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G.F. - 再始動編 -
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山本さんはロビーの真ん中で、僕らに『あなた達はここで待ってて』と言い、一人で受付カウンターへと歩いていった。
「こんにちは。私、冴嶋プロダクションの山本静恵と申します…」
2人立っている受付けのお姉さんと話をしている山本さん。
この待っている時間を持て余していた僕と詩織。
何となく僕と詩織が見合ったとき、ふと僕が詩織に声を掛けた。
『詩織…この3日間の東京都内観光をしてみて、どう思った?』
『ん?どう思った…って?』
僕は『えぇと、例えば…東京の街と藤浦市の街とか早瀬ヶ池の街とかと比べて…』って言い直した。
詩織は一瞬、大きくニコッと笑った。
『街の大きさと人の多さは、さっすが日本の首都、東京!って感じよね』
うんうん。だね。
僕もそれは思った。
『東京の街って《お洒落な女の子がいっぱい集まって、お互い競い合ってる》って街とかないのね』
あー。それは《早瀬ヶ池》のことだよね。
でもそれは、あの街が特別なだけで《老若男女問わず混在する》っていうのが、本来の《普通の街》っていうものの姿なんだと思う。
『でも、金魚の可愛さは東京でも通じるんだ、ってことも分かったし…ねッ♪』
『そうかな…?』
詩織がニヤニヤと、ちょっと笑って見せる。
『えぇー?信吾…覚えてないの?』
『?』
『何回か、二人組の女の子とかが金魚を見て《あ、可愛い~》《可愛いくない?あの子》《めっカワ~》とか言ってたの』
いや、そんなこと…あったかもしれない…。
『あれは、詩織を見て言っ』
『違いまーす。完全に金魚を見て言ってましたー!』
『…。』
『…ん?何か反論は…?』
『…。』
僕が完全に黙ってしまったところで…詩織はいつものように『きゃはははー♪』って笑ってた。
大理石ぽいこの廊下の向こうから、ちょっと若い男性が歩いてくるのが見えた。
その男性は山本さんと軽く挨拶をして…僕らを見てる。
「詩織ちゃん、岩塚くん、こっち来て」
その男性は《Peace prayer》のプロデューサーの西村隆浩さんだった。
年齢は…30代前半くらい?
『初めまして。西村です。これから宜しく』
僕も詩織も西村さんと『はじめまして』と挨拶。
『じゃあ君たち、4階の《レッスンフロア》へ行こうか』
エレベーターで4階へ。そして廊下を歩いて…僕らは一つの部屋の扉の前に立った。
「…ん?信吾…」
「うん。静かだね…何も聞こえない…」
部屋から何か歌とか音楽とか聞こえるのかな?と思ってたけど…しーんと静まり返っている。
藤田さんが扉を3回ノックした。
『西村です。岡本詩織さんを連れて来たよ』
「どうぞー」
藤田さんを先頭に、部屋に入ると…!
いきなり沸いたように起こった拍手と歓声。
『岡本詩織さーん、《ピプレ》へようこそー』
『こんにちはー。詩織さーん』
『こんにちはー』
『ようこそー』
『えっと…あ…の、初めまして…』
…それに対して、反応に困って戸惑っている様子の詩織。
ダンスのレッスンルームには、女性のダンスの先生と5人の女の子が床上に座っていた。
ジャージ姿の5人の子…体育座りしている子もいれば、女の子座りしてる子や横座りしている子も。
アイドルグループ《Peace prayer》…通称《ピプレ》の現役メンバーと自己紹介を交わした詩織。
メンバーの女の子たちは、わざわざ立ち上がってくれた。
『えっと…私と同じ事務所の中原優羽…ちゃん?』
…って、詩織が勘違いして初めて声を掛けたのが、グループリーダーの浅倉海音さん。僕らより1こ歳上の21歳。
ふわふわロングヘアな美人系の女の子。背は詩織と同じくらい。
『優羽ちゃんは、こっちだよ』
そう言って、浅倉さんが隣に立つ女の子の肩を軽く叩いた。
『中原優羽は私です…。詩織さんより3つ歳下です』
『へぇー。じゃあ優羽ちゃんは17歳なんだぁ。今、高2?』
『あ、はい。共学の高校の2年生です』
中原優羽ちゃんは僕よりも背は低い。でも152…いや、154cmかな…?って感じ。
髪型はあご下くらいの長さの、落ち着いてて可愛らしい感じのボブヘア。
次に詩織はそっくりな2人の女の子を見付けたように見た。
僕も一目で分かるくらい、似ている双子。
「こんにちは。私、冴嶋プロダクションの山本静恵と申します…」
2人立っている受付けのお姉さんと話をしている山本さん。
この待っている時間を持て余していた僕と詩織。
何となく僕と詩織が見合ったとき、ふと僕が詩織に声を掛けた。
『詩織…この3日間の東京都内観光をしてみて、どう思った?』
『ん?どう思った…って?』
僕は『えぇと、例えば…東京の街と藤浦市の街とか早瀬ヶ池の街とかと比べて…』って言い直した。
詩織は一瞬、大きくニコッと笑った。
『街の大きさと人の多さは、さっすが日本の首都、東京!って感じよね』
うんうん。だね。
僕もそれは思った。
『東京の街って《お洒落な女の子がいっぱい集まって、お互い競い合ってる》って街とかないのね』
あー。それは《早瀬ヶ池》のことだよね。
でもそれは、あの街が特別なだけで《老若男女問わず混在する》っていうのが、本来の《普通の街》っていうものの姿なんだと思う。
『でも、金魚の可愛さは東京でも通じるんだ、ってことも分かったし…ねッ♪』
『そうかな…?』
詩織がニヤニヤと、ちょっと笑って見せる。
『えぇー?信吾…覚えてないの?』
『?』
『何回か、二人組の女の子とかが金魚を見て《あ、可愛い~》《可愛いくない?あの子》《めっカワ~》とか言ってたの』
いや、そんなこと…あったかもしれない…。
『あれは、詩織を見て言っ』
『違いまーす。完全に金魚を見て言ってましたー!』
『…。』
『…ん?何か反論は…?』
『…。』
僕が完全に黙ってしまったところで…詩織はいつものように『きゃはははー♪』って笑ってた。
大理石ぽいこの廊下の向こうから、ちょっと若い男性が歩いてくるのが見えた。
その男性は山本さんと軽く挨拶をして…僕らを見てる。
「詩織ちゃん、岩塚くん、こっち来て」
その男性は《Peace prayer》のプロデューサーの西村隆浩さんだった。
年齢は…30代前半くらい?
『初めまして。西村です。これから宜しく』
僕も詩織も西村さんと『はじめまして』と挨拶。
『じゃあ君たち、4階の《レッスンフロア》へ行こうか』
エレベーターで4階へ。そして廊下を歩いて…僕らは一つの部屋の扉の前に立った。
「…ん?信吾…」
「うん。静かだね…何も聞こえない…」
部屋から何か歌とか音楽とか聞こえるのかな?と思ってたけど…しーんと静まり返っている。
藤田さんが扉を3回ノックした。
『西村です。岡本詩織さんを連れて来たよ』
「どうぞー」
藤田さんを先頭に、部屋に入ると…!
いきなり沸いたように起こった拍手と歓声。
『岡本詩織さーん、《ピプレ》へようこそー』
『こんにちはー。詩織さーん』
『こんにちはー』
『ようこそー』
『えっと…あ…の、初めまして…』
…それに対して、反応に困って戸惑っている様子の詩織。
ダンスのレッスンルームには、女性のダンスの先生と5人の女の子が床上に座っていた。
ジャージ姿の5人の子…体育座りしている子もいれば、女の子座りしてる子や横座りしている子も。
アイドルグループ《Peace prayer》…通称《ピプレ》の現役メンバーと自己紹介を交わした詩織。
メンバーの女の子たちは、わざわざ立ち上がってくれた。
『えっと…私と同じ事務所の中原優羽…ちゃん?』
…って、詩織が勘違いして初めて声を掛けたのが、グループリーダーの浅倉海音さん。僕らより1こ歳上の21歳。
ふわふわロングヘアな美人系の女の子。背は詩織と同じくらい。
『優羽ちゃんは、こっちだよ』
そう言って、浅倉さんが隣に立つ女の子の肩を軽く叩いた。
『中原優羽は私です…。詩織さんより3つ歳下です』
『へぇー。じゃあ優羽ちゃんは17歳なんだぁ。今、高2?』
『あ、はい。共学の高校の2年生です』
中原優羽ちゃんは僕よりも背は低い。でも152…いや、154cmかな…?って感じ。
髪型はあご下くらいの長さの、落ち着いてて可愛らしい感じのボブヘア。
次に詩織はそっくりな2人の女の子を見付けたように見た。
僕も一目で分かるくらい、似ている双子。
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