474 / 490
女装と復讐 -完結編-
page.463
しおりを挟む
『あのさ、詩織…』
『ん?なぁに?』
僕は単純なことを訊いた…。
『今日このホールに集まってる人たちって…どんな感じ?』
『どんな感じ…って、ほとんどが女学生よ』
…そうじゃなくて、もう少し詳しく聞きたいんだけど。
『あなたの、この大学…宮学の女学生ももちろん多いし、他の大学の女学生もだし…あ!あと高校生の女の子たちも居たよ。あと…男子もちらほら』
『そうじゃなくて!』
『…え?』
僕が聞きたかったのは《今日集まった女の子たちのどれぐらいの割合が、瀬ヶ池によく行く女の子だと思う?》ってこと。
だって僕の復讐目的とその相手は《僕を笑いものにした瀬ヶ池の女の子たち》なんだから。
『あー。殆どの女の子たちが瀬ヶ池に行ってる子だって思う。そこは安心して』
…そっか。
『それに…たぶん今日中に《カラフル》に写真や動画とあわせて書き込まれると思うから。瀬ヶ池の女の子全員にすぐに知れ渡るよ。金魚が信吾だったってこと』
だろうね…。
でも、それでいい。
『詩織、歩美ちゃん。そろそろだぞ!』
『うん!』
『はい』
秋良さんからそう言われ、詩織と歩美さんはステージのほうを見た。
『…では、ここで次の二組目のゲストをお呼びすることと、あわせて重大発表をしたいと思います』
鈴ちゃんの元気な声がホールに響く。
それに合わせて騒つく、ホールに集まった女の子たち。
『実は…この藤浦市から、また新しい芸能人が誕生します。そして私の後輩になる子たちです。もちろん、うちの事務所にね』
「誰?誰?」…そんな騒めき声が聞こえると思ったら…「詩織ちゃん!?」「金魚ちゃん!?」って女の子たちの声が騒めきの中に聞こえた。
…そりゃ、あれだけ鈴ちゃんと仲良くしてる姿を見られてたんだから、発表する前からバレてるのも仕方ないか…。
詩織と歩美さんに続き、僕もステージへと続く階段を上がっていく。
『ではお二人さん、舞台に上がってきて!』
鈴ちゃんが詩織と歩美さんを呼ぶ。
詩織と歩美さんは、少し恥ずかしそうに舞台の袖を行き過ぎて、鈴ちゃんの方へと歩いていった。
僕は舞台の袖で立ち止まる。
そして詩織たちと入れ替わるように、俳優の浅見さんと女優の寺本さんが舞台からこっち…袖へと入ってきた。
『君が天才女装家の岩塚信吾くんだろう?』
…天才…女装家って…。
『どれだけの美少女に変身できるのか、期待してここで見守っているよ』
演じているドラマでよく見ていたような、本当に優しそうな笑顔の浅見丈彦さん。
『初めまして。うちの事務所にようこそ。宜しくね』
『はい。陽凪さん。宜しくお願いします』
女優の陽凪さんも、僕に優しく笑顔を見せてくれた。
うわぁ…陽凪さんもまた…すっごい美人だ…。
いろんな意味で、今日も久しぶりに…ドキドキ…。
『…ということで、私はまだ《アイドル》に成るのか、ほかの何を目指すのか、これから考えたいって思っているところですけど…じゃぁ、次は金魚に代わります』
「詩織ちゃーん」
「詩織ちゃあーん♪」
「芸能界も頑張ってー」
観客である女の子たちの拍手がわあっと湧く。
僕は、詩織から歩美さんへとマイクが渡されるのを、袖からしっかりと見守っていた。
『はい…えぇと…』
「金魚ちゃーん」
「金魚ちゃん、久しぶりー」
「かわいいー。金魚ちゃん!」
…詩織からマイクを渡された歩美さん。なんだか少し話しづらく、言葉を詰まらせている…。
『私は…皆さんご存知のとおり、池川金魚…じゃありません!』
「えっ…??」
「なに?どういう…!?」
「えーっ!?金魚ちゃんの…!?」
「金魚ちゃんの…お姉ちゃん!?」
急に、ホール内に女の子たちの響めく声が、響き渡りだした…。
『ん?なぁに?』
僕は単純なことを訊いた…。
『今日このホールに集まってる人たちって…どんな感じ?』
『どんな感じ…って、ほとんどが女学生よ』
…そうじゃなくて、もう少し詳しく聞きたいんだけど。
『あなたの、この大学…宮学の女学生ももちろん多いし、他の大学の女学生もだし…あ!あと高校生の女の子たちも居たよ。あと…男子もちらほら』
『そうじゃなくて!』
『…え?』
僕が聞きたかったのは《今日集まった女の子たちのどれぐらいの割合が、瀬ヶ池によく行く女の子だと思う?》ってこと。
だって僕の復讐目的とその相手は《僕を笑いものにした瀬ヶ池の女の子たち》なんだから。
『あー。殆どの女の子たちが瀬ヶ池に行ってる子だって思う。そこは安心して』
…そっか。
『それに…たぶん今日中に《カラフル》に写真や動画とあわせて書き込まれると思うから。瀬ヶ池の女の子全員にすぐに知れ渡るよ。金魚が信吾だったってこと』
だろうね…。
でも、それでいい。
『詩織、歩美ちゃん。そろそろだぞ!』
『うん!』
『はい』
秋良さんからそう言われ、詩織と歩美さんはステージのほうを見た。
『…では、ここで次の二組目のゲストをお呼びすることと、あわせて重大発表をしたいと思います』
鈴ちゃんの元気な声がホールに響く。
それに合わせて騒つく、ホールに集まった女の子たち。
『実は…この藤浦市から、また新しい芸能人が誕生します。そして私の後輩になる子たちです。もちろん、うちの事務所にね』
「誰?誰?」…そんな騒めき声が聞こえると思ったら…「詩織ちゃん!?」「金魚ちゃん!?」って女の子たちの声が騒めきの中に聞こえた。
…そりゃ、あれだけ鈴ちゃんと仲良くしてる姿を見られてたんだから、発表する前からバレてるのも仕方ないか…。
詩織と歩美さんに続き、僕もステージへと続く階段を上がっていく。
『ではお二人さん、舞台に上がってきて!』
鈴ちゃんが詩織と歩美さんを呼ぶ。
詩織と歩美さんは、少し恥ずかしそうに舞台の袖を行き過ぎて、鈴ちゃんの方へと歩いていった。
僕は舞台の袖で立ち止まる。
そして詩織たちと入れ替わるように、俳優の浅見さんと女優の寺本さんが舞台からこっち…袖へと入ってきた。
『君が天才女装家の岩塚信吾くんだろう?』
…天才…女装家って…。
『どれだけの美少女に変身できるのか、期待してここで見守っているよ』
演じているドラマでよく見ていたような、本当に優しそうな笑顔の浅見丈彦さん。
『初めまして。うちの事務所にようこそ。宜しくね』
『はい。陽凪さん。宜しくお願いします』
女優の陽凪さんも、僕に優しく笑顔を見せてくれた。
うわぁ…陽凪さんもまた…すっごい美人だ…。
いろんな意味で、今日も久しぶりに…ドキドキ…。
『…ということで、私はまだ《アイドル》に成るのか、ほかの何を目指すのか、これから考えたいって思っているところですけど…じゃぁ、次は金魚に代わります』
「詩織ちゃーん」
「詩織ちゃあーん♪」
「芸能界も頑張ってー」
観客である女の子たちの拍手がわあっと湧く。
僕は、詩織から歩美さんへとマイクが渡されるのを、袖からしっかりと見守っていた。
『はい…えぇと…』
「金魚ちゃーん」
「金魚ちゃん、久しぶりー」
「かわいいー。金魚ちゃん!」
…詩織からマイクを渡された歩美さん。なんだか少し話しづらく、言葉を詰まらせている…。
『私は…皆さんご存知のとおり、池川金魚…じゃありません!』
「えっ…??」
「なに?どういう…!?」
「えーっ!?金魚ちゃんの…!?」
「金魚ちゃんの…お姉ちゃん!?」
急に、ホール内に女の子たちの響めく声が、響き渡りだした…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
22
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる