457 / 490
女装と復讐 -完結編-
page.446
しおりを挟む
次の日…9月の第4日曜日を最後に、長かった夏休みが終わって、また新学期が始まった。
8月中、毎日《メイク修行アルバイト》のあとに行っていた早瀬ヶ池も、また週末の土曜日だけに戻った。
昨日の日曜日だけは特別に、詩織とまた瀬ヶ池の街を歩いたんだ。
僕が茶色で詩織が黒色…あの《アニマルポンチョ》をお揃いで着て…。
詩織は『もうすぐ《瀬ヶ池の金魚》が消えちゃうなんて…考えるとちょっと寂しいね…』なんて、少し涙ぐんでそう言ってた。
振り返ると…今まで金魚と詩織の2人の思い出、いっぱいできてたからなぁ…。
早瀬ヶ池の女の子たちの集まるサイト《カラフル》には、未だに【金魚ちゃんのはいてた、あのお尻の破れたショートパンツ、欲しいんですけど、どこで買えますか?知ってる人、いたら教えてください】…とか、そんな書き込みが。
…残念ながら非売品です。
更に【金魚と詩織ちゃんがお揃いで着てたあの、たぬきのポンチョ、あれも、どこで買えるか誰か教えてー】って、あの…。
たぬきじゃなくて、黒猫と狼のポンチョですけど…。
…そんなこんなで、更にどんどん日々は過ぎて…ほぼ1ヶ月ほど経った、今日は10月の第3火曜日。
時刻は午後6時31分。
大学から帰ってきたばかりで、まだゆっくりもできていない僕のスマホに、鈴ちゃんからの電話着信…?
『…はい。もしもし』
「もしもし。信吾くん。私、丹羽鈴だけど…今、少し電話してても大丈夫?」
『えっ?あ…はい。全然大丈夫ですよ。えへへ…なんか珍しいですね。平日に鈴ちゃんから電…』
「信吾くん!そんな悠長なことは言ってられない…大変なことが今起こってるの!!」
『…えっ?』
普段はどんな時でも常に、もの凄く落ち着き払っている鈴ちゃん。
そんな鈴ちゃんが今、こんなに慌てふためいてる…なんて感じるの、僕は初めてだ。
『なにが…どういう大変なことが起こってるんですか?』
「もう一人の信吾くん、池川金魚ちゃんが…《月刊文秋》の《下村徹》という凄腕記者に狙われてるの!!」
『えぇっ!?』
…ど、どういうこと!?
月刊文秋の凄腕記者に…??
なんで!?
鈴ちゃんの電話の向こうで「鈴ちゃーん」と呼ぶ、若い女性らしき声が微かに聞こえた。
「…昨日のことなんだけどね、うちの事務所に、その下村という記者が訪ねてきてね…」
「《鈴ちゃーん、休務時間が終わりましたので、収録…》」
「はーい。今電話中なので、ちょっと待ってください!すぐ行きまーす」
また微かに聞こえた。
今度は鈴ちゃんの返事する声も。
「…あ、ごめんなさい。今、スタジオ収録中の休憩時間だったの。スタッフさんに呼ばれてるから…」
『あ、はい』
「詳しいことは、あとでLINEに書いて送っておくね」
『わかりました』
「突然の電話、ごめんね…」
8月中、毎日《メイク修行アルバイト》のあとに行っていた早瀬ヶ池も、また週末の土曜日だけに戻った。
昨日の日曜日だけは特別に、詩織とまた瀬ヶ池の街を歩いたんだ。
僕が茶色で詩織が黒色…あの《アニマルポンチョ》をお揃いで着て…。
詩織は『もうすぐ《瀬ヶ池の金魚》が消えちゃうなんて…考えるとちょっと寂しいね…』なんて、少し涙ぐんでそう言ってた。
振り返ると…今まで金魚と詩織の2人の思い出、いっぱいできてたからなぁ…。
早瀬ヶ池の女の子たちの集まるサイト《カラフル》には、未だに【金魚ちゃんのはいてた、あのお尻の破れたショートパンツ、欲しいんですけど、どこで買えますか?知ってる人、いたら教えてください】…とか、そんな書き込みが。
…残念ながら非売品です。
更に【金魚と詩織ちゃんがお揃いで着てたあの、たぬきのポンチョ、あれも、どこで買えるか誰か教えてー】って、あの…。
たぬきじゃなくて、黒猫と狼のポンチョですけど…。
…そんなこんなで、更にどんどん日々は過ぎて…ほぼ1ヶ月ほど経った、今日は10月の第3火曜日。
時刻は午後6時31分。
大学から帰ってきたばかりで、まだゆっくりもできていない僕のスマホに、鈴ちゃんからの電話着信…?
『…はい。もしもし』
「もしもし。信吾くん。私、丹羽鈴だけど…今、少し電話してても大丈夫?」
『えっ?あ…はい。全然大丈夫ですよ。えへへ…なんか珍しいですね。平日に鈴ちゃんから電…』
「信吾くん!そんな悠長なことは言ってられない…大変なことが今起こってるの!!」
『…えっ?』
普段はどんな時でも常に、もの凄く落ち着き払っている鈴ちゃん。
そんな鈴ちゃんが今、こんなに慌てふためいてる…なんて感じるの、僕は初めてだ。
『なにが…どういう大変なことが起こってるんですか?』
「もう一人の信吾くん、池川金魚ちゃんが…《月刊文秋》の《下村徹》という凄腕記者に狙われてるの!!」
『えぇっ!?』
…ど、どういうこと!?
月刊文秋の凄腕記者に…??
なんで!?
鈴ちゃんの電話の向こうで「鈴ちゃーん」と呼ぶ、若い女性らしき声が微かに聞こえた。
「…昨日のことなんだけどね、うちの事務所に、その下村という記者が訪ねてきてね…」
「《鈴ちゃーん、休務時間が終わりましたので、収録…》」
「はーい。今電話中なので、ちょっと待ってください!すぐ行きまーす」
また微かに聞こえた。
今度は鈴ちゃんの返事する声も。
「…あ、ごめんなさい。今、スタジオ収録中の休憩時間だったの。スタッフさんに呼ばれてるから…」
『あ、はい』
「詳しいことは、あとでLINEに書いて送っておくね」
『わかりました』
「突然の電話、ごめんね…」
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
22
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる