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女装と復讐 -完結編-
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午前11時26分…本日5人目の女の子のメイクが終了。
僕は女の子の顔を覗き込んで、メイクの各部分の仕上がりを、細部まで全て確認した…よしよし。ちゃんと綺麗に仕上がってる。
『はーい。お疲れさま。メイクアップ、これで終わりね』
『ありがとう。金魚ちゃんって、本当にメイク上手…』
『えへへっ。可愛く仕上がったでしょ』
笑顔の僕と、驚き顔の女の子。
『ほ、本当にこれ…タダでいいの!?』
『うん』
女の子は嬉しそうに、お店を出て淡い紫色の傘をさし、何処かへと出掛けていった…。
…そうなんだよなぁ。
雨の日は、せっかく綺麗にメイクしてあげても、その顔は傘で隠れてしまう…。
だから、すれ違うだいたいの歩行者らも…足元を見ながら歩く人が多いのもあって…ほとんどメイクの仕上がりまでは気付いてくれない…。
だからって、メイクが綺麗に仕上がってるほうが良いことに、何ら変わりは無いんだけど。
…午後2時38分。本日最後のお客さまの、23歳だというお姉さんにファンデーションを施し終えたときに、ふと《それ》に気付いた…!
お姉さんにメイクしてあげている金魚…僕を、少し離れた位置からもの凄く真剣な眼差しで、じーっと凝視しているスーツ姿の髪の長い女性がいる…!?
その女性の隣には…ナオさんの姿も…?
何を話しているのかは分からない。だけど2人の口元が、時々交互に動いているのが確認できる。
僕は慌てて目を逸らし、またお客さまのお姉さんを見た。
『…では次に、チークを薄くのせて、アイメイクに移りますね…』
『はい』
…あと少し。最後にリップメイクを仕上げれば終わり。
僕は急にもの凄く気になって、さっきのスーツ姿の女性とナオさんが居たところを、ちらりと見…えっ?
あれ!?居ない!?…つか、そこに居たのは…金魚に向かって笑顔で、小さくピースして見せている、詩織と鈴ちゃんの姿…?
…午後3時9分。今日のアルバイトも無事に終わり、僕は後片付けを始めた。
『私、お片付け手伝おっか』
『じゃあ私も』
…??
見ると…そこには鈴ちゃんと詩織。
『あ、ありがとう』
鈴ちゃんと詩織が手伝ってくれたおかげで、片付けが早く済んだ。
『こんにちは』
『!』
さっき見たスーツ姿の女性が、僕のほうへと近付いてくる。
『あなたが金魚ちゃん…よね?』
『あ…はい』
あなたは、どなたですか?…なんて聞かなくても、おおよそ見当は付いてた。
『はじめまして私は芸能事務所《冴嶋プロダクション》の代表取締役社長、冴嶋美智子です』
…やっぱり。思ったとおり。
僕は女の子の顔を覗き込んで、メイクの各部分の仕上がりを、細部まで全て確認した…よしよし。ちゃんと綺麗に仕上がってる。
『はーい。お疲れさま。メイクアップ、これで終わりね』
『ありがとう。金魚ちゃんって、本当にメイク上手…』
『えへへっ。可愛く仕上がったでしょ』
笑顔の僕と、驚き顔の女の子。
『ほ、本当にこれ…タダでいいの!?』
『うん』
女の子は嬉しそうに、お店を出て淡い紫色の傘をさし、何処かへと出掛けていった…。
…そうなんだよなぁ。
雨の日は、せっかく綺麗にメイクしてあげても、その顔は傘で隠れてしまう…。
だから、すれ違うだいたいの歩行者らも…足元を見ながら歩く人が多いのもあって…ほとんどメイクの仕上がりまでは気付いてくれない…。
だからって、メイクが綺麗に仕上がってるほうが良いことに、何ら変わりは無いんだけど。
…午後2時38分。本日最後のお客さまの、23歳だというお姉さんにファンデーションを施し終えたときに、ふと《それ》に気付いた…!
お姉さんにメイクしてあげている金魚…僕を、少し離れた位置からもの凄く真剣な眼差しで、じーっと凝視しているスーツ姿の髪の長い女性がいる…!?
その女性の隣には…ナオさんの姿も…?
何を話しているのかは分からない。だけど2人の口元が、時々交互に動いているのが確認できる。
僕は慌てて目を逸らし、またお客さまのお姉さんを見た。
『…では次に、チークを薄くのせて、アイメイクに移りますね…』
『はい』
…あと少し。最後にリップメイクを仕上げれば終わり。
僕は急にもの凄く気になって、さっきのスーツ姿の女性とナオさんが居たところを、ちらりと見…えっ?
あれ!?居ない!?…つか、そこに居たのは…金魚に向かって笑顔で、小さくピースして見せている、詩織と鈴ちゃんの姿…?
…午後3時9分。今日のアルバイトも無事に終わり、僕は後片付けを始めた。
『私、お片付け手伝おっか』
『じゃあ私も』
…??
見ると…そこには鈴ちゃんと詩織。
『あ、ありがとう』
鈴ちゃんと詩織が手伝ってくれたおかげで、片付けが早く済んだ。
『こんにちは』
『!』
さっき見たスーツ姿の女性が、僕のほうへと近付いてくる。
『あなたが金魚ちゃん…よね?』
『あ…はい』
あなたは、どなたですか?…なんて聞かなくても、おおよそ見当は付いてた。
『はじめまして私は芸能事務所《冴嶋プロダクション》の代表取締役社長、冴嶋美智子です』
…やっぱり。思ったとおり。
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