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女装と復讐 -街華編-

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『あ!そういえば…アンナさんの住んでるマンションって、部屋が空いてる階もあるって…その件じゃない?』


詩織が閃いたようにそう言った。


『あのなぁ…詩織。お前あそこ借りたら幾らすると思ってんだよ。月々』

『…だよね。やっぱり…きゃははは…』

『アンナさんの場合はな、雄二さんが月々の住宅ローンを出して助けてくれてるから、あんな高層マンションに住めてるだけだって…』


月々の家賃に糸目を付けなければ、家賃の高い賃貸マンションとか、いくらでも物件は見付かるんだけどな…らしい。

けれど、まだ働き初めの歩美さんに、そんなお高いマンションに住めるほど、たくさんの給料を与えてあげることができないし。

…ってゆうか、それは現在の業務運営の経理上での、毎月の平均収支状況からの算出であって、決して《新人なんだから給料安いのは当たり前だろ!》とか、そういう酷い理由ではないらしい。

秋良さんが呟くように言った『申し訳ないが1年だけ…1年だけでいいんだ。辛抱してくれたら歩美ちゃんにも来年の半ば頃からは、満足してもらえるような給料をやれると思うんだよ…』って。一言。

やっぱり秋良さんって優しくて、思いやりの深い人なんだなぁ…なんて改めて、また思えたり。


『…んまぁ…そういう訳で、実は…安くていいマンション物件が見付かるまで、アンナさんか信吾か詩織の家に、無理言って歩美ちゃんの仮同居を頼めないか…っていう目論見だったんだよ。本当すまん…』

『あー。そういうことだったのね』


そして、一番初めにアンナさんに、それを相談してみたら…なるほど。
それでアンナさん…歩美さんを連れて今、紹介してもらった不動産屋に…ってことだったんだ。

ただ…万が一仮同居をするにしても、アンナさんや詩織んならともかく…一人暮らししてる《お年頃の僕》と同居させるのは《問題アリ!!》なのでは?

…って、秋良さんに言ってみたら…。


『はぁ?何言ってんだよ信吾。お前らなら顔が似てんだから《俺の姉貴です》で、誰にも疑われることなく、問題なく解決…だろ?』


あの…僕が言いたいのは、そういうことではなく…。


『つか、そういや《金魚は実は男》だって歩美ちゃん、まだ知らねーんだから、やっぱ最初っから無理だったか』

『…。』

『わっははは』


声高らかに大笑いしてる秋良さん…。


『そんな《冗談》はどうでもいいとして…アンナさんと鮎美ちゃん、今行ってる不動産屋さんで安くていいお部屋、見付けて帰ってきてくれるといいね』

『あぁ。そうだな』


詩織と秋良さんが、揃ってウンウンと頷いてる。






…そして約1時間後。アンナさんと歩美さんは美容院へと帰ってきた。


『それで?いいお部屋は見付かったの?』


詩織のそれに答えるアンナさん。


『そうね。4件も見付かったわ』

『えっ!4件も!?…やったぁ!良かったぁ♪』

『だけどお断りしてきたわ。4件全て』

『…えっ、えっ?えっ?』


困惑してる様子の詩織。
僕らも…だけど。


『えぇっ!?な…なんで!?』


ふふっ♪と笑って見せるアンナさん…?






















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