26 / 158
G.F. - 再始動編 -
page.505
しおりを挟む
今日の全ての撮影が終わって…時刻は午後7時50分を過ぎていた。
黒のタートルネックにスリムな濃紺デニムパンツ、靴は履き口にふわふわなファーの付いた黒色ショートブーツ。
その上に灰色のロングのチェスターコート…そんな元々着てきた私服に着替えたYOSHIKAさん。
『ゴメンね。今夜は大切なフレンドとディナーの約束があるの』
そう言って手を振って『皆さん。それと信吾くん。明日は絶対にディナー、ご一緒しましょ』と…ネオン輝く夜の東京の街に、蜃気楼のように消えていった…。
東京の街は、見る風景全てがもうすっかりクリスマスの彩り。
『中澤カメラマンさん、メイクの岩塚くん。今日は本当にお疲れ様』
監督さんは続けて『明日は東京駅の南口前で集合。時間は9時で』とだけ言って…撮影スタッフを引き連れて帰っていった。
『お疲れだったな。信吾』
『はい。お疲れ様でした』
見てて気持ちがスッキリするような笑顔で、雄二さんが誘ってくれた。
『さぁて…腹減ったなぁ!信吾。お前は何が食いたい?』
…そうなんだ。
雄二さんと一緒のときは、いつも雄二さんが夕食を奢ってくれてた。
『僕は…雄二さんが食べたいものなら何でも』
『遠慮すんな!だったら寿司でも食いに行くか!』
『いや、あの…だったら普通にラーメン屋さんでも』
『ラーメン屋?…行くぞ!今夜は寿司屋だ!』
…結局、高級なお寿司を奢ってもらってしまった…。
雄二さん、いつもすみません…今夜も…。
撮影2日目の朝…。
僕は一人、電車で千代田区丸の内の東京駅へ。
集合時間よりも20分も早く、東京駅南口前まで来たんだけど…。
『あ、おはようございます!岩塚さん!』
『おはようございます。岩塚信吾さん』
若い男性スタッフさんと女性スタッフさんが、もうそこに居た。
雄二さんは?…まだ来てないみたい。
『早いですね。おはようございます…』
って挨拶したら…女性スタッフさんが変なことを言う。
『今日は初めての人と、二人で来たんですね』
『えっ?いや、僕一人で…』
『?』って思って、後ろを振り返ると…!
『おはようございます。初めまして。僕は冴嶋プロダクションの池田孝良と言います』
な、何で!?池田さんがここに…!?
『ふっふっふ。今日は人事部員として、岩塚くん…君の活躍状況を観に来たんだよ』
腕を組み、自慢そうにそう言う池田さん…。
『…サボりですか?』
『サボりじゃないっての!ちゃんと高須賀部長の許可も貰って来てるっての!君の業務の様子見参観だっての!』
そうなんですか…へぇ。
…なんて、池田さんと話してたら、今ちょうど雄二さんも来た。
『では、今日の撮影現場へご案内しますね』
若い女性スタッフさんと男性スタッフさんが歩き出した。
それに僕も雄二さんも池田さんも付いていく。
『えっと…今日はどんなイメージの撮影なんですか?』
モデルはもちろん、昨日と同じYOSHIKAさん。
『午前のイメージは《とあるビルの屋上で黄昏る、仕事バリバリ敏腕キャリアなOL》で、午後は《スポーツジムで…》』
…無事に今日の撮影も終わった。
それはいいんだけど…い、池田さん…。
YOSHIKAさんをメイクする僕の仕事ぶりを遠目から見学してるとか、撮影してる雄二さんとYOSHIKAさんの様子を少し離れた位置から見物するとか…それは構わなかったけど…。
いつ、どんなタイミングだったのか分からないけど…YOSHIKAさんに何か余計なことを言ったっぽい…?
午前10時になって『じゃあ、僕はそろそろ帰るから。頑張って!』って、冴嶋プロダクション事務所へと帰っていった池田さん。
お昼休みに、YOSHIKAさんやスタッフさんら全員と揃ってレストランに行ったとき、YOSHIKAさんが…。
『…うん。確かに…かも』
『えっ?な、何ですか…?』
僕の顔を見ながら、そんな意味深なことを言ったYOSHIKAさん。
『昨日から信吾くんを見てて、私も思ってたんだよね…』
『?』
『信吾くんってさ、メイクできるんだから自分をメイクしてみたら、本物の女の子みたいにすっごく可愛く成れるんじゃない?』
『えっ!』
黒のタートルネックにスリムな濃紺デニムパンツ、靴は履き口にふわふわなファーの付いた黒色ショートブーツ。
その上に灰色のロングのチェスターコート…そんな元々着てきた私服に着替えたYOSHIKAさん。
『ゴメンね。今夜は大切なフレンドとディナーの約束があるの』
そう言って手を振って『皆さん。それと信吾くん。明日は絶対にディナー、ご一緒しましょ』と…ネオン輝く夜の東京の街に、蜃気楼のように消えていった…。
東京の街は、見る風景全てがもうすっかりクリスマスの彩り。
『中澤カメラマンさん、メイクの岩塚くん。今日は本当にお疲れ様』
監督さんは続けて『明日は東京駅の南口前で集合。時間は9時で』とだけ言って…撮影スタッフを引き連れて帰っていった。
『お疲れだったな。信吾』
『はい。お疲れ様でした』
見てて気持ちがスッキリするような笑顔で、雄二さんが誘ってくれた。
『さぁて…腹減ったなぁ!信吾。お前は何が食いたい?』
…そうなんだ。
雄二さんと一緒のときは、いつも雄二さんが夕食を奢ってくれてた。
『僕は…雄二さんが食べたいものなら何でも』
『遠慮すんな!だったら寿司でも食いに行くか!』
『いや、あの…だったら普通にラーメン屋さんでも』
『ラーメン屋?…行くぞ!今夜は寿司屋だ!』
…結局、高級なお寿司を奢ってもらってしまった…。
雄二さん、いつもすみません…今夜も…。
撮影2日目の朝…。
僕は一人、電車で千代田区丸の内の東京駅へ。
集合時間よりも20分も早く、東京駅南口前まで来たんだけど…。
『あ、おはようございます!岩塚さん!』
『おはようございます。岩塚信吾さん』
若い男性スタッフさんと女性スタッフさんが、もうそこに居た。
雄二さんは?…まだ来てないみたい。
『早いですね。おはようございます…』
って挨拶したら…女性スタッフさんが変なことを言う。
『今日は初めての人と、二人で来たんですね』
『えっ?いや、僕一人で…』
『?』って思って、後ろを振り返ると…!
『おはようございます。初めまして。僕は冴嶋プロダクションの池田孝良と言います』
な、何で!?池田さんがここに…!?
『ふっふっふ。今日は人事部員として、岩塚くん…君の活躍状況を観に来たんだよ』
腕を組み、自慢そうにそう言う池田さん…。
『…サボりですか?』
『サボりじゃないっての!ちゃんと高須賀部長の許可も貰って来てるっての!君の業務の様子見参観だっての!』
そうなんですか…へぇ。
…なんて、池田さんと話してたら、今ちょうど雄二さんも来た。
『では、今日の撮影現場へご案内しますね』
若い女性スタッフさんと男性スタッフさんが歩き出した。
それに僕も雄二さんも池田さんも付いていく。
『えっと…今日はどんなイメージの撮影なんですか?』
モデルはもちろん、昨日と同じYOSHIKAさん。
『午前のイメージは《とあるビルの屋上で黄昏る、仕事バリバリ敏腕キャリアなOL》で、午後は《スポーツジムで…》』
…無事に今日の撮影も終わった。
それはいいんだけど…い、池田さん…。
YOSHIKAさんをメイクする僕の仕事ぶりを遠目から見学してるとか、撮影してる雄二さんとYOSHIKAさんの様子を少し離れた位置から見物するとか…それは構わなかったけど…。
いつ、どんなタイミングだったのか分からないけど…YOSHIKAさんに何か余計なことを言ったっぽい…?
午前10時になって『じゃあ、僕はそろそろ帰るから。頑張って!』って、冴嶋プロダクション事務所へと帰っていった池田さん。
お昼休みに、YOSHIKAさんやスタッフさんら全員と揃ってレストランに行ったとき、YOSHIKAさんが…。
『…うん。確かに…かも』
『えっ?な、何ですか…?』
僕の顔を見ながら、そんな意味深なことを言ったYOSHIKAさん。
『昨日から信吾くんを見てて、私も思ってたんだよね…』
『?』
『信吾くんってさ、メイクできるんだから自分をメイクしてみたら、本物の女の子みたいにすっごく可愛く成れるんじゃない?』
『えっ!』
2
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる