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G.F. - 再始動編 -

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僕は、小高い松林の山の上にある岸鉾神社の赤い鳥居へと続く、古き年季を感じられるあの石畳の道をふと見た。
ちょうど今さっき、早朝の参拝を済ませて帰ってきたんだろう、若いご夫婦と小さな女の子と、お父さんに抱かれた男の子。

駐車場のあちこちに現れた、50人を超える女の子たちとその雰囲気に驚き見回しながら、車に乗り込み走り去ってゆく。
その車と入れ替わるように、見慣れた車が駐車場へと入ってきた。


『あっ、あれ…アンナさんの車だ!』


僕が手を振る。
駐車場所に迷っていたアンナさんの車は、歩美さんの車の隣に停まった。

そして車から降りて出てきたアンナさんとナオさん。
アンナさん達を見た女の子たちの反応は…歓声が湧くこともなく、なんか微妙な感じだった。


『明けましておめでとう。鮎美ちゃんと金魚。早かったわね』


僕らに小さく手を振ってくれたアンナさんに、僕は手を振り返した。


『明けましておめでとうございます。でも僕と歩美お姉ちゃんも、まだ5分くらい前にここに着いたばかりです』

『秋良くんと大基くんも、すぐにここに来るはずよ。さっき高速のパーキングまで一緒だったから』


…なんて話していると、またすぐに車が2台、駐車場へと入ってきた。

黒色の大きなSUV車…あれは秋良さんの車だ。
それと、ちょっと古そうなシルバーの軽バン車…あれが大基さんの車っぽい。

秋良さんの車から、秋良さんとロングコートを羽織ったお洒落な冬服姿の春華さん、それに深みのある藍色の綺麗な振り袖を着た詩織が出てきた。
詩織の長い後髪はくるりと結われ整っていて、白くて細い首とうなじが、凄く綺麗で愛らしかった。

降車した振り袖姿の詩織が見えた途端、女の子たちがまた騒がしく、きゃあきゃあと歓声を上げて騒ぎだした。


『金魚ー。お待たせー。あけおめ♪』


僕に豪快に手を振る詩織。僕はまた、詩織にも手を振って返した。
そして詩織と一緒に、春華さんも僕と歩美さんの元へと歩み寄ってくる。


『それにしても、たくさん集まったね。瀬ヶ池の女の子たち』

『そうなんですよ。どうやって知ったんですかね。アンナファミリーの初詣のこと…』


すると…?
春華さんと詩織が見合って笑い出した…??


『だって金魚…新年早々賑わしいほうがいいじゃない?…ね。楽しいほうが…』


詩織が少し悪びれた様子で僕にそう言った。
…ん?どういうこと?

!!

まっ、まさか…?


『あー!これって…!』


僕は、少しキツく睨むように詩織を見た。


『ちょっと待って金魚!これに関わってるのは私だけじゃないんだってば!』


詩織がチラリと春華さんを見る。


『んまぁ、つまり…《カラフル》に初詣予告を書き込んだのは、私たち2人の共犯だったり…あはは。って、ごめんね…』


春華さんも、詩織と同じくちょっと悪びれた表情で、僕に手を合わせ謝った。



かあぁぁぁ…。
この初詣情報漏洩?の件の原因は、春華さんと詩織だったかぁ…。



ん?
待てよ。

ということは…!


『あれ?そういえば秋良さんは?』


歩美さんがそう言ってもう一度、駐車した車のほうを見ると…秋良さんは大基さんと、大基さんの妹の美弥さんと雑談してた。


『あー!美弥ちゃん!振袖袴姿かっこいい!』


そう言いながら、詩織は今度は大基さん達の方へと歩いてゆく。
そして僕も歩美さんも春華さんも、詩織を追うように大基さん達の方へ。


『これ、私が大学の卒業式に着た振袖袴なんだ。私、詩織ちゃん達みたいな可愛らしい振り袖、持ってないから』


紫と白の矢羽模様の振り袖。袴は明るい朱色。靴は化粧草履じゃなくて黒革製の編み上げブーツ。
それと髪には、赤と黄色と白の花々の大きな髪飾り。

明治時代のようなレトロチックで、僕だって美弥さんのその姿がとてもカッコよく見えた。


『金魚。今も着けてくれてるんだな。ありがとう』


大基さんが、僕の左耳にぶら下がる2匹の金魚のピアス《赤姫と黒助くん》に、右手の人差し指で優しくちょんと触れた。


『はい。僕のお気に入りです』


どうせもう、瀬ヶ池の女の子たちには《金魚は女装した男子(元瀬ヶ池のメダカ)》ってのはバレている。
それはあの日、復讐のために自らバラしたんだけど。

だからもう下手な演技をせず、あえて《私》とは言わず《僕》と言ったんだ。


「やだ…ボクっ子の金魚ちゃん、凄く可愛い…好き」


…。

何処からか聞こえた、そんな女の子の声。
そこまで寒くはないんだけど…ほんの一瞬だけブルッと、身震いがした…。

















































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