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女装と復讐 -完結編-
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『あの…緋子ちゃんは、金魚ちゃんが誰なのか…知ってるの?』
『はい。もちろんです』
そうはっきりと答えた緋子ちゃん。僕を指差してニコリと笑う。
『だって私、信吾くんと昔付き合ってた《元カノ》ですから…♪』
『…………ぇ??』
緋子ちゃんから出たその嘘を真に受けて、彼?彼女?をじっと見て、目を円くしている…!
『ぶっ、ちょっと待ったぁぁー!』
『それに、今年のバレンタインデーのエピソードには続きがあって…ね。信吾くん…あの夜、私の部屋にひと晩泊まっ…』
『だから!待って!!ってぇぇぇ!!!』
…無邪気に笑ってる忠彦くん…ったく。いきなり何を言い出すことやら…。
今飲んでたキャラメルマキアート、もう少しで吹き出しそうだったじゃん…。
さっきの爆弾発言のあと、その疑いも晴れて今は春華さんも笑ってる…。
ただ、ひと晩泊まったことは事実だけど…。
『もう止めてって…そういう誤解されるような発言…』
『あははは。面白かったね♪』
『…。』
…ね♪なんて言われても、忠彦くん…僕は全然面白くなかったし。逆にどっと疲れて…心臓がちょっと痛いし…。
『そういえば金魚ちゃん、《メイクの先生》のお店でアルバイトしてたね。8月の夏休み』
どうやら忠彦くん…《メイクの先生》はナオさんだと勘違いしてるらしい。
僕は《メイクの先生》はナオさんじゃなくて、美容院の店長を務めるアンナさんであることを説明し、勘違いを訂正した。
『あーっ!美容院で思い出した!』
『?』
『?』
『下村さん、なんか美容院のことも訊いてきてた!』
『えっ?…どんなふうに!?』
…あの下村という記者は、金魚の活動拠点が美容院であることまでも、もう突き止めるところまできてた…。
『ただ…《その美容院がどこにあって、何て名前だか知らない?》って。私たちに…』
…ヤバい。
『…それも先週のことだから、もう調べてその美容院の名前も場所も分かってるかも…』
…マジでヤバい…。
『…あと…』
『うん!聞いたことや知ってること、何でも全部教えて!』
『うん。今年の6月に…金魚ちゃんが《G.F.》って、あの市内配布の小冊子に特集され載ったってことも、年末の《G.F.》アワードにも出場するんじゃないかなぁ?…なんてことも言ってた』
…《G.F.》デビューのことから、アワード選出のことまで…。
急に忠彦くんが身を乗り出し、僕にぐっと顔を近づけてきた。
『それに本当にをつけて!下村さん、池川金魚って名前と顔写真から、幼少期とか学生時代について、あちこちコソコソと聞き込みして調べてるみたいなんだけど…誰からも何処からも、過去の話が何も出てこないことから…偽名とか顔の美容整形とか、性転換や女装とか、そんなところまでもう疑いはじめてるから…』
『えっ…』
もう駄目だ…こんなに早く調べ尽くされてるなんて…。
池川金魚が偽名で女装だってことを知られるのも、もう時間の問題だ…。
あと《G.F.》アワードの出場も諦めないと…。
アワードに選出されるのを待ってる時間なんて、もう無い…。
辛さと哀しさや悔しさが…胸に込み上がってくる…。
『…私が信吾くんに伝えたかったのは、それだけ』
『ううん。ありがとう』
それだけ…なんて、こんなにたくさんの報せを…本当にありがとう。
『…じゃあ、もう行くね』と緋子ちゃん。
『頑張って!私は金魚ちゃんの味方だからね!応援してるから!』
『はい。もちろんです』
そうはっきりと答えた緋子ちゃん。僕を指差してニコリと笑う。
『だって私、信吾くんと昔付き合ってた《元カノ》ですから…♪』
『…………ぇ??』
緋子ちゃんから出たその嘘を真に受けて、彼?彼女?をじっと見て、目を円くしている…!
『ぶっ、ちょっと待ったぁぁー!』
『それに、今年のバレンタインデーのエピソードには続きがあって…ね。信吾くん…あの夜、私の部屋にひと晩泊まっ…』
『だから!待って!!ってぇぇぇ!!!』
…無邪気に笑ってる忠彦くん…ったく。いきなり何を言い出すことやら…。
今飲んでたキャラメルマキアート、もう少しで吹き出しそうだったじゃん…。
さっきの爆弾発言のあと、その疑いも晴れて今は春華さんも笑ってる…。
ただ、ひと晩泊まったことは事実だけど…。
『もう止めてって…そういう誤解されるような発言…』
『あははは。面白かったね♪』
『…。』
…ね♪なんて言われても、忠彦くん…僕は全然面白くなかったし。逆にどっと疲れて…心臓がちょっと痛いし…。
『そういえば金魚ちゃん、《メイクの先生》のお店でアルバイトしてたね。8月の夏休み』
どうやら忠彦くん…《メイクの先生》はナオさんだと勘違いしてるらしい。
僕は《メイクの先生》はナオさんじゃなくて、美容院の店長を務めるアンナさんであることを説明し、勘違いを訂正した。
『あーっ!美容院で思い出した!』
『?』
『?』
『下村さん、なんか美容院のことも訊いてきてた!』
『えっ?…どんなふうに!?』
…あの下村という記者は、金魚の活動拠点が美容院であることまでも、もう突き止めるところまできてた…。
『ただ…《その美容院がどこにあって、何て名前だか知らない?》って。私たちに…』
…ヤバい。
『…それも先週のことだから、もう調べてその美容院の名前も場所も分かってるかも…』
…マジでヤバい…。
『…あと…』
『うん!聞いたことや知ってること、何でも全部教えて!』
『うん。今年の6月に…金魚ちゃんが《G.F.》って、あの市内配布の小冊子に特集され載ったってことも、年末の《G.F.》アワードにも出場するんじゃないかなぁ?…なんてことも言ってた』
…《G.F.》デビューのことから、アワード選出のことまで…。
急に忠彦くんが身を乗り出し、僕にぐっと顔を近づけてきた。
『それに本当にをつけて!下村さん、池川金魚って名前と顔写真から、幼少期とか学生時代について、あちこちコソコソと聞き込みして調べてるみたいなんだけど…誰からも何処からも、過去の話が何も出てこないことから…偽名とか顔の美容整形とか、性転換や女装とか、そんなところまでもう疑いはじめてるから…』
『えっ…』
もう駄目だ…こんなに早く調べ尽くされてるなんて…。
池川金魚が偽名で女装だってことを知られるのも、もう時間の問題だ…。
あと《G.F.》アワードの出場も諦めないと…。
アワードに選出されるのを待ってる時間なんて、もう無い…。
辛さと哀しさや悔しさが…胸に込み上がってくる…。
『…私が信吾くんに伝えたかったのは、それだけ』
『ううん。ありがとう』
それだけ…なんて、こんなにたくさんの報せを…本当にありがとう。
『…じゃあ、もう行くね』と緋子ちゃん。
『頑張って!私は金魚ちゃんの味方だからね!応援してるから!』
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