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G.F. - 再始動編 -

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午前9時30分過ぎ…その某大型ショッピングモールの、バックヤードと呼ばれるスタッフしか入れない通路のその奥の広い広い《出演者さまお控え室》に、《Peace prayer》のメンバー5人はいた。

メンバー5人の他にも、沖縄の伝統的な演舞をご披露する団体や、演奏パフォーマンスで有名なプロのバイオリニストの男女2人組、それと…ピプレのメンバーが一番テンションが上がっていた《早坂美雪》さんという、大御所の演歌歌手さんもいた…和風姿がとても凛々しい。


『凄いね。海音ちゃん達』

『ちょっと詩織。動かないでよ』

『あ。ごめん』


詩織は僕にメイクをしてもらっている最中、騒がしいくらいに盛り上がっている向こうが気になって、少し動いた。

というのも…。





開館40分前…つまり今から10分前。音響などのリハーサルチェックに、ステージに上がって大型ショッピングモールのスタッフさん達に、歌を一曲ご披露して控え室に戻ってきた早坂雪美さん。


『お疲れさまです!』
『お疲れさまでーす』
『さまーでーすー』
『温かいお茶を買ってきました』
『よかったら温かいうちにどうぞです』


控え室に戻ってくるなり、あっという間にうちのピプレのメンバーに取り囲まれた早坂雪美さん。そこへやって来た雪美さんのマネージャーさんも巻き込まれて、わちゃわちゃと騒がしく、笑い声や大きな話し声が室内に飛び交った。

そんななか、控え室の奥にはパーテーションという簡易壁で仕切られた《着替えの間》が設けられているんだけど、その中で沖縄の演舞ご披露の団体さんは着替えていたんだけど…。



…で、今。



その沖縄演舞の団体さんが《着替えの間》から出てくると…。


『わー。かっこいい!』
『本当に沖縄って感じー♪』
『太鼓、ちょっと叩いてみたいんですけど、いいですかー?』


…今度は、その沖縄の団体さんがピプレメンバーのターゲットとなった…。


『本物のアイドルって、やっぱ凄いよなぁ!』
『こんな可愛い子とか、俺見たことないわー』

『またまたぁ♪お口説きがお上手ですねっ♪』
『沖縄って女の子たちだって、みーんな可愛いってイメージですよね…♪』


ついに、詩織をメイクしていた僕の手も止まってしまって…詩織も思いっきり振り向いて、その様子をじーっと見てた…。


『…や、やっぱり凄いね…海音ちゃん達…』

『う…うん。テンション…っていうのかな…』





…しばらくして詩織のメイクが終わった頃、うちのピプレのメンバーはというと…今度は有名バイオリンパフォーマンスのあの男女2人組のところへ行って、わははきゃははと談笑していた…。

人懐っこいというか…誰とでも仲良くなれるというのか…本当凄いな。あの5人。

僕や詩織が気付いた頃には、何だか一体感というか…ピプレのメンバーを中心に、今日出演するグループの全員が仲間みたいになっていた。

今日初めてここで出会った他人同士…なんていう余所余所しさなんてまるで無い。昔から知ってたふう。







午前10時10分…沖縄の伝統演舞の皆さんが、最初にステージでパフォーマンス。


『皆さーん、頑張ってきてー』
『最初からいきなり盛り上がってきてくださーい♪』

『おーし!じゃあ俺たちも…ちばてぃちゅーさぁ!』

『ち?…ち、ちばってゆうさーぁ♪』


またまた、お騒がせ中のうちのメンバーが、大盛り上がりで沖縄の人たちとハイタッチして、手を振って控え室を出ていく団体を見送ってる。
そんなハイテンションなメンバーを見ていて、詩織は大笑いしてた。

ってか、ちば…??
たぶん沖縄語で《頑張ってくるよ!》みたいな意味なのかなぁ…。

んまぁ…でも、千葉って言ってる…わけじゃないってことくらいは、こんな僕でも解る。



『…よし。私らも観に行こう!』
『うん!観たい!』
『はい』
『行きましょう』


…えっ?ちょっ!!

規約では、他のグループが出演しているあいだは、控え室で大人しく待っててくださいって書いてあったよ!!

だから!出てっちゃダメだってー!



……あぁ。

詩織以外の海音さんたちメンバーは、真っ黒でお揃いのロングコートをバッ!とカッコよく、身体を包み込むように羽織って、フードを頭に深々と被って…控え室を出ていってしまった…。

控え室を出て行くそのメンバー5人の後ろ姿は…まるで悪魔とか悪い神とかを崇拝している、闇と謎に包まれた如何にも怪しい黒衣集団…って感じだった。























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