女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

文字の大きさ
上 下
343 / 490
女装と復讐 -街華編-

page.332

しおりを挟む
しばらくして、僕ら3人は揃って《キャラメルフラペチーノ》を頼もうって決めた。
代表して歩美さんが注文カウンターに行ってくれることに。


『じゃあ、私はそのあいだに、ちょっとおトイレ行ってきてもいい?』


…って、2人に訊いたのは僕。
『いいよ。行ってきて』と詩織。

僕は立ち上がってトイレへと向かう。






女装した僕…金魚が入るのは、もちろん《woman's restroom》。

初めて女子トイレに入ったときは、洗面台の鏡の前に立つ女の子たちを目にしてビクッ!!と、バレないかと心配してオドオドしたりしてたけど…今はもう全然平気。

ちらりと振り向き、僕…金魚を見て『あっ!』と驚かれても、気にせずさっさと個室へ。入ってしまえばもう安心。



…用を済ませ、さぁて個室から出ようかなと思ったとき…なんだか僕の興味を引くような会話が、扉の向こうから聞こえてきた。


「…そういえば前にさぁ、《瀬ヶ池のメダカ》って呼ばれててー、背が普通の男子なんかより低くてー、服装とかもう超田舎っぽくてー、超ウザかった奴いたじゃん?」

「あー。そんなのいたねー。最近全然見ないけどー」


僕は出ようと、個室の扉のロックに触れた手を、静かにそっとまた下ろした…。

耳を大っきくして、微かに聞こえてくる女の子たちの《洗面台会話》に集中する…。


「あのメダカって奴さぁ、PARCOの細いみちのほうでナンパしてたじゃん?」

「あー!解ったぁ!沙英の言いたいの、《ドジョウ》のことじゃね?」


………ドジョウ?……って…?


「あっはははは。そうそうそう。《瀬ヶ池のドジョウ》のこと」


…瀬ヶ池の…ドジョウ…!?


「ドジョウさぁ、メダカがいなくなったあの場所でー、似たような下手っくそなナンパ、ずーっとやってんでしょ?」

「そうそう。まじでクッソウザいよねー」

「一生やっててもどうせ無駄なんだから、目障りだからどっか行けっつーの!」

「あはははは。言えてるー。だよねー」




『…。』


会話が消えた…。どうやら今話してた女の子たち、女子トイレから出ていったらしい…。

もうここに居ても仕方ない。個室から出て早く詩織たちのところへ戻ろう。



…ドジョウ…。






女子トイレを出て2人の居るテーブル席へと向かうと…なんだか凄く楽しそうに笑顔で会話している様子の歩美さんと詩織。

何の話で盛り上がってるんだろう…?


『…ただいま』

『おかえりなさい』
『ちょっと金魚、聞いてよ!鮎美ちゃんさぁ、ほんとすっごいの!』

『…えっ?あの…何がそんなに凄いの?』


























しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

樹海暮らしの薬屋リヒト

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:8

令嬢は大公に溺愛され過ぎている。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,967pt お気に入り:16,140

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:30,414pt お気に入り:1,428

学園パラダイス

青春 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

欲しいのならば、全部あげましょう

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:85

決められたレールは走りません

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:44

異世界で総菜屋始めます

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:2,240

処理中です...