11 / 162
G.F. - 再始動編 -
page.490
しおりを挟む
…僕は控え室の壁掛け時計を何度も見ながら、金魚になるための準備を急いでいた。
詩織のためにも…1秒でも早く戻ってあげないと。
…よし。できた。
今日の金魚の服装は…明るい灰色の少し余裕あるサイズのニットのタートルセーターに…スカートは膝丈の黒色のトレンチスカート。腰のベルトも灰色…って、セーターが被ってて隠れてるけど。そしてベージュのストッキングを履いて…靴は太い6cmヒールの革製赤茶色ミニブーツ。
髪型は相変わらず、ショートのウルフレイヤー。
うーん。後ろ髪を手櫛で整えて、前髪をちょっと摘んで直して…左耳には忘れず《赤姫と黒助くん》。
メイクなら任せて。
いつもどおりの《ファンデ薄めでリップも薄ピンク。チークも濃くない超ナチュラル柔らかすっぴん系メイク》。
…名前長い?
準備が済んだ僕は控え室を出て、慌ててエレベーターへと向か…ん?
エレベーターの目の前に…ちょっとやんちゃそうな、めちゃくちゃモテそうなイケメン男子が…。
見た目…年齢は僕らとあんまり変わらない?
服はストリート系のパーカーで、そしてダボっとしたジーパンのポケットに、両手を突っ込んでそこに立っている。
僕が慌ててパタパタと走って近づいてきたもんだから、そのイケメン男子はゆっくり振り向いて僕を見た…。
『は?誰?…お前』
『えっ?…えぇと、その…』
タイミングが良かったのか悪かったのか…エレベーターの扉が今開いた。
『…いいよ。先に乗れよ』
『あっ、あ…ありがとう』
僕はささっとエレベーターに乗った。続いてイケメン男子もエレベーターに乗る。
『何階?』
『あ、はい!3…で』
『3階?』
『はい…』
…ん?イケメン男子くん…?
押して…エレベーターの階数のボタン…?
『会議室か?そういやぁ今日、新人のオンナが来るって言ってたなぁ…』
あの…僕、急いでるんで。押してよ…3階のボタン。
『じゃ、アイドル志望のオンナって…お前?』
『い、いやぁ…』
たぶん詩織のことを言ってるんだろうけど…詩織はアイドル志望じゃない。
本当は女優になりたいんだから…ってか、このイケメン男子って誰??
『違うんか?ふぅん…んま、じゃいいけど』
やっと謎のイケメン男子がボタンを押してくれた。
彼は3階のほかに4階のボタンも押した。
そして動き出すエレベーター。
『お前…名前は?』
《3階です…ドアが開きます》
2階から乗って3階だから、エレベーターの扉はすぐ開いた。
僕は名前を言わず『今急いでるんで…!』って言って、エレベーターから慌てて降りた。
エレベーターの扉が閉じる…。
ほんと誰だったんだろう…ぶっきらぼうな話し方の、今のイケメン男子…。
ちょっと早歩きで、今使っている会議室の扉の前へ来た。
一旦深呼吸をして…ドアをノック。
《コンコンコン…》
もう一度、深呼吸…。
『すみません…遅くなりました…』
そう言い終えるか言い終わらないかのうちに、扉が開いた。
『おかえり。金魚♪』
いつもの明るい詩織の笑顔。
『戻って座ろう』
『うん』
詩織が先に、自分の座っていたパイプ椅子に座る。
僕も座っていたパイプ椅子へと戻って座ろうとす…。
『岩塚くん。待って』
『!』
冴嶋社長が、それを止めた。
僕はパイプ椅子の前で立ったまま。
『皆さん、どうですか?』
『彼女が…本当にさっきの彼ですか…?』
『えぇ。そうよ。大槻専務』
池田さんが慌てたように、司会進行を進めはじめた。
『それでは…続きまして彼のご紹介を始めます』
池田さんから『どうぞ』と勧められて…。
『えぇと…岩塚信吾です…20歳です。今は池川金魚です。宜しくお願いします…』
『ぇ、今…何って?名前…?』
高須賀あずさ人事部長のそれに、すぐに詩織が反射的に答えてくれた。
『池川金魚です。信吾が女の子になったときの名前です。池川金魚…ねー♪』
詩織は座ったまま、可愛らしい笑顔で…僕の顔を見上げた。
詩織のためにも…1秒でも早く戻ってあげないと。
…よし。できた。
今日の金魚の服装は…明るい灰色の少し余裕あるサイズのニットのタートルセーターに…スカートは膝丈の黒色のトレンチスカート。腰のベルトも灰色…って、セーターが被ってて隠れてるけど。そしてベージュのストッキングを履いて…靴は太い6cmヒールの革製赤茶色ミニブーツ。
髪型は相変わらず、ショートのウルフレイヤー。
うーん。後ろ髪を手櫛で整えて、前髪をちょっと摘んで直して…左耳には忘れず《赤姫と黒助くん》。
メイクなら任せて。
いつもどおりの《ファンデ薄めでリップも薄ピンク。チークも濃くない超ナチュラル柔らかすっぴん系メイク》。
…名前長い?
準備が済んだ僕は控え室を出て、慌ててエレベーターへと向か…ん?
エレベーターの目の前に…ちょっとやんちゃそうな、めちゃくちゃモテそうなイケメン男子が…。
見た目…年齢は僕らとあんまり変わらない?
服はストリート系のパーカーで、そしてダボっとしたジーパンのポケットに、両手を突っ込んでそこに立っている。
僕が慌ててパタパタと走って近づいてきたもんだから、そのイケメン男子はゆっくり振り向いて僕を見た…。
『は?誰?…お前』
『えっ?…えぇと、その…』
タイミングが良かったのか悪かったのか…エレベーターの扉が今開いた。
『…いいよ。先に乗れよ』
『あっ、あ…ありがとう』
僕はささっとエレベーターに乗った。続いてイケメン男子もエレベーターに乗る。
『何階?』
『あ、はい!3…で』
『3階?』
『はい…』
…ん?イケメン男子くん…?
押して…エレベーターの階数のボタン…?
『会議室か?そういやぁ今日、新人のオンナが来るって言ってたなぁ…』
あの…僕、急いでるんで。押してよ…3階のボタン。
『じゃ、アイドル志望のオンナって…お前?』
『い、いやぁ…』
たぶん詩織のことを言ってるんだろうけど…詩織はアイドル志望じゃない。
本当は女優になりたいんだから…ってか、このイケメン男子って誰??
『違うんか?ふぅん…んま、じゃいいけど』
やっと謎のイケメン男子がボタンを押してくれた。
彼は3階のほかに4階のボタンも押した。
そして動き出すエレベーター。
『お前…名前は?』
《3階です…ドアが開きます》
2階から乗って3階だから、エレベーターの扉はすぐ開いた。
僕は名前を言わず『今急いでるんで…!』って言って、エレベーターから慌てて降りた。
エレベーターの扉が閉じる…。
ほんと誰だったんだろう…ぶっきらぼうな話し方の、今のイケメン男子…。
ちょっと早歩きで、今使っている会議室の扉の前へ来た。
一旦深呼吸をして…ドアをノック。
《コンコンコン…》
もう一度、深呼吸…。
『すみません…遅くなりました…』
そう言い終えるか言い終わらないかのうちに、扉が開いた。
『おかえり。金魚♪』
いつもの明るい詩織の笑顔。
『戻って座ろう』
『うん』
詩織が先に、自分の座っていたパイプ椅子に座る。
僕も座っていたパイプ椅子へと戻って座ろうとす…。
『岩塚くん。待って』
『!』
冴嶋社長が、それを止めた。
僕はパイプ椅子の前で立ったまま。
『皆さん、どうですか?』
『彼女が…本当にさっきの彼ですか…?』
『えぇ。そうよ。大槻専務』
池田さんが慌てたように、司会進行を進めはじめた。
『それでは…続きまして彼のご紹介を始めます』
池田さんから『どうぞ』と勧められて…。
『えぇと…岩塚信吾です…20歳です。今は池川金魚です。宜しくお願いします…』
『ぇ、今…何って?名前…?』
高須賀あずさ人事部長のそれに、すぐに詩織が反射的に答えてくれた。
『池川金魚です。信吾が女の子になったときの名前です。池川金魚…ねー♪』
詩織は座ったまま、可愛らしい笑顔で…僕の顔を見上げた。
1
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる