女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

文字の大きさ
上 下
454 / 490
女装と復讐 -完結編-

page.443

しおりを挟む
ロングソファーの前のテーブルに置かれたダンボール箱。それを興味津々に眺めている僕と詩織。


『よーし信吾。今回の秋物服のデザインのポイントを説明するぞー』

『はい。お願いします』


秋良さんはジーパンの左のお尻のポケットから、何やらメモ用紙らしき何枚かの紙片を引っ張り出し、それをじっと見た。


『えーっと…。《今回の金魚ちゃん用の秋物洋服のデザインと縫製は私、筒井歩美が一人で担当しました。まずは、お預かりしていたショートパンツのお尻を見てください…》』


…?

秋良さんがダンボール箱を開け、中から日焼けした紺色の、デニム生地のショートパンツを取り出した。

ショートパンツの裾は折り曲げられ、更に短くなっている。そんなショートパンツをひっくり返して、パンツの後ろを僕らに向け…。


『…えっ!?』


お尻の右側のポケットは完全に剥がされ、濃い紺色のポケットの形の元の痕跡と、生地に残った止め鋲リベットが1つ、それに縫い針の穴痕と、糸も少し残っている。

まるで無理矢理に、力任せにポケットを引き裂き剥がしたあとみたいに見える。


『あと、これ…ぱんつ、見えてしまわないですかね…?』

『きゃははははは♪』


ポケットが引き剥がされてるだけなら、まだ良かった…。

そのポケット痕の上を、まるで熊か恐竜に鋭い爪で引っ掻かれたような《裂かれ傷》が、斜めに3本…。


『…で、続きは…と。《…このショートパンツを穿くときは、今までのインナーパンツではダメです。専用のインナーを入れておくので、それを穿いてください…》』


専用の…ぱんつ?

秋良さんが手を差し込んで、更にダンボールから引っ張り出したのは…右側のお尻の部分が完全に消失している、女装専用短裾ぱんつ…。

これを穿くの??


『えぇと、《金魚ちゃんのを、その裂かれ傷の隙間から、ちょっとだけチラ見せさせながら、女の子たちを驚かせつつ魅惑しちゃってくださいな♪》…だってよ』


…えぇ…。


『きゃははははは♪』


い…意味が分からない。
ぱんつどころか…僕のお尻の生肌を、この傷の隙間から見せびらかすように露呈させろと…。

秋良さんも、その裂かれ傷を確認して…僕を見た。


『歩美ちゃん、なかなか攻めたデザイン考えたなー。けど生尻が見えるったって、本当に少しじゃねーか。これじゃサービス足んねーな。わっはははは』


……。

しかもご丁寧に…洗濯したときの予備用に、同じ裂かれ傷デザイン?のショートパンツの色違い…オレンジ色と黒色が、ダンボール箱に入っていた…。


『でもこれ可愛いかもー。お尻が見えちゃうこの傷♪』


えっ?
…詩織は…気に入った様子…?


『じゃあ金魚が穿かないなら、私が穿こ…あっ!』


僕は、そのショートパンツの一つを手に取った詩織から、慌ててそれを取り上げた。


『ダメダメダメダメ…!!』


詩織の生のお尻肌を、誰かに見られるように露呈…なんて、それだけは絶対阻止!!






















しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

笑わない妻を娶りました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:313

いじめ物語 美花学園

青春 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

悪役令嬢に腐女子が転生した結果

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:861

古の物語

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

一般人がゆく!一年間のまったりVtuberスローライフ。

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

処理中です...