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女装と復讐 -完結編-
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記念館を出て、僕はなんだか気になって、ふと振り返った。
記念館の入館口に、静かに僕らを見ている一塊の女の子たちの集団。
『ん?どうしたの?信吾』
詩織も振り返る。そして詩織もまた、あの女の子たちを見た。
『うーん?…何してるの?あの子たち…?行こう。信吾』
詩織はまた正面を向いて、歩き出そうとした。だから僕も…。
「待って!岩塚くん!」
「岩塚先輩!待ってください!!」
「金魚ちゃん!待ってー!!」
…えっ?
15人くらいかな…女の子達が僕らを追って駆けて来た。
あっという間に、駆け寄ってきた女の子たちに囲まれる僕と詩織。
この大学の僕の後輩らしき綺麗な女の子が、息を切らしながら僕に語り掛けてきた。
『はぁ…岩塚先輩…私のこと覚えてないかもですけど…はぁ…はぁ…8月にあの化粧品店で私、岩塚先輩にメイクしてもらったんです…』
『あ…うん』
『それであの日、彼に《いつもより可愛い…なんで?》って言ってもらえてて…嬉しくて、それで…あのときは、本当にありがとうござました!』
この後輩の子は、僕がナオさんの化粧品店で修行してたときに…来てくれた女の子の一人らしい。
『《藤浦市スプリングフェスタ》のときの、岩塚く…金魚ちゃんと詩織ちゃんのステージ演出…カッコ良かった。私忘れないから!』
今度は別の女の子が、そう言ってくれた…ありがとう。
そしてまた…もう一歩僕の前に近づいてきた女の子たち2人組…?
『私たち、岩塚くんが眉毛を細く整えたり、男アピールして歩いてみたり、左耳にピアス穴を開けたりしたときも《あれ、ヤバいよ!》《頭おかしくなってナンパ本気モードなんじゃない!?》《うちらも狙われないように気をつけよう…》って、何度か岩塚くんを見てコソコソ話をしてたりしてたの…ごめんね!』
あー。そんなこともあったなぁ…って、この女の子たちだったのか!
コソコソってか、思いっきり聞こえてたけど!
…ってか、それを今わざわざ僕の目の前にまできて、それを告白する必要ってあった…?
そのあとも代わる代わる、女の子たちから『ありがとう』『ごめんなさい』『東京へ行っても頑張って』『金魚ちゃん大好きでした!』って、色々と言ってもらえた。
僕も女の子たちに《ごめん》と《ありがとう》を何度か言って返した。
『詩織ちゃん、うちの学生の誰かが六条大のことに触れて、悪口を言ってたけど…ごめんね。私たちそんな…』
女生徒の1人が、詩織に深々と謝った。
『ううん。あなたが悪いわけじゃないし。それに私、もうそんなに気にしてないから…ね。ありがとう』
『岩塚くんも詩織ちゃんも、芸能界でも頑張って活躍してね!』
『うん。頑張るから。ありがとう…』
大学の校門を潜った先の、広い広い駐車場。少し離れた場所にアンナさんの車が停まってるのを、僕も詩織も確認した。
少し駆けて車け寄り、後部座席のドアを開けた。
『詩織と信吾くん、お疲れさま。どうだった?』
『うん。とりあえず、なんか全部終わっちゃったな…って感じ』
詩織が不満足そうに、そう言いながら後部座席に乗った。
僕も詩織に続いて乗り込む。
『っていうかアンナさん、遅くなってごめんなさい!』
『じゃあ…行きましょうか。美容院に戻るわね』
『はーい』
『お願いします』
詩織がにこにこ顔で、ドアの窓から外を見た。
アンナさんの車はゆっくりと発進する。
『ねぇ…信吾』
『うん。なに?』
『見て…』
『えっ?』
詩織が車の外のどこか…校門の向こうあたりを指差した…?
『絵里佳ちゃんがいるよ』
樋口が?ふぅん…。
『こっちに向かって走ってきてる…』
詩織が、心配気な視線で僕を見た。
『いいの?信吾…何か話さなくても…?』
僕と樋口が…何を話せと…?
アンナさんの車は更に加速して、街道へと向かおうとしていた。
『待って!停まって!お願い!!アンナさん!!』
ええっ!?
詩織が停めて!とアンナさんに叫んだ…!?
記念館の入館口に、静かに僕らを見ている一塊の女の子たちの集団。
『ん?どうしたの?信吾』
詩織も振り返る。そして詩織もまた、あの女の子たちを見た。
『うーん?…何してるの?あの子たち…?行こう。信吾』
詩織はまた正面を向いて、歩き出そうとした。だから僕も…。
「待って!岩塚くん!」
「岩塚先輩!待ってください!!」
「金魚ちゃん!待ってー!!」
…えっ?
15人くらいかな…女の子達が僕らを追って駆けて来た。
あっという間に、駆け寄ってきた女の子たちに囲まれる僕と詩織。
この大学の僕の後輩らしき綺麗な女の子が、息を切らしながら僕に語り掛けてきた。
『はぁ…岩塚先輩…私のこと覚えてないかもですけど…はぁ…はぁ…8月にあの化粧品店で私、岩塚先輩にメイクしてもらったんです…』
『あ…うん』
『それであの日、彼に《いつもより可愛い…なんで?》って言ってもらえてて…嬉しくて、それで…あのときは、本当にありがとうござました!』
この後輩の子は、僕がナオさんの化粧品店で修行してたときに…来てくれた女の子の一人らしい。
『《藤浦市スプリングフェスタ》のときの、岩塚く…金魚ちゃんと詩織ちゃんのステージ演出…カッコ良かった。私忘れないから!』
今度は別の女の子が、そう言ってくれた…ありがとう。
そしてまた…もう一歩僕の前に近づいてきた女の子たち2人組…?
『私たち、岩塚くんが眉毛を細く整えたり、男アピールして歩いてみたり、左耳にピアス穴を開けたりしたときも《あれ、ヤバいよ!》《頭おかしくなってナンパ本気モードなんじゃない!?》《うちらも狙われないように気をつけよう…》って、何度か岩塚くんを見てコソコソ話をしてたりしてたの…ごめんね!』
あー。そんなこともあったなぁ…って、この女の子たちだったのか!
コソコソってか、思いっきり聞こえてたけど!
…ってか、それを今わざわざ僕の目の前にまできて、それを告白する必要ってあった…?
そのあとも代わる代わる、女の子たちから『ありがとう』『ごめんなさい』『東京へ行っても頑張って』『金魚ちゃん大好きでした!』って、色々と言ってもらえた。
僕も女の子たちに《ごめん》と《ありがとう》を何度か言って返した。
『詩織ちゃん、うちの学生の誰かが六条大のことに触れて、悪口を言ってたけど…ごめんね。私たちそんな…』
女生徒の1人が、詩織に深々と謝った。
『ううん。あなたが悪いわけじゃないし。それに私、もうそんなに気にしてないから…ね。ありがとう』
『岩塚くんも詩織ちゃんも、芸能界でも頑張って活躍してね!』
『うん。頑張るから。ありがとう…』
大学の校門を潜った先の、広い広い駐車場。少し離れた場所にアンナさんの車が停まってるのを、僕も詩織も確認した。
少し駆けて車け寄り、後部座席のドアを開けた。
『詩織と信吾くん、お疲れさま。どうだった?』
『うん。とりあえず、なんか全部終わっちゃったな…って感じ』
詩織が不満足そうに、そう言いながら後部座席に乗った。
僕も詩織に続いて乗り込む。
『っていうかアンナさん、遅くなってごめんなさい!』
『じゃあ…行きましょうか。美容院に戻るわね』
『はーい』
『お願いします』
詩織がにこにこ顔で、ドアの窓から外を見た。
アンナさんの車はゆっくりと発進する。
『ねぇ…信吾』
『うん。なに?』
『見て…』
『えっ?』
詩織が車の外のどこか…校門の向こうあたりを指差した…?
『絵里佳ちゃんがいるよ』
樋口が?ふぅん…。
『こっちに向かって走ってきてる…』
詩織が、心配気な視線で僕を見た。
『いいの?信吾…何か話さなくても…?』
僕と樋口が…何を話せと…?
アンナさんの車は更に加速して、街道へと向かおうとしていた。
『待って!停まって!お願い!!アンナさん!!』
ええっ!?
詩織が停めて!とアンナさんに叫んだ…!?
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