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女装と復讐 -街華編-
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…7分ちょっとで新井早瀬駅に到着。
地下鉄の改札口を通過し…瀬ヶ池の街へ来てた女の子たちから、ささやかな声援を貰い、それに応えながら…詩織と僕は、東京都の品川区へと帰宅する歩美さんを見送るため、長い長い駅の構内を案内して…今、その改札口の前。
『金魚ちゃんも詩織ちゃんも、ほんとに凄い人気者だね!』
『あはは…んまぁね』
『…お二人とも、今日は本当にありがとう…』
来たときと同じようにダンボール箱を抱き抱え、僕らに笑顔をくれる歩美さん。
『いえいえ。そんなそんな。それよりも啓介くん、いいお部屋を見付けてくれるといいね!』
『うん。啓介さんにも私、いっぱいお礼を言わなくちゃ』
…今日も改札口を挟んで、お互いに精一杯に手を振り合い、僕らは東京へと帰る歩美さんを見送った。
駅を出て、詩織が岡ちゃんに電話…したら、岡ちゃんのスマホの留守電が起動。
これは《ただ今業務中。電話に出られません》という証し。なので留守電に…。
『岡ちゃーん。お疲れさまぁ。詩織です。今日の帰りはアンナさんに迎えに来てもらいまーす。心配しないでねー』
詩織が続けてアンナさんに電話して…駅前で待つ僕らに手を振ってくれた女の子らに手を振り返しながら…約17分が経過。
ようやくアンナさんの車が僕らの目の前に…そして停車。
『アンナさん、お仕事中なのにごめんなさーい』
『ありがとうございます。アンナさん』
『いいから。乗りなさい』
『…うん。そうなの!鮎美ちゃん、無事に秋良くん達と一緒に働けることになったの!はーぁ…良かったぁ♪』
運転しながら詩織の話に耳を傾け、頷いてあげているアンナさん。
『そういえば…アンナさん、まだ鮎美ちゃんに会ったこと、ないんだよね…』
『そうね』
『早くアンナさんに会わせて、鮎美ちゃんも《アンナファミリー》に誘ってあげなきゃ!』
笑顔でアンナさんにそう言いながら、振り向いて詩織はふと僕を見た。
『金魚も、そう思うでしょ?』
『…。』
詩織は突然、何かを思い出したかのように…。
『はっ!?ヤバっ!!…ってか金魚!まだ正式にアンナファミリーに加入してなかったよね!?…本っ当ごめん!もうしてたって気に私なってた!!』
僕は小さく頷いて返し、詩織に訊いた。
『あの、詩織…初めに《アンナファミリー》って考えたのは誰?』
詩織は、ふと真顔になって…少し微笑んでから僕に答えてくれた。
『私よ』
初めて詩織が『アンナファミリー』と言ったのは、14歳のとき…らしい。
『…ファミリーの1番目は、もちろん雄二さん。次が私で…その次が、前から美容院のお客さまだった春華さん。4番目が春華さんの彼氏の秋良くんで…次に啓介くんも加わって…その次が大基くんで…』
詩織は思い出を懐かしむかのように、微笑みながら少し俯いて、優しくそおっと…胸に抱いたお気に入りのテディラビッ……えっ!?
ちょっ…こらぁ!詩織!!!
地下鉄の改札口を通過し…瀬ヶ池の街へ来てた女の子たちから、ささやかな声援を貰い、それに応えながら…詩織と僕は、東京都の品川区へと帰宅する歩美さんを見送るため、長い長い駅の構内を案内して…今、その改札口の前。
『金魚ちゃんも詩織ちゃんも、ほんとに凄い人気者だね!』
『あはは…んまぁね』
『…お二人とも、今日は本当にありがとう…』
来たときと同じようにダンボール箱を抱き抱え、僕らに笑顔をくれる歩美さん。
『いえいえ。そんなそんな。それよりも啓介くん、いいお部屋を見付けてくれるといいね!』
『うん。啓介さんにも私、いっぱいお礼を言わなくちゃ』
…今日も改札口を挟んで、お互いに精一杯に手を振り合い、僕らは東京へと帰る歩美さんを見送った。
駅を出て、詩織が岡ちゃんに電話…したら、岡ちゃんのスマホの留守電が起動。
これは《ただ今業務中。電話に出られません》という証し。なので留守電に…。
『岡ちゃーん。お疲れさまぁ。詩織です。今日の帰りはアンナさんに迎えに来てもらいまーす。心配しないでねー』
詩織が続けてアンナさんに電話して…駅前で待つ僕らに手を振ってくれた女の子らに手を振り返しながら…約17分が経過。
ようやくアンナさんの車が僕らの目の前に…そして停車。
『アンナさん、お仕事中なのにごめんなさーい』
『ありがとうございます。アンナさん』
『いいから。乗りなさい』
『…うん。そうなの!鮎美ちゃん、無事に秋良くん達と一緒に働けることになったの!はーぁ…良かったぁ♪』
運転しながら詩織の話に耳を傾け、頷いてあげているアンナさん。
『そういえば…アンナさん、まだ鮎美ちゃんに会ったこと、ないんだよね…』
『そうね』
『早くアンナさんに会わせて、鮎美ちゃんも《アンナファミリー》に誘ってあげなきゃ!』
笑顔でアンナさんにそう言いながら、振り向いて詩織はふと僕を見た。
『金魚も、そう思うでしょ?』
『…。』
詩織は突然、何かを思い出したかのように…。
『はっ!?ヤバっ!!…ってか金魚!まだ正式にアンナファミリーに加入してなかったよね!?…本っ当ごめん!もうしてたって気に私なってた!!』
僕は小さく頷いて返し、詩織に訊いた。
『あの、詩織…初めに《アンナファミリー》って考えたのは誰?』
詩織は、ふと真顔になって…少し微笑んでから僕に答えてくれた。
『私よ』
初めて詩織が『アンナファミリー』と言ったのは、14歳のとき…らしい。
『…ファミリーの1番目は、もちろん雄二さん。次が私で…その次が、前から美容院のお客さまだった春華さん。4番目が春華さんの彼氏の秋良くんで…次に啓介くんも加わって…その次が大基くんで…』
詩織は思い出を懐かしむかのように、微笑みながら少し俯いて、優しくそおっと…胸に抱いたお気に入りのテディラビッ……えっ!?
ちょっ…こらぁ!詩織!!!
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