上 下
458 / 490
女装と復讐 -完結編-

page.447

しおりを挟む
鈴ちゃんとの電話が、中途半端に終わった。
胸騒ぎがする…止まらない。ドキンドキンと心臓の鼓動が強く速くなる…。

僕はスマホを握りしめたままベットにゆっくりと腰を下ろし、これから夕飯の準備をしなければならないことさえ、しばらくどうでもよくなって…スマホに届くはずの鈴ちゃんからのLINEをじっと待った。

まるで気力を失ったかのように、LINEを待つこと以外に、何かしようなんて考えられなかった…。






…午後8時を過ぎた…けど、まだ鈴ちゃんからのLINEは来ていない。
スタジオ収録って、いつ終わるんだろう。もうこんな時間なんだけど…。

僕はふと詩織のことが頭に浮かび、詩織に電話を掛けた。
詩織の声を聞けば、不安が無くなって少しでも落ち着ける…なんて考えたのかもしれない。


「はーい。もっしもーし」

『…もしもし。詩織…』

「んん?どうしたの?信吾。こんな時間に…?」


僕は、鈴ちゃんから聞いた電話の内容…金魚が《月刊文秋》の凄腕記者に狙われているらしいってことを、詩織に話した。


「なんで?なぜ金魚が《月刊文秋》の記者なんかに狙われてるの?」

『僕だって解らないよ。その詳しいことを、鈴ちゃんがLINEに書いて送ってくれるって言ってくれてたから…それを今、じっと待ってたところなんだ…』


やっぱり…詩織の声を聞いただけで、少し鼓動も治まって…安心したようにちょっと落ち着けた。


「ねぇ、夕ご飯は食べた?」

『えっ?まだ…』

「…まだなの?じゃあ私が今から信吾のアパート行って、なにか夕ご飯作ってあげようか?」

『そんな。いいよ…大丈夫』


詩織は「夕ご飯、ちゃんと食べなさいね」「少し気長に、リラックスして鈴ちゃんからのLINEを待とうよ」「LINEが来たら、私にもそのやり取りを教えてね」と、そう言って…。


「大丈夫よ。私も付いてるから…ね。安心して。おやすみ」


…今夜の詩織との電話が終わった。
電話を通して…僕の不安感が詩織に伝わったり…してたのかな?もしかして…。

今夜の詩織…凄く優しいって思った。

とりあえず、詩織に言われたとおり夕飯の準備を始め、それを食べて済ませて…シャワーを浴びて…またベッドに戻ってきて…まだ来ない鈴ちゃんからのLINEを更に待ってた…。






…午前0時33分。頑張って待ったけど…まだLINEは来ない。
待ち疲れた僕は…今夜は眠ることにした…。






翌朝。午前6時18分。

少し早く目覚めた僕は、立ち上がって机に置いて充電していたスマホを手に取って、LINEの新着を確認…!

あっ!鈴ちゃんからのLINE、来てた!
鈴ちゃんの書き込み時刻は…午前4時33分。

僕は慌てて、そのLINEの内容を確認する…。



【LINE送信が遅れて、しかもこんな夜明けにごめんなさい】



そんな書き出しから始まっているLINEの書き込み。
結構な長文…事細かに説明されている。

そのLINEの書き込みを縮約すると…。



ーー鈴ちゃんが冴嶋プロダクションの事務所に居たとき、下村いう記者が事務所にアポなしで訪ねてきて、鈴ちゃんに《取材協力》を求めてきた。

不信感を抱きながらも、接客席へと下村記者を案内する鈴ちゃん…。






















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

女ハッカーのコードネームは @takashi

一宮 沙耶
大衆娯楽
男の子に、子宮と女性の生殖器を移植するとどうなるのか? その後、かっこよく生きる女性ハッカーの物語です。 守護霊がよく喋るので、聞いてみてください。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

TSしちゃった!

恋愛
朝起きたら突然銀髪美少女になってしまった高校生、宇佐美一輝。 性転換に悩みながら苦しみどういう選択をしていくのか。

後悔と快感の中で

なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私 快感に溺れてしまってる私 なつきの体験談かも知れないです もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう もっと後悔して もっと溺れてしまうかも ※感想を聞かせてもらえたらうれしいです

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

Two seam

フロイライン
恋愛
女子高校野球界に突如現れた水谷優里 彼女は男子に匹敵する豪速球を武器に人々の注目を集めるが‥

処理中です...