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G.F. - 再始動編 -
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皐月理事長は、なんとも納得いかないような表情で、次に『では、あなたが憧れている…またはあなたの好きな女優や俳優さんは?』と詩織に訊いてきた。
その質問に関しては、どちらかというと詩織の得意分野。
詩織の口から次々と引退現役問わず、すらすらと憧れている女優の名前が出てきた。
しかもその女優たちの出演した作品の、どの場面が印象に残っているのか…まで含めて。
『…ようやく、あなたのことが解りましたよ。岡本詩織さん。この5日間の体験入学、お疲れ様でした』
時刻はまだ午後4時を少し過ぎた頃。帰るにはまだ早い時間だったけど、微笑んだ皐月理事長からの『もうお帰りになられてもいいわよ。冴嶋さんの事務所にも寄ってから帰るのでしょう?』の一言に、詩織は『…あ、はい。5日間ありがとうございました…』とお礼を言って帰ってきたらしい…。
1階のロビーへと、ゆっくりと階段を下りていく詩織。
そのあいだも《俳優デビュー養成コースの階》へと階段を上がっていく人たち…《アイドルデビュー養成コースの階》へと、元気に階段を駆け上がっていく、たくさんの若い女の子たちとすれ違った…。
『ねぇ。信吾も買わない?』
『…えっ?』
詩織が絨毯の上にペタンと座ってゲームしているのを、立ったまま物思いに耽りながら、ぼーっと見ていた僕。
『だーから、Switchよ。一緒にやろうよって私からのお誘い』
ニコニコ笑顔の詩織。それに対して僕は…。
『あー。うん…考えとく…』
あの日はそのあと、お昼に詩織が作ってくれた《簡単お手軽ペペロンチーノ》と、レンチンしたフレンチピザを食べて…。
今度は都内の街へ出掛けて…夜は渋谷の街や東京駅前のクリスマスイルミネーションを観てまわって帰ったんだった。
『私のお家なんだから、着たい服なら選びたい放題だよぉ♪』って…また、池川金魚に変身させられて…。
詩織をメイクしてあげることは、僕は全然いいんだけど。
『金魚…綺麗だね。東京のクリスマスイルミネーションも』
『あ…うん』
『去年も一緒に瀬ヶ池のクリスマスイルミネーション見たから、金魚と一緒に見るの2回目だね』
『そうだね…』
金魚とね…。信吾と…じゃなくて。
第2土曜日の次の日…第3日曜日は、僕と詩織は別々に過ごした。
詩織は2週間後の日曜日…つまり24日に都内某所で開催される《Peace Prayerのクリスマスステージライブ》の練習のため、冴嶋プロダクションに行っていた。
午後からなんだけど…堀内芸能事務所から和田先生も来てくれて、同じメンバーの中原優羽ちゃんとの2人で、4階のレッスンフロアの一室で歌やダンスの練習をするんだとか。
僕はまた家でひとりゴロゴロ。
PS4でゲームしたり、スマホでYouTube見たり、ネットで見たい映画をレンタルしたり…。
あー…明日から自動車学校かぁ。ちょっと緊張するなぁ…なんて思いながら。
次の日の12月第3月曜日は、特に何か特別なことは…あんまり無かった。
僕は詩織のサブマネージャーとして、詩織と一緒に電車で堀内芸能事務所へ行った。
そして詩織のレッスン風景を見てて…詩織のライブ当日のメイクはどうしようかとイメージして考えたり…メンバーの氷上明日佳ちゃんと氷上心夏ちゃんの、29歳の男性マネージャーの槙野さんと色々と話やアドバイスを聞いたり…。
午後はクリスマスステージライブのリハ練をしていた詩織。それを見ていた僕に、マネージャーの山本静恵さんから電話。
『もしもし。岩塚くん、詩織ちゃんの様子はどう?』
『はい。ちゃんと真面目に練習してますよ…』
山本さんはまた普段のように戻って、鈴ちゃんと同行していた。今日は北海道の札幌市にいるんだとか…凄く寒そう。
『…岩塚くんも今朝、冴嶋社長から電話あったでしょ?その明日の、社長に呼ばれた事務所でのミーティングだけどね…』
…ん?冴嶋社長からの電話?…ミーティング…?
初耳なんですけど…。
その質問に関しては、どちらかというと詩織の得意分野。
詩織の口から次々と引退現役問わず、すらすらと憧れている女優の名前が出てきた。
しかもその女優たちの出演した作品の、どの場面が印象に残っているのか…まで含めて。
『…ようやく、あなたのことが解りましたよ。岡本詩織さん。この5日間の体験入学、お疲れ様でした』
時刻はまだ午後4時を少し過ぎた頃。帰るにはまだ早い時間だったけど、微笑んだ皐月理事長からの『もうお帰りになられてもいいわよ。冴嶋さんの事務所にも寄ってから帰るのでしょう?』の一言に、詩織は『…あ、はい。5日間ありがとうございました…』とお礼を言って帰ってきたらしい…。
1階のロビーへと、ゆっくりと階段を下りていく詩織。
そのあいだも《俳優デビュー養成コースの階》へと階段を上がっていく人たち…《アイドルデビュー養成コースの階》へと、元気に階段を駆け上がっていく、たくさんの若い女の子たちとすれ違った…。
『ねぇ。信吾も買わない?』
『…えっ?』
詩織が絨毯の上にペタンと座ってゲームしているのを、立ったまま物思いに耽りながら、ぼーっと見ていた僕。
『だーから、Switchよ。一緒にやろうよって私からのお誘い』
ニコニコ笑顔の詩織。それに対して僕は…。
『あー。うん…考えとく…』
あの日はそのあと、お昼に詩織が作ってくれた《簡単お手軽ペペロンチーノ》と、レンチンしたフレンチピザを食べて…。
今度は都内の街へ出掛けて…夜は渋谷の街や東京駅前のクリスマスイルミネーションを観てまわって帰ったんだった。
『私のお家なんだから、着たい服なら選びたい放題だよぉ♪』って…また、池川金魚に変身させられて…。
詩織をメイクしてあげることは、僕は全然いいんだけど。
『金魚…綺麗だね。東京のクリスマスイルミネーションも』
『あ…うん』
『去年も一緒に瀬ヶ池のクリスマスイルミネーション見たから、金魚と一緒に見るの2回目だね』
『そうだね…』
金魚とね…。信吾と…じゃなくて。
第2土曜日の次の日…第3日曜日は、僕と詩織は別々に過ごした。
詩織は2週間後の日曜日…つまり24日に都内某所で開催される《Peace Prayerのクリスマスステージライブ》の練習のため、冴嶋プロダクションに行っていた。
午後からなんだけど…堀内芸能事務所から和田先生も来てくれて、同じメンバーの中原優羽ちゃんとの2人で、4階のレッスンフロアの一室で歌やダンスの練習をするんだとか。
僕はまた家でひとりゴロゴロ。
PS4でゲームしたり、スマホでYouTube見たり、ネットで見たい映画をレンタルしたり…。
あー…明日から自動車学校かぁ。ちょっと緊張するなぁ…なんて思いながら。
次の日の12月第3月曜日は、特に何か特別なことは…あんまり無かった。
僕は詩織のサブマネージャーとして、詩織と一緒に電車で堀内芸能事務所へ行った。
そして詩織のレッスン風景を見てて…詩織のライブ当日のメイクはどうしようかとイメージして考えたり…メンバーの氷上明日佳ちゃんと氷上心夏ちゃんの、29歳の男性マネージャーの槙野さんと色々と話やアドバイスを聞いたり…。
午後はクリスマスステージライブのリハ練をしていた詩織。それを見ていた僕に、マネージャーの山本静恵さんから電話。
『もしもし。岩塚くん、詩織ちゃんの様子はどう?』
『はい。ちゃんと真面目に練習してますよ…』
山本さんはまた普段のように戻って、鈴ちゃんと同行していた。今日は北海道の札幌市にいるんだとか…凄く寒そう。
『…岩塚くんも今朝、冴嶋社長から電話あったでしょ?その明日の、社長に呼ばれた事務所でのミーティングだけどね…』
…ん?冴嶋社長からの電話?…ミーティング…?
初耳なんですけど…。
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