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G.F. - 再始動編 -

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『芸能界とは…特別技量や能力をもった才者が集まり、協力し合い創り上げて、それを余すことなく披露し、または提供して全国民が楽しみ喜び求められることで存続する…《スーパーエンターテイメント業界》』

『特別な才能…って、例えば綺麗なスタイルとか顔が可愛いとかもそうだけど、演技力とか歌唱力とか…頭が良いとかトークが上手とか…これまでの幸運もだけど、他にもたくさん』


大槻専務取締役の言葉に補足するように、冴嶋社長も続いてそう語った。


『…それでだ。君が続けてきた《無尽の努力》は《恥ずかしいこと》だと?…それは違うとは岩塚くん…君は思わないか?』

『あの…』


僕と大槻専務取締役とのやり取りを、他の役員幹部の人たちは黙ってじっと聞いてた。


『我々と同じように、君の素晴らしい才能が芸能界で活躍する姿を…突然現れた奇跡ともえるほどの、君の女装やメイクの完成度を見たい…全国民の多くが《君が起こす、その奇跡とも言える姿を見たい》と…そう思うだろう。そしてその《君の活躍》によって、世の経済や大金が大きく動き、芸能界や我が社がもっと成長し発展していく…違うだろうか?』


ぐうのも出ない僕をじーっとしばらく見て、大槻専務取締役はまた大きく頷いた。


『冴嶋社長。彼の芸能界デビューの日について、今まで以上に慎重に協議し決めなければなりません』

『えぇ。そうね。分かりました』

『上手くいけば彼の存在と才能が、この芸能界や世間のあらゆる話題を収奪し、我が冴嶋プロダクションを更に大きく成長させてくれると考えます』


僕のデビューの日については…?
…の日について《》じゃなくて…?

じゃあ詩織のデビューの日については??

もし、詩織のデビューのことを差し置いて、そんな話が進んでいたとしたら…。

だったらまるで、詩織の芸能界デビューなんかそんな重要じゃない。そんなことよりも、僕のデビューのほうが重要…みたいな言い方じゃないか…?


『岩塚信吾くん。君に一つ頼みたい』


…なんだろう。この重い気持ち…。
何だか大槻専務取締役のその言い方に、大きく憤りを感じて、少しムカムカしてきた。


『何ですか?』

『君の《デビューを1年控える》というのを《1年》と変更させてくれないか?』


僕は今にも言いたいことを、ついハッキリと言ってしまった。


『詩織のデビューのことも、ちゃんと大切に考えてくれると約束してもらえるなら…考えてみてもいいです』

『ちょっと!信吾…そんな言い方!』


詩織は目を円くして僕の横顔を見てた…けど、僕は振り向かなかった。
あの専務取締役は、詩織のことを全然何も解ってない…!


『ふふっ…そうだよな。けれど安心してくれ。ちゃんと考えるよ』


ってか最長1年って…極端な例えだけど…2ヶ月後に《池川金魚、芸能界デビュー!》なんてこともあるってこと…?

…えぇ?それは勘弁してほしい…。


『岡本くんが《本当は女優になりたい》という、勇気ある心のうちも聞いたよ。だが彼女はまずは…新人アイドルとして』

『それを詩織が嫌がったら、詩織はここでは働けないんですか…?』


突然、詩織が僕の手をギュッと握ってきた。
それでようやく僕は、詩織と視線を交わらせた。


『信吾…もう大丈夫なの。そのお話しはちゃんと、話し合って終わったの』


『君らは従業員採用試験の場に来たんじゃないんだ。我々はこの事務所に所属するタレントとして、君たちに働いてほしいと思っている』
『安心して。岩塚くん。ここでは《あなた達の今後の活動方針を確かめて協議している》だけなんだから』


大槻専務取締役に続いて高須賀人事部長がそう言って、僕を安心させてくれた。


『でっ、では皆さま…そろそろお時間です。これにて初見面談を…』


池田さんがそう言い掛けたとき…あっ!


『いやいや…すみません、遅れました。ごめんなさい。ドラマの撮影が予定より長くなっちゃいまして…』

『あっ、浅見さん!』
『浅見丈彦さん!』

























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