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女装と復讐 -完結編-
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とりあえず外出る待たせるのも悪いから、お店の中に入ってもらった。
『えっと…ちょっと待ってて』
黙ったまま、ウンと頷く女の子。
見た感じ…女子高生かな?たぶん。
『ナオさーん、あのー…』
レジカウンターで準備をしていたナオさん。開店時刻の前だけど、ナオさんから『いいわよ。初めてあげて』と許可をもらった。
まずは…化粧品3点のお買い物だね。
僕はお客さまの女の子を接客して、店内を付いて回る…。
女の子は、最近出た新しいファンデと薄いピンクのlipstick…それとチークの3点を選んでくれた。
『今はまだ開店準備中だから、メイクが済んでからお金支払おっか』
『はい。お願いします』
『うん。じゃあ案内するね』
女の子を《仮設メイクルーム》に案内する。
僕がお店の前でメイク披露してたあの日、詩織が僕を見守ってくれていた場所…接客席。今は椅子もテーブルも片付けられて、大きくも小さくもない丁度良いサイズのドレッサー…メイク用の鏡台が置いてある。
『今、メイクはしてる?』
『いえ…してません』
見たとおりのすっぴんかぁ…よしよし。
家からメイクをして来店してくれた女の子には一旦、クレンジングでメイクを落とすことをお勧めしている…って、当然だけど。
もちろん、すっぴん顔を他の人に見られない配慮も準備できている。
『じゃあ…鏡の前の椅子に座って、ちょっと待ってて』
『はい』
僕は店内と街道を隔てる大きな窓のブラインドを全部上げて、椅子に座る女の子の右側に戻ってきて立った。
『今日は、どこかお出掛けの予定?』
メイクを始める前にそれを聞いておかないと、どうメイクしたらいいのか…華やかでいいのか、または抑えたほうがいいのか…判らない。
イメージできないというか。
『あ、あの…今日は、私の通う高校の…クラスは違うんですけど、同じ学年の…だ、男子と…』
『デート!?』
女の子はちょっとだけ、小さくコクリと頷いた。それと…ほんのりと赤くなった頬と照れ臭そうなその表情が、正直に『そうです』って僕に教えてくれていた。
『そっかぁ…デートかぁ。いいねいいねー!』
鏡に映る女の子…凄く明るくて、とってもいい最高の笑顔。
こんな可愛い女の子とデートできる男子って…なぁ!おい!羨まし過ぎるって!キミ!
『もの凄くカッコいいでしょ。その男の子』と訊くと、女の子は恥ずかしそうに、また可愛く照れ笑いして見せた。
『じゃあ《恋に効く》って噂の私のスペシャルメイク、今日は特別にしてあげるね』
『噂…えっ、そんなメイクあるんですか…!?』
慌てたように振り向き、僕を直接見る高校生の女の子。
『うーん…そんな噂とかメイク、私も聞いたことないなぁ。あるの?そんなの』
『えっ?どういう…?』
『えへへっ♪』
『えーっ!』
今度は驚いたような笑顔を見せた。この子…本当に笑顔、可愛いなぁ!
『やだもーぅ』
『あっははははー』
…いつまでも遊んではいられない。ちゃんと真面目にメイクしてあげないと。
『ごめんね…そろそろメイク始めるね。まずは目を閉じて…少し落ち着こう。そうだなぁ…じゃあ15秒』
『あ、はい』
可奈美ちゃんが目を閉じた…僕も少し口を噤む。
「…ありがとうございます」
『えっ?』
目を閉じたまま…可奈美ちゃんが僕にお礼の言葉を…?
「今ので私笑えて、緊張感がすごく軽くなりました…」
『そうなんだ。じゃあ良かった』
『…はい。少し多めに20秒。目を開けて…真っ直ぐ前を向いて鏡を見て…』
『はい』
…午前9時4分。それでは初のお客さま…今井可奈美ちゃんのメイク開始…。
『えっと…ちょっと待ってて』
黙ったまま、ウンと頷く女の子。
見た感じ…女子高生かな?たぶん。
『ナオさーん、あのー…』
レジカウンターで準備をしていたナオさん。開店時刻の前だけど、ナオさんから『いいわよ。初めてあげて』と許可をもらった。
まずは…化粧品3点のお買い物だね。
僕はお客さまの女の子を接客して、店内を付いて回る…。
女の子は、最近出た新しいファンデと薄いピンクのlipstick…それとチークの3点を選んでくれた。
『今はまだ開店準備中だから、メイクが済んでからお金支払おっか』
『はい。お願いします』
『うん。じゃあ案内するね』
女の子を《仮設メイクルーム》に案内する。
僕がお店の前でメイク披露してたあの日、詩織が僕を見守ってくれていた場所…接客席。今は椅子もテーブルも片付けられて、大きくも小さくもない丁度良いサイズのドレッサー…メイク用の鏡台が置いてある。
『今、メイクはしてる?』
『いえ…してません』
見たとおりのすっぴんかぁ…よしよし。
家からメイクをして来店してくれた女の子には一旦、クレンジングでメイクを落とすことをお勧めしている…って、当然だけど。
もちろん、すっぴん顔を他の人に見られない配慮も準備できている。
『じゃあ…鏡の前の椅子に座って、ちょっと待ってて』
『はい』
僕は店内と街道を隔てる大きな窓のブラインドを全部上げて、椅子に座る女の子の右側に戻ってきて立った。
『今日は、どこかお出掛けの予定?』
メイクを始める前にそれを聞いておかないと、どうメイクしたらいいのか…華やかでいいのか、または抑えたほうがいいのか…判らない。
イメージできないというか。
『あ、あの…今日は、私の通う高校の…クラスは違うんですけど、同じ学年の…だ、男子と…』
『デート!?』
女の子はちょっとだけ、小さくコクリと頷いた。それと…ほんのりと赤くなった頬と照れ臭そうなその表情が、正直に『そうです』って僕に教えてくれていた。
『そっかぁ…デートかぁ。いいねいいねー!』
鏡に映る女の子…凄く明るくて、とってもいい最高の笑顔。
こんな可愛い女の子とデートできる男子って…なぁ!おい!羨まし過ぎるって!キミ!
『もの凄くカッコいいでしょ。その男の子』と訊くと、女の子は恥ずかしそうに、また可愛く照れ笑いして見せた。
『じゃあ《恋に効く》って噂の私のスペシャルメイク、今日は特別にしてあげるね』
『噂…えっ、そんなメイクあるんですか…!?』
慌てたように振り向き、僕を直接見る高校生の女の子。
『うーん…そんな噂とかメイク、私も聞いたことないなぁ。あるの?そんなの』
『えっ?どういう…?』
『えへへっ♪』
『えーっ!』
今度は驚いたような笑顔を見せた。この子…本当に笑顔、可愛いなぁ!
『やだもーぅ』
『あっははははー』
…いつまでも遊んではいられない。ちゃんと真面目にメイクしてあげないと。
『ごめんね…そろそろメイク始めるね。まずは目を閉じて…少し落ち着こう。そうだなぁ…じゃあ15秒』
『あ、はい』
可奈美ちゃんが目を閉じた…僕も少し口を噤む。
「…ありがとうございます」
『えっ?』
目を閉じたまま…可奈美ちゃんが僕にお礼の言葉を…?
「今ので私笑えて、緊張感がすごく軽くなりました…」
『そうなんだ。じゃあ良かった』
『…はい。少し多めに20秒。目を開けて…真っ直ぐ前を向いて鏡を見て…』
『はい』
…午前9時4分。それでは初のお客さま…今井可奈美ちゃんのメイク開始…。
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