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女装と復讐 -完結編-

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また駅前に戻ってきた。金魚と詩織を待つ女の子の団体は、まだそこに居た…。


『信吾くん!ちょっと止まって!』

『えっ!?』


女装した綺麗な忠彦くん…緋子ちゃんにそう求められ、僕はピタリとその場に立ち止まった…。
春華さんも立ち止まる。


「ゆっくりと…気付かれないように…左を見て…」

『う、うん…』


緋子ちゃんの囁いた言葉に従って…ゆっくりと左を見る…。

なんだろう…凄く緊張する…。


「金魚ちゃんが現れるのを待ってる…怪しいカップルが見えるでしょ…?」

『うん…見えるよ…』


金魚が現れるのを待ってる…って?

僕らの視線の先に…30代らしき男性と、20代半ばくらいの女性とのカップルが…ってあれ、本当にカップル?

素知らぬフリをして、周囲をうかがってる様子…。
言われてみれば、あの2人…変だ。確かに凄く怪しい…。


「あれね、下村さんという記者の男が連れてた《弟子の記者たち》だよ」

『!』


緋子ちゃん、なんでそのことを!?

ってか…下村って記者、自分はもう顔バレしてるから、代わりに弟子たちに瀬ヶ池の見張りをさせてたんだ…!

なるほど…恐っ!


「あっ、動いた!」


あのカップルを装った弟子たちは…早瀬ヶ池の街の方へと向かい、その場を離れていった…。


『よし。信吾くんとお連れのお姉さん。急いで駅に入ろう』

『うん!』
『ちなみに私は春華ね!宜しく!』


僕ら3人は、駅構内へと急ぎ、歩き出した。
こんな短い距離だったのに、心臓はドキドキ…息はハァハァ…。


『緋子ちゃん、あの…なんで雑誌記者のこと…知ってるの?』

『うん。スタバに入ってゆっくり落ち着けたら、そのことを詳しく話すね』






…それぞれが選んだドリンクも揃い、スタバの一番奥の離れたテーブル席に落ち着けたところで…ひこちゃんが話を始めた。


『実はね…私の働くお店にお客様として来たの。下村さんという記者と、その記者が連れた弟子の記者たちが』

『…お店?』


春華さんが緋子ちゃんと見合った。


『はい。私《- oasis -》っていうお店で働いてます…週4出勤のキャバ嬢…』

『えーっ!?』


そう聞いて驚いてる春華さん。


『キャバ嬢やってるの!?緋子ちゃん!?…素っ敵ーッ♪』


…ん?あれ?


『それに私そのお店、私の勤める病院の院長先生に連れられて行ったことあるし!』

『そうなんですか!…って、女医さん??』

『ううん。私は正看護師♪』


…正しくは《病院内でアイドル的扱いされてる人気看護師さん》です…。






緋子ちゃんの話からすると…華丘緋子ちゃんは、今やお店のナンバー2のキャバ嬢らしくて…って、そんな緋子ちゃんの自慢話は置いといて…。

先々週のある晩、あの弟子の2人を連れてお客として来店した下村。
誰でもいいから上物を席に呼んでくれとのリクエストがあり、それで緋子ちゃんが呼ばれて、他の嬢1人と一緒に席に付いたという。


『…すぐに下村さんが《君たちは…池川金魚って子、知ってるかな?》って私たちに訊いてきたから、それで私は《えっ!》って思って…』

『ちょ…ちょっと待って』


話の途中、その流れを止めた春華さん…?






















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