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女装と復讐 -完結編-
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『絵里佳ちゃんは金魚が…早瀬ヶ池で一番の女の子…だったって思う?』
『あ、はい。もちろんです』
樋口が可愛く頷く。
『だったら…金魚が東京へ行っちゃったら…早瀬ヶ池の一番の子は、また…誰でもなくなる…ってことだよね』
樋口は小さくウンと頷いた。
そう。空いた《瀬ヶ池で一番の女の子》の席を…次は…。
『…絵里佳ちゃん。次の《瀬ヶ池で一番の女の子》は、絵里佳ちゃん…あなたが成るの』
『えっ、私が…ですか?』
『本当に成れるか分からない』『自信がない』って言う樋口を、僕は『絵里佳ちゃんなら大丈夫。可愛いから』『瀬ヶ池の女の子たちを寂しがらせないためにも』って付け加えて、応援の言葉を贈った。
『…それでね、彩乃ちゃんの瀬ヶ池再出現の阻止と、瀬ヶ池の差別意識の改善とその経過観察を、絵里佳ちゃんが務めるの。できるよね?』
『えっ!でも…彩乃ちゃん』
『大丈夫。もう絵里佳ちゃんは、彩乃ちゃんなんかに負けないから!頑張って!』
僕は少し躊躇いながら…樋口の頭を優しく撫でてあげた。
『姫さまが、それを望むなら…私、次の《瀬ヶ池の一番の女の子》を目指してみようかなぁって思います』
『うん。情報サイト《パレット》の管理と監視も、これからも続けてね』
…って僕からのお願いに、樋口…また《条件》を叩き付けてきた…。
『…それしたら…お願い聞いてくれるんだよね…?』
『はい。優しく…お願いします…だから早く…』
『…。』
…優しい軽めのKissしてあげると…樋口は泣きながら、また僕を勢いよく抱きしめてきた。
『姫さまぁ…嫌だぁ…やっぱり離れたくない!!でも行くのなら…私も連れてって!!東京に…うわぁぁぁー』
…そんな子ども染みた願いは叶わない…なんてことは樋口も知ってる。
だけど、解っててもそんな想いを《金魚姫》にぶつけてきた…樋口の気持ちも、僕には痛いぐらい伝わってきた…。
「絵里佳ちゃーん…」
『!』
この樋口を呼ぶ声…佐藤美佳ちゃんの声だ。樋口も、ハッ!とした表情をして泣き止んで、慌てて僕から離れた。
『あっ、いた…絵里佳ちゃん』
『美佳ちゃん…』
『…どうしたの?泣いてたの?』そう言って、樋口を優しく包むように抱きしめてあげている佐藤美佳ちゃん。
『池川金魚は…岩塚くん…だったんだよね…?』
真顔で僕にそう訊く美佳ちゃん。それ以上は何も言ってこなかった。
僕は絵里佳ちゃんに何も答えられず、二人の様子をただ見ているだけだった…。
『行こう。戻ろう。絵里佳ちゃん…岩塚くんに泣かされたの?安心して…』
半ば強引に…美佳ちゃんに引き摺られるように、樋口はキャンパスへと戻っていく…。
その様子を、しばらく見守っていた僕…。
しばらくして僕は振り返って、後部座席のドアを開けて、アンナさんの車に乗り込んで戻った…。
『あ、はい。もちろんです』
樋口が可愛く頷く。
『だったら…金魚が東京へ行っちゃったら…早瀬ヶ池の一番の子は、また…誰でもなくなる…ってことだよね』
樋口は小さくウンと頷いた。
そう。空いた《瀬ヶ池で一番の女の子》の席を…次は…。
『…絵里佳ちゃん。次の《瀬ヶ池で一番の女の子》は、絵里佳ちゃん…あなたが成るの』
『えっ、私が…ですか?』
『本当に成れるか分からない』『自信がない』って言う樋口を、僕は『絵里佳ちゃんなら大丈夫。可愛いから』『瀬ヶ池の女の子たちを寂しがらせないためにも』って付け加えて、応援の言葉を贈った。
『…それでね、彩乃ちゃんの瀬ヶ池再出現の阻止と、瀬ヶ池の差別意識の改善とその経過観察を、絵里佳ちゃんが務めるの。できるよね?』
『えっ!でも…彩乃ちゃん』
『大丈夫。もう絵里佳ちゃんは、彩乃ちゃんなんかに負けないから!頑張って!』
僕は少し躊躇いながら…樋口の頭を優しく撫でてあげた。
『姫さまが、それを望むなら…私、次の《瀬ヶ池の一番の女の子》を目指してみようかなぁって思います』
『うん。情報サイト《パレット》の管理と監視も、これからも続けてね』
…って僕からのお願いに、樋口…また《条件》を叩き付けてきた…。
『…それしたら…お願い聞いてくれるんだよね…?』
『はい。優しく…お願いします…だから早く…』
『…。』
…優しい軽めのKissしてあげると…樋口は泣きながら、また僕を勢いよく抱きしめてきた。
『姫さまぁ…嫌だぁ…やっぱり離れたくない!!でも行くのなら…私も連れてって!!東京に…うわぁぁぁー』
…そんな子ども染みた願いは叶わない…なんてことは樋口も知ってる。
だけど、解っててもそんな想いを《金魚姫》にぶつけてきた…樋口の気持ちも、僕には痛いぐらい伝わってきた…。
「絵里佳ちゃーん…」
『!』
この樋口を呼ぶ声…佐藤美佳ちゃんの声だ。樋口も、ハッ!とした表情をして泣き止んで、慌てて僕から離れた。
『あっ、いた…絵里佳ちゃん』
『美佳ちゃん…』
『…どうしたの?泣いてたの?』そう言って、樋口を優しく包むように抱きしめてあげている佐藤美佳ちゃん。
『池川金魚は…岩塚くん…だったんだよね…?』
真顔で僕にそう訊く美佳ちゃん。それ以上は何も言ってこなかった。
僕は絵里佳ちゃんに何も答えられず、二人の様子をただ見ているだけだった…。
『行こう。戻ろう。絵里佳ちゃん…岩塚くんに泣かされたの?安心して…』
半ば強引に…美佳ちゃんに引き摺られるように、樋口はキャンパスへと戻っていく…。
その様子を、しばらく見守っていた僕…。
しばらくして僕は振り返って、後部座席のドアを開けて、アンナさんの車に乗り込んで戻った…。
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