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G.F. - 再始動編 -

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「…ちょっと!雪も降ってて寒いのに、外で何やってるの!ほら、早く中に入りなさい!」


…んんーっ。
母さんの…声がする…?

まだ夢の続き…?


「風邪ひいちゃうでしょ!お友達が来たらピンポン押してくれると思うから。家の中で待ってなさい」


いや…違うな…確かに本物の母さんの声だ…。


「なぁに?今日はそんな可愛い女の子の格好で、お友達が来るのを待つの?それも外で?」

「あの…いえ、違います…私…」


…えっ?
えぇっ!!ヤバっ!!

薄暗い部屋の中、僕は飛び起きてスマホの時計を見た…4時11分!
うわぁ!!寝坊したぁぁ!!

それに今、歩美さんの声が聞こえたような気がしたんだけど…!


僕はパジャマのまま、部屋を飛び出してドタバタと階段を駆け下りだした!
パジャマ…って言ってもこれは、高校ん時に実際に着ていた緑色のジャージだけど。


『何だか今朝の信ちゃんは…凄く可愛いわ。まるで本物の女の子みたいね…あっ』


階段を駆け降りてきた僕と目が合った母さん。
母さんの隣には、お手製だろう赤い手編みの大きなマフラーを首に巻き、灰色のトレンチコートを羽織って、その中に白いタートルネックセーターを着た、脚が綺麗に見えるスリムなデニムパンツ姿の歩美さんが立っていた。

…ってか、母さん??


『えっ?…あれ?どういう…ちょっ、うそっ!?』


母さんが…僕の顔と歩美さんの顔を何度も交互に見て…。


『し…信ちゃんが、えっ…2人!?』

『待って母さん。ねぇ、落ち着いて…』


母さんが驚きを隠せない顔で、目を円くして歩美さんをじっと見た…。


『じゃあ…あなたは、だっ誰なの!?』

『あの…信吾くんのお母さん、落ち着いてください』


母さんが後退あとずさりするように歩美さんから少し離れて再度、僕と歩美さんを何度も何度も見比べた…。


『というか誰なの!?待って…待って!!待ってー!!それとも私…まだ夢を見』

『母さん。だから…落ち着いてって!』






『…あはは。ごめんなさいね』


リビングのソファーに僕と歩美さんを座らせ、引き攣った笑顔を見せてる母さん。


『今もまだ、何が起こってるのか解ってないの…私』


僕は何故か急に可笑しくなって笑ってたけど、歩美さんは今も心配そうな顔をしてた。


『えぇと…で、名前は?何だったっけ?』

『私、筒井歩美です…お母さん』


…歩美さんの2回目の自己紹介。名前だけだけど。


『…それで…あなたが振り袖に着替えるのよね。それで私が着付けを…』

『ですから、振り袖を着るのは私じゃなくて…金魚ちゃんなんです』

『えぇと。それで?…その金魚ちゃん?っていうのは…誰なの?あなたじゃなくて?』

『…ですから私は…』


あぁ…もう。母さん…温かいお茶でも汲んでこようか?
それで落ち着ける?

こんな早朝から《息子が女装メイクしたときと、まるで瓜二つな女の子が突然現れた》んだから、そりゃ頭の中がごちゃごちゃに混乱するのも解るけど…。






『…それで…何でうちの信ちゃんが、女の子になって初詣に行くの?』


母さん…頭の中が落ち着いてきたら、今度は心底真っ当な疑問を僕らに投げ掛け始めた…。
そんな、更にややこしいことなんか説明してたら、母さんの理解が余計に追いつかなくなるから、説明は半ば強引に省いた。


『…とりあえず、僕はメイク先にするから』


振り袖は、先にメイクしても気を付けていれば着られる。
僕だって男顔のまま、振り袖の着付けされるの嫌だし。

僕は少し慌てるように、2階へと上がっていった。






…約20分後。
金魚メイクを済ませた僕は、またリビングへと戻った。

そのあいだ、歩美さんが《金魚は誰か?》とか《金魚が振り袖に着替えて初詣に行く理由》とか《実は金魚は早瀬ヶ池では有名な女の子なんです》ってことを、ずーっと母さんに説明してくれていたらしい…歩美さん、すみません。そしてありがとうございます。


『では…あとは金魚ちゃんの振り袖の着付けですね。ようやく私の出番です』

『待って。私も手伝うわ』


歩美さんと母さんが見合った。


『…はい。お母さん、宜しくお願いします』

『じゃあ早速、女の子信吾のお着付けを始めましょう!』


…母さん。
そこはせめて《金魚》って言ってほしいんだけど…。



























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