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女装と復讐 -完結編-
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最後まで残ってた1個のケーキは、鈴ちゃんの『詩織ちゃん、ケーキどう?1個余ってるけど』という一言に、初めは遠慮するフリをして見せながら実は遠慮なく、詩織がペロリと平らげ…って話は置いといて…。
更に日は過ぎて…10月の第4土曜日。
毎週土曜日には、必ず藤浦市の各所に現れていた金魚と詩織が、その街から姿を消して…今日で3週目。
そろそろ、あのサイト《カラフル》では【詩織ちゃんと金魚ちゃん、どうしちゃったの?】【急に何も言わずに瀬ヶ池とかアンプリエから消えちゃって、ほんとに心配…】【急に瀬ヶ池が寂しくなっちゃった…金魚ちゃん詩織ちゃん早く瀬ヶ池に戻ってきて…】と、僕らが街に現れなくなったことを悲しみ嘆く書き込みが増えてきていた…。
僕らだって…本当は行きたいよ…瀬ヶ池に。
そして今日も、金魚と詩織は早瀬ヶ池に現れない…。
木曜日に、LINEで【今週の土曜日は詩織…どうする?】と訊いたら、詩織は【信吾ん家のアパートに、遊びに行こうかな…】とか返事が返ってき…えっ!?
そして午前11時頃に、本当に僕のアパートに、詩織が来る予定…。
でも《遊びに》って…。
僕の部屋には…まぁ、ゲームって言えば…PS4ぐらいはあるけど、詩織の楽しめそうな《どう森》とかみたいなゲームなんて無いし…。
あとは…デスクトップのPCが1台あるだけ…。
《♪コン、コン……コン…》
玄関をノックする音…!
僕は壁掛け時計を確認した…午前10時54分。
「信吾ぉ。玄関開けてー」
『あ、ちょっと待って!今行くから…!』
僕は急いで玄関まで走り、扉を開けた。
『おはよぉ。信吾。食料の買い出ししてきたよ』
へぇ…確かに。
詩織は左手に野菜やお肉の入った、買い物済みのマイバッグを下げて…。
『あと、私の普段着てるジャージも持ってきたよぉ♪』
『…ジャージ?』
『うん。《園原社交ダンス教室》で信吾が女の子歩きの練習してた、あのときにも着ていったジャージよ』
んん??…あー!あのピンクの…!?
詩織の右足下には、いつか見たことあるような、ピンクのジャージの入ってるんだろう紙袋がトンと置かれていた…。
『信吾って、自分の部屋にもメイク道具、あるんだったよね?…そう思って持って来なかったけど…良かったよね?』
『…。』
にこにこ笑顔の詩織。
…詩織の《遊びに》の意味は…理解できた。
『じゃあ…ってことで、ガスコンロとお鍋借りるねー』
詩織が、僕の里帰りのときに持っていってた、あのエプロンを着けて、腰紐を結びながら簡易キッチンへとゆっくり向かう。
『えぇと…僕もなにか手伝いしよ…』
『いいのいいの。信吾は私のジャージに着替えて、メイクして金魚に変身して』
は…はい…。
紙袋の中には…確かに。あのとき詩織が着てた《カッコいいピンクのジャージ》の上下セットが、きちんと折り畳まれて入ってた…。
午後0時7分…。
『金魚…はーい♪詩織ちゃんの、お茄子とまいたけを加えた特製回鍋肉、完全したよー。美味しそうよ♪』
回鍋肉のお鍋を、簡易キッチンから僕の部屋の小テーブルへと運ぶ詩織。僕らの使う箸とお皿とお茶、そしてお茶碗とご飯の準備も、ささっと着替え終えてメイクを済ませた僕が準備した。
小テーブルと料理を挟んで、向かい合って金魚と詩織が座った。
『では!絶っ対美味しい詩織ちゃんの特製回鍋肉…いっただきまぁーす♪』
『…いただきます』
更に日は過ぎて…10月の第4土曜日。
毎週土曜日には、必ず藤浦市の各所に現れていた金魚と詩織が、その街から姿を消して…今日で3週目。
そろそろ、あのサイト《カラフル》では【詩織ちゃんと金魚ちゃん、どうしちゃったの?】【急に何も言わずに瀬ヶ池とかアンプリエから消えちゃって、ほんとに心配…】【急に瀬ヶ池が寂しくなっちゃった…金魚ちゃん詩織ちゃん早く瀬ヶ池に戻ってきて…】と、僕らが街に現れなくなったことを悲しみ嘆く書き込みが増えてきていた…。
僕らだって…本当は行きたいよ…瀬ヶ池に。
そして今日も、金魚と詩織は早瀬ヶ池に現れない…。
木曜日に、LINEで【今週の土曜日は詩織…どうする?】と訊いたら、詩織は【信吾ん家のアパートに、遊びに行こうかな…】とか返事が返ってき…えっ!?
そして午前11時頃に、本当に僕のアパートに、詩織が来る予定…。
でも《遊びに》って…。
僕の部屋には…まぁ、ゲームって言えば…PS4ぐらいはあるけど、詩織の楽しめそうな《どう森》とかみたいなゲームなんて無いし…。
あとは…デスクトップのPCが1台あるだけ…。
《♪コン、コン……コン…》
玄関をノックする音…!
僕は壁掛け時計を確認した…午前10時54分。
「信吾ぉ。玄関開けてー」
『あ、ちょっと待って!今行くから…!』
僕は急いで玄関まで走り、扉を開けた。
『おはよぉ。信吾。食料の買い出ししてきたよ』
へぇ…確かに。
詩織は左手に野菜やお肉の入った、買い物済みのマイバッグを下げて…。
『あと、私の普段着てるジャージも持ってきたよぉ♪』
『…ジャージ?』
『うん。《園原社交ダンス教室》で信吾が女の子歩きの練習してた、あのときにも着ていったジャージよ』
んん??…あー!あのピンクの…!?
詩織の右足下には、いつか見たことあるような、ピンクのジャージの入ってるんだろう紙袋がトンと置かれていた…。
『信吾って、自分の部屋にもメイク道具、あるんだったよね?…そう思って持って来なかったけど…良かったよね?』
『…。』
にこにこ笑顔の詩織。
…詩織の《遊びに》の意味は…理解できた。
『じゃあ…ってことで、ガスコンロとお鍋借りるねー』
詩織が、僕の里帰りのときに持っていってた、あのエプロンを着けて、腰紐を結びながら簡易キッチンへとゆっくり向かう。
『えぇと…僕もなにか手伝いしよ…』
『いいのいいの。信吾は私のジャージに着替えて、メイクして金魚に変身して』
は…はい…。
紙袋の中には…確かに。あのとき詩織が着てた《カッコいいピンクのジャージ》の上下セットが、きちんと折り畳まれて入ってた…。
午後0時7分…。
『金魚…はーい♪詩織ちゃんの、お茄子とまいたけを加えた特製回鍋肉、完全したよー。美味しそうよ♪』
回鍋肉のお鍋を、簡易キッチンから僕の部屋の小テーブルへと運ぶ詩織。僕らの使う箸とお皿とお茶、そしてお茶碗とご飯の準備も、ささっと着替え終えてメイクを済ませた僕が準備した。
小テーブルと料理を挟んで、向かい合って金魚と詩織が座った。
『では!絶っ対美味しい詩織ちゃんの特製回鍋肉…いっただきまぁーす♪』
『…いただきます』
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