなとても可愛い子と、信吾くんがお友達…だなんて…』
『どういうご関係ですか?…っていうか、じゃあその隣の…もう一人の可愛いらしい子も…信吾くんと…?』


…ん?…えっ?
えぇっ??

明日佳ちゃんと心夏ちゃんが、もの凄く強い疑いの目で、じーっと…僕を見てる…ひぃぃ。

確かに、僕が女の子にモテるようには見えないのは解るよ。
けど、だからって樋口との関係を説明せよとかって言われても…。

たっ、助けて!詩織!!
…って、詩織を見たら…。

詩織はニヤニヤと可愛らしく笑いながら、僕の慌て振りを見てるだけ…。

この小悪魔詩織がっ!詩織のせいだろ!こうなったのも!
救いの手を差し伸べてくれるぐらい、いいじゃんか!詩織…。




『あーっ!待って!違う…この一番こっちの可愛い女の子って…!?』


そう言って…海音さんはゆっくりと…ゆっくりとキラキラ輝いた瞳で…僕を見た…。

そして明日佳ちゃんも心夏ちゃんも優羽ちゃんも千景ちゃんも…!
海音さんに続いて同じような、何かを期待するようなキラキラ視線で…僕を見…ひぃぃ。


『まさか…この可愛い子、女の子に変身した…信吾くん…?』
『ごめんみんな!すぐに行く準備して!予定が変わった!』


…えっ?
みんなが驚くほどの勢いで、慌ててレッスンルームへと戻ってきた西村プロデューサー。


『2チームに分かれて、向かった局で振袖に着替えてもらう予定だったけど、全員ここで着替えてもらう!』


メンバーの6人が、緊張した様子でお互いを見合う…。


『西村プロデューサー、何かあったんですか?』


そう訊いた海音さんに、西村プロデューサーが説明してくれた。
赤坂某所の某テレビ局のほうも、港区の某テレビ局のほうも、生放送特別お正月番組のリハーサル開始時間が、1時間も繰り上がり早くなったらしい。


『何で!?そんな急に!?』


メンバーの全員が、少し慌てるように立ちあがった。


『Kira♠︎mだよ…Kira♠︎mの勝手な都合に合わせるカタチで、番組側が勝手にそれを承諾したらしい…』


きらむ?…あぁ!

大手アイドル芸能事務所《Starlight-Office Kira♠︎m》。
今年の春には、大学を卒業した丹波彩乃が新人モデルとして入所する予定の、超有名な日本屈指の芸能事務所。


『リハーサルの開始時間に間に合わなかった場合は、その遅れた時間の分、生放送開始から同じ時間だけ《遅刻扱い》させるらしい…』

『えぇ…そんな…!』
『そんなのってないです…』
『とても酷いです…』


千景ちゃん、明日佳ちゃん、千景ちゃんが悲し気にそう言うと、それに続くように海音さんと優羽ちゃんも…。


『だから私嫌いなの!Kira♠︎mも!あそこに所属するアイドルの子たちも!!』
『私も!ほんっとに嫌です!Kira♠︎m!大っ嫌いです!!』


詩織は海音さんと優羽ちゃんの目の前へと歩み寄り、二人に優しく語りかけてなだめている。


『それで…Kira♠︎m所属のアイドルグループたちは、もう局入りしているらしい』

『それ!…まるで私たちられた…って感じじゃないですか!』
『うん…悪意があって《遅刻しろ!》って…だよね!』


確かに…酷い話だ…。



















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