女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -完結編-

page.390

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僕は、まだ何も知らないフリをして『14日の夕方?…何かあるの?』と詩織に訊いて返した。そしたら…。


『うん。えっとね…鈴ちゃんと、鈴ちゃんの所属する芸能事務所の女性社長さん、お名前は《冴島美智子さん》が、私と金魚に一度会いたいって…ここに来るんだって』

『えーっ?そうなのー!?凄ーいっ!』


僕は目を円くして口をわあっと開け、ばっと開いた左掌で鼻先と口元を隠すようにして《驚いたフリ》を詩織にした。

そんな僕の《名演技ぶり》をじーっと見ていた詩織も、逆に少し驚いたような表情を見せる。


『あーぁ。なーんだぁ。もうナオさんから先に聞いちゃってたんだぁ。そっかぁ…』

『えぇぇ…』


なんで!?なんで僕の名演技がバレちゃったの!?
詩織がきゃはははと笑う。


『金魚。もうちょーっと演技力、頑張りましょうねー。今の驚き方ですが、なかなか可愛くて良かったよ。私は好きだけど、今のは演技がわざとらし過ぎです。35点』

『…。』


僕のこの名演技が…さ、35点って…評価点低っ。






昨日、ドジョウのあの件が済んで、詩織が帰宅したあとの午後8時半頃。鈴ちゃんから詩織のiPhoneに、通話で《14日の夕方の件》の連絡。

その話をすぐ、アンナさんに電話したら…たまたまナオさんとアンナさんが揃って《遅めの外食ディナー》をしていた…ってことらしい。

…良かった。
早とちりして『なんでそんな大事なこと、ナオさんより僕本人に、先に教えてくれなかったんだよぉ!』…なんて言わなくて。






…14日が近づくにつれ、少しずつ緊張が薄れて、軽く感じるようになった…。
そんな今日は8月13日。いわゆる《お盆の初日》。

芸能事務所、冴島プロダクションの社長様がお越しになられるのは…つまり明日。



今日も午前中に、6人の女の子たちをメイクアップしてあげて…もうすぐ正午。

ナオさんから『じゃあ金魚ちゃん、ランチ行きましょう』と声を掛けてもらっ…んっ!?

詩織が鈴ちゃんを連れて一緒に来店?

詩織がナオさんに丁重にお断りして、僕らは3人だけで新井早瀬駅の駅前の、あの《古めかしいラーメン屋さん》に来た。


『ここのラーメンって、ほんと美味しいよねー』


鈴ちゃんのそれに、詩織が答える。


『だよねー。瀬ヶ池の女の子たちがこのラーメン屋さんに入ってこないってのが、本っ当に不思議なくらい』


今日もこのラーメン屋さんは男性客でいっぱい。

女の子のお客は…えぇと…僕ら3人だけ。


『それにしても、お久しぶりよね。金魚ちゃん』

『あ…うん。お久しぶりだね』






















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