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女装と復讐 -完結編-
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父さんは『行ってきていい。俺は野球を観てる』…らしい。
先の、詩織と母さんの皿洗い中…たまたま宏美叔母さんから他の用で電話が掛かってきたらしく、そのとき母さんが『信ちゃんが可愛い女の子を連れて帰ってきてるのよ』と話したことで…何をどう誤解したのか、母さんと詩織と僕を温泉へ誘い出した…んだとか。
『…で…お付き合いは…』
『いえ。私たちはお友達ですので』
『えっ…あっ、あ…そうなの…』
押木温泉へと向かう車内…運転席の宏美叔母さんは…詩織の今の発言に少々動揺…。
後部座席の僕もまた何故か動揺…。
ちなみに、母さんは助手席。詩織は後部座席の僕の隣。
『そうそう!詩織ちゃんはもうすぐ、芸能界デビューするのよね!』
『お母様…ですけど、まだ気が早…』
『そうなの!?凄いじゃない!へー。はー。こんなに可愛いかったらね。そりゃあね…』
…。
こんな変な雰囲気のときは、黙って窓の外を眺めてるのが一番…。
外の風景は、夜の田園風景から急に暗い雑木林の風景に。道は左右にうねりながら、車は山道を駆け上がっていく。
それでも道は広めで綺麗で、車は荒っぽく飛び跳ねたりはしなかった。
…家から約20分。ようやく押木温泉の、この駄々っ広い駐車場に到着。
車が100台以上余裕で停められそうなほど広くて、観光バス専用の駐車スペースもあって…僕らの乗ってきた車のほかに、10台くらいの車が点々とあちこちに停まっていた。
駐車場の外周と所々には、大きな街路灯が立っていて、駐車場は凄く明るかった。
『うわーぁ!駐車場広ーっ!きゃははは♪』
手を広げてくるくる回って、まるで子どもみたいに喜んでる詩織。
『行きましょう。信ちゃん、詩織ちゃん』
『はーい。行こっ。信吾』
詩織は着替えの入ったバッグをグイッと持って、温泉の館内へと小走り。
僕も自分の着替えの入った鞄を持って入ってゆく。
…温泉から出てきたのは僕が一番。館外に出て、しばらくぼーっとしてたけど、何気なくあの大きくて明るい街路灯の一つに近付き、それを見上げていた…。
『信吾…はい』
詩織に呼ばれて振り向くと…詩織は両手に握っていたソフトクリームの左手のを、僕に差し出していた。
『ソフトクリーム?』
『うん。私の奢りね』
『奢り?あ…ありがとう』
詩織は僕にソフトクリームを手渡すと、自分のそれをペロッと一口舐めた。
『あー。濃厚なミルク味で、冷たくて美味しいー♪』
僕もソフトクリームを2回舐めた…うん。美味しい。
『ここの駐車場明るいねー。この外灯、すっごく大っきーい♪』
街路灯を見上げた詩織の後ろ髪は…キラリと光って、まだ少し濡れてるように見えた。
普段から、いつも楽しそうに笑ってた詩織。今だって…。
『母さんと叔母さんは…?』
『うん。出てくるのには、もう少し掛かりそうよ。お喋りして笑いながら一緒に温泉に入ってたから』
そっかぁ。もう少し掛かるかぁ。
『ねぇ。この駐車場さぁ、なんでこんなに広いの?』
…って、詩織が僕に訊いてきた。
先の、詩織と母さんの皿洗い中…たまたま宏美叔母さんから他の用で電話が掛かってきたらしく、そのとき母さんが『信ちゃんが可愛い女の子を連れて帰ってきてるのよ』と話したことで…何をどう誤解したのか、母さんと詩織と僕を温泉へ誘い出した…んだとか。
『…で…お付き合いは…』
『いえ。私たちはお友達ですので』
『えっ…あっ、あ…そうなの…』
押木温泉へと向かう車内…運転席の宏美叔母さんは…詩織の今の発言に少々動揺…。
後部座席の僕もまた何故か動揺…。
ちなみに、母さんは助手席。詩織は後部座席の僕の隣。
『そうそう!詩織ちゃんはもうすぐ、芸能界デビューするのよね!』
『お母様…ですけど、まだ気が早…』
『そうなの!?凄いじゃない!へー。はー。こんなに可愛いかったらね。そりゃあね…』
…。
こんな変な雰囲気のときは、黙って窓の外を眺めてるのが一番…。
外の風景は、夜の田園風景から急に暗い雑木林の風景に。道は左右にうねりながら、車は山道を駆け上がっていく。
それでも道は広めで綺麗で、車は荒っぽく飛び跳ねたりはしなかった。
…家から約20分。ようやく押木温泉の、この駄々っ広い駐車場に到着。
車が100台以上余裕で停められそうなほど広くて、観光バス専用の駐車スペースもあって…僕らの乗ってきた車のほかに、10台くらいの車が点々とあちこちに停まっていた。
駐車場の外周と所々には、大きな街路灯が立っていて、駐車場は凄く明るかった。
『うわーぁ!駐車場広ーっ!きゃははは♪』
手を広げてくるくる回って、まるで子どもみたいに喜んでる詩織。
『行きましょう。信ちゃん、詩織ちゃん』
『はーい。行こっ。信吾』
詩織は着替えの入ったバッグをグイッと持って、温泉の館内へと小走り。
僕も自分の着替えの入った鞄を持って入ってゆく。
…温泉から出てきたのは僕が一番。館外に出て、しばらくぼーっとしてたけど、何気なくあの大きくて明るい街路灯の一つに近付き、それを見上げていた…。
『信吾…はい』
詩織に呼ばれて振り向くと…詩織は両手に握っていたソフトクリームの左手のを、僕に差し出していた。
『ソフトクリーム?』
『うん。私の奢りね』
『奢り?あ…ありがとう』
詩織は僕にソフトクリームを手渡すと、自分のそれをペロッと一口舐めた。
『あー。濃厚なミルク味で、冷たくて美味しいー♪』
僕もソフトクリームを2回舐めた…うん。美味しい。
『ここの駐車場明るいねー。この外灯、すっごく大っきーい♪』
街路灯を見上げた詩織の後ろ髪は…キラリと光って、まだ少し濡れてるように見えた。
普段から、いつも楽しそうに笑ってた詩織。今だって…。
『母さんと叔母さんは…?』
『うん。出てくるのには、もう少し掛かりそうよ。お喋りして笑いながら一緒に温泉に入ってたから』
そっかぁ。もう少し掛かるかぁ。
『ねぇ。この駐車場さぁ、なんでこんなに広いの?』
…って、詩織が僕に訊いてきた。
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