52 / 162
G.F. - 再始動編 -
page.531
しおりを挟む
『ほらほらみんなー。それぐらいにしときなよー』
海音さんもそう言いながら『斯く言う私も好きなんだけどねー。詩織ちゃんのこと』って。詩織にウィンクして見せた。
『お疲れさま。頑張ったわね。あなた達』
歩き寄ってきてくれた早坂美雪さん。
メンバーが全員で揃って『はい!ありがとうございまーす』と返事。
『控え室まで聴こえてたわよ。それで次は私の出番だけど、私は2曲歌って帰るだけだから』
『はい!頑張ってください!』
『私たちも黒子姿でまた観に行きます!』
『行きます』
『最前列に突っ込みます』
あの怪しい黒いコート姿…あれ《黒子姿》って言うのかぁ。
手慣れたようにそう呼んでいるメンバーたち。
ルール違反の常習犯…か。
『あははは。あなた達、面白い子たちだからまた共演したいわね』
美雪さんは優しく、好意ある笑顔を見せてくれた。
『はい!ありがとうございます!』
『嬉しいです!』
『今度はテレビとかラジオとかで…あっ』
美雪さんが和服の胸元で、小さく拝むように両手をパチンと叩いた。
その指が白くて細くて凄く綺麗…あ、余談すみません。
『来年の春にラジオ出演に呼ばれてるの。そうね…あなた達を呼んでいいか訊いてみるわ』
『ほっ本当ですか!?』
『ありがとうございます!』
『今から何を話せばいいのか』
『早速ながら考えておきます』
…なんて話していたら、特設ステージ担当のスタッフさんが控え室に入ってきた。
『早坂美雪さん。出番です』
『あははは。じゃあ行ってくるわね』
美雪さんは小さく手を振って、控え室を出ていった。
和装を着こなし出ていくその姿も、もの凄く綺麗な美人姿とか…さすがは大御所の演歌歌手さん。
…午後からの2回目も、初めは沖縄演舞の人たち。次にバイオリン奏者のペア。そしてピプレに美雪さん。
順番はもちろん変わらず、特設ステージでの演出タイムは全て終わった。
2回目の詩織の自己紹介は、言葉が飛ぶこともなく1度目よりは出来てたし、笑顔も維持できてたしで良かった。
早坂美雪さんの所属事務所は《アイアンドアール・レコード株式会社》というところらしい…へぇ。
まだステージ出演が終わったばかりなのに、このまま東京都内の某高級ホテルへ移動して、今夜はゲストを交えながらのディナーショーらしい。
聞いてるだけで、なんだか忙しさが伝わってきて、僕らまで疲れそう…。
『今年の大晦日の紅白は、私も出て歌うから。観て応援してね』
『はい!もちろんです!』
『絶対観ます!』
『ブルーレイに録画して…観ます』
『大晦日は、明日佳と年越しを迎えます』
…明日佳ちゃんと心夏ちゃん…『リアルタイムでは観ません』って言ってるようなもんなんだけど…。
いいんだろうか…?
今日の出演スケジュールが全て終わり、一旦堀内芸能事務所へと全員で戻ってきて、私服に着替えて解散。
僕と詩織は更にそこから冴嶋プロダクションの事務所へ。
池田さんとも話をして…そこで僕と詩織も解散。
『…いいよね?』
『ん?なにが?』
『29日はご実家へ帰るのよ。冬休み』
…解散の前に、冴嶋プロダクションビルの前で、詩織に再確認された。
『うん。解ってるよ』
『でも28日までは、一緒にいられるんだからね』
『うん。解ってるって』
そう言って僕は笑った。
詩織は28日に、東京のお土産を買ってくるから、実家の母さんに渡してほしい…って言ってくれた。
『うん…ありがとう』
『じゃあ、行くね。気を付けて帰ってね』
『はーい。詩織、お疲れさま』
『うん。信吾もありがとう』
…さて。
僕は一旦家に帰ったらまた着替えて、いつものとおり夜は自動車学校ですよ…と。
あ!
そういえば…自動車学校に《休校届》出しておかないと。
東京メトロの電車に乗った僕…藤浦市と相変わらず、電車の窓から東京や千葉の街を眺める日々…。
…東京の女の子たちには、デビュー前から岡本詩織のことを知ってる子がいる。
そりゃ東京の女の子の全員ではないんだろうけど…。
それが今後の詩織の芸能活動にどう影響するのか…しないのか。
プラスとなるかマイナスとなるか…。
来年の春には、あの丹波彩乃も大学を卒業して、東京に来るんだ…。
期待あれば不安もある…。
アイドル?じゃなくて女優?詩織が将来の自分を思い描き、最終的に行き着くところは…?
池田さんが言ってた"3ヶ月“…。
じゃあ、3ヶ月後の詩織は…?
どうなってる…?
独りになるといつも考えてしまう…少し頭が痛くなる。
詩織を僕が守ってあげないと…支えてあげないと。
アンナさんとの約束だし。
それと…冴嶋プロダクションから期待されている《池川金魚のデビュー?》。
あー!!くそーっ!!
気持ちがドカンと重いし!なんだかモヤモヤするー!!
…待て。落ち着け…落ち着いてくれ…信吾。
今ここで未来のことを考えても、今はどうにもならないんだから…。
海音さんもそう言いながら『斯く言う私も好きなんだけどねー。詩織ちゃんのこと』って。詩織にウィンクして見せた。
『お疲れさま。頑張ったわね。あなた達』
歩き寄ってきてくれた早坂美雪さん。
メンバーが全員で揃って『はい!ありがとうございまーす』と返事。
『控え室まで聴こえてたわよ。それで次は私の出番だけど、私は2曲歌って帰るだけだから』
『はい!頑張ってください!』
『私たちも黒子姿でまた観に行きます!』
『行きます』
『最前列に突っ込みます』
あの怪しい黒いコート姿…あれ《黒子姿》って言うのかぁ。
手慣れたようにそう呼んでいるメンバーたち。
ルール違反の常習犯…か。
『あははは。あなた達、面白い子たちだからまた共演したいわね』
美雪さんは優しく、好意ある笑顔を見せてくれた。
『はい!ありがとうございます!』
『嬉しいです!』
『今度はテレビとかラジオとかで…あっ』
美雪さんが和服の胸元で、小さく拝むように両手をパチンと叩いた。
その指が白くて細くて凄く綺麗…あ、余談すみません。
『来年の春にラジオ出演に呼ばれてるの。そうね…あなた達を呼んでいいか訊いてみるわ』
『ほっ本当ですか!?』
『ありがとうございます!』
『今から何を話せばいいのか』
『早速ながら考えておきます』
…なんて話していたら、特設ステージ担当のスタッフさんが控え室に入ってきた。
『早坂美雪さん。出番です』
『あははは。じゃあ行ってくるわね』
美雪さんは小さく手を振って、控え室を出ていった。
和装を着こなし出ていくその姿も、もの凄く綺麗な美人姿とか…さすがは大御所の演歌歌手さん。
…午後からの2回目も、初めは沖縄演舞の人たち。次にバイオリン奏者のペア。そしてピプレに美雪さん。
順番はもちろん変わらず、特設ステージでの演出タイムは全て終わった。
2回目の詩織の自己紹介は、言葉が飛ぶこともなく1度目よりは出来てたし、笑顔も維持できてたしで良かった。
早坂美雪さんの所属事務所は《アイアンドアール・レコード株式会社》というところらしい…へぇ。
まだステージ出演が終わったばかりなのに、このまま東京都内の某高級ホテルへ移動して、今夜はゲストを交えながらのディナーショーらしい。
聞いてるだけで、なんだか忙しさが伝わってきて、僕らまで疲れそう…。
『今年の大晦日の紅白は、私も出て歌うから。観て応援してね』
『はい!もちろんです!』
『絶対観ます!』
『ブルーレイに録画して…観ます』
『大晦日は、明日佳と年越しを迎えます』
…明日佳ちゃんと心夏ちゃん…『リアルタイムでは観ません』って言ってるようなもんなんだけど…。
いいんだろうか…?
今日の出演スケジュールが全て終わり、一旦堀内芸能事務所へと全員で戻ってきて、私服に着替えて解散。
僕と詩織は更にそこから冴嶋プロダクションの事務所へ。
池田さんとも話をして…そこで僕と詩織も解散。
『…いいよね?』
『ん?なにが?』
『29日はご実家へ帰るのよ。冬休み』
…解散の前に、冴嶋プロダクションビルの前で、詩織に再確認された。
『うん。解ってるよ』
『でも28日までは、一緒にいられるんだからね』
『うん。解ってるって』
そう言って僕は笑った。
詩織は28日に、東京のお土産を買ってくるから、実家の母さんに渡してほしい…って言ってくれた。
『うん…ありがとう』
『じゃあ、行くね。気を付けて帰ってね』
『はーい。詩織、お疲れさま』
『うん。信吾もありがとう』
…さて。
僕は一旦家に帰ったらまた着替えて、いつものとおり夜は自動車学校ですよ…と。
あ!
そういえば…自動車学校に《休校届》出しておかないと。
東京メトロの電車に乗った僕…藤浦市と相変わらず、電車の窓から東京や千葉の街を眺める日々…。
…東京の女の子たちには、デビュー前から岡本詩織のことを知ってる子がいる。
そりゃ東京の女の子の全員ではないんだろうけど…。
それが今後の詩織の芸能活動にどう影響するのか…しないのか。
プラスとなるかマイナスとなるか…。
来年の春には、あの丹波彩乃も大学を卒業して、東京に来るんだ…。
期待あれば不安もある…。
アイドル?じゃなくて女優?詩織が将来の自分を思い描き、最終的に行き着くところは…?
池田さんが言ってた"3ヶ月“…。
じゃあ、3ヶ月後の詩織は…?
どうなってる…?
独りになるといつも考えてしまう…少し頭が痛くなる。
詩織を僕が守ってあげないと…支えてあげないと。
アンナさんとの約束だし。
それと…冴嶋プロダクションから期待されている《池川金魚のデビュー?》。
あー!!くそーっ!!
気持ちがドカンと重いし!なんだかモヤモヤするー!!
…待て。落ち着け…落ち着いてくれ…信吾。
今ここで未来のことを考えても、今はどうにもならないんだから…。
1
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる