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女装と復讐 -街華編-
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とにかく…この1週間のあいだで、歩美さんの住むアパートを探さなければならない…という課題は残ったものの…。
無事に歩美さんの夢が叶って、秋良さんが個人で運営する【Posi-Stylish/Japan】への就職も決まったことだし、全員がケーキを食べ終えたところで、詩織が『私たちが居ると、秋良くん達のお仕事の邪魔しちゃうし…そろそろ帰ろっかなー。私たち』と切り出した。
…そして、事務所のビルの表まで、わざわざ見送りに出てきてくれた、秋良さんと啓介さん。そして歩美さん。
『…ってことで、歩美ちゃんの新しく住む部屋探しは、この頼りになる《啓介》に任せておけば安心だ。なんにも心配要らないからな!』
啓介さんは、驚いた顔で秋良さんを見た…けど。
『啓介さん…宜しくお願いします』
『え…待っ、ちょっ…』
『お願いします』とお辞儀した歩美さんを見て、啓介さんはそのまま視線を流してまた秋良さんを見た。
『いやいや…秋良さんも一緒に探してくれるんじゃ…部屋』
『はぁ?バカ言えよ啓介。お前も解ってんだろが。俺は縫製工場へ搬出する衣装サンプルの荷造り確認とか、出納帳に溜まった収支の簿記処理とか、受注確認の電話対応とか…とにかく忙しいんだ!』
『まぁ…確かに…』
更に秋良さんは啓介さんを指差して、歩美さんに向かって一言付け加えた。
『部屋探し担当者だけじゃないぜ。歩美ちゃんが働きはじめたあとの《負んぶに抱っこ》の世話役も、ぜーんぶ啓介にやらせっから』
『はぁ!?…秋良さん!』
『なんだ?…だから!俺は忙しいっつってんじゃんか!』
秋良さんもまた、啓介さんを見た。
『…んん?お前まさか…歩美ちゃんのことが《嫌い》か…?』
『啓介…さん…』
秋良さんのその一言に、歩美さんは不安そうな表情に少し切なそうな雰囲気も混じって、啓介さんをゆっくりと見詰めた…。
『啓介くんは鮎美ちゃんのこと、嫌いじゃないよね。だって寧ろ…』
啓介さんは詩織のその言葉に、少し躊躇しながらもウンと小さく頷いた。
そして歩美さんを安心させようとしてるかのように、啓介さんは歩美さんに向かって優しく微笑んだ。
『まさか嫌いとか…んな訳。ってことらしいから…歩美ちゃん。分からないことがあったら何でも俺に訊いたり、何でも頼ってくれればいいよ』
『はい!啓介さん。私、嬉しいです。ありがとうございます!』
また明るい、柔らかな笑顔に戻った歩美さん。
ダンボールを抱えたまま、啓介さんに深々と会釈した。
秋良さんもニコニコ顔で、啓介さんの肩をポンと軽く叩いた。
『おーし。つーことで頼んだぜ。頑張れよな!啓介』
『では…私も、今日は東京に帰ります』
…春華さんに地下鉄の駅まで送ってもらい、降りて新井早瀬駅へと向かう電車に乗車。
適度に混み合う車内。だけど出発してすぐ、それまでシートに座っていた男子学生らしき2人組に『ど、どうぞ』と、僕らは優しく席を譲ってもらえた。
歩美さんと詩織が笑顔で可愛らしく『譲ってくれるの?わぁ♪ありがとーぉ♪』とお礼を言い、3人でシートに座った。
…降りるの新井早瀬駅だから、すぐっちゃすぐなんだけどね…電車降りるの。
無事に歩美さんの夢が叶って、秋良さんが個人で運営する【Posi-Stylish/Japan】への就職も決まったことだし、全員がケーキを食べ終えたところで、詩織が『私たちが居ると、秋良くん達のお仕事の邪魔しちゃうし…そろそろ帰ろっかなー。私たち』と切り出した。
…そして、事務所のビルの表まで、わざわざ見送りに出てきてくれた、秋良さんと啓介さん。そして歩美さん。
『…ってことで、歩美ちゃんの新しく住む部屋探しは、この頼りになる《啓介》に任せておけば安心だ。なんにも心配要らないからな!』
啓介さんは、驚いた顔で秋良さんを見た…けど。
『啓介さん…宜しくお願いします』
『え…待っ、ちょっ…』
『お願いします』とお辞儀した歩美さんを見て、啓介さんはそのまま視線を流してまた秋良さんを見た。
『いやいや…秋良さんも一緒に探してくれるんじゃ…部屋』
『はぁ?バカ言えよ啓介。お前も解ってんだろが。俺は縫製工場へ搬出する衣装サンプルの荷造り確認とか、出納帳に溜まった収支の簿記処理とか、受注確認の電話対応とか…とにかく忙しいんだ!』
『まぁ…確かに…』
更に秋良さんは啓介さんを指差して、歩美さんに向かって一言付け加えた。
『部屋探し担当者だけじゃないぜ。歩美ちゃんが働きはじめたあとの《負んぶに抱っこ》の世話役も、ぜーんぶ啓介にやらせっから』
『はぁ!?…秋良さん!』
『なんだ?…だから!俺は忙しいっつってんじゃんか!』
秋良さんもまた、啓介さんを見た。
『…んん?お前まさか…歩美ちゃんのことが《嫌い》か…?』
『啓介…さん…』
秋良さんのその一言に、歩美さんは不安そうな表情に少し切なそうな雰囲気も混じって、啓介さんをゆっくりと見詰めた…。
『啓介くんは鮎美ちゃんのこと、嫌いじゃないよね。だって寧ろ…』
啓介さんは詩織のその言葉に、少し躊躇しながらもウンと小さく頷いた。
そして歩美さんを安心させようとしてるかのように、啓介さんは歩美さんに向かって優しく微笑んだ。
『まさか嫌いとか…んな訳。ってことらしいから…歩美ちゃん。分からないことがあったら何でも俺に訊いたり、何でも頼ってくれればいいよ』
『はい!啓介さん。私、嬉しいです。ありがとうございます!』
また明るい、柔らかな笑顔に戻った歩美さん。
ダンボールを抱えたまま、啓介さんに深々と会釈した。
秋良さんもニコニコ顔で、啓介さんの肩をポンと軽く叩いた。
『おーし。つーことで頼んだぜ。頑張れよな!啓介』
『では…私も、今日は東京に帰ります』
…春華さんに地下鉄の駅まで送ってもらい、降りて新井早瀬駅へと向かう電車に乗車。
適度に混み合う車内。だけど出発してすぐ、それまでシートに座っていた男子学生らしき2人組に『ど、どうぞ』と、僕らは優しく席を譲ってもらえた。
歩美さんと詩織が笑顔で可愛らしく『譲ってくれるの?わぁ♪ありがとーぉ♪』とお礼を言い、3人でシートに座った。
…降りるの新井早瀬駅だから、すぐっちゃすぐなんだけどね…電車降りるの。
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