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女装と復讐 -完結編-
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それほど高くもない中層ビルと、10階を超える高層ビルが道沿いに、不規則にずらりと整列して並ぶ《ハイカラ通り》。
8月の夕方4時の、熱く照りつける日差しとビル群の影が、凸凹あるその輪郭を路面へと落とし、鮮明に写し描いている。
そんな街の景色を眺めていると、やっぱり夏だなぁ…なんて、呑気なことを思ったり。
ハイカラ通りを歩きだすと、すぐ…。
「金魚ちゃん」
「金魚ちゃぁーん♪」
『??』
声の聞こえた右側のほうから、こちらへと歩いて近づいてくる女の子2人組。
『お化粧のお仕事、お疲れさまぁ!』
『あ!…うん。ありがとう』
詩織は黙って、僕と女の子たちのやり取りを…じっと静かに見てる…。
『金魚ちゃん、写真一緒にいい?』
『詩織ちゃん!…はい』
僕がそれに『いいよ』も『ダメだよ』も、何の一言も答えないうちに、もう1人の女の子が、自分のiPhoneを詩織に手渡す。
『…えっ?』
『ごめんね。カメラお願いします』
『えぇっ!?ちょっ…』
『やだぁ♪写真の金魚ちゃんも…ほんとかーわーゆーいー♪』
『ねぇ!さっちーにもLINEで写真送ってさぁ、自慢しちゃう?』
『おーっ!いいねー。自慢しちゃうー!』
ツーショット撮影…って言っても、3人で撮ったんだけど…それが済むと、もう十分満足したのか…女の子2人は、さっさと歩いて、何処かへと行ってしまった…。
『あの…ごめん。詩織…』
『きゃははは』
詩織は『なーに気にしてんのよぉ』って、笑って許してくれた…。
またしばらく歩くと…。
『金魚ちゃん!』
『!』
そろりそろりと後ろを振り返ると…また別の女の子。
『金魚ちゃんの…サインください!』
『えっ…サイン…!?』
少し前までは、きゃあきゃあと騒がれ、離れた位置から写真を撮られることはあったけど、《一緒にツーショット撮影》とか《サイン》なんて、求められることなんてなかった。
それが少しずつ…ここ最近になったら更に、特に多くなった気がする…。
『…こ、こんな感じで…い、いい?』
…これがサインとか…。
ただ単に、ボールペンで女の子の持ってきたキャンパスノートの裏表紙に、小さく《池川金魚》と書いただけの…サイン?
『うわぁ…やったぁ♪凄く嬉しいです!』
『じ、じゃあ…良かった』
女の子がお礼の会釈をした。
『私、金魚ちゃんの大大大ファンなんです♪』
『ど…どうもありがとう』
今度は握手を求められて、軽く握手を交わした。
この女の子も、それで満足したらしく…僕らに手を振ってくれながら、また何処かへと歩いていった。
詩織は…ちらっ…。
僕は詩織が『私だけ…』『私の存在って…』って、不貞腐れてるんじゃないかと心配になったけど…そんなに気にしてない様子だった…良かった。
…ってゆうか、不貞腐れてないどころか…。
『もぅすっかり人気者だね。金魚。きゃははは』
…ほんの少し笑ってくれてた。
『さぁて。また歩こっか。金魚…あ!』
今、僕も詩織も気付いた…。
さっきのサインした女の子が去ったあと…そこに列を成して、なんだか順番待ちをしてる?っぽい様子の…女の子たちの集団…。
『あの…私も金魚ちゃん達と…ツーショ…』
『…。』
8月の夕方4時の、熱く照りつける日差しとビル群の影が、凸凹あるその輪郭を路面へと落とし、鮮明に写し描いている。
そんな街の景色を眺めていると、やっぱり夏だなぁ…なんて、呑気なことを思ったり。
ハイカラ通りを歩きだすと、すぐ…。
「金魚ちゃん」
「金魚ちゃぁーん♪」
『??』
声の聞こえた右側のほうから、こちらへと歩いて近づいてくる女の子2人組。
『お化粧のお仕事、お疲れさまぁ!』
『あ!…うん。ありがとう』
詩織は黙って、僕と女の子たちのやり取りを…じっと静かに見てる…。
『金魚ちゃん、写真一緒にいい?』
『詩織ちゃん!…はい』
僕がそれに『いいよ』も『ダメだよ』も、何の一言も答えないうちに、もう1人の女の子が、自分のiPhoneを詩織に手渡す。
『…えっ?』
『ごめんね。カメラお願いします』
『えぇっ!?ちょっ…』
『やだぁ♪写真の金魚ちゃんも…ほんとかーわーゆーいー♪』
『ねぇ!さっちーにもLINEで写真送ってさぁ、自慢しちゃう?』
『おーっ!いいねー。自慢しちゃうー!』
ツーショット撮影…って言っても、3人で撮ったんだけど…それが済むと、もう十分満足したのか…女の子2人は、さっさと歩いて、何処かへと行ってしまった…。
『あの…ごめん。詩織…』
『きゃははは』
詩織は『なーに気にしてんのよぉ』って、笑って許してくれた…。
またしばらく歩くと…。
『金魚ちゃん!』
『!』
そろりそろりと後ろを振り返ると…また別の女の子。
『金魚ちゃんの…サインください!』
『えっ…サイン…!?』
少し前までは、きゃあきゃあと騒がれ、離れた位置から写真を撮られることはあったけど、《一緒にツーショット撮影》とか《サイン》なんて、求められることなんてなかった。
それが少しずつ…ここ最近になったら更に、特に多くなった気がする…。
『…こ、こんな感じで…い、いい?』
…これがサインとか…。
ただ単に、ボールペンで女の子の持ってきたキャンパスノートの裏表紙に、小さく《池川金魚》と書いただけの…サイン?
『うわぁ…やったぁ♪凄く嬉しいです!』
『じ、じゃあ…良かった』
女の子がお礼の会釈をした。
『私、金魚ちゃんの大大大ファンなんです♪』
『ど…どうもありがとう』
今度は握手を求められて、軽く握手を交わした。
この女の子も、それで満足したらしく…僕らに手を振ってくれながら、また何処かへと歩いていった。
詩織は…ちらっ…。
僕は詩織が『私だけ…』『私の存在って…』って、不貞腐れてるんじゃないかと心配になったけど…そんなに気にしてない様子だった…良かった。
…ってゆうか、不貞腐れてないどころか…。
『もぅすっかり人気者だね。金魚。きゃははは』
…ほんの少し笑ってくれてた。
『さぁて。また歩こっか。金魚…あ!』
今、僕も詩織も気付いた…。
さっきのサインした女の子が去ったあと…そこに列を成して、なんだか順番待ちをしてる?っぽい様子の…女の子たちの集団…。
『あの…私も金魚ちゃん達と…ツーショ…』
『…。』
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