G.F. -ゴールドフイッシュ-

木乃伊(元 ISAM-t)

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G.F. - 再始動編 -

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僕が、メンバーの子たちに『今の話は、うちの事務所のトップシークレットな話だから…』と、絶対他の人には話さないで!と何度もお願いしたあと…。


『そういえば…さっき《永野公貴》先輩の名前がちらっと出てきたんですけど』
『そうそう!公貴先輩、今も冴嶋プロダクションさんで元気にしてますか?』


明日佳ちゃんと心夏ちゃんがそう言った…けど…。

…?
僕と詩織は顔を見合わせた。
「…知ってる?」「知らない…」って、僕と詩織はアイコンタクトで確認し合った。


『えぇと…きみたか…先輩って、どんな人なの…?』


目を円くして詩織のことを見る《擬似双子従姉妹》。


『えっ?ま、まさかぁ…!?』
『公貴先輩のこと、知らないんですか?』

『…うん…ごめんなさい』




心夏ちゃんの説明によれば…その永野公貴という男子は、明日佳ちゃんと心夏ちゃんの中学までの先輩で、先輩は高校は男子校へ行ったので別々に。

その中学生の頃までは《平成最後の天才子役》とまで言われていたらしい。
その先輩のお父さんもお母さんも超有名な俳優と女優さんで、兄も俳優、姉は日本を代表するモデルの一人なんだとか。

凄い…本物の超芸能家族だ…。


『平成最後の天才子役ね…そんな凄い人もいるのね。冴嶋プロダクションには』

『公貴さんだったら今も毎日、事務所に来て4階で役者演技のレッスンを受けてるはずです。いつも事務所に来るのは…午前9時頃だったと思います…』


中原優羽ちゃんが詩織にそう教えた。


『ねぇ、優羽ちゃんは見たことある?その天才子役だった公貴先輩って人』

『あ…あります』

『えっ、じゃあどんな感じなの?その人』


詩織…興味深々過ぎ。


『見た目も話し方も、ちょっと不良っぽいですけど、凄くモテそうな感じです。高校では体操部だったらしくて、体を鍛えていてバク転とかできるっていうし、今はボクシング?…を夜に習ってるとか…らしいです』

『そうなんだぁ…私、最近その時間に事務所に行くこと多かったけど…見たことあるかなぁ…?』


『信吾は?見たことある?』って感じで僕を見たけど…いやいや。
僕も見たことないよ…詩織。

毎日朝9時に事務所に来てて?4階で演技のレッスンを受けてて?見た目とか話し方とか不良っぽくて?でもモテそうな人で?…んー。やっぱり見たことない…と思う。たぶん。


『じゃあ…最近出たドラマとかは?その公貴って人の』


詩織がそう訊くと…優羽ちゃんは、何だか難しい表情を見せた。


『最近は…もうほとんどドラマとか出てないみたいです。出演に誘われないというか…』

『何で?でも天才子役だったんでしょ?その人』

『ですけど…今は演技とか、全然やる気がないみたいです…公貴さん』


…そうなんだぁ…って、詩織が少し気落ちさせていると…。


『でも、私たちは信じてます!』
『私たちの憧れの公貴先輩が、またカッコよくドラマに出て、やっぱり天才だってまた言われる日を…』


…こんなに息がピッタリ合うのに、双子じゃなくて従姉妹同士だっていうんだから本当に驚き。


『でも女優や俳優を目指してて、けど挫折して芸能界から消えてく子なんて毎年いっぱいいるから…』

『えっ?』


詩織も僕も、他のメンバーも、その視線がリーダーの浅倉海音さんに集中した。


『私と同じ、この《Peace  prayer》の初期メンバーだった《川口琴美》ちゃんも…』


…川口琴美さんという女の子が『アイドルを辞めて女優を目指したい!』と言って、このグループから脱退したけど…演技の練習を頑張っても頑張っても…映画なんて勿論だけど、ドラマの出演オファーだって来るわけもなく、ドラマのオーディションのほうでも落選ばかりで…精神的に追い込まれて結局、芸能界を辞めてしまったらしい…。


『…私たちは、大人しくニコニコ可愛いアイドルしてたほうがいいの。そのほうが安全だから。俳優女優の世界はアイドルの業界よりも、色々とずっと複雑で難しいからさ…』


























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