484 / 490
女装と復讐 -完結編-
page.473
しおりを挟む
『おかえり。信吾』
詩織が明るく元気に、僕にそう言ってくれた。
『うん。ごめん…遅くなって』
『うぅん。気にしないで。ちゃんと絵里佳ちゃんと話してくるのよって、送り出したのは私なんだし』
『…うん』
運転席のアンナさんが、ミラー越しに後部座席の僕らを見る。
『じゃあ、美容院へ帰るわね』
再び発進し、街道へ出て走り出したアンナさんの車。
アンナさんへの《復讐完了のご報告》は、車の外で僕が樋口と話をしているあいだに、車内で詩織からアンナさんに《無事終わった》と報告されていた。
『あっ、そうです…そのことで、アンナさんに訊きたいことがあるんです』
『私に?訊きたいこと…?って?』
僕はアンナさんに訊いてみた…。
僕が瀬ヶ池の女の子たちへの復讐を誓ったときには、僕は《僕が声高らかに、お前らのことを笑ってやるよ!!畜生!!》って、怨念に似た強い怒りを抱いていた…。
けど実際、復讐を果たす場となった僕に…あの時のような強い怒りはもう無かった。
逆に女の子たちに感謝すら…。
『…これはアンナさんが初めから、この復讐劇のラストはこう完結させるんだと構想して、この金魚となった僕の活動の約1年のあいだに、僕の強い復讐想念を誘導し、意識の操作したんじゃ』
『待って。それだけは否定させてもらうわ』
アンナさんは即答で、それを否定した。
『だって私はこの復讐劇の結末は、ファミリーのみんなが幸せになっていてほしいと、それだけを願って目論んた。そしてその為に、あなた達を瀬ヶ池で有名にさせて、この願いの実現へと導き見守っていたのは認めるけど…信吾くんの復讐する姿までは、私でも見通すことはできてなかった』
『でも、じゃあなんで僕は』
『信吾くん!考えてみて。菊江さんが岡ちゃんを紹介してくれたことや、そこから鈴ちゃんまで紹介されて、親友にまでなれたこと…金魚にそっくりな鮎美ちゃんも現れて、ファミリーに加入までしてくれたことも…あと、雄二が冴嶋プロダクションに戻れることになったのも、私の当初の計画には無かった…ただ《幸運が風に乗って舞い込んで来てくれた》ってだけでしょう…?』
…た、確かに…。
もし本当にアンナさんがそんな幸運まで本当に見通せていたら…僕はもうアンナさんは《人の姿をした幸運の女神》としか考えられなくなってたと思う。
『信吾くんの復讐後のことをね、本当に心から心配してくれていたのは…詩織よ』
…!?
えっ、詩織…!?
『アンナさん。やめてよぉ…恥ずかしいよぉ…』
僕は勢いよく振り向いて、僕の横に座る詩織を見た…詩織は恥ずかしそうにウンと小さく頷いた。
詩織が明るく元気に、僕にそう言ってくれた。
『うん。ごめん…遅くなって』
『うぅん。気にしないで。ちゃんと絵里佳ちゃんと話してくるのよって、送り出したのは私なんだし』
『…うん』
運転席のアンナさんが、ミラー越しに後部座席の僕らを見る。
『じゃあ、美容院へ帰るわね』
再び発進し、街道へ出て走り出したアンナさんの車。
アンナさんへの《復讐完了のご報告》は、車の外で僕が樋口と話をしているあいだに、車内で詩織からアンナさんに《無事終わった》と報告されていた。
『あっ、そうです…そのことで、アンナさんに訊きたいことがあるんです』
『私に?訊きたいこと…?って?』
僕はアンナさんに訊いてみた…。
僕が瀬ヶ池の女の子たちへの復讐を誓ったときには、僕は《僕が声高らかに、お前らのことを笑ってやるよ!!畜生!!》って、怨念に似た強い怒りを抱いていた…。
けど実際、復讐を果たす場となった僕に…あの時のような強い怒りはもう無かった。
逆に女の子たちに感謝すら…。
『…これはアンナさんが初めから、この復讐劇のラストはこう完結させるんだと構想して、この金魚となった僕の活動の約1年のあいだに、僕の強い復讐想念を誘導し、意識の操作したんじゃ』
『待って。それだけは否定させてもらうわ』
アンナさんは即答で、それを否定した。
『だって私はこの復讐劇の結末は、ファミリーのみんなが幸せになっていてほしいと、それだけを願って目論んた。そしてその為に、あなた達を瀬ヶ池で有名にさせて、この願いの実現へと導き見守っていたのは認めるけど…信吾くんの復讐する姿までは、私でも見通すことはできてなかった』
『でも、じゃあなんで僕は』
『信吾くん!考えてみて。菊江さんが岡ちゃんを紹介してくれたことや、そこから鈴ちゃんまで紹介されて、親友にまでなれたこと…金魚にそっくりな鮎美ちゃんも現れて、ファミリーに加入までしてくれたことも…あと、雄二が冴嶋プロダクションに戻れることになったのも、私の当初の計画には無かった…ただ《幸運が風に乗って舞い込んで来てくれた》ってだけでしょう…?』
…た、確かに…。
もし本当にアンナさんがそんな幸運まで本当に見通せていたら…僕はもうアンナさんは《人の姿をした幸運の女神》としか考えられなくなってたと思う。
『信吾くんの復讐後のことをね、本当に心から心配してくれていたのは…詩織よ』
…!?
えっ、詩織…!?
『アンナさん。やめてよぉ…恥ずかしいよぉ…』
僕は勢いよく振り向いて、僕の横に座る詩織を見た…詩織は恥ずかしそうにウンと小さく頷いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
23
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる