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女装と復讐 -街華編-
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啓介さんだったら、ご家族と暮らしてるから安心。
あー。そっか。《ホームステイ的な感覚》なら、確かにそうなのかも。
もし、これが《恋愛関係的な感覚》だったら逆に『あなたと同棲したい…けど私、ご家族と一緒に暮らすとか絶対無理!だからお願い!自立して一人暮らし始めて!』…なんて言われてたりしたのかな…?
『…お料理とかお掃除とかお洗濯とか…私できるだけ何でも、家事のお手伝いだったらします。頑張ります!だから…啓介さん』
そう歩美さんにお願いされ、黙って何と答えればいいのか、悩み迷っている様子の啓介さん。
『ねぇ、どうしたの?啓介くん。そんなに悩むほど難しいこと?』
見ていて、そろそろ歯痒くなりはじめたアンナさんは、啓介さんに更に一言添えた。
『月々の家賃が6万円だったとして…1年で幾らになるか…解るわよね?』
『あ…うん。72万円ですね』
『そうね』
もう誰もが理解しはじめてた。アンナさんの言いたいことを。
『浮いた家賃の分を、歩美ちゃんに貯金させてあげればどうかな?ってことですよね』
『うん。これはあくまでも《例えばの話》だけど。でも家賃だけじゃないわ。啓介くんと一緒に毎日通勤すれば交通費も。考えだせばキリがないけど、水道光熱費などの細かな生活諸費用とかも…ね』
そういった全てを換算すれば…確かに1年経てば大きな金額になる。
ここで秋良さんも、同居への支援の一言を投下。
『そうだぜ啓介。お前が24時間、歩美ちゃんの傍にいて守ってやれば《セキュリティー問題》も無事に解決…完璧じゃねーか!』
『そこで私、車の中でアンナさんと話してたときに…考えたんです』
考えた…って、どんなことを?
みんなが歩美さんの次の言葉を待った。
『家賃が要らなくなったその分、私の給与を減額して…秋良さんの事務所の運営資金に還元して助けたいと思います』
『いやいや待ってくれ…いいよ歩美ちゃん。その気持ちは嬉しいけど、そんな気を使わなくても』
秋良さんは歩美さんに、優しくそう返答した。
『いえ、私にも助けさせてください』
『秋良さんが言ってるように、減給とか還元なんていいって思うよ』
勿論ながら、啓介さんも秋良さんと同意見みたい。
『お願いします!私の夢を叶えてくれたこの事務所の運営のために、何か私にも頑張らせてください!』
『歩美ちゃん。何か頑張りたいってのなら、俺たちと仕事を頑張ってくれれば、それだけで充分だから』
啓介さんの意見…ごもっとも。
『まぁ、とりあえず…もういいんじゃない?啓介くん』
『…えっ?』
詩織が、そのやり取りを収めに割って入る。
『だから《とりあえず鮎美ちゃんを下宿させてあげる》ってことでいいんじゃない?ってこと。今は。それで貯金とか還元とか…そういう難しいことは、鮎美ちゃんが働きだしたそのあとで、話し合って決める…ってことでダメなの?』
『うーん…分かった。じゃ、あとはうちの両親に相談してみてから…』
『おい啓介、お前時計を見てみろよ…今何時だ?』
秋良さんはニヤリと笑って、勢いよく立ち上がった。
『今夜はもう遅いし、今から親に相談なんかしてる時間なんてのは…無ぇ!』
『…は?』
秋良さんは、まだロングソファーに座ったままの啓介さんに顔を近付ける…。
『とにかく!時間がないんだ!今夜は歩美ちゃんを家に連れて帰って、明日中にでも親に相談済ませとけ!いいか!啓介!』
『ちょっ待っ…秋良さん!』
啓介さんは、今ようやく立ち上がった。
『よし決まったぁ!ってことで…帰るぞ!歩美ちゃん!啓介!』
『じゃあ鮎美ちゃんは、今夜は啓介くん家でお泊まりだねー』
詩織と歩美さんが見合って笑った。
『うん。詩織ちゃんも、色々とありがとう』
『きゃははは。いぇいぇそんなぁ♪』
…そして秋良さん達は、騒がしく帰っていった…。
あー。そっか。《ホームステイ的な感覚》なら、確かにそうなのかも。
もし、これが《恋愛関係的な感覚》だったら逆に『あなたと同棲したい…けど私、ご家族と一緒に暮らすとか絶対無理!だからお願い!自立して一人暮らし始めて!』…なんて言われてたりしたのかな…?
『…お料理とかお掃除とかお洗濯とか…私できるだけ何でも、家事のお手伝いだったらします。頑張ります!だから…啓介さん』
そう歩美さんにお願いされ、黙って何と答えればいいのか、悩み迷っている様子の啓介さん。
『ねぇ、どうしたの?啓介くん。そんなに悩むほど難しいこと?』
見ていて、そろそろ歯痒くなりはじめたアンナさんは、啓介さんに更に一言添えた。
『月々の家賃が6万円だったとして…1年で幾らになるか…解るわよね?』
『あ…うん。72万円ですね』
『そうね』
もう誰もが理解しはじめてた。アンナさんの言いたいことを。
『浮いた家賃の分を、歩美ちゃんに貯金させてあげればどうかな?ってことですよね』
『うん。これはあくまでも《例えばの話》だけど。でも家賃だけじゃないわ。啓介くんと一緒に毎日通勤すれば交通費も。考えだせばキリがないけど、水道光熱費などの細かな生活諸費用とかも…ね』
そういった全てを換算すれば…確かに1年経てば大きな金額になる。
ここで秋良さんも、同居への支援の一言を投下。
『そうだぜ啓介。お前が24時間、歩美ちゃんの傍にいて守ってやれば《セキュリティー問題》も無事に解決…完璧じゃねーか!』
『そこで私、車の中でアンナさんと話してたときに…考えたんです』
考えた…って、どんなことを?
みんなが歩美さんの次の言葉を待った。
『家賃が要らなくなったその分、私の給与を減額して…秋良さんの事務所の運営資金に還元して助けたいと思います』
『いやいや待ってくれ…いいよ歩美ちゃん。その気持ちは嬉しいけど、そんな気を使わなくても』
秋良さんは歩美さんに、優しくそう返答した。
『いえ、私にも助けさせてください』
『秋良さんが言ってるように、減給とか還元なんていいって思うよ』
勿論ながら、啓介さんも秋良さんと同意見みたい。
『お願いします!私の夢を叶えてくれたこの事務所の運営のために、何か私にも頑張らせてください!』
『歩美ちゃん。何か頑張りたいってのなら、俺たちと仕事を頑張ってくれれば、それだけで充分だから』
啓介さんの意見…ごもっとも。
『まぁ、とりあえず…もういいんじゃない?啓介くん』
『…えっ?』
詩織が、そのやり取りを収めに割って入る。
『だから《とりあえず鮎美ちゃんを下宿させてあげる》ってことでいいんじゃない?ってこと。今は。それで貯金とか還元とか…そういう難しいことは、鮎美ちゃんが働きだしたそのあとで、話し合って決める…ってことでダメなの?』
『うーん…分かった。じゃ、あとはうちの両親に相談してみてから…』
『おい啓介、お前時計を見てみろよ…今何時だ?』
秋良さんはニヤリと笑って、勢いよく立ち上がった。
『今夜はもう遅いし、今から親に相談なんかしてる時間なんてのは…無ぇ!』
『…は?』
秋良さんは、まだロングソファーに座ったままの啓介さんに顔を近付ける…。
『とにかく!時間がないんだ!今夜は歩美ちゃんを家に連れて帰って、明日中にでも親に相談済ませとけ!いいか!啓介!』
『ちょっ待っ…秋良さん!』
啓介さんは、今ようやく立ち上がった。
『よし決まったぁ!ってことで…帰るぞ!歩美ちゃん!啓介!』
『じゃあ鮎美ちゃんは、今夜は啓介くん家でお泊まりだねー』
詩織と歩美さんが見合って笑った。
『うん。詩織ちゃんも、色々とありがとう』
『きゃははは。いぇいぇそんなぁ♪』
…そして秋良さん達は、騒がしく帰っていった…。
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