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女装と復讐 -街華編-
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『お姉ちゃん、なんで私が金魚のことが嫌いなの?って…』
さっき鈴ちゃんが彩乃に訊いた《質問》は、彩乃が答えてくれないまま流されたんだと思っていたけど、少し遅れて今になって、突然彩乃が改めて答語しはじめた。
『…普通、瀬ヶ池で《綺麗》だとか《可愛い》って有名な子は、小学生とか中学生の頃にはもう噂になってて、《瀬ヶ池に出てきたらこの子、絶対に有名になりそう》って、私でも何年も前から認識できてた子たち…元から私でも知ってた子たちなの!!』
力説する彩乃。
『…だけど、どう?あの金魚って子は何者なの!?どこの田舎から湧いて出てきたのか知らないけど、何の前ぶれもなく突然この街に現れて、いつの間にか奇襲みたく有名になって!…瀬ヶ池を混乱に陥れて!!』
確かに金魚は去年末に突然現れ、その見た目と名前は瞬く間にこの街に浸透し、有名になっていった…。
《だけどそれが、そんなに気に入らないことなの?嫌いになる理由なの?それに、金魚ちゃんは瀬ヶ池や藤浦市を混乱になんて、陥れてなんか…》
…と、彩乃の力説を黙って落ち着いて聞いていた鈴ちゃんは、やんわりと軽く、そんなふうに思い感じただけだった。
『…彩。あなたの言いたいことは解ったわ。今後のことを私…考えてみるから…』
「二人とも、何してるのー?お料理冷めちゃうわよー。早く下りてきてー」
お母さんの呼ぶ声がまた聞こえた。
鈴ちゃんが彩乃の脇をすり抜けて、先にドアへと向かう。
『お母さんが呼んでるわ。私は、先に行くから…』
ドアを開け、廊下に出ようとしたとき…聞こえた彩乃の言葉…。
『うん!お姉ちゃん考えてみて!お姉ちゃんにとって、金魚たちなんてどうせ《百害あって一利なし!》なんだから!!』
『…。』
《彩…あなたは本当に何も解ってない。私の気持ち…何も解ってくれようともしない。金魚ちゃんも詩織ちゃんも、この街で…やっとできた念願の地元のお友だちなのに…》
その晩は実家に泊まり、都内某所のマンションに帰宅したのちの、翌週の月曜日の夜…。
鈴ちゃんは某テレビ局の収録スタジオの控え室から、彩乃への想いを込めたLINE…ではなく、PCメールを送った…。
【彩。私はあなたの言ったとおり、色々と今後のことを考えてみました。
そして私は、今まであなたを甘やかし過ぎてたんだと、深く反省しています。
あなたの大人としての品位育成のためにも、私はしばらく、あなたとの接触を控えようと思います。
お互い少し距離を置いてみて、自分自身のことを省みながら成長し合える時間も、たまにはあったほうがいいよね…】
さっき鈴ちゃんが彩乃に訊いた《質問》は、彩乃が答えてくれないまま流されたんだと思っていたけど、少し遅れて今になって、突然彩乃が改めて答語しはじめた。
『…普通、瀬ヶ池で《綺麗》だとか《可愛い》って有名な子は、小学生とか中学生の頃にはもう噂になってて、《瀬ヶ池に出てきたらこの子、絶対に有名になりそう》って、私でも何年も前から認識できてた子たち…元から私でも知ってた子たちなの!!』
力説する彩乃。
『…だけど、どう?あの金魚って子は何者なの!?どこの田舎から湧いて出てきたのか知らないけど、何の前ぶれもなく突然この街に現れて、いつの間にか奇襲みたく有名になって!…瀬ヶ池を混乱に陥れて!!』
確かに金魚は去年末に突然現れ、その見た目と名前は瞬く間にこの街に浸透し、有名になっていった…。
《だけどそれが、そんなに気に入らないことなの?嫌いになる理由なの?それに、金魚ちゃんは瀬ヶ池や藤浦市を混乱になんて、陥れてなんか…》
…と、彩乃の力説を黙って落ち着いて聞いていた鈴ちゃんは、やんわりと軽く、そんなふうに思い感じただけだった。
『…彩。あなたの言いたいことは解ったわ。今後のことを私…考えてみるから…』
「二人とも、何してるのー?お料理冷めちゃうわよー。早く下りてきてー」
お母さんの呼ぶ声がまた聞こえた。
鈴ちゃんが彩乃の脇をすり抜けて、先にドアへと向かう。
『お母さんが呼んでるわ。私は、先に行くから…』
ドアを開け、廊下に出ようとしたとき…聞こえた彩乃の言葉…。
『うん!お姉ちゃん考えてみて!お姉ちゃんにとって、金魚たちなんてどうせ《百害あって一利なし!》なんだから!!』
『…。』
《彩…あなたは本当に何も解ってない。私の気持ち…何も解ってくれようともしない。金魚ちゃんも詩織ちゃんも、この街で…やっとできた念願の地元のお友だちなのに…》
その晩は実家に泊まり、都内某所のマンションに帰宅したのちの、翌週の月曜日の夜…。
鈴ちゃんは某テレビ局の収録スタジオの控え室から、彩乃への想いを込めたLINE…ではなく、PCメールを送った…。
【彩。私はあなたの言ったとおり、色々と今後のことを考えてみました。
そして私は、今まであなたを甘やかし過ぎてたんだと、深く反省しています。
あなたの大人としての品位育成のためにも、私はしばらく、あなたとの接触を控えようと思います。
お互い少し距離を置いてみて、自分自身のことを省みながら成長し合える時間も、たまにはあったほうがいいよね…】
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