女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -完結編-

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一昨日…8月31日をもって、僕の《メイク修行のアルバイト》は完全終了し、店内の隅の接客室に仮設されていたドレッサー…メイク用の鏡台はもう片付けられていた。

そして鈴ちゃんが、僕のメイクアルバイトの最後を締めくくるお客さま。



…メイクは鈴ちゃんの左目のアイメイクが済み、今は右目の上瞼のアイラインを引いていた。

てゆうか…鈴ちゃんのすっぴん肌…凄く透明感があって、白くてめちゃくちゃ綺麗。


『…金魚ちゃん』

『あ、はい。というか…信吾でもいいですよ。鈴ちゃんと詩織の他には誰も居ないので…』


それに小さく頷いて応えた鈴ちゃん。


『えっとね…再来週の土曜日と日曜日…空いてる?予定とか…』


再来週?だったら…まだ大学は夏休みの期間中だし、大丈夫。予定も無いし。

どうせ何の予定も無いから《9月も前半だけ、メイクのアルバイト修行を続けてやります》…って、アンナさんとナオさんに言ったら、アンナさんが…。


『この8月中…信吾くん、1日も休まずアルバイトを頑張ったんだから、9月はゆっくりと体を休ませてあげなさい』


…って。ちょっとだけ軽く叱られてしまった…。


『ねぇ鈴ちゃん、再来週の土曜日と日曜日に、何かあるの?』


鈴ちゃんは、詩織のその質問に優しく答えた。


『うん。できるだけ早く詩織ちゃんと信吾くんのご家族にお会いして、ちゃんとご挨拶をして、冴嶋プロダクションとタレント契約することの説明とお許しをね…』


あ…そっか。なるほど。

今年のお盆は僕、押木町の実家に帰ってご先祖のお墓参り…できなかったんだ。

だから8月28日の朝…母さんからの《信吾、誕生日おめでとう!》のLINEのついでに《アルバイトが忙しいからといっても、夏休みのうちに一度は帰ってきて、お墓参りしなさいね》って言われてたし…。

再来週かぁ。帰省するにも丁度いい頃かな。

…そんなこんなで、鈴ちゃんは再来週の土曜日は、生放送のラジオの仕事が済んでから詩織の家へ。翌日の日曜日には僕の田舎の実家へ。

鈴ちゃんは僕らの家族に会って、忙しい冴嶋社長に代わって挨拶と契約の説明をすることになった。

でも…来週じゃなくて良かった。
来週は《G.F.》の9月の撮影日だから。






…というわけで先に、鈴ちゃんの《僕らの家族への挨拶》の前に訪れた《G.F.》撮影日…9月の第2土曜日。

金魚の撮影の番…ナオさんの化粧品店《BlossoM.》の専属モデルとしての撮影はあっという間に済み、僕は撮影室の隣の控え室内で、次の順番を待つ詩織の隣に座っている。























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