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女装と復讐 -街華編-
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『…こうやってね、少しずつ仲間は増えて…アンナファミリーは大きくなっていったの…』
詩織は感情に浸り、遠い目でしみじみと感動的な過去の思い出を巡らしている…ようだけど、僕は歩美さんの尊愛作品《初音ミクの衣装を着たテディラビット》を目の当たりにして驚いたことで、そんな感動話は右耳から左耳へ…全然頭に入ってこなかった。
『…鮎美ちゃんも、今度ファミリーに誘ってあげて…そうやって、もっともっとアンナファミリーは仲間が増えて…大きくなっていってほしいな…』
えっ、えっ?…なんでこれを詩織が!?
改札口を挟んで歩美さんと別れたときは既に、詩織…もう抱いてた!?
いや待て。さっき詩織を見たときは、抱いてなかったと思う…んだけど。
えぇ…なんで?どういうこと?全っ然解らない…。
まるで魔法みたいに、手品のように…そのテディラビットが、何処からか出てきた…?
…なんてはずはない。たぶん。
てゆうか、詩織のことだ。散々歩美さんにわがまま言って、これを貰ったに違いない。
そして、僕に見付かって怒られないように、どうやってか上手に隠してたんだ…はぁ。
詩織は黙ってドロボウするような子じゃないってのは、僕だって解ってるし。
あとでLINEで歩美さんに《詩織がわがままとご迷惑を…本当にごめんなさい》って送信して、フォローしておかないと…。
…またまた1週間が過ぎて…今日は7月第2土曜日。
今日はナオさんの化粧品店の《G.F.》の専属モデルをしていた《長谷雅美さん》の挙式当日でもある。おめでとうございます。
そして…まさか今日が、僕と詩織の《運命と未来が変わる》切っ掛けの日となろうとは…。
朝の7時33分。僕が美容院に着くと、今日は詩織が先に来ていた。
『あ…おはよう詩織。最近では珍しいね。僕より先に…』
『つか信吾!忘れずに持ってきてくれた!?…あれ』
『うん。持ってきたよ』
ロングソファーに座っていた詩織が立ち上がる。そして僕は歩み寄って、ジーパンのポケットから宮学の学生証を出し、それを詩織が受け取った。
『借りるね…学生証』
木曜日の夜、詩織から電話が掛かってきて「今度の土曜日、学生証を忘れずに必ず持ってきて!」と頼まれた。
スマホから聞こえる詩織の声…なんだか凄く張り詰めた、緊迫感のようなまのを感じた。
僕が『何かあった?』と訊くと、詩織は「鈴ちゃんから、さっき電話があって…土曜日に大事な話があるって…」と答えた。
それに乗じて、詩織も《金魚は本当は男の子》だという衝撃的事実を、鈴ちゃんに告白しようと決意したんだとか…。
『今日、鈴ちゃんが話してくれる《大事な話》って…何なのか聞いてる?』
そう詩織に聞いても『ううん…何も聞いてないの…』とのこと。
『…けどね、これは私の予想なんだけど…その大事な話って《彩乃ちゃんのこと》なんじゃないかな…って思うの』
僕も一瞬《彩乃の話?》って考えたけど…それをわざわざ、鈴ちゃんが《大事な話》なんて言葉を濁し、置き換えて詩織に言うだろうか…?
だったらストレートに《妹の彩乃のことで》って言えばいいはず…。
詩織は感情に浸り、遠い目でしみじみと感動的な過去の思い出を巡らしている…ようだけど、僕は歩美さんの尊愛作品《初音ミクの衣装を着たテディラビット》を目の当たりにして驚いたことで、そんな感動話は右耳から左耳へ…全然頭に入ってこなかった。
『…鮎美ちゃんも、今度ファミリーに誘ってあげて…そうやって、もっともっとアンナファミリーは仲間が増えて…大きくなっていってほしいな…』
えっ、えっ?…なんでこれを詩織が!?
改札口を挟んで歩美さんと別れたときは既に、詩織…もう抱いてた!?
いや待て。さっき詩織を見たときは、抱いてなかったと思う…んだけど。
えぇ…なんで?どういうこと?全っ然解らない…。
まるで魔法みたいに、手品のように…そのテディラビットが、何処からか出てきた…?
…なんてはずはない。たぶん。
てゆうか、詩織のことだ。散々歩美さんにわがまま言って、これを貰ったに違いない。
そして、僕に見付かって怒られないように、どうやってか上手に隠してたんだ…はぁ。
詩織は黙ってドロボウするような子じゃないってのは、僕だって解ってるし。
あとでLINEで歩美さんに《詩織がわがままとご迷惑を…本当にごめんなさい》って送信して、フォローしておかないと…。
…またまた1週間が過ぎて…今日は7月第2土曜日。
今日はナオさんの化粧品店の《G.F.》の専属モデルをしていた《長谷雅美さん》の挙式当日でもある。おめでとうございます。
そして…まさか今日が、僕と詩織の《運命と未来が変わる》切っ掛けの日となろうとは…。
朝の7時33分。僕が美容院に着くと、今日は詩織が先に来ていた。
『あ…おはよう詩織。最近では珍しいね。僕より先に…』
『つか信吾!忘れずに持ってきてくれた!?…あれ』
『うん。持ってきたよ』
ロングソファーに座っていた詩織が立ち上がる。そして僕は歩み寄って、ジーパンのポケットから宮学の学生証を出し、それを詩織が受け取った。
『借りるね…学生証』
木曜日の夜、詩織から電話が掛かってきて「今度の土曜日、学生証を忘れずに必ず持ってきて!」と頼まれた。
スマホから聞こえる詩織の声…なんだか凄く張り詰めた、緊迫感のようなまのを感じた。
僕が『何かあった?』と訊くと、詩織は「鈴ちゃんから、さっき電話があって…土曜日に大事な話があるって…」と答えた。
それに乗じて、詩織も《金魚は本当は男の子》だという衝撃的事実を、鈴ちゃんに告白しようと決意したんだとか…。
『今日、鈴ちゃんが話してくれる《大事な話》って…何なのか聞いてる?』
そう詩織に聞いても『ううん…何も聞いてないの…』とのこと。
『…けどね、これは私の予想なんだけど…その大事な話って《彩乃ちゃんのこと》なんじゃないかな…って思うの』
僕も一瞬《彩乃の話?》って考えたけど…それをわざわざ、鈴ちゃんが《大事な話》なんて言葉を濁し、置き換えて詩織に言うだろうか…?
だったらストレートに《妹の彩乃のことで》って言えばいいはず…。
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