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女装と復讐 -完結編-
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冴嶋社長は僕の一つ目の条件に了承はしたものの、少し困惑した様子だった。
だけど、次に出た二つ目の条件に、冴嶋社長は…。
「えっ…本当に?それが条件でいいの?…信じられないわ。嬉しい…ありがとう」
『えっと…どういうこと?』
電話を終えた僕にそう訊いてきた詩織。もの凄く、きょとんとした顔をしてる。
『どういうこと…って、だから…2人だけで東京に行くのは寂しいから《もう1人》一緒に《冴嶋プロダクション》に連れて行こう…ってこと』
『うぅん。それは私にも聞こえてたし。そうじゃなくて、その《一緒に連れて行きたいもう1人》って…誰なの?』
僕はにこっと、詩織に笑って見せた。
『それはー…今は秘密』
『えーっ。なんで秘密なのよぉ!』
泣いたり、ちょっと怒ってみたり…今日の詩織は感情の変化が忙しそうだ。
『じゃあ…鮎美ちゃん』
『ぶぶー。歩美さんではありません』
『んじゃあ……あっ!…えーっ!?』
『?』
詩織…誰か思い当たったみたい…?
『嫌っ!!あの子と一緒に東京に行くのなんて…私、絶っ対に嫌だからっ!!』
んー?
誰と勘違いしてんの…?
『…だから…ね。ほら…あの子でしょ?』
『誰…?』
詩織が、ふらふらと目を泳がせる。
『だからぁ…絵里佳ちゃん…一緒に連れて行くの…』
『はあぁぁ…!?』
なんで僕らが樋口と一緒に…。
あのさ…全っ然違うし。
『…まぁ、とにかく…《あの人》を一緒に東京に連れて行くには、詩織の協力が必要だから。その時は言うから。宜しく詩織』
『うーん。誰のことなのか…なんだかよく解らなくなっちゃったけど…分かったわ』
突然、控室のドアが開いた。
『詩織ちゃん、金魚ちゃん。冴嶋社長から電話…来た?無事に終わった?』
詩織も僕もナオさんを見た。
『はい。無事に終わりました』
『控え室をお借りしちゃいまして、ありがとうございましたぁ♪』
…僕が金魚として、詩織と早瀬ヶ池に出没《できる》のも、あと3ヶ月と少し。
そのタイムリミットのカウントダウンが…今始まった。
このカウントダウンが終わったとき…僕の復習は果たされているはず。そして金魚は役割を終えて、早瀬ヶ池から《永久に》消えてしまうんだ…。
…9月2日。今日は土曜日。
鈴ちゃんはラジオ番組の生放送の仕事を終えて、ナオさんのお店に来店している。
金魚も詩織も《早瀬ヶ池の巡回》を午前中に早々と終えて、同じくナオさんのお店に戻ってきた。
彩乃は、今も東京に出入りしている…という噂。出会うことはなかった…。
時刻は午後1時ちょうど。場所を詳しく言うと…またあの《控え室》。
だけど、次に出た二つ目の条件に、冴嶋社長は…。
「えっ…本当に?それが条件でいいの?…信じられないわ。嬉しい…ありがとう」
『えっと…どういうこと?』
電話を終えた僕にそう訊いてきた詩織。もの凄く、きょとんとした顔をしてる。
『どういうこと…って、だから…2人だけで東京に行くのは寂しいから《もう1人》一緒に《冴嶋プロダクション》に連れて行こう…ってこと』
『うぅん。それは私にも聞こえてたし。そうじゃなくて、その《一緒に連れて行きたいもう1人》って…誰なの?』
僕はにこっと、詩織に笑って見せた。
『それはー…今は秘密』
『えーっ。なんで秘密なのよぉ!』
泣いたり、ちょっと怒ってみたり…今日の詩織は感情の変化が忙しそうだ。
『じゃあ…鮎美ちゃん』
『ぶぶー。歩美さんではありません』
『んじゃあ……あっ!…えーっ!?』
『?』
詩織…誰か思い当たったみたい…?
『嫌っ!!あの子と一緒に東京に行くのなんて…私、絶っ対に嫌だからっ!!』
んー?
誰と勘違いしてんの…?
『…だから…ね。ほら…あの子でしょ?』
『誰…?』
詩織が、ふらふらと目を泳がせる。
『だからぁ…絵里佳ちゃん…一緒に連れて行くの…』
『はあぁぁ…!?』
なんで僕らが樋口と一緒に…。
あのさ…全っ然違うし。
『…まぁ、とにかく…《あの人》を一緒に東京に連れて行くには、詩織の協力が必要だから。その時は言うから。宜しく詩織』
『うーん。誰のことなのか…なんだかよく解らなくなっちゃったけど…分かったわ』
突然、控室のドアが開いた。
『詩織ちゃん、金魚ちゃん。冴嶋社長から電話…来た?無事に終わった?』
詩織も僕もナオさんを見た。
『はい。無事に終わりました』
『控え室をお借りしちゃいまして、ありがとうございましたぁ♪』
…僕が金魚として、詩織と早瀬ヶ池に出没《できる》のも、あと3ヶ月と少し。
そのタイムリミットのカウントダウンが…今始まった。
このカウントダウンが終わったとき…僕の復習は果たされているはず。そして金魚は役割を終えて、早瀬ヶ池から《永久に》消えてしまうんだ…。
…9月2日。今日は土曜日。
鈴ちゃんはラジオ番組の生放送の仕事を終えて、ナオさんのお店に来店している。
金魚も詩織も《早瀬ヶ池の巡回》を午前中に早々と終えて、同じくナオさんのお店に戻ってきた。
彩乃は、今も東京に出入りしている…という噂。出会うことはなかった…。
時刻は午後1時ちょうど。場所を詳しく言うと…またあの《控え室》。
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